- Blog記事一覧 -高血圧の記事一覧

高血圧の記事一覧

高血圧薬の効果

2021.06.10 | Category: 高血圧

高血圧症の改善の基本的なやり方は生活習慣の改善の為に食事療法や運動療法等を指導して、それでも下がらない時に薬物療法に切りかえる、となっています。しかし、実際は最初から薬物療法を始めるケースがかなりあります。1999年にはWHOと国際高血圧学会が、また2000年に日本でもそのガイドラインに習って、高血圧の基準がかなり低く設定(一般成人130/85㎜Hg)された事もあって、益々薬物療法が加速しています。薬をチェックする民間機関の医薬ビジランスによれば、新基準によって血圧降下剤を必要とする人が日本だけでも3000万人以上増えて、1兆円の薬剤費が必要になるといいます。もちろん、高血圧の改善は心臓疾患、脳卒中、腎臓病などの合併症を予防する為であり、薬物療法を否定するのではありません。ただ、これらの合併症は加齢、閉経、糖尿病、痛風、高コレステロール、高脂血症、家族歴等の他の危険因子も関係するので、血圧だけを下げたからといって、予防できるものではないのです。高血圧を改善すると確かに上記の疾患で死亡する人が少なくなる事は疫学的に証明されています。しかし、そこには数字の落とし穴があります。つまり、元々高血圧になるは臓器に血が足りなくなった為でもありますから、一種の生体システムの防衛反応であると考える事ができます。その状態を薬物で低くするということはある意味で循環を悪くすると言いかえる事もできるのです。特に高年齢者の場合には急激に血圧を下げたりすると、かえって脳や心臓への血流量が減り、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす危険性もあります。このようにむやみに降圧剤を使用する事は、結果的に他の疾患を増やす事が考えられます。新基準による高血圧投薬により、心筋梗塞等は減少しても全体の死亡数は変わらない、むしろ逆に増加すると警鐘をならす研究者もいるのです。

血圧の測り方

2021.05.23 | Category: 循環器,高血圧

血圧は変動して当たり前、ちょっとした事で20㎜Hgや30㎜Hgは変化します。

診察室で測ると高めに出る白衣性高血圧の事は大分知られてきましたが、軽症高血圧の2割位はそうだろうと見られています。

一度位の血圧測定で高い数値が出たからといってすぐに薬を飲み始める事は危険です。

WHOでも本来15分以上の安静座位の状態で血圧測定するのが望ましいとしていますが、実際の受診では無理でしょう。

そこで患者さん白身ができる工夫として、測定前に10回以上の深呼吸をする事です。

また腕で測定するときも衣服の上からで無い方が望ましいのですが、脱げない場合は薄い物の上からにしてマンシェットの中で衣類がゴロゴロしない様に気をつけます。

家庭でも一定の時間に正しく測り、季節の変化や午前、午後の違い、精神状態によってどう違うか等、自分の血圧の傾向を知っておく事も大切です。

家庭用の電子血圧計も様々な物が出ていますが、マンシェットを巻いて上腕で測る物が安定した値が出て最も正確です。

リスト型や指先型では測る部位が心臓から離れているので値の変動が大きいのです。

上腕で測る時は机に腕を置いたりして心臓の位置と近い状態で測ります

脈圧

2021.05.13 | Category: ,高血圧

上の血圧(収縮期の血圧)と下の血圧(拡張期の血圧)の差を脈圧といいます。

健康な人の血圧は上が100~130㎜Hg、下が60~80㎜Hgですから、脈圧は40~50㎜Hg位が望ましいという事になります。

一般には高血圧では上も下も上昇すると思われがちですが、高齢者では上ほど下が上がるわけではなく、むしろ下がりがちになります。

これは高齢になると動脈硬化が進むため、柔軟性がなくなる為だと考えられます。ですからどれ位の風圧がいいのかは年齢にもよるので一概にいえません。

ただし脈圧が大きくなるということはそれだけで心疾患の危険性が増す事は分かっています。

脈圧が60㎜Hgだとそれだけで心筋梗塞の危険性が高くなります。脈圧が極端に大きい時は大動脈閉鎖不全症や甲状腺機能亢進症も疑われます。

さて脈圧が小さい場合、下の血圧だけが高い場合は拡張期高血圧ですが、高血圧だった人が高い方の血圧だけ低くなって脈圧が下がった場合は心機能の低下が疑われます。

また上が170位もあって脈圧が小さいという事は下の血圧は130~140㎜Hgほどもあるという事になり、高血圧として危険域ですから腎臓の検査や眼底検査を行わなければなりません。

二次性高血圧

2021.05.11 | Category: 高血圧

高血圧症の95%は遺伝や肥満等、複数の要因が関与していて原因が特定できない本態性(一次性)高血圧と、原因となる病気が特定できる二次性高血圧があります。

高血圧全体からみれば二次性高血圧の頻度は低いのですが、原因さえ取り除けば高血圧が全快する事も多いので、きちんと改善する事が大切です。

二次性高血圧の中で最も多いのが腎性高血圧で、次いで腎血管性高血圧が多く、後は内分泌性、薬物誘発性が知られています。

腎性高血圧は主に腎炎(糸球体腎炎)と腎孟腎炎が原因で、腎炎は糸球体が炎症を起こし、尿を作り出す等の腎機能が低下してくる病気です。

急性腎炎は溶連菌感染症の後で起こる事が多く、慢性腎炎は尿検査で蛋白尿や血尿等で発見される事が多いのですが、血圧は最初は低く、進行するに従って上がっていきます。

腎孟腎炎でも腎機能低下が起きると血圧が上がります。

腎血管性高血圧が起きるのは、まずアテローム性の動脈硬化症があり、腎動脈の入り□付近が狭くなって腎血流量と糸球体濾過量が少なくなります。

すると強力な血管収縮作用を持つ腎ホルモンのレニンが傍糸球体から放出され、レニンは血管収縮因子のアンギオテンシンⅡ産生を増加させるのです。

アンギオテンシンⅡは全身の血管にも収縮作用を及ぼし、副腎に働きかけてアルドステロンの分泌を促すので、ナトリウム・チャンネルの生産が高まってナトリウムの再吸収が促進され、体内の塩分貯蔵量が増します。

またカリウムの排泄を促進するので、低カリウム血症になる結果、体液増加が起こり高血圧となるのです。

拡張期高血圧

2021.05.08 | Category: 高血圧

高血圧に合併する心筋梗塞や脳梗塞等の怖い循環器疾患はもっぱら収縮期の血圧を問題とする事が多いのですが、拡張期の血圧も90㎜Hg以上は高血圧です。

高血圧という場合は収縮期、拡張期とも上昇する事が多いのですが、まれに収縮期血圧はさほど高くないのに、拡張期の血圧だけが上がる事があります。

一口に血圧といっても、収縮期の血圧は血液の心拍出量に、拡張期血圧は血管の循環抵抗に関係しています。

したがって下の血圧だけが高くなるという事は、大きな動脈まではあまり変化していないものの、小動脈や細動脈の血管抵抗が増加しているという事で末梢血管の抵抗が高まっている、つまり血液の流れが滞っている状態だといえます。

血管そのものの状態に影響されるのはもちろんですが、細い毛細血管では、赤血球がくっ付いていたり、変形しにくくなって流れがスムーズでなくなっても、血管の循環抵抗が高まってしまいます。

拡張期の高血圧は若い人では腎性の高血圧等のように二次性高血圧の可能性もありますが、そうでない場合の多くは、肥満、運動不足、大量飲酒、喫煙等の影響が大きいとされています。

エアロビクス等、等張性運動の後等では拡張期の血圧が低下しますから、生活習慣の改善によって低下させる事ができやすい高血圧といえます。

高血圧の指標

2020.12.27 | Category: 高血圧

高血圧はあまりにありふれていて、年をとれば血圧が上がるのは自然現象だと思いがちですが、実際は生活の中で培われた生活習慣病だと言えます。

高血圧を放って置くと怖いのが脳卒中、心疾患、腎臓病等の合併症で、高血圧を改善すれば明らかにこれらのリスクを減らす事が出来る訳です。

ではどれ位が最適か?正常血圧高130未満低85未満 (理想は高120未満低80未満)WHO(世界保健機構)とISH(国際高血圧学会)によって発表された高血圧の新しいガイドラインによると、これまでの基準(正常血圧値:収縮期140以下・拡張期90)値よりも数値が厳しく設定きれています。

また高血圧と言ってもそのレベルを3段階に分けて重症度を分かりやすく設定しています。この基準によると日本での高血圧人口は約3000万人以上にもなります。

更に高血圧以外の危険因子と重症度を組み合わせる事で予後のリスクも見通し、方針を決めるという方向に来ているのです。

最大血圧と最小血圧

2020.12.27 | Category: 高血圧

最大血圧は心臓が収縮した時の最大値で、最小血圧は心臓が拡張した時の最小値の血圧を指します。

この血圧の値に影響を与える因子としては、心拍出量、循環血液量、末梢血管の抵抗、血液の粘性、太い動脈の弾性があります。

ところで、最大血圧の変動は収縮時の太い血管の弾力性と心臓の収縮力の強弱によって決定されます。

太い動脈は心臓が収縮した時弾性がある為拡張して、血液が一挙に細い末梢の血管に流れ込ま無い様にしています。

血管の弾性が弱くなったり、心拍出量が増えれば心臓の収縮時に最大血圧は当然高くなります。

また最小血圧は、この太い動脈にとめられていた血液が心臓が拡張する時に末梢に送られた時の血圧です。

その時、末梢の血管の内腔が狭くなり抵抗が高くなる時は最小血圧は高くなります。

最小血圧が高くなると言う事は、末梢の血管が締まったり、詰まってきたり、更に血液の粘性が高い等の動脈硬化が進行する因子が増大している事と言えます。

ですから、高血圧では最小血圧が高くなる事の方が恐い訳です。

一般に高血圧は最大も最小も共に高くなる事が多いのですが、70才を過ぎた高齢者は太い動脈の弾性が無くなる為、最大血圧が高くなり最小血圧は低くなる収縮期高血圧になる特徴があります。

ただ、アメリカの統計で、最大血圧だけ高い収縮期性高血圧でも心筋梗塞になりやすい事が分かったので、警戒する様になって来ました

高血圧と食塩

2020.12.26 | Category: 高血圧

血圧にとって食塩は絶対に減らした方が良いという意見と、余り関係が無いので神経質になる必要は無いという意見があります。

それは高血圧の人が食塩を減らした場合、確実に下がる人がいる一方で、下がら無い人がいるからです。そう言う違いが出るのは、人によって食塩の感受性が違っているからですが、その食塩感受性の違いをもたらす原因は腎臓にあるのです。

糸球体の濾過力が落ちたり、尿細管でのナトリウム再吸収が増えた場合、食塩感受性の高血圧になります。

糸球体の濾過力の低下は濾過面積や糸球体の数が減る等の異常であり、ナトリウムの再吸収が増えるのは糖尿病等で糖が尿細管で再吸収される場合に糖と一緒にナトリウムも再吸収されてしまう等です。

つまりは食塩の感受性は腎臓の機能低下によって高まった結果だと言える訳です。

食塩感受性が高い高血圧の場合は日内の血圧リズムのパターンも乱れ、血圧が夜でも低くなら無いという傾向があります。

また食塩感受性が高いと心血管系合併症、脳卒中共に起こす確率が高くなります。

また食塩の過剰は高血圧の合併症だけで無く、胃癌、骨粗粗症、白内障、気管支喘息等のリスクも高くしますからやはり減塩は必要なのです。

食塩感受性の高い人は食塩を抑える事で、血圧の日内リズムも正常に戻りやすくなります。

高齢者の血圧

2020.12.25 | Category: 高血圧

以前は高齢者の高血圧はあまり下げようとしなくて良いという考え方でしたが、今日では高齢者も下げた方がよいとされています。

つまり高血圧は加齢による自然現象では無く、病的な状態であり、高齢者でも改善した方が脳や心臓血管合併症、特に脳卒中等の予防効果があると言う事が分かったのです。

ただし高齢者の高血圧の場合、特有の特徴があるので、その点を認識して置く必要があります。高齢者の多くは動脈硬化が進んでいるので、末梢血管の抵抗が上昇の傾向にあります。

その為拡張期の血圧は変わらないか、かえって低くなるのに収縮期血圧だけが高くなる収縮期高血圧(140mmHg以上、90mmHg未満)となりやすいのです。

また血圧調節機能そのものが低下しているため血圧が変勤しやすくなっています。

普通夜間には下がる血圧が下がらなかったり、下がり過ぎたりして、脳卒中に結び付く事もあるので要注意です。

起立性の低血圧や食後低血圧も起こしやすくなっています。また白衣性高血圧も多いので一度だけの計測で判断することは避けます。

ただし血圧を下げるとはいっても、高齢者の場合は極ゆっくりと下げなければなりません。

また食事療法や運動療法が大切なのは高齢者も同じですが、余り厳格になり過ぎて楽しみを無くす様では逆効果でしょう。

高齢者の血圧コントロールが薬中心になるのはある程度やむを得ないかもしれません。

入浴に注意

2020.12.24 | Category: 高血圧

厚生労働省の人口動態統計のデータによれば、入浴死の85%は虚血性心疾患、脳梗塞、脳出血が原因です。入浴行動から血圧の変動を調べると、脱衣後に血圧は急上昇、その後浴槽内で急陣下して、着衣後にやや上昇しその後安定します。

ですから、脱衣後の血圧の急上昇による脳出血と、浴槽に漬かって血管が広がり血圧が下がって起こる虚血性心疾患、脳梗塞が多いのです。

その落差が大きいほど危険な訳で、冬の様な寒い時は脱衣所は暖める工夫をする事も大切です。ここで都市生活研究所の賢い入浴法があるので紹介します。

1.一番風呂は避ける事。さら湯には酸素が大量に含まれているので、肌への刺激が強い事や、二番目以降では既に浴室の温度が高くなっている為体への負担が軽くて済みます。

2.シャワー給湯を利用する事。なるべく高い位置からシャワー給湯すると水蒸気が浴室に広がる事で浴室の温度が上がります。

実験によると15分で10度室温が上がるそうです。3.38~40度のぬるめのお湯に半身浴で入る。首まで長時間使っていると、血液の粘度を上昇させ、血管内に血栓を生じやすくさせます。

また水圧を緩和して心臓への負担を減らす為にもヘソ位までの入浴が良いのです。最後に入浴後は充分な水分を補給する事です。

脱水の為に血液粘度が増しているので、睡眠中の脳梗塞や心筋梗塞を予防する為です。

当院のスケジュール