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ダイオキシン

2020.01.31 | Category: 内分泌

当初ダイオキシンは胸腺や脾臓の萎縮、肝臓障害、催奇形性や発癌性などの猛毒性で注目されました。しかし最近大きな問題となっているのは内分泌かく乱物質としてのホルモン様働きで、今やダイオキシンは代表的な環境ホルモンと言えます。環境ホルモンと言えばエストロゲンの様な働きをする化学物質だとする認識が一般的ですが、ダイオキシンはエストロゲン様の作用をする物質ではありません。むしろ女性ホルモンを阻害する方向に作用します。つまりダイオキシンは身体由来の女桂ホルモンを代謝して体外に排泄させやすくしたり、女性ホルモンの受容体を減らす事で、正常な女性ホルモンが十分に働か無くさせるのです。その為女性で卵巣機能が減退したり、子宮内膜症を引き起こしたりします。男性の場合、男性ホルモンを合成させるのは下垂体から分泌される女性ホルモンの一種なのですが、ダイオキシンはそれらの女性ホルモンの分泌を抑えるため男性ホルモンも作られず、結果的に女性ホルモンに似た作用をしてしまっのだと考えられます。また甲状腺ホルモン濃度にも影響を与え、成長遅滞、知能指数の低下、ペニスの短小化などが起こる事が確認されています。ダイオキシンのホルモン様作用はまだ分からない事が多いのですが、下垂体に影響を与える事が分かっており、つまりは性ホルモンや甲状ホルモンだけで無くホルモン全体を撹乱する事が考えられます。

精子数減少

2020.01.30 | Category: 内分泌

若い男性の精子の数が半減しているらしいという報告は、環境ホルモンをにわかにクローズアップさせました。最初はそんな事は有り得ないという反論もありましたが、世界各地での研究の結果、精子数の減少は事実である事が追認された様です。ヒトの場合1㏄当り1億個はあった精子数がこの50年で半減しており、日本の若い男性の椅子数の平均値は6000万個位で、減少の度合いは今でも続ていると言います。1992年デンマークのスカベクのデータでは40代の精子数7800万個から20代4580万個で20年間の年齢差で3220万個に減少しているそうです。2000万個を下回ると不妊という事ですから、この数は段々と危険水域に近づいていますが辛うじて能力が保たれる数字と言えます。しかも異常な精子の割合が急増している事も確認されています。異常な精子とは、頭が2つ有る物、頭が無い物、直進出来ない物、元気が無い物等でこれらの精子では妊娠能力が無く、妊娠したとしても正常に発育する事が出来ません。こうした椅子の異常の原因はタバコや酒、化学汚染物質、更に生活習慣の激変による物だとする見方がありますが、だとすると高年齢層でも精子やその数に異常が見られる筈です。こうした現象は若年になるほど顕著で、最近では原因は妊娠中の発育状態にあると考えられています。動物実験でも妊娠中にエストロゲンレベルが高くなると成長した後に精子数が減少するという結果が出ており、エストロゲン様に働く外因性の化学物質が影響している事は疑えない様です。

脳と腸は直結している

2020.01.28 | Category: 内分泌

脳と消化管両方に共通するホルモンをブレイン・ガット・ホルモン(腸脳ホルモン)と言います。このホルモンは内臓の働きを調節し、更に脳内に存在し神経伝達物質と共に、食欲や睡眠、不安や焦燥などの情動や、記憶、学習能力を司るなどの働きをしている事が分かって来ました。今分かっている所では、血管作動性小腸ペプチド(VIP) 、コレシストキニン、セロトニン、モチリン等があります。VIPの働きは腸内で消化管の毛細血管を拡張させます。脳内でも同じ様な働きをし、血の巡りを良くし、神経細胞が活性化し大脳の働きを良くするのです。このVIPをネズミの脳に注射すると喜びのホルモンであるドパーミンが分泌された時と同じ様に興奮して活発に動き回るのです。またコシシストキニンは注射すると不安感や恐怖感が出ると言う研究報告があります。「腹をたてる」「腹をすえてかかれ」という言葉を何気なく使っていますが、おなかの状態と大脳は関連がある事がこのホルモンの発見で分かってきました。 緊張が続いている時に身体の力を抜いて腹式呼吸をしたり、おなかをマッサージするとリラックス出来るのはこのホルモンが分泌されるからでしょう。

メラトニン

2020.01.27 | Category: 内分泌

合成ホルモンにメラトニンがあります。強い抗酸化作用、血管脳関門通過、催眠作用、時差ボケの特効薬、ガン、免疫疾悪  、欝病等効く万能薬の様に宣伝されています。狂牛病の事もあり牛からの抽出では無く合成薬が殆どです。メラトニンに関しての効果は十分解明されていませし、軽い睡眠効果があると推察されている程度なのてす。このメラトニンは脳にある松果体から分泌されるホルモンですが、体内時計の周期に伴いその分泌量を変化させています。昼間の濃度の濃度は低く、夜になるとその濃度は高くなり体が眠りに入れる様に命令しています。更に体内時計は24.7時間の周期ですが、周期を24時間に調節する機能もメラトニンがしています。現在の様に昼夜の区別なく氾濫している中で、このメラトニンの分泌量や調整機能の不調が生体全体のリズムの乱れを誘発している事が明らかになっています。この乱れを調節する為に、時間医学の研究者は曙とたそがれ時の青緑色のLED光を目から取り入れる事を勧めています。この光によりメラトニンの時間調整機能力が作動し、生体時計の針と針を一致させるそうです。このLED器具も機種によっては3万円以内で購入出来る様ですが、やはり早起きは三文の得、早寝早起きは健康の基本です。

男女決めるのはホルモン

2020.01.26 | Category: 内分泌

受精卯の染色体がXXであれば女性、XYであれば男性が生まれます。つまりYの遺伝子を持てば男性になる筈ですが、事はそう簡単ではありません。胎児のごく初期では男性生殖器の元であるウォルフ管も女性生殖器の元のミュラ一管もあって、男性にも女性にもなれる部品を揃えています。しかし男性の場合、受精して6週間頃Y 染色体にある性決定因子が働いて精巣が形成されます。出来たて精巣がする最初の仕事は男性ホルモンを作る事で、これが受精後8週間頃です。これにより陰茎や精管、精嚢等が出来、ミュラ一管が退縮していきます。この男性ホルモンが働か無ければ、卵巣が出来てそこから女性ホルモンが働き、放っとけば体は女性になって行きます。またこの時期に分泌された男性ホルモンは全身を巡り、男性生殖器を形成するだけで無く脳にも影響を及ぼします(ホルモンシャワ一)。受精後の8~l2週頃に男性ホルモンを浴びた脳は男性脳となり、そうで無ければ女性脳となるのです。つまり、生まれるまでに細胞や器官、脳、行動までを左右するのはホルモンで、そのホルモンがどの遺伝子を働かせるかを決めているという分けです。この時遺伝子その物は変化している分けでは無く、ホルモンが個体の特性を決定するのだといえます。

黒胆汁質とホルモン

2020.01.25 | Category: 内分泌

不安惑や恐怖感に襲われる「パニック障害」は不安神経症として扱われ、精神分析や心理療法の領域で医療行為が行われていましたが治癒の難しいものでした。しかし、脳の生理学的研究の進歩により、その発作の起こるメカニズムが脳内物質と脳の機能障害によってもたらされる事が明らかにされ、それにより抗不安薬を使う方法により劇的に効果が上がる様になりました。この不安・恐怖と言えば、感情ホルモンという言い方もあるノルアドレナリンなどの神経伝達物質や間脳の青班核や視床下部が深く関与している事は知られてしました。またホルモン系ではコレシストキニンの存在が明らかになったのです。元々コレスシストキニンは胃腸管系ホルモンで、小腸粘膜から分泌され胆のうの収縮や膵液の分泌のホルモンとして知られていましたが、脳にも存在して神経伝達に関係している事が分かった、脳一腸管ペプチドのホルモンです。実験でこれを投与した被験者は「不愉快な感情から始まる不安感」や「世界が没落する感じ、腹部の不快感、嫌な味、更にパニック障害そっくりの発作を起こしたのです。正に古代ギリシャ医学の体液論でいう不安や憂鬱な気質の「黒胆汁質」は、このコレスシストキニンとノルアドレナリンの分泌異常の体質かもしれません。

DESの教訓

2020.01.24 | Category: 内分泌

1939年に、英国の医療チームが体内で天然エストロゲンの様に作用する化学物質 DES (ジエチルスチルベストロール)の合成に成功しました。この物質こそ医学史上に残る悲劇を巻き起こしたのです。その当時、妊婦にとってエストロゲン数値の低下は流産や早産を誘発すると考えられていました。DESを投与された妊婦の総数は米国を中心になんと500万人に昇ったのです。その後の数十年の間、DESは「妊婦必携の妙薬」として広く愛用されてきました。妊婦ばかりでなく、家畜などにも大量のDESが使用されてきたのです。しかし、この奇跡の薬に何の薬理効果も無いと言う研究論文が50年代の初めに次々出てきました。更に、DESこそが流産、早産、新生児死亡の増加の元凶であると断定した論文も出て来たのです。しかし、それにもかかわらず米国の連邦食品医薬局は差し止めようとし無かった為に、その後20年に渡って何十万人もの妊婦が服用してきたのです。その結果、胎児の時にDESを受けた若い女性に膣の明細胞腺癌という珍しい癌が発症し始めたのです。更に、女性の子宮の奇形や男性の精巣及びぺニスの発育不全等も明らかになり、奇薬は悪魔の毒であった事が分かって来たのです。DESは胎盤を通り、胎盤の成長を阻害するとんでも無い影響を与える恐怖の内分泌かく乱化学物質だったのです。

エストロゲン様細胞とセルトリ細胞

2020.01.23 | Category: 内分泌

XY染色体を持つ児がオスに性分化するのは妊娠第6週頃です。脳下垂体から分泌された性腺刺激ホルモンがメスの生殖器官であるミュラ一 管を退化させるホルモンを分泌、発生中の胎児の精巣からテストステロンを分泌させ始めオス化を促進します。もしこの時期に過度にエストロゲンにさらされるとオス化のプロセスが狂ってきます。妊娠中の女性は  エストロゲン値が非常に高いのですが、母親のエストロゲンは血液中にある蛋白質、性ホルモン結合性グロプリン(SHBG)と結合しているおかげで胎児は守られています。しかし環境中の化学物質が胎盤を通過して子宮内でエストロゲン様に作用したら、これは男児の正常な性発達をかく乱するに違いありません。ところで近年、欧米で若い世代の精巣がんの増加が報告され問題となっています。精巣の中で、精子の前駆体である「精原細胞」を保護し栄養を与えているのがセルトリ細胞ですが、男児が子宮内にいる時から、その生殖系の発達の全過程をコントロールする重要な細胞です。セルトリ細胞は精巣の下降蒔期に合図を送り、外性器の発育や男らしさに関わるテストステロンを分泌する「ライディッヒ細胞」の働きを制御し、身体が思春期に達する前に精原細胞が発達を開始しないように抑制しています。胎先期にセルトリ細胞がダイオキシンやフタル酸エステル等のエストロゲン様物質に触れると、増殖と働きが阻害され、停留睾丸、尿道下裂、将来的な精巣がん、精子減少等の原因と報告されているのです。

視床下部はホルモンの中枢

2020.01.22 | Category: 内分泌

内分泌ホルモンは身体の各部から分泌されますが重要な物だけでも80種類あると言われています。これらのホルモンは脳にある視床下部の指令によって分泌されています。昔は下垂体からの指令とみなされていましたが、今では身体からの刺激があると、視床下部から下垂体へと指令が行き、それから甲状腺、睾丸、卵巣、膵臓、腎臓などのホルモン分泌器官から分泌されると考えられています。この視床下部から分泌される主なものはTRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)、LHRE(性腺刺激ホルモン放出ホルモン) 、CRH(副皮質刺ホルモン)GRH(成長ホルモン刺激ホルモン)、と各部の腺を刺敵するホルモンを出します。それ以外にも情動や記憶力などに関係し、TRHは脳の側座核に働いてノルアドレナリンを分泌させて、やる気を起こさせます。CRHはストレスに対抗するだけで無く、睡眠や、食欲、性行動を抑制コントロールします。CRHは記憶を司る脳の海馬という器官に多く存在し、記樟カや学習能力に関係してます。このCRHが減少するとアルツハイマーになると言われています。視床下部は身体や心等を調節をするホルモンの中枢で重要な部分です。

ホルモンと免疫

2020.01.21 | Category: 内分泌

従来独立していると考えられていた内分泌係と神経系の境界が不明瞭になつていますが、最近では内分泌系と免疫系も相互に作用し合う、密接な関係がある事が明らかになって来ています。例えば人がストレスに遭うと、中枢神経から情報を受け取つた視床下部は副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンを脳下垂体に分泌し、脳下垂体は副腎皮質刺激ホルモンを放出します。このホルモンは副腎に対して副腎皮質ホルモンを出させる分けですが、それだけで無くマクロファージやナチュラルキラー細胞を活性化します。一方で副腎皮質ホルモンはリンパ球にアポトーシスをもたらす事でリンパ球を抑制します。つまり、免疫細胞もホルモンに対するレセプターを持っている分けで、ホルモンの働きは免疫系に影響を与えるのです。エストロゲンはB細胞の活性化、アンドロゲンは免疫反応の抑制をもたらす事が確認されています。70年代以降世界各地で見られるアザラシやイルカ、クジラ等の海洋哺乳類の大量死は免疫機能不全の為であるとされる説があり、死んだ個体からはDDTやPCBなどの汚染物質が高濃度で検出されています。またダイオキシンが心配される母乳で育てられた子供は人工乳の子よりもアトピー疾患が多いという事も、ホルモン様物質が免疫系を狂わせている事を示唆している様に思われます。

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