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結核菌

2020.01.06 | Category: 感染症

様々な国で結核が増加傾向にあります。特に発展途上国では爆発的な発生が起こっているのですが,日本でもその兆しが出てきました。原因はエイズの流行地域と一致している事から、細胞性免疫が不全になるエイズウイルス感染による事は明らかです。結核菌は肺結核症だけでなく、あらゆる臓器に結核症を引き起こす抗酸菌と呼ばれる菌類の代表菌種です。表面は分厚い脂質に富んだ細胞壁があり、増殖力が非常に遅いのが特徴です。結核症は肺結核が多い為呼吸器伝染病ですが、これは結核患者の痰が咳で飛び吸い込まれる事で発症するからです。気道の未端にある肺胞に到達すると、そこで食細胞のマクロファージに食べられてしまいます。ところが、普通はそれで殺されるのですが、結核菌はしぶとくその中で増殖さえするのです。マクロファージはそんな事は分かりませんから結核菌を運んでリンパ節まで連れていってしまうのです。そこに結核菌は感染巣を作ります。じっくり免疫力が弱るまで待機しているのです。しかし、免疫系が活発である宿主では、Tリンバ球がマクロファージを刺激して、レベルアップしたマクロファージは病巣を包囲して殺せる様になります。しかし、完全には壊滅出来ずにいますから、ツベルクリン反応は陽性になるのです。しかし、結核菌の封じ込めに成功すれば新たな結核菌によ感染も成立し無くなります。この様な作用機序でワクチンがあるのです。


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