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眼 - Part 2の記事一覧
涙が無ければまばたきがしにくいだけで無く、瞼と眼球が擦れて目玉は傷だらけになるでしょう。
けれども涙の働きは単に潤滑油というだけには止まりません。まずは眼球のライフラインとしての働きがあります。
角結膜には血管がありませんから、栄養や酸素の供給を血液に頼る分けにはいかないので、涙を使って供給しているのです。
しかもその様な養分だけで無く、角膜の上皮を形成したり増殖したりする為の因子をも供給しています。
更にIgAやラクトフェリン、リゾチーム等の成分を含み、外部から侵入した細菌やウイルスなどに対して殺菌作用を発揮します。
そして下水道的な役割として、角結膜の上皮が代謝した老廃物や、大気汚染の成分やバコの煙、花粉などのアレルゲンを洗い流してもくれるのです。
また目は常に紫外線に晒されているので活性酸素の発生を免れませんが、それにしても涙にSOD(スーパーオキサイドディムスターゼ)を含む事によって無毒化する働きを準備しています。
勿論こうしたメンテナンスの働きに止まりません。滑らかに見える角結膜の表面も、実は微絨毛の為凸凹しているのですが、涙はこの凸凹をならして滑らかにする事で、〝見る″機能そのものも支えているのです。正に涙が目の健康を作っているのです。
眼圧と血圧は、どちらも圧が高くなると眼の疾患になります。
血圧が高くなれば眼底出血になり易い、眼圧が高くなれば緑内障が心配です。
血圧が高いと、頭や眼の奥が圧迫を受けたように感じて鈍痛が出てきます。この症状は慢性緑内障の初期症状に大変よく似ています。
そこで患者さんの中には、眼圧と血圧を同一視したり、取り違えてしまう事もある様ですが、眼圧と血圧は直接的な関係はありません。
高血圧があれば眼圧が上がる分けでは無いし、眼圧が高くても、血圧は正常な場合が多いのです。ところでこの眼圧は眼球の硬さを測定した値です。
眼圧は眼球の形を正常に保ち、歪んだりせずによく見える為にある程度の硬さが必要です。その為に房水という液が眼球の中を流れて眼球の外の血管に出ていきます。
その時出と入りの房水の量は常に一定に保たれていて、適度な眼圧になるのです。房水は血液と似た成分ですが、赤血球は無く、蛋白質が少なくてビタミンCが多い透明の液体です。
正常な眼圧は10~20ミリ水銀柱ですが、僅かですが日内変動があります。緑内障の中では、稀に眼圧が正常の人もいる様です。眼圧が30ミリ水銀柱を超えると大変危険な数値といえます。
日本での失明のトップは糖尿病網膜症ですが、二番目に多いのが緑内症です。その緑内症の症状の特徴は眼圧上昇、視野狭窄、視神経障害で、それが診断基準にもなっています。ところが眼圧が高くならないのに視野狭窄や視神経障害が出てくる緑内障が結構多いのです。これまでも眼圧が高くならない緑内症があることは知られていたのですが、1989 年の調査によると眼圧が高くなら無い緑内症は高くなる緑内症の約3倍という数字が出て緑内症の考え方に影響を与えました。これまでの緑内症の考え方では眼圧が高くなって、それが視神経を侵すと考えられていて、高くなった眼圧を低くすることが医療の目的となっていました。普通正常眼圧は11~21mmHgですが、この眼圧が誰にとっても安全とはいえないわけで、眼圧が高い事を診断の判定にしていると初期の発見が遅れる可能性が出て来るのです。正常眼圧緑内症の原因としては、視神経への血流量の低下が大きいと考えられ、多くは循環障害を伴っている場合が多い様です。高血圧も小皿管の血流に障害が出ますし、低血圧でも十分な血液が眼に行かないので要注意です。40歳以上の約30人に1 人が緑内症を持ち、そのうちの8割が医療を受けていないと推定ざれています。40歳以上になったら健康診断で眼圧と共に眼底の検査を受ける事が大事です。身内に緑内症がある人、糖尿病、強度の近視・ステロイドホルモンを使っている人は特に定期的な検査を受けるべきです。