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子供の記事一覧
日本を含め世界各地の子供達がADHDの症状を起こしています。特にアメリカでは子供達の10%、地域によっては20%ととも言われています。
ADHDの子供の脳は右前頭前皮質や大脳基底核にある尾状核や淡蒼球が小さくなっています。
右前頭前皮質は注意を散らさず我慢する事、自意識や時間の意識の発達に関与します。
尾状核と淡蒼球は反射的な反応を抑えて大脳皮質が注意深く慎重な行動をとるのを助けて様々な皮質領域に渡る神経入力を調節する役割があります。
この脳がどうして縮小するのか、原因はまだ明らかではありません。
色々な研究から神経伝達物質であるドーパミンが感情や運動に関わるニューロンの働きを抑制したり調節したりしますが、その脳の領域で活発に発現するドーパミン受容体とドーパミンを再利用するために取り込むドーパミントランスポーターの遺伝子の変異による遺伝的要因であると考えられています。
しかし最近ではダイオキシン類の中に、身体や脳の発達に重要な甲状腺ホルモンの働きを阻害する物質があると言う報告があります。
人体に蓄積されたダイオキシンが胎内での発生初期にPPT(1兆分の1)レベルの極微量で発生過程に重大な影響を及ぼし脳の発達に関与していると言うのです。ADHDの原因が何か、早急な解明が待たれます。
生後6ヶ月以内(日本では2歳位まで含めます)の赤ちゃんが睡眠中に呼吸が停止して死んでしまうSIDS(Sudden Infant Death Syndrome=乳幼児突然死症候群)という病気があります。
乳幼児6000人に1人の割合で発生していますが原因はよく分かっていません。
厚生労働省の調査では、この病気の危険性は、両親の喫煙、人工乳保育、普段のうっぶせ寝の習慣で3~5倍増加する事が明らかになりました。
かつて年間約500~600人位が死亡していましたが、うつぶせ寝をやめるキャンペーンを始めてからは、2011年度148人に減りました。
1998年に米ハーバード大医学部などの研究チームは、SIDSで死亡した赤ちゃんの延髄にある呼吸を調節する神経細胞を調べて、健康な赤ちゃんなら、睡眠中に呼吸が不十分になって血液中の二酸化炭素(C02)濃度が上昇しても、その情報を延髄の神経細胞が受け取り、十分な呼吸が出来る様にするのですが、C02濃度上昇の情報を受け取る受容体の活性度が低い子の場合は呼吸が出来なくなる事を発見したのです。
呼吸運動や心臓の動きに関係する呼吸中枢の未熟性や働きの異常が関係しているらしいのです。
今のところ、正確な原因は未解明ですが、SIDSの原因が「不注意」による事故や窒息とは異なる「病気」である事は分かっています。
今時の小学生から高校生の食事の特徴は”孤食”、“コンビニ食” と言えます。
NHKの番組で子供がー人で食事をする孤食を取り上げたのは1980年代でそれから、その傾向は益々広がっていました。
中学生の4割は朝食を一人で食べているそうです。
その為孤食、朝食抜きなど、食行動の乱れが身体と心の健康に大きな影響を与えている様です。
そのひとつか子供の体型の両極化で、健康な体型の子供が減って、肥満と痩せの2権化が進んでいると言います。
食事パターンが不規則で、量や質が一定しない食事は肥満や痩せを作ります。
更に孤食ではコンビニ食等が多くなり、好きな物だけを食べる為に野菜等の摂取が少なくなり、結果的に偏食傾向になると言う結果も出ています。
当然体調も不定愁訴が多く、朝から「疲れた」「だるい」という口癖や「イライラする」と訴える事も珍しく無い様です。
心に与える影響としては、少年院に入院して来る少年の調査が参考になります。
入院してくる少年の半数がビタミン等の不足による痩せであり、入院直前では家族との食事が激減し、孤食や外食、友人との食事が極端に増えていると言います。
3割の子が小学生から朝食を食べ無くなっている事も食パターンの崩れが想像されます。
子供の心身の健康の為には、親が乳幼児期からの食行動をしっかりとっ繰り上げる事が大切です。
喘息は、ゼーゼーヒューヒューと胸を鳴らす発作性の呼吸困難を繰り返す病気です。
0~2歳児は息苦しいと訴える事が出来ないので、肩で息をしたり小鼻をビクピクさせる等の症状で呼吸困難を見分けます。
一般に喘息の発作は1日の内でも真夜中や夜明け前に起こる事が多いのですが、それは寝ている間に気道内に分泌物が溜まり気道を刺激したり、室内のホコリや布団のダニを吸い込んだり、夜に副交感神経が優勢になって細気管支が収縮するからです。
喘息児は普通の子供に比べて気道が過敏になっていて、一寸した刺激でも発作を起こし易く、昼間グラウンドで走ったり、煙草の煙や大気汚染物質を吸う事が誘因になります。
毎日の様に発作を繰り返すと慢性的な気管支の炎症が続き、益々気道が過敏になって発作が悪化します。
喘息の療法にはアレルゲンを除く原因療法、発作が起きてから気管支拡張剤吸入等の対症療法、身体を鍛える鍛錬療法がありますが、最近ではこれらに加えて発作を起こさせ無い予防薬療法が主流です。
普段から抗アレルギー剤を服用し、発作が起きて無くても予防薬を吸入し続ける事で、気道の過敏性を改善します。
また運動誘発性喘息を起こし難い水泳を続けたり、腹式呼吸が有効です。
子供は成長時期によって体脂肪の量が違います。生まれたばかりの時の体脂肪率は12~15%で、意外とほっそりしています。
それが6~7ヶ月くらいになると23~25%とふっくらし、6~7歳ではまた12~13%になって思春期までスリムな時期が続き、その後は成人の男性15%、女性22%の体脂肪率に落ち着いて行くのです。
肥満体質は3~4歳位で出来ると言われ、肥満開始は4歳位までが半数、5~11歳が3割、残りが11歳以降となっています。
3歳位の肥満がそのまま改善されなければその8割が成人になっても肥満のままでいる事が多いのです。
と言う訳で成人の肥満を防ぐには幼児肥満にさせ無い事がとても大切になります。
1999年からは母子手帳にこれまでの身体発育曲線に加えて肥満度を見る為の「幼児の身長体重曲線」というグラフが加わっています。
それを参考にすれば肥満傾向に早めに気が付く事が出来るでしょう。ただし子供の減量指導には注意が必要です。
肥満が健康に悪いと言う事を理解出来るのは10歳以降で、小さい子供に厳しい減量指導をするのは精神的に追い込む事になってしまったり、かえって食べ物に執着させる事になったりしかねません。
また学童期以降は肥満恐昨症や拒食症に繋がる事があります。
肥満対策は遅れれば遅れるほど困難になります。肥満にならない体質は幼児からの習慣が大切です。
ひきつけは全身の筋肉が自分の意志とは無関係に発作的に収縮する事で、子供の10人に1人は経験して居ると言われています。
子供のひきつけは脳の発達と関係していると言われ、大人の脳に比べ、色々な刺激に対して敏感に反応し、脳が一時的に極端な興奮状態になる時に現れる身体症状と考えられています。
極端な状態とは、刺激が加えられると神経細胞から電気が放電されますが、何かのきっかけで神経細胞が異常に興奮して放電が連続的に起きて、脳全体を興奮させてしまうのです。
脳の中にはその放電を押し進める興奮性神経系とそれを抑える抑制性神経系があり、脳が成長すればその均衡を保ちながら働いていますが、子供の場合はこの興奮性が優先的に造られる為に電気活動が非常に不安定になっているのです。
また脳の神経の配線と絶縁が急速に進むのが乳児期の3歳頃で、それ以降の生涯で必要とするシナブス数のおよそ2倍もの量が過剰に増生されると言われ、その過剰な神経回路の為に過剰な電流が流れやすくなっています。
更に神経線維に髄鞘という絶縁膜が巻き付いて神経線維が丈夫になりますが、この時期は絶縁が不十分で電流が漏電し易く成っているのです。
子供の脳は未完成で、急な高熱で起こる熱性痙攣、情緒不安定で起こる情怒痙攣等の様に、色々な原因でひきつけを起こす事になるのです。
ひきつけは脳が発達するに連れて徐々に解消されていきますが、何回も繰り返す場合は脳波診断をして受診が必要になります。
日本では近視の眼鏡をかけている子供が非常に多くなっています。
元々日本人を含めて東洋人は欧米人より視力は良いのですが、近年のライフスタイルの変化により、近視が増えてしまいました。
この近視の原因には軸性と屈折性があります。軸性は眼球の奥行き、つまり角膜から網膜までの距離が伸びた為に焦点が網膜より前に結ばれてしまう事でおこります。
屈折性は主に角膜や水晶体の屈折率が強過ぎる為に網膜より前に結ばれてしまいます。
近視の大部分はこの両者混合がほとんどです。真性の軸性異常の様な先天的な物を除けば、子供が近視になる場合、仮性近視や初期の近視ではほとんどが屈折性であるといえます。
この屈折性はスマホやTVゲーム等定点に集中する事による目の疲労で起こります。
その為水晶体を調節する毛様体筋は緊張を強いられ、ピント調節機能が元に戻らなくなってしまうのです。
また子供の近視のピークは学童期の4~6年生の頃です。丁度身体の最も成長の活発な時期と言えます。
身長体重だけで無く、臓器も大きくなりますので実は眼球も大きくなっているので、軸性が長くなり焦点距離が短くなります。
しかし正常な場合は角膜・水晶体にはそれを調節しようとする偏平化作用があって近視に成らないのですが、慢性的な目の疲労と重なるとこの偏平化が上手く行かずに近視が極端に進行してしまうのです。
ですから、このピークの時期を上手く乗り越えれば、その後の視力低下は少なくて済むのです。
アトピーと言えばすぐにアレルギーと結び付けられますが、アトピー性皮膚炎の素因にはアレルギーの他に非アレルギー素因があります。
アレルギーとはいわゆるlgEの産生が多くてアレルギー症状を起こす場合ですが、もう一つ大きな要因として非アレルギー素因と考えられる原因があるのです。
それが乾燥肌です。もちろんアレルギー一泰因に加えて乾燥肌の素因の両方を持っている場合も多いのですが、乾燥肌による影響も非常に大きいのです。
皮膚は角質層でバリアされていますが、角質層がしっかり機能する為には充分な水分が必要です。
ところが角質層の保温を維持する皮脂やセラミド(角質細胞間脂質)が不足すると乾燥してしまいます。
アトピー性皮膚炎になりやすい人はこのセラミドが元々少ない傾向にあります。角質層がかさかさになると角質細胞間に隙間が出来たりしてバリアの機能が果たせなくなってしまいます。
皮脂はホルモンによる影響が大きいのですが、子供は性ホルモンが充分でない為どうしても乾燥しやすく、アトピー性皮膚炎になりやすいのはその為です。
又こうして弱った皮膚に汗が付いたり掻きむしったりすると症状は悪化する事になります。
子供のアトピー性皮膚炎ではアレルギー素因にしろ非アレルギー素因にしろこの皮膚のバリア機能を高める事が第一になります。
汗がいつまでも皮膚に残らない様に清潔にし、皮脂を補ったり保温薬で皮膚の保温を高める様にします。
運動不足の一方で子供のスポーツ障害も増えています。
外傷的なトラブルは勿論ですが、注意しなければならないのが内科的スポーツ障害です。
急性の内科的傷害では、まれではありますが心停止や動脈瘤破裂による突然死、運動誘発性気管支喘息、運動誘発性アナフィラキシー等は命に関わる物ですからメディカルチェックを怠らない様にすべきです。
一方熱中症は100%防止出来る障害ですから水分補給は絶対に欠かせません。
慢性障害では貧血、不整脈やスポーツ心臓、蛋白尿や血尿、慢性疲労、不眠症、生理不順等があります。
特に女子に多いのがスポーツ貧血で、ダイエットしながらの運動が二重に鉄分を不足させる事になります。
女子では生理の様子をきちんと把握しておかなければなりません。
一般に日本ではスポ根的なトレーニングが根強いと言えますが、子供のスポーツでは年齢によって最適運動を考える事、多数種の運動を行う事が原則です。
小児医学では小学生では技術的な事よりも基本動作作り、中学生で基礎体力作り、高校生になって初めて筋肉トレーニングや技術的練習をするペースが良いとされています。
早朝、夕方遅くまでのトレーニングは生活全体のレベルを落とす事も多く成長期の子どもにとっては要注意です。
オーバートレーニングになると不眠、食欲減退、体重減少、動悸、発熱、イライラ、不活発等が見られる様になります。
小学校高学年から思春期前後の子供の特に女児に多く見られるのが、頭痛、腹痛、立ち眩み、朝起きられ無い等の症状です。
血液等の検査をしても正常値で一般的な診察をしても原因がハッキリしません。
この様な症状はいわゆる不定愁訴ですから子供の自律神経機能失調症と診断されます。
自律神経機能失調は身体の様々な所に影響を与えますが、この時期に起こる物を起立性調節障害(OD)と呼び、一時的に脳の血液循環が悪くなる為に起こる物を指します。
朝の腹痛や起立中のめまい、冷や汗、脳貧血、頭痛、ひどい時には意識が無くなってしまう事もあります。
その原因は起立性低血圧と血管迷走性発作による物です。
いずれの場合も起立中に低血圧を生じさせますが、その原因は交感神経の活動が低下して、末梢の血管が拡張してしまう事によって起こります。
ただ、起立性低血圧の場合は起立直後に速やかに交感神経がアドレナリンを放出して血管を収縮させ血圧を維持する事が出来ない為におこります。
一方血管迷走性発作では、起立直後の交感神経活動は正常に作動するのですが、途中で突然その活動が停止してしまい血圧低下を引き起こします。
起立性調節障害は体質的に交感神経の機能が悪い子供が成り易く、性格的には内向的で引っ込み思案で、周囲に自分を合わせるいわゆる「おりこうさんタイプ」が成り易いと言われています。