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感情の記事一覧

死語?テクノストレス

2021.06.12 | Category: 感情

「ストレス」という言葉は元々は物理学用語で、物体が刺激(ストレッサー)を受けた時の内部の歪み(ストレス)の事を指します。

この言葉はストレス学説のセリエが身体に対する刺激と反応による変化を表現してから、身体や精神に対してしばしば用いる様になりました。

人間に加わるストレスの種類としては、生理学的ストレス(空腹感等)、物理的ストレス(暑い寒い)、社会心理的ストレス(人間関係)の三つあると言えます。

この様なストレスの中で、現代社会で特異に現れてきたのがテクノストレスです。

このテクノストレスという言葉は1984年に米国の臨床心理学者のクレイグ・ブロードが提唱したものです。

コンピュータ関連という事でテクノという言葉を使っていますが、この言葉自体は今日では古臭い感じが否めません。

しかし、言葉は古くてもこのテクノストレスが解消されたわけでは無く更に悪化してきています。

このテクノストレスにはテクノ不安症と依存症があります。

テクノ不安症の初期には眼精疲労、頭痛、首肩のコリが現れます。

そして、第二段階は身体症状では心血管系(動悸、めまい)や消化器系(食欲低下、胃痛)等が現れ、更に不安感やいらいら感が認められます。

それら症状が進行する第三段階になると、日常生活全般にわたって意欲が減退して、『抑うつ感』も目立つ様になり、人によっては会社を無断欠勤するまでに至ります。特に機械の操作に弱いタイプの人がこの様な不適合を起しやすいのです。

またテクノ依存症では文字通り生活の中心がコンピュータになり、完全にのめりこんだ状態になります。

どちらかと言うと対人関係の苦手な人が陥り易い傾向があります。

これも最終的には抑うつ的な状態になります。

ですから、余りにコンピュータ社会が進んでしまった現在、遂にこのテクノストレスという概念は華やかなコンピュータの情報戦略のなかで隠ぺいされてしまった様に見受けられます。

心とは

2019.11.18 | Category: 感情

心とは何でしょう、喜怒哀楽常に我々の感情は一定ではなく変化に富んでいます。一般に第三者に対して悪い影響を与える行為に対してそれを抑制する事に理性が働くと言われたりもしますが定義自体が曖昧で心をどう考えるかも定義が様々です。人はなぜ「キレ」たり暴力を振るうのでしょうか?人類の進化の過程でも残り続けているのは怒りです。どんなに高学歴やIQが高いからといって知的判断能力で抑制出来るものではなく激しく怒り恫喝する事もあります。人類は猿人から進化して行く過程で厳しい生活環境がありました。古代猿人の種族は1種類ではなく数種とされています。その中で強く気性の激しい種族は生き残り種の伝達が始まり文明が始まっても石器時代の矢じりでもただ先を細く鋭くするだけでは無くより殺傷能力の高い様に切れ込みを入れる等の細工をしていたそうです。弱い種は他の部族に滅亡されて行ったと推測され弱肉強食その末裔が我々です。その為誰もがその様な部分を持っているとする説もあります。

気分変調障害

2019.11.17 | Category: 感情

94年に改版された米国の精神障害の診断・統計マニュアルのDSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)でそれまで診断名に使われた抑うつ神経症や神経症性うつ病は「気分変調性障害」に吸収されています。この気分変調性障害は、抑うっ状態になり感情レベルでは悲嘆、憂鬱、空虚惑、不安、絶望、自殺願望等が出てきます。この診断基準は、2年以上の慢牲的な抑うつ気分と6頭目の症状のうち2つ以上が条件です。[食欲減退又は過食・不眠又は過睡眠  ・気力低下又は疲労  ・自尊心の位下  ,集中力低下又は決断困難  ・絶望感] この気分変調性障害の原因としては遺伝因子、養育環境、性格因子等があります。それらが複合的に重なっているケースがほとんどです。この気分変調性障害の発症は20歳を境にして早発と遅発とある様に若い時期に起こります。早い例では児童期や思春期にも起こるのです。アダルトチャイルドの様に家族にアルコール症か人格障害が見られ、成長過程に離婚や死別等の両親と離別体験が多いのも特徴です。また悲観的な見方や容貌等のコンプレックスや低い自己評価や感情を抑圧する様な性格的な傾向も見られます。社会的な関係も希薄になり、核家族になり少子化という傾向が続く限り子供が最も影響を受けるのは親です。

感情表出と内臓

2019.11.16 | Category: 感情

感情が最も表れるのが顔です。そこで顔の表情を図案化したフェイススケールを使ってうつ病の進行状況や慢性関節リウマチの患者の痛みや精神的な気分の判定、小児科領域では子供の痛みの程度を判断しています。顔は感情が表に出た正に「表情」である訳ですが、しかしなぜ人は顔の表情に感情の差異を感じるのでしょうか。感情の脳の中枢は辺縁系が中心ですが、動物の脳ではこの辺縁系が多くの部分を占めています。この辺縁系は内臓脳と言っている学者もいる様に内蔵系の知覚と深く結ぴついています。更にさかのぼれば、太古の生物は体壁と内臓が一体となって辺縁系が支配していました。ヒトの表情筋は元々腸管系の鰓腸(さいちよう)branchial intestineであり内臓が脱口して顔を作り上げ進化して来たのです。その表情の差異を見分ける事で相手の腹の内の様々なシグナルを見極める事が生命活動に絶対に必要だったのです。それを逆手にとって表情を作り変えシグナルを誇張する技術が化粧です。また、無表情やマスクが不気味に感じるのも、相手の腹の内が読み取れない為に本能的な不安を感じてしまうからです。

怒り

2019.11.15 | Category: 感情

強い怒りは冷静な判断を失わせ、暴力に向かわせるなど喜ばしい感情ではありません。しかしこの怒りも、実は動物が環境に適応する為の必要な情報処理と言えます。自己が他者から脅かされたりした時、冷静に状況判断等している余裕はありません。頭を巡らせてアレコレ戦術を巡らす手間をかけたりせずに、とっさに行動を起こす事が必要です。つまりある危機を回避する為には自動的に行動に移す事が必要で、その様な場合を情報処理のシステムとして怒りという感情を利用すると言えます。怒りの感情に囚われると体は興奮状態になって、血圧が上がり心拍や呼吸が増えます。つまり自動的に戦闘スタンバイの状態になれる訳です。ある刺激からある行動への自動処理は自転車に乗るのと同じで、慣れればペダルやハンドルを意識しなくても自動的に身体が動いてく処理は認識の省エネとも言えるでしょう。一連の行動の引き金に怒りを利用しているのだと考える事が出来るのです。ただ、この処理の仕方は速やかに行われる代わりに、一旦始まると途中で修正したり、中止するという事は難しいので、野生の生活の中では必須であったシステムも、社会生活の中では理不尽な感情として制御しなければならなくなっている訳です。

肝臓が心を動かす

2019.11.13 | Category: 感情

心の動きは脳で決められていると考えられていましたが、最近、肝臓が心の動きに影響を及ぼしている事が分かってきました。そのきっかけになったのが、肝臓移植で、移植を受けた患者さんは自分が自分でないという感覚を持つというのです。そこで出てきた説が、体液が性格に関係していると言う事です。ギリシャ時代の医学の考えでは性格、精神、健康などは、身体を構成している体液によって決まると考えられていました。この体液には血液、粘液、黄色胆汁、黒色胆汁の四種からなり、病気はこの四種の割合の不調和から起きると考えられていました。更に性格もこの体液の割合で決まり、血液の多い人は元気が良く、粘液質の人はコツコツ物事をやる人、黄色胆汁の人は怒りっぽく、黒色胆汁の人は陰気だと考えられていました。この体液を作っているのが肝臓です。また、脳内の物質の元になる物質も生成されています。例えばセロトニンの材料はトリプトファンというアミノ酸ですが、これは肝臓で蛋白質が分解されて作られます。このトリプトファンは不眠症やうつ病の薬として外国で販売されています。また性ホルモンの元になるDHEAは肝臓で分解され、脳内での意識、性欲、睡眠などに大きく影響します。肝臓が心を動かす物質を作っているのです。

多動症(注意欠損多動障害)

2019.11.12 | Category: 感情

今、小・中学校では「学級崩壊」が問題になっていますが、そうならないまでも1学級に必ず1~2人の落ち着かない子供がいます。先生の話に集中出来ない、忘れ物が多い。飽きっぽい、すぐカッとなる、軽率な行動を取る、等が挙げられます。こうした行動の原因は、家庭の躾や愛情不足のせいだと考えがちですが、これは脳の微細な働きの障害に基づく、れっきとした(注意失陥多動症)という”障害”なのです。多動症は発達障害の中でも極めて発症頻度が高く、全児童の3~6%に存在し、男女比率も3~6:1と男児に多いのです。主要症状は、多動、注意障害、興奮性、衝動性です。こうした子供は何をするにも失敗しやすいので、よく叱られてばかりいますが表面的にはしょげたりしないので、周囲の人はその子が内心は深く傷つき劣等感が強いと言う事に気が付きません。次第に学校社会から脱落し非行に走りやすく、非行少年の多くが多動症児である事は一般には余り知られてはいません。多動症の原因はまだ解明されていませんが、遺伝は重要な因子で、他にもアレルギ一体質や食品添加物等が挙げられています。改善方法は薬物療法、心理療法等が柱となります。薬物にはリタリンという中在刺激剤が有効で、抑制系ニューロンを賦活させます。副作用を心配する声もありますが、児童精神医学の先進国であるアメリカでは既に常識になっています。薬を飲まないで放って置くと問題がより深刻になるケースが多くなります。

アレキシサイミア

2019.11.11 | Category: 感情

感情が心身に影響を与えていると言う事は普段の生活で誰でも感じてます。この、感情と心身の疾患との関係を明らかにする基本的な概念がアレキシサイミアで、I970年前半にハーバード大学医学部精神科教授のピーター・シフニオスが提唱しました。最初は心身症の患者の臨床的な観察から発展していき、心身症の因子として内的葛藤より、むしろ感情あるいは情動の認知的処理における障害である事を示唆する報告がなされました。そこから発展して現在アレキシサイミア構成概念は下記のように定義されています。

①感情を認識し、感情と情動喚起に伴う身体感覚を区別する事の困難
②他者の感情について語る事の困難
③空想の乏しさに明らかな、限られた想像過程
④刺激に規定された外面性思考の認知様式

とあります。現在までの臨床研究でも、感情の障害は心身症だけでなく身体表現牲障害、薬物依存、PTSD(心的外傷ストレス障害)、過食拒食症や様々な精神疾患、更に癌や心疾患などの身体疾患との関連も報告されています。まだまだ、学問的には研究途上ですが、感情制御や調整の障害という観点から心と体の疾患を捉える考え方は、現代社会が抱える問題である衝動的な行動や犯罪にも新たな視点が提供される可能性があります。

高齢者の感情

2019.11.08 | Category: 感情

高齢になると多かれ少なかれ若い頃とは違った感情を生きる事になります。頑固や、わがままは老化の一つと見なされたりしますが、脳梗塞などの脳血管障害によって人格に変化か起こる場合も多いのです。ハッキリした発症が自覚されなかったり知能に影響がみられない場合などは、脳血管障害が起こったとは気づかれないでしょう。こういう場合、ケチな人がよりケチに、怒りっぽかった人はカンシャク持ちに、キチンとしていた人は回りくどくなったり、涙もろくなったりします。これは脳のダメージによって感情を抑制するカが衰えて、それまでの性格がより極端に現れるようになった為と考えられます。男性の場合などは性欲が亢進した様に感じられる事もあります。また鬱病も多くなります。脳血管障害を起こした後の1年関に鬱病と診断きれた患者は、一般の鬱病の率よりも遥かに高い(30~65%)事も分かっています。つまり高齢者の性格の変化の裏には脳の気質的変化による物も多いと考えられるのです。また人格に変化をもたらすのはパーキンソン病や内分泌の異常等がありますから、性格の変化を単なる老化として見過ごさないように。

高齢者の感情を作る物質

2019.11.07 | Category: 感情

意欲は視床下郎が、感情は大脳辺縁系が、知能は前頭葉と側頭葉が担い、これらの働きが協調し合って人間らしい感情を生み出しています。そしてそれらを刺激するのが神経伝達物質で、主なものはドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなどです。脳幹のA系列から出ているA10神経はドーパミンを分泌するのですが、このA10神経は脳幹から視床下部、大脳辺縁系、前頭連合野と側頭葉へと伸びる精神系だけを通っている特異な神経です。ドーパミンは快感を強くもたらす物質で、これら通り道の脳の各部に快の刺激を与えながら人間らしい情動を作っている訳です。ドーパミンが分泌きれると、心地良くくつろいだ様な気分の快感を生じますが、強いエクスタシー的な快感ではありません。その為、人間ではやる気の源にもなっています。ノルアドレナリンはこのドーパミンを酵素によってちっと変えるだけで作られるものですが、怒りのホルモンとも言われる様に怒っている時に多量に分泌されます。またセロトニンは最近になって情動に関しているらしい事が分かってきた物質で、B系列の神経から分泌され、A系列で生じた快の気分や怒りを鎮まらせる働きをしています。これらの神経伝達物質がうまく分泌されなかったり、分泌されても上手く取り込まれなかったり、処理されない場合に感情障害をもたらすのです。精神分裂病にはドーパミンが、セロトニンは鬱病と関係している事も分かっています。

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