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性感染症の中で一番多いのはクラミジア感染症です。20~30歳の女性では5%、100人に5人は感染していると言われています。クラミジアの大きさは細菌とウィルスとの中間でリケッチアといいます。人に感染するクラミジアは、トラコーマクラミジア、肺炎クラミジア、オウム病クラミジアの3種類で、性感染症病原体はトラコーマクラミジア。眼科医にかかるトラホーム(トラコーマ)結膜炎と同じ病原体なのです。このクラミジアは男性の場合、膀胱から尿出口の尿道中問部、女性は子宮頸管に感染します。この部位は円柱上皮細胞という組織で出来ていてこの細胞に感染します。目に感染するのも、目に円柱上皮細胞があるからなのです。症状は、男性では「しみる」「痛い」といった違和感程度で症状は軽いです。女性の頚管では、赤ちゃんが出てくる所で痛覚神経が無い為に、痛くも痒くも無く自覚症状が無いのです。その為に、出産の時に赤ちやんが目に感染(母子感染)して結膜炎になる事で、母親が感染していた事が分かるのです。検査は頚管、尿道に綿棒を入れて調べれば簡単に分かります。陽性であれば、約2週間の抗菌剤投与で大抵改善します。これを放って置くと男性は副睾丸炎、女性は卵管炎を起こして不妊症になります。
様々な国で結核が増加傾向にあります。特に発展途上国では爆発的な発生が起こっているのですが,日本でもその兆しが出てきました。原因はエイズの流行地域と一致している事から、細胞性免疫が不全になるエイズウイルス感染による事は明らかです。結核菌は肺結核症だけでなく、あらゆる臓器に結核症を引き起こす抗酸菌と呼ばれる菌類の代表菌種です。表面は分厚い脂質に富んだ細胞壁があり、増殖力が非常に遅いのが特徴です。結核症は肺結核が多い為呼吸器伝染病ですが、これは結核患者の痰が咳で飛び吸い込まれる事で発症するからです。気道の未端にある肺胞に到達すると、そこで食細胞のマクロファージに食べられてしまいます。ところが、普通はそれで殺されるのですが、結核菌はしぶとくその中で増殖さえするのです。マクロファージはそんな事は分かりませんから結核菌を運んでリンパ節まで連れていってしまうのです。そこに結核菌は感染巣を作ります。じっくり免疫力が弱るまで待機しているのです。しかし、免疫系が活発である宿主では、Tリンバ球がマクロファージを刺激して、レベルアップしたマクロファージは病巣を包囲して殺せる様になります。しかし、完全には壊滅出来ずにいますから、ツベルクリン反応は陽性になるのです。しかし、結核菌の封じ込めに成功すれば新たな結核菌によ感染も成立し無くなります。この様な作用機序でワクチンがあるのです。
ワクチンには病原体その物を弱毒化した生ワクチン(ボリオ、はしか、風疹等)や、複製する能力を無くした不活化ワクチン(狂犬病、インフルエンザワクチン等)があります。生ワクチンは確実な免疫を獲得出来ますが、弱らせた筈の病原性が復活する危険性があります。一方不活化ワクチンは病原性の復活はありませんが一定の期間しか免疫力が付かず、何回も摂取しなければならないのが欠点です。これらの古典的なワクチンはウイルス全体を使っていたのですが、今ではコンボーネントワクチンという新しいワクチンも開発される様になって来ました。抗原のウイルスは全体が相手の細胞と結び付くのでは無く、その表面の一部分の蛋白質が結び付きます。ですからその目印になる蛋白質だけウイルスから取り出して身体に入れれば抗体を作ってくれるという分けです。こうして作られたワクチンはウイルス全体を使う分けでは無いので副作用が少なく有効な免疫が獲得される事が特徴です。ただ抗体の効果が持続しない事が欠点です。このコンボーネントワクチンはDVA技術を使って作る事も可能です。つまりウイルスから目印になる蛋白質を集めるのでは無く、その蛋白質をコードする世伝子を見つけてその遺伝子をプラスミドに組み込む事で幾らでも目印の蛋白質を作れる様になると言う分けです。この方法ではウイルスが混ざる可能性も無く短期間で大量に作る事が出来ます。ところでこうしたワクチンは 言ってみれば万人向けで、人によっては効果的で無い人も出てきます。と言うのも病原体を認識できる主要組織適合性抗原は人によって型が違っている為同じ病原体に感染しても免疫反応は人によつて違っているからです。そこで固有の抗原決定基を解析してパーソナルなワクチンを作る研究もされており、これが進むとキレの良い効果的ワクチンが出来るでしょう。ワクチンには病原体その物を弱毒化した生ワクチン(ボリオ、はしか、風疹等)や、複製する能力を無くした不活化ワクチン(狂犬病、インフルエンザワクチン等)があります。生ワクチンは確実な免疫を獲得出来ますが、弱らせた筈の病原性が復活する危険性があります。一方不活化ワクチンは病原性の復活はありませんが一定の期間しか免疫力が付かず、何回も摂取しなければならないのが欠点です。これらの古典的なワクチンはウイルス全体を使っていたのですが、今ではコンボーネントワクチンという新しいワクチンも開発される様になって来ました。抗原のウイルスは全体が相手の細胞と結び付くのでは無く、その表面の一部分の蛋白質が結び付きます。ですからその目印になる蛋白質だけウイルスから取り出して身体に入れれば抗体を作ってくれるという分けです。こうして作られたワクチンはウイルス全体を使う分けでは無いので副作用が少なく有効な免疫が獲得される事が特徴です。ただ抗体の効果が持続しない事が欠点です。このコンボーネントワクチンはDVA技術を使って作る事も可能です。つまりウイルスから目印になる蛋白質を集めるのでは無く、その蛋白質をコードする世伝子を見つけてその遺伝子をプラスミドに組み込む事で幾らでも目印の蛋白質を作れる様になると言う分けです。この方法ではウイルスが混ざる可能性も無く短期間で大量に作る事が出来ます。ところでこうしたワクチンは 言ってみれば万人向けで、人によっては効果的で無い人も出てきます。と言うのも病原体を認識できる主要組織適合性抗原は人によって型が違っている為同じ病原体に感染しても免疫反応は人によつて違っているからです。そこで固有の抗原決定基を解析してパーソナルなワクチンを作る研究もされており、これが進むとキレの良い効果的ワクチンが出来るでしょう。
肝炎ウイルスキヤリア(保菌者)になる一番の原因は母子感染ですが、他にも水平感染があります。水平感染とは子供0~3歳位の間で、まだ免疫力が不十分な内にB 型肝炎にかかる事を言い、幼児期を過てから感染すれば急性肝炎にはなってもキヤリアになる事はほとんどありません。一般に考えられている様に性行為で感染すれば、急性肝炎になり、キヤリアになりにくいです。キヤリアになる場合は、免疫抑制剤を使っていたり、エイズに感染している等、免疫力が極端に落ちている状態が考えられます。注射器が使い捨てに代わり、小児科で注射が行われ無くなったその頃から水平感染が減少し、1985年には200~300百人もいたB型肝炎のキヤリアが、今では多くても 150万人もい無いと言われています。C型肝炎のキャリアは230万人これらの事実は医療行為がB型肝炎の感染に非常に関係があった事を示しています。現在50歳以上の人で、過去にB型肝炎に感染した証拠であるHBS抗体が陽性の人は、5人に1人はいますが、20歳以下の人の陽性率は1~2%しかありません。全世界的にみて、発展途上国でB型肝炎の調査をすると、非常に貧しくて医療の手も届かない地域はキヤリア率が低く、もう少し豊かな地域の方がかえってキヤリア率が高いと言う現象が見られるのです。これはやはり針注射器の使い回しをしている為だったと考えられます。
細菌の中には染色体外遺伝子のプラスミドがあり、染色体からは独立して増える事が出来ます。プラスミドは細菌にとっては必須の遺伝子情報を持っている訳ではありませんが、宿主が生き残る為に必要な遺伝子として進化し続けているのです。例えば、金属耐性や薬剤(抗生物質)耐性等がそれです。どの様に耐性が獲得されるのかと言えば、菌の染色体の変異が起こって耐性菌になるのでは無く、このプラスミドの上に薬剤を失活させる様な蛋白質をコード化させる遺伝子を持ったトランスポゾンを挿入される為である事が明らかになっています。このトランスポゾンとは、一定の構造を保ったまま染色体上を転移する事が出来る遺伝子単位です。その両端にある特有な操り返し配列が接着剤の役目をして染色体との組み換えを起こしやすい性質があります。このプラスミドや細菌内のウイルスであるファージは遺伝子組み換え技術にも利用されています。DNA を特定の部位で切断する事が出来る制限酵素によって人のDNA断片を大腸菌のプラスミドに組み込み増殖させる事が可能なのです。この様な性質からプラスミドの事を別名遺伝子の運び屋、ベクターとも呼ばれているのです。
今成人でのはしかの流行が取りだたされています。近年では患者の発生率が急増しています。大人の発症は重症化もあり肺炎や脳炎を起こしたりもします。ワクチンの免疫力は永遠に効力が持続すると思いがちですが免疫力は徐々に減衰していきます。ただそれに自然発生的に周囲の流行によりウイルスに感染して再び免疫力を得て来ていたのです。しかし現代は感染症の流行が減り再び補強される事が無くなった為だとされています。我が国では1968年以降、ジフテリア・破傷風・百日咳の3 種混合の予防接種が広く幼児と学童を対象に行われてきました。国立感染研究所や九州大学等で、年齢別により血中の抗体価の測定を行ったところ、破傷風の抗毒素抗体保有率は0~30歳までは85~100%あるのに付し、31歳以降は0~20%でした。ジフテリアや百日咳の抗毒素抗体保有率はやはり31歳以降は低かったのですが、一応感染防御レベル以上あるので、一番問臆なのは破傷風なのです。日本では年間50人余りの患者が発生し、30~50%が死亡していますが、世界中では年間100万人が亡くなるという、最も恐ろしい感染症の一つです。破傷風菌は土の中で生きる嫌気性菌で、怪我をした傷口から感染するとほぼ100%の確率で発症します。潜伏期間は普通1~2週閲ですが個人差があって2 ケ月以上も経ってから発症する事もあり、本人も怪我をした事を忘れていたりします。初期症状は部分的なこわばりで、顔面の痙攣が表れ、「破傷風顔貌」という、微笑みが歪んだ様な表情になり、48時間以内に、抗毒素血清療法等の処置が取られ無ければ、事態はかなり深刻になります。意識はハッキリしているのに筋肉の痙攣が全身的に起き、呼吸困難を起こして窒息しするのです。怪我をし易い職業の人は勿論の事、アウトドアのレジャーや医療体制の整っていない国に出かける時は、破傷風の予防接種をする必要がある様です。
人類の歴史の中で天然痘は長い間猛威をふるってきました。紀元前2世紀、エジプトのラムセス5世のミイラには天然痘の痕が残っています。このウイルスの感染力は強く、致死率は50%です。l8世紀になってイギリス人医師のジェンナーが初めて種痘を行いました。1967年にはWHOは天然痘根絶本部を発足、その時点ではまだ世界中に10方人以上の患者がいました。1977年に東アフリカのソマリアで患者が確認されたのを最後として、1980年WHOは天然痘撲滅宣言を行いました。今でも天然痘ウイルスはアメリ力のアトランタのCDC とロシアのモスクワのウイルス研究所に保管されています。しかしWHOはこれらの研究用ウイルスは感染事故やテロに悪用される危険があるとして、1999年6月に廃棄処分する事にし、50万人分のワクチンとワクチン製造のための病毒化ウイルスだけを保存すると決めました。ところでなぜ天然痘は撲滅出来たのに、他のウイルス病は披滅出来無いのでしょうか。それは、種痘による抗体産生が一生持続する事,天然痘のウイルスに抗原変異性が無い事、何よりも天然痘ウイルスが人間にしか感染しないからです。例えば、ポリオや狂犬病がヒトに発症し無くなったとしても、これらの撲滅宣言をする事は出来ません。なぜなら、ボリオや狂犬病は他の動物にも感染するからで、自然界のどこかで、ウイルスが 動物の体内に存在している可能性があるからです。
日本の食中毒の第1位はサルモネラ菌によるものです。サルモネラ菌は2500もの種類がありますが、その中でも毒性の強いサルモネラ・エンテリティディス(SE)に汚染された卵や製品による食中毒が圧倒的に多くなっています。日本人一人当たりの卵の消費量は年問約340個。すき焼きや、納豆に生卵を食べる人はかなり心配です。この菌は卵巣や卵管に感染する為に、卵の殻、卵黄、卵白から菌が検出されます。1992年の卵調査によると26000個中7個にSEが見つかり、菌の数は1~10個程度。卵を割って室温で置いてあると20~30分で100個になり、下痢を起こす事もあります。健康な成人なら、下痢や発熱程度で済みますが、子供や老人、体の弱い人は死につながる事があります。家庭でSE食中毒を防ぐには卵は8度以下で保存、卵に触れた容器は熱湯消毒、料理に使う分だけを割って直ぐに加熱料理にして食べる事です。生産者の対策では、このSEが1980年代に英国から輸入したヒナに人っていてそれが増え続けていると言われています。その為原種二ワトリや種ドリの輸入時の汚染ニワトリや既に感染しているニワトリの駆除を徹底的に行う事です。また鶏用ワクチンは親鳥の生後48日目から卵を産む前までに接種すると体内にSE菌が定着するのを防ぐ事が出来ます。
ヒトは年を取ればば誰しも血管も老化しますが、驚くべき事に動脈硬化はすでに小児の時に始まっています。しかし実際は血管の内腔狭窄が75%以上にならないと血流の減少は起こら無いとされていますから、生きている間に内腔の狭窄を75%以上にしない事と、出来てしまった粥状硬化巣が破れて血栓などが起こら無い様にすれば良い訳です。これまで一旦起こってしまった動脈硬化は不可逆的でどうにもならないとされていましたが、最近ではコントロールによって硬化巣が退縮する事も知られています。動脈硬化の予防と改善の為には何と言っても危険因子を避け無ければなりませんが、動脈硬化の危険因子と看做されている物は200以上にも上ります。とは言ってもその中の5大因子である高脂血症、高血圧、糖尿病、肥満、喫煙を退ける事でリスクはぐんと小さくなります。特に血清コレステロールと中性脂肪(トリグセリド)のコントロールが重要です。血清コレステロールでは、LDLのコントロールはプラークの形成を抑えると共に、退縮させる事が明らかになっています。トリグリセリドと動脈硬化の関係はコレステロールほど明確ではありませんが、一言でいえば動脈硬化を退けるには脂っこく無い血液にする事です。
ストレスが高血圧や動脈硬化等循環器病の危険因子となる事は良く知られています。性急で競争心の強いタイプAの性格やストレスを受けやすい人は、心筋梗塞のリスクが高いのです。ストレスが加わると、交感神経一副腎髄質系の活性化により、カテコールアミンというホルモンが過剰に分泌され、心拍数が増加し、皮膚や内臓の血管収縮が起こり、血圧が上昇します。カテコールアミンはLDLコレステロールを酸化させる働きがあります。酸化LDLは強力な血管傷害性を持っているので、酸化LDLが 産生されると血中の単球が血管内皮細胞からのシグナルを受けて、マクロファージ化して酸化LDLを貧食する事によって泡沫細胞が形成され、プラークを作って行きます。更にカテコールアミンは直接、またはトロンボキサン(TXA2)を介して血小板の凝集能や粘着性を高め、血液を凝固しやすくします。ストレスによってこれらの反応が繰り返して起これば、血管内皮は障害され動脈硬化が促進されるのです。普段からこうしたストレスのコントロールを心がける事で循環器病を予防あるいは改善効果が期待出来るので、ストレスマネージメントは重要です。リラクセーション、・バイオフィードバック、自立訓練法、瞑想法等を行ったり、カウンセリングを受けたりして精神の安定を図る事も必要です。