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眼の記事一覧
眼球の角膜や水晶体・硝子体には光の透過性を保つ為に血管がなく、これらは毛様体動脈から浸出するリンパ液からなる眼房水によってのみ栄養されています。
眼房水は毛様体で少しずつ作られ、その分少しずつ排出されて常に眼圧は10~20㎜Hgに保たれています。毛細血管圧と連動はしているものの高血圧者の眼圧でも決して高くはなりません。
眼房水の出口管がなんらかの理由で閉塞したり細くなって流入と流出のバランスが崩れると眼圧が徐々に高くなってきます。
25㎜Hg を越えると、強い眼圧で押されて視神経が障害を起こし、瞳孔が広がって物を見る時に焦点が合わ無くなり、激しい眼の痛みや頭痛・吐き気を伴う緑内障発作を起こします。
一刻を争うのは、結膜の充血・浮腫や角膜の浮腫・混濁があり対光反射が消失している場合で、失明の危険がある為深夜でも眼科的応急処置が必要です。
緑内障は中高年期以降に起こる事が多く、加齢は緑内障の大きな原因と考えられ、神経質な女性に多く発症します。
心身の疲労や睡眠不足等が誘因となり、最初は片方の眼だけですが時間が経つと両方に症状が現れてきます。
緑内障かどうか簡単に眼圧を調べるには、患者さんに閉瞼してもらって上眼瞼の上から両手の人差し指で左右の眼球を交互に圧迫し、指先に感じる波動の状態を感じる方法があります。
緑内障があれば硬く、石ころを触っている様にカチカチに感じる事が多い様です。
大人になってから失明する原因の第1位は糖尿病性の網膜症で、2位が緑内障です。
緑内障は視神経が侵されて視野狭窄が起こり、最後には失明する危険性の高い病気です。40歳以上の30人に1人が発症、患者数は250万人とも言われるほどポピュラーな病気なのに、実際に診療を受けているのは50万人に過ぎません。
と言うのも、発症しても気が付かず、自覚症状が現れた頃にはかなり進行している事が多いのです。
しかも緑内障というのは原因や病型に色々なパターンがあって、ひとくくりにできません。
緑内障が起こるのは眼球の房水の流れが悪くなって眼圧が上がるために視神経が障害されるからで、眼圧が高いという事が一つの目安でした。
しかし日本人の緑内障では眼圧が高くならない「正常眼圧緑内障」が6割を占める為、なかなか気が付かれないのです。
視神経がいったん障害されて起こった視野狭窄はもう元には戻りません。
ですから進行させない為にもとにかく早期発見、早期対応が何より必要なのです。
眼科での検査では眼圧だけでなく、視神経の状態も検査してもらう事が大切です。
武蔵野美術大学の色彩心理学者の千々岩秀彰教授の調査によると世界共通の好まれる色は圧倒的に「青」で、次に赤と緑だといいます。
人間の眼には赤・緑・青に感じる視細胞が備わっているので、この3色に敏感なのは当然でしょう。
しかし個々の色に対するイメージは民族によって違いがあって、「幸福」のイメージ色は日本やアジアではピンク、欧米では黄色だそうです。
「家庭」のイメージも日本やアジアではピンクですが、他の国では青だそうです。
アジアでは家庭や幸福に母性的なイメージ、欧米では父性的なイメージがあると分析しています。
ところで、色には暖色と寒色がありますが、心理的な両者の温度差は約3度という実験結果があります。
また、色と時間との関係で、暖色は時間の流れを遅く感じさせ、寒色は時間の流れを速く感じさせるという報告があり、その差は1時間あたり20分もあったといいます。
つまり、暖色の室内では1時間を80分位に感じ、寒色の室内では1時間なのに40分位に感じるそうです。
ということは、施術者は男性も女性も青色とピンクで服をコーディネイトして、院内全体を暖色系にすると患者さんは時間的にはたっぷり施術をしてもらったと感じ、幸福なアットホームな気分になれるかもしれませんね。
糖尿病で高血糖状態が長く続くと毛細血管が障害されて、三大合併症といわれる網膜症、腎症、神経障害が起こります。
これらの合併症の中の網膜症で毎年3000人が失明しています。網膜にある毛細血管は内側の内皮細胞とそれに対になって外側に周皮細胞があります。
それぞれ細網線維の基底膜によって取り巻かれています。この周皮細胞が収縮と拡張を繰り返す事で毛細血管の中を流れる血流量は調節されています。
そして、この血管内を流れる血液成分は内皮細胞間の間隙を通って網膜には運ばれます。
しかし、むやみに透過しては神経細胞にとっては有害な物も出てしまいますので、内皮細胞間にはよく発達した接着装置があって血液成分の透過を厳しく制限しているのです。
脳に脳関門があるように、これを血液一網膜関門と呼んでいます。ところが、高血糖が続くとこの血液一網膜関門に機能異常が起こってくるのです。
そして、血管透過性の亢進、周皮細胞の脱落、基底膜の肥厚、毛細血管瘤の形成等が起こってしまうのです。
初期症状としては、毛細血管がもろくなる為に瘤や出血が出現します。しかし網膜の中心部が侵されない限り視力は低下せず、きちんと血糖をコントロールすれば、改善も期待できます。
少し進行すると「増殖前網膜症」といい、前記の症状以外に血管がつまって網膜に無血管領域が出現するために綿花状の白斑や網膜のむくみが現れます。
この時期でもある程度進行を食い止める事ができるレーザー光線照射(網膜光凝固法)があります。
しかし、これを過ぎると「増殖網膜症」といい、脆弱な新生血管がどんどん網膜に出現します。
この時期でもまだ視力が良い事も多いのですが、突然新生血管が破れて硝子体出血や眼底出血を起こし、見えなくなったり、網膜剥離を起こしたりします。
この段階になると改善が難しくなり、失明の可能性が高くなるのです。
上の血圧(収縮期の血圧)と下の血圧(拡張期の血圧)の差を脈圧といいます。
健康な人の血圧は上が100~130㎜Hg、下が60~80㎜Hgですから、脈圧は40~50㎜Hg位が望ましいという事になります。
一般には高血圧では上も下も上昇すると思われがちですが、高齢者では上ほど下が上がるわけではなく、むしろ下がりがちになります。
これは高齢になると動脈硬化が進むため、柔軟性がなくなる為だと考えられます。ですからどれ位の風圧がいいのかは年齢にもよるので一概にいえません。
ただし脈圧が大きくなるということはそれだけで心疾患の危険性が増す事は分かっています。
脈圧が60㎜Hgだとそれだけで心筋梗塞の危険性が高くなります。脈圧が極端に大きい時は大動脈閉鎖不全症や甲状腺機能亢進症も疑われます。
さて脈圧が小さい場合、下の血圧だけが高い場合は拡張期高血圧ですが、高血圧だった人が高い方の血圧だけ低くなって脈圧が下がった場合は心機能の低下が疑われます。
また上が170位もあって脈圧が小さいという事は下の血圧は130~140㎜Hgほどもあるという事になり、高血圧として危険域ですから腎臓の検査や眼底検査を行わなければなりません。
涙は睡眠中には出ていませんが。目覚めている間は絶えず涙腺から分泌されています。
その割には汗や唾液や消化液などの分泌液と比べてその量は極燎に少ないのです。
1日16時間起きているとしても僅か1mlより少し多い位の量で、1年でもたった缶ビールー本程度にしかなりません。
これには感情の高ぶりや刺激物を摂った時等に出て来る涙の量は入っていません。
いわゆる悲しくなって「泣く」時は副交感神経の興奮によってドッと溢れてきますし、わさび等の刺激物で鼻の奥がツーンした時は反射的に涙が出て来ます。
涙腺は目尻の上方近くにある主涙腺と目の周りに散在している数多くの小さな副涙腺がありますが、全体の90%は主涙腺から出ています。
この涙の役割は目の表面に必要な酸素や栄養分やビタミンや成長因子を補給したり、角膜や結膜を絶えず潤す事で細菌感染を防ぎ、異物を除去しているのです。
最近、目の使い過ぎでドライアイになる人が増加して人工涙液が市販されていますが、成分的には完全なものではありません。
しかし医療用では既に血清を用いた涙液で劇的な改善が確認されていますので、いずれ細胞成長因子等の必要成分を含んだ人工涙液が開発されるでしょう。
人工涙液は目を酷使する時代が産んだ副産物と言えます。
不安や恐れ、怒りなどの感情の変化は相手の目をみる事で本能的に察知する事ができます。
犬嫌いの人が犬に吠えられやすいのも、目に恐れや不安が出る為に、犬に威嚇されると言います。
ところで、目だけでなくまばたき(瞬目)の回数が心理状態を反映しているという研究があります。
例えば、ストレスを強く感じている時は、まばたきは多発する傾向があります。このまばたきの回数が多ければ、それを見た人に神経質な印象を与えてしまいます。
1988年の米国大統領選挙前のテレビ討論で、互角の戦いをしていたデュカキスとブッシュの瞬目率を比較した心理学者トエッツがブッシュ有利の予想を新聞に書きました。
その予想は当たっのですが、ブッシュの方が瞬目率が低く落ち着いたイメージを与え、デュカキスは神経質で不安なイメージを有権者に与えた事が勝敗の分かれ目だと分析したのです。
また、トエッツは感情(快、不快)と注意の方向(外的一内的)の2要因が瞬目率に作用すると言う仮説を提唱しています。
それによると快感情と外的注意が瞬目を減少させ、不快感情と内的注意は瞬目率を増加させるとしています。
患者さんの瞬目で改善法に対する効果も分かるといえます。ちなみに、通常のまばたきは、日本人では、リラックスしてぼんやり正面を向いている時は1分間に平均20回です。
身体の各所が老化して行くのと同じく、眼も歳を取ります。
眼は近くを見ようとすると輪状の毛様体が緊張して輪が小さくなり、それに繋がるチン小体が緩んだ結果、水晶体が自らの弾力で膨らみ、それにより近くの物にも焦点が合います。
それが老化すると水晶体が徐々に硬くなり、弾力を失って膨らま無くなります。
水晶体が最大に膨らんだ時、ピントが合う一香近い点を近点といい、これは10歳の時8cm位で、20歳で10cm、30歳で14cm、40歳で20cmと遠ざかり、50歳前後から一挙に50cmに遠ざかってしまいます。
この近点より近くの物にはピントが合わなくなり老眼鏡の使用になります。
水晶体が膨らまない分、凸レンズで補えば良いのです。
近視だった人が老眼になった時は、本を読む時に近視用眼鏡を外さないと良く見えません。
しかし良く見えた人や遠視だった人が老眼になった場合は、遠くの物を見る時には何も掛け無くても良いのに近くの物を見る時には老眼鏡が必要になります。
40代になって、新聞や本を読んだ後に眼が疲れると感じたなら、眼の老化が進んで来たというサインです。
加齢により身体は小さく縮んできますが、肝臓など他の臓器と比べれば脳の萎縮の割合は大きいものでは有りません。
とは言え、加齢に伴って神経細胞は脱落して脳は縮んで来ます。
高齢になると確実に増えるアルツハイマー病の脳は脳の萎縮、脳への老人斑の沈着、神経原線継の変化が特徴ですが、それらは痴呆の無い老人の脳にも認められる物です。
では病気とは違う脳の生理的老化とはどの様な物なのでしょう。
一言でいえば生理的な脳の老化はバランスを保っていると言う事です。
例えばパーキンソン病では黒質と呼ばれる部分の色素を持った神経が異常に脱落していって、色素を持たない神経とのバランスを壊して行きます。
さて、大脳皮質は脳の中でも萎縮度が大きい場所で、神経細胞が20代の半分になってしまう部分もあります。
この大脳皮質は6層になって一つの単位を作っていますが、生理的な老化の場合、全体に萎縮していてもこの6層が保たれているのに対して痴呆の場合には例えば第2層と3層の神経細胞だけが崩れてしまう等、バランスが壊れてしまうのです。
つまり、脳が萎縮するにしてもあくまでも全体のバランスは保たれているのが正常な脳の老化と言えます。
また、脳と言っても大きく大脳・小脳・脳幹とありますが、老化に伴う萎緯度は違います。
大脳の萎縮度が一番大きく、脳幹と小脳は大脳ほどではありません。生命維持に必要な部分、つまり原始的な部分は萎縮が少ないのです。
糖尿病性網膜症は、後天性失明の原因の第一位で、年間3000人もの人が失明しています。
糖尿病歴10年で50%が網膜症を合併すると言われていますが、最初は自覚症状が殆ど無い単純網膜症で、血糖値が正常化すれば症状が消える可能性があります。
まず糖尿病によって網膜の毛細血管に瘤が出来たり、小さい出血や侵出斑が出来たりします(単純網膜症)。
しかし、この時期を過ぎて、循環障害で酸素不足になった網膜の上に、酸素を補うために新たに血管が伸びて来る「増殖期」になると悪化はいっきにスピードアップして網膜剥離を起して失明してしまうのです。
この増殖期になる前なら、しっかりした血糖のコントロールによって改善させたり、進行を止めたりする事も可能です。
また、光凝固法という、レーザーで酸欠になった神経の一部を焼いて新生血管が出て来るのを予防する方法も可能です。
自覚症状が無いだけに、いっきに失明もあるので、糖尿病になったら、必ず定期的に眼科の検診を受けて網膜症の早期発見を心掛けなければなりません。