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食欲を抑え脂肪を減らすホルモンに「レプチン」があります。このホルモンは、肥満マウスの脂肪組織だけに発現する遺伝子が作る蛋白質で、米国のロックフェラ一大学が発見しました。肥満動物や高カロリ一食を与えて肥満させたマウスでは太るにつれてレプチンの量が増え、脳の視床下部にある満腹中枢に働いて満腹感を感じさせ、食欲を抑制!して食物摂取を抑えるのです。食欲の調節は今まで血糖値でされる事は良く知られていましたが、脂肪組織も調節している事が分かったのです。人の血液中にもレプチンが微量にあり、肥満すると上昇します。そこで逓伝子組み換え技術で、人間のレプチンを作り、米国で臨床試験が行われたのです。肥満体の何人に毎日注射と必要カロリーより500キロカロリー減らす食事療法を6ケ月行ったところ、偽薬を注射したグループは平均減量0.7㎏だったのに、最も多量にレプチンを投与した8人のグループは平均減量7㎏と効果があつたのです。肥満すればこのレプチンは分泌される分けですが、それでも太る人はレプチンの感受性が弱いか、美味しい物を見たらリプチンの働き以上の食欲ホルモンが出るのでしょう。
以前「ミッシング,ベビー・ボーイズ」という論文が米国の医師会誌に掲載されました。。世界資源研究所のデプラ・デービス博士は、「先進各国で男女の出生比率が変化しつつある」と報告でした。音通、出生比率は女の子Ⅰ人に肘し男の子1.06人と男児の方が僅かに多いのですが、これは男児の方が成長するまでの死亡率が高い為と説明されています。ところが76年にイタリアで起きたセベソの化学工場爆発事故でダイオキシンが高濃度に飛散した地域では女児の出生が男児の2倍近くになっていると96に報告されました。それに興味を抱いた博士が各国の統計を調べてみると、70~90の20年間に米国で0.1%カナダで0.22%、過去40年の年の統計があるデンマークが0.2%、オランダが0.3%、ドイツや北欧諸国でも同様に男児の出生率が低下していたのです。米国では約3万8千人の男の子が生まれ無かった事になります。この原因不明の問題の背後には内分泌かく乱化学物質があるとの見方を博士は強めていますが、実捺には男の赤ん坊の減少と化学物質の関係が明らかになっている分けではありません。子供の異変については他にも、米国で多くの7~9歳の女児が異常な早熟化を示すなど報告があります。
米国のアームストロングが7連覇したツール・ド・フランスのタイトル剥奪や自転車競技からの永久追放処分の事件が以前ありました。世界最大の自転車ロードレー ス、ツール,ド・フランスでは以前に同様なエリスロポエチンの処分がありました。フランスの頂点のフエスティナ,チームが禁止薬物違反で追放されました。チームのトレーナーの車から大量のエリスロポエチン製剤が発見され、監督もチームの9人の選手に薬物を与えた事を認めたそうです。エリスロポエチンは赤血球生成促進因子のホルモンで、生体力酸素欠乏状態に陥ると産生が亢進され、赤血球を増やして組織に酸素を運び易くするので、重症の貧血患者にとっては無くてはならないホルモン剤です。マラソン等で高地トレーニングをすると人体は酸欠状態になり、腎臓からエリスロポエチンが分泌されて、骨髄からの赤血球の産生を促しますが、1ケ月位はトレーニングし無いと充分に赤血球が増えません。今までドーピング検査では、高地トレーニングの結果なのか、ホルモン剤のせいなのかの区別が出来なかったのですが、シドニー,オリンピックから検出出来る様になりました。貧血の無い健康な人が使うと、赤血球が異常に増えて血流が滞り、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こします。現実にアメリカでは、現役の自転車レースの選手が2人も急性心不全で亡くなり、内部告発によりエリスロボエチンの蔓延が暴露されました。こうなると連想されるのが、1998年に心臓発作でで亡くなった、金メダリストのフローレス・ジョイナーです。生前からドーピング疑惑がありましたが当時はまだ検査技術も低かった事と引退した翌年から強化された事が挙げられます。そして彼女の100mの世界記録は今だ破られていません。
今年は今のところインフルエンザの大流行には幸いにもなっていませんが昨年は中国で拡大した鳥インフルエンザ(H7N9型)で死者も出ました。中国では数値からかなり死亡率が高く、台湾でも感染者が発生して大陸を越え日本で水際の防衛は困難と思われます。台湾の感染者は重症と報道であり、恐ろしい事に鳥との接触は無かったとされています。感染症は昔からありコレラ、ペスト、赤痢、結核、インフルエンザ等の感染症はいとも簡単 に多くのヒトの命を奪ってきたのです。感染したら死の宣告を受ける事と同じでした。西洋医学の歴史を振り返ると人類が勇敢にも感染症に戦いを挑み、病原微生物を地球上から抹殺しようとしました。「魔法の弾丸」と呼ばれた抗生物質によって細菌との戦いに勝利したように思われ薬品やワウチンの開発によって感染者数は激減していきました。医学の分野では感染症の研究は片隅に追いやられ、研究者もどんどん少なくなつているそうです。しかし世界的にみると年間1700万人が感染症で死亡しています。パンデミックが起こればこの数倍の死者数となります。エイズ感染も発展途上国では以前と感染者数は高く先進国の感染者も横ばいの現状です。現状病原微生物の根絶への戦いは負けたといえます。病原菌は新たに無毒(感染しても重症化しない)→弱毒化→強毒化と変化をし毒性が高くなっており、更に全ての抗生物質がまったく効かない耐性菌が生まれてきています。このままでは事態は深刻な状況に至るのは明らかで特効薬が無い病原菌の蔓延がSFの世界では無く現実の世界で起こり得かもしれません。
抗生物質で克服出来るかと期待された感染症は克服どころか新興・再興感染症(Emerging and Re-emerging infectious Diseases)として流行する様になっています。新興感染症とはこれまでに知られて無かった感染症の事で、AIDSや病原性大腸菌O-157などは既に世界中に蔓延してしまった代表的な新興感染症といえます。その他エボラ出血熱やレジオネラ症など新興盛染症が現れています。再興感染症というのは、かつて流行していても公衆衛生上は問題となら無い程患者が減っていたにもかかわらず再び流行し始めた感染症の事を指します。結核などはAIDS患者の中で発症したのがきっかけとなって再び流行し始めたと言う事もあります。これらの感染症事情は、何と言っても宿主になる人の動きが世界的になっている事が第一の要因で、日本でも年間2000万人の出入国がある事を考えるとこれらの新興・再興感染症がいつ日本で流行しても不思議ではない状況にあるのです。その他の要因としては貧困、低栄養、不衛生、地球の温暖化、老齢化、人口の都市への集中等が挙げられます。感染症に関しては日本も島国では無いと言う事を肝に銘じておくべきでしょう。
再興感染症
細菌 結核、コレラ、ジフテリア、ペスト、百日咳、サルモネラ症、劇症型A群連鎖球菌感染症、
ウイルス 狂犬病、テング熱、黄熱病、ハンタウイルス肺症候群
寄生虫、原虫
マラリア、住血吸虫症、トキソプラズマ症、エキノコックス症、
新興感染症
1970年代以降に認知された感染症を指す
1976年エボラ出血熱(ザイール)
1976年クリプトスポリジウム症(USA)
1976年レジオネラ症(USA)
1980年D型肝炎(伊)
1980年成人T型細胞白血病(日本)
1981年AIDS(USA)
1982年病原性大腸菌O-157(USA)
1986年牛海綿状脳症(英)
1988年PTサルモネラ症(英)
1989年C型肝炎(USA)
1991年ベネズエラ出血熱(ベネズエラ)
1994年モルビリウイルス(豪)
1997年鳥インフルエンザ(A型H5N1型)
1998年ニパウイルス
2002年SARS(中国)
2004年鳥インフルエンザ(A型H5N1型)
2006年H5N1型(中国、トルコ、韓国)H7(英)
2007年H5(香港) H5N1(中国、日本、ロシア)
2009年インフルエンザ(H7N6型)
2010年鳥インフルエンザ(H5N1型)
2011年鳥インフルエンザ(H5N1型)
2013年(H7N9型)中国
中国で発生している鳥インフルエンザは新種のインフルエンザで毒性が高いと言えます。過去にも発生しています(H7N3)(H11N9)(H7N9)(H9N2)の混合種で2010年カルガモから分離の(H11N9)2011年アヒルから分離の(H7N3)野鳥から分離(H7N9)の 2011年ニワトリから分離の(H9N2)の雑交をする事で新種となります。インフルエンザの流行といっても十数年か数十年ごとに世界的に起こる大流行と、2~3年ごとに繰り返される小流行とがあります。大きな流行の後多くの人にそのウイルスに対する抗体が出来ると、ウイルスは新たに感染する事がで出来無くなります。するとウイルスは突然変異によって自分を少しだけ変化させます。つまりアミノ酸配列が少しだけ違ったウイルスに変化するのです。その時、元のウイルスの流行によって獲得した免疫の効率が低ければかつて感染したウイルスでは無くて新しいウイルスとみなして最初から戦わなければなりません。ところが免疫の状態が良い場合は感染した事のあるウイルスだとみなして免疫力を発揮して感染から免れる分けです。ところが時としてウイルスは突然変異で自分を変化させるのでは無く、他のインフルエンザウイルスと遺伝子その物を交換して変身する場合があります。例えばアヒル型のインフルエンザウイルスが感染していたアヒルの細胞に人型のインフルエンザウイルスが感染すると、同じ細胞の中でそれぞれの染色体を複製します。その特細胞の中で染色体がシヤッフルされます。インフルエンザウイルスの染色体は8本ですから2の8乗256 類の新しいインフルエンザウイルスが生まれる可能性があるのです。こうしたインフルエンザの遺伝子の混合はアヒルと人の中だけでなく、豚の中でも起こります。つまり人とアヒルと豚が混在する所ではインフルエンザウイルスの遺伝子組み換えが起こりやすいのです。中国の農家では人とアヒルと豚とが生活を共にしており、インフルエンザの大流行はアジア発ヨーロッバ経由アメリカという経路が多い事も合点がいきます。
病原菌と我う防衛機構には抗原抗体反応を司る免疫系が備わっています。敵性免疫としてはB細胞と呼ばれるリンバ球が作るグロプリン抗体があり、血液や粘液等の体液に含まれています。また細胞性免疫のTリンパ球は、病原体に侵された宿主細胞を殺すキラーT細胞と病原体を取り込むマクロファージ(白血球)を刺敵して病原体を処理出来る物質を作るTリンバ球があります。また白血球の中の好中球はマクロファージと並んで病原菌を食べて消化してしまう働きがあり、この能力を持っている白血球を食細胞と呼んでいます。この食細胞が減少すると日和見感染症に罹りやすく、癌の化学療法では異常に減少する為に感染症に罹りやすくなるのです。これ以外にもう一つ感染症に対して重要な働きをするのが補体という一群の蛋白質です。この補体は血清中にあり、抗体と異なって、初めから血液中に一定の量だけ含まれています。病原菌が体内に侵入すると、その表面に付着して病原菌を破壊したり、白血球に食べられ易くする働きがあります。補体は免疫の無い新参の病原菌に対応する事が出来るので、決して名のような補助的な物ではありません。ただ、問題は侵入者を手あたり次第壊してしまう為、病原大腸菌の場合等は毒素(例えばエンドトキシン)が溶け出し生命を脅かしてしまう両刃の剣でもあります。
日本の原発性肝臓癌のほとんどがウイルス感染が先行して発症します。肝炎ウイルスには現在のところ6種類ありますが、このうち肝臓癌との関係が明らかになっているのがB型とC型の肝炎ウイルスです。しかし、なぜ肝炎ウイルスによって慢性肝炎から肝硬変、更に肝細胞癌が発生してより悪性度の高い癌に進展するのか、その全容は明らかになっていません。現在はその発癌の分子レベルのメカニズムが研究され次第に解明され始めていると言う段階です。ウイルスに感染して慢性肝炎を発症した肝組織では、アポトーシス(細胞死)が生じます。すると増殖能のある正常な肝細胞から細胞新生が起こりますが、それもまたウイルス感染すると言うイタチゴツコが繰り返され、次第に線維性結合織が増えて肝硬変になって行きます。この過程で肝細胞の染色体に組み込まれたウイルスが作る蛋白質がアポトーシス誘導能、DNA修復能、更に癌抑制遺伝子産物として脚光を浴びている蛋白質のp53に結合する事が明らかにされました。この事からウイルスの蛋白質がp53の機能を抑制する事により癌が発症するのではないかと疑われています。このp53の蛋白質の異常が、癌の悪性化、抗癌剤,放射線 抵抗性、転移、血管新生能にも関わっている可能性があり,p53の機能を解明する事は人の発癌機構を分子レベルで解明する上で大変注目されているのです。
HIVの薬はまだ先になりそうで、現在は抗ウイルス剤の二剤三剤での使用によるウイルスとの共存での延命方法でしかありません。性感染症はHIVだけでは無く多くの感染症があります。性感染症は考えられている以上に一般的な感染症と言えます。女性の半数が一度は性感染症に感染すると言われ、世界では毎年3億人もの人が新たに梅毒、淋病、クラジミア感染症、膣トリコモナス症に感染していると推定されます。女性が感染した場合特別な症状が現れない事も多く、そのままに放っておけば骨盤炎症性曳患や慢性的な骨盤の疼痛、子宮外妊娠などの合併症を起こす可能性があります。幸いこれらの感染症には有効な抗生物質があり、何よりコンドームで予防出来るので制御しやすいSTDと言えるでしょう。ところが、ヒトパビローマウイルスHPVの感染症についてはオーラルセックスからが原因と考えられていてペニスの基部や陰嚢や陰唇等からも感染するため、コンドームによる予防が期待出来ません。この感染症が厄介なのは自覚症状がほとんど無く,性的活動をしている男女の半数以上が感染しているにも関わらず、感染に気付きにくい事です。1割程度の人にイボが出来て感染を知る事が出来ますが、改善法がある分けではありません。このヒトパピローマウイルスに感染すると、1年以内に子宮頸部の前癌化が起こると言われ、長期に渡ると外陰部、膣、肛門付近にも癌を発生させる可能性が高くなります。HPVワクチンは米国メルク社から2006年移行開発承認されていはいますがHIVにも匹敵する恐ろしく最も身近な感染症と言えるでしょう。
インフルェンザの原因と言えばウイルスと相揚が決まっていますが、インフルエンザ菌という細菌もあるのです。この菌はへモフィルス・インフルエンザという名が付いていて、ヘモフィルスとは「血を好む」という意味で、血液成分のある所だけで増殖出来る菌です。この菌は風邪症状と同じで気道、呼吸器感染症、子供の髄膜炎等を引き起こします。この菌の中でもタイプBインフルエンザ菌は症状を重症にする事が分かってきました。米国ではこのインフルェンザ菌による髄膜炎、敗血症、骨髄炎など全身性感染症で死に至る病なのです。このインフルエンザ菌が耐性を獲得し始めた事が問題になっているのです。特に子供の細菌性髄膜炎を起こす三大原因菌のタイプBインフルエンザ菌、髄膜炎菌、肺炎連鎖球菌ともに、最適な抗菌剤アンピシリンが効かなくなって来たのです。日本でも1975年に初めて東京でこのアンピシリン耐性インフルエンザが見つかって以来、ある調査では二年毎に倍づつ増えているそうです。新しく開発された抗生物質にも耐性のある菌が次々見つかり、サルファ剤、クロムフエニコール、テトラサイクリン、アンピシリン、トリメトプリムの五剤に耐性のインフルエンザ菌も分離されているのです。