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オリンビックで本格的にドービング検査が行われるようになったのは1972年の札幌、ミュンヘン大会からでした。しかしその頃は興奮剤や麻薬性鎮痛剤等の31成分で、検査技術の限界などもあってステロイド剤は含まれていませんでした。ステロイド剤が禁止薬物として登場したのは1976年のモントリオール大会からです。筋肉増強に使われるのは主にステロイド剤ですが、ステロイド剤と言えば、一般には副腎皮質ホルモンを指しますが、スポーツ界でステロイド剤と言えば暗に蛋白同化ステロイドや男性ホルモンを指します。男性ホルモンや蛋白同化ステロイドは共に強靭な筋肉を必要とする種目で使われていると言われていますが、金メダルを奪われたべン・ジョンソンばこの蛋白同化ステロイドによるものでした。その他に男性ホルモンを分泌させるという効果を求めて性腺刺激ホルモンやβ2刺激剤などが利用されている様です。もっともステロイド剤を投与すればすぐに速効で筋肉モリモリとなる分けではありません。筋肉が増強する為には筋力トレーニングが必要であって、その筋力トレーニングの効果を増幅させるのがステロイド剤という分けです。しかもステロイド剤は筋肉を措大させるだけで無く、やる気や自信、興奮させたり攻撃性を持たせる等の心理的な変化ももたらすと言われています。副作用としては睾丸萎縮 、女性の男性化、生殖器の異常、肝臓や心臓などへの障害等々で、悪くすると死亡する場合すらあります。
筋力は40歳から足踏み、もしくは低下をし始めて、50歳代になると大きく低下してきます。上半身よりは下半身の低下が大きく、脚力は60歳代では45~50%も低下してしまいます。こうした筋肉の老化は、まず速筋線維に萎縮や減少が起こります。運動神経は筋のタイプに対応していますが、まずその速筋(タイプⅡaもⅡbも)に対応する神経が減少する為に速筋線維が萎縮したり減少したりしてしまうのです。何故運動神経が減少してしまうのかはまだ分かっていません。ただ、幸いに遅筋の方は余り減少しません。それどころか遅筋線維の数が増える場合もあります。この時、速筋を支配していた運動神経 が死んだ後、遅筋を支配する運動神経が残存の速筋の筋線推を支配する事で遅筋が増えたものと考えられています。例えばマスターズランナーといわれる様なトレーニングを積んだ高輪者でも、速筋線維の減少、から免れている分けではありません。つまり長年持久的なトレーニングを続けても、高齢者の場合速筋線維の萎縮や減少は防ぎ様が無いのです。大きな力を発揮する場合もその筋肉は速筋からなるのでは無く、鍛えられた遅筋の肥大によって筋力が増加しているのだと言えます。
昔東京都知事選拳の時、当時80歳を迎えていた鈴木俊一氏が車上で前屈をしたら、両手のひらが楽々と床につき一躍話題になった事を記憶の方もいるでしょう。その「真向法 」の創始者は日本人で、明治22年生の長井津という人です。42歳の時脳溢血で倒れ、半身不随となって医者にも見放されたのですが、仏典の中にあった「顔面接足礼」という礼拝を修 得しようと年日続けている内、左半身が動く様になったとか。これが第1 体操で、あとは独自に第4体操まで完成させ、街頭で手作りのチラシを売って普及に努めたそうです。第1体操では脚の外側、第2で脚の裏側、第3は脚の内側、第4は脚の前側の筋肉を伸ばします。年日朝タ10分間、4ポーズを3セットづつ続ければ、高齢になってもしなやかな身体でいられます。人間の骨格筋は、その70%が脚腰にあり、全身ストレッチが無理でも、下半身主体の真向法なら十分全身ストレッチングに匹敵します。真向法は骨盤の歪みを整え、血流を良くして新陳代謝を活発にし、その効果は全身に及ぶのです。私も20年位続けています。太極拳の準師範である私は体を常に気遣い柔軟性を得る為に最適な準備運動だといえます。
成人になってからの骨格筋のパワーには男女差がありますが、その値は女性は男性の70%~90%です。しかしこの場合のパワーというのは、最大パワーの発揮カや無酸素的な運動能力の事で、こと有酸素運動的な持久力の点では男性が優れているとばかりは言えない様です。例えばエルゴメーター連動で運動開始から疲労困憊までの時間は女性の方が男性より長いのです。男性は筋肉を動かすのに必要なエネルギーを主に糖質から得るのに対して、女性は男性と比較して脂肪の燃焼により多く依存していると言えます。安静にしている時の筋グリコーゲンの濃度に性差は無いのですが、同じ様な運動をした場合、女性の筋グリコーゲンの減少量 は男性よりも少ないし、蛋白質の異化は男性の方により起こります。つまり男性がエネルギーを作るのにグリコーゲンや蛋白質に依存する分を女性は脂肪に依存する事ができるため,持続力が続くと言えるのです。線維その物の代謝には男女差は無いのですが、筋線椎や筋線維束間への脂肪の蓄積は男性よりも女性の方が多く、中性脂肪の利用能力が女性の方が優れているからでしょう。ところで、試合直前に高糖質食をとって筋グリコーゲン漉度を高めるというカーボロディングが一般的になっていますが、これは男性にとって有効で、女性の場合は高糖質食でも筋グリコーゲンはあまり高まらず、パフォーマンスもあまり向上しないと言います。つまり女性の筋肉は脂肪に比重を置いているからかもしれません。
運動会等でつい頑張ってしまって、アキレス腱を切る場合があります。アキレス腱は人体最大の腱で、腓腹筋とヒラメ筋の収縮する力を踵に伝えます。腱中にはゴルジ腱器官があって筋肉が伸ばされるとその張力を感知し、連動神経の興奮をコントロールします。アキレス腱を伸ばすとこむらがえりが改善するのはこの器官の働きです。アキレス腱は人体中もっとも切れやすい腱ですが、10代20代で切れることはまれで、中年になり腱線維分離弾性を失い始め、体重増も手伝っていっそう腱に負担をかけ、切れやすくなります。腱が切れるのはジャンプや全力疾走時だけではなく、ジャンプの離陸時よりも着地時に切れる場合があります。切れた瞬間は「バン」「ブツ」とにぶい音がして、やってしまったと感じます。骨の付帯部から、3~4センチ上でよく切れ、激痛がしてつま先立ちができなくなります。診断には、ふくらはぎを強くつかんで、まだ腱がつながっていれば足度方向に10度屈曲しますが、断裂ではまったくそれが無いので分かります。腱に陥凹部が出来る事もあります。医療行為はギプスをはめる保存療法、皮膚の上から細いワイヤで縫う経皮的校合法、皮内を切開して断端を糸で縫い合わせる手術法の3つがあります。柔道整復の保存療法は、膝を90度曲げ足首を低屈した姿勢で膝の下から足先までギプス固定し、その後足首運動を行つて、計3ケ月位で腱の断裂部は結合線維で繋がります。手術の跡ができないので女性に勧められます。スポーツ選手の場合は負荷が強くかかるので再び切れないように手術を行います。
元々ホルモンは生体の恒常雄を維持する為に内分泌器官から必要に応じて分泌されます。その定義付けは、「体内の分泌器官で作られる化学物質で血液を介して、標的器官に作用する極微量の化学情報伝達物質と言う事が出来ます。しかし、最近の研究によりホルモンの定義も変わりつつあります。例えば、分泌器官が標的器官である自己分泌や血液を介さない隣の細胞に向かう傍分泌等も見つかり、ピタミンや神経伝達物質等の他の生理活牲物質との境界も曖昧になっています。そこで最近は、ホルモンを他の生埋活性物質と明確な区別をせず「特異的な作用を標的器官にもたらす」という点だけを強調して用いられる様になっています。いずれにせよ、ホルモンは極微量で精巧緻密な働きをする化学言語とも言えます。ところがその統制の乱れが今我々の身体の中で静かに進行しているのです。原因として第一に目が行くのは、外因性の内分泌かく乱科学物質(環境ホルモン)ですが、過剰なストレスや飽食や不規則な生活等による内分泌かく乱も大きな問題といえるでしょう。
ホルモンが作用する標的器官は決まってます。それは抗原・抗体の関係と似ていて、それぞれのホルモンには固有のホルモン受容体があって、決まった受容体としか結合しないからです。ホルモンが標的器官に作用を及ぼすパターンは3つあります。まずインシュリンなどの場合では、受容体は標的細胞の細胞膜を貫通していて、細胞膜の外側に結合する部分があり、そこにインシュリンが結合すると情報が細胞膜内に伝って細胞内の酵素が活性化して作用が起こるのです。またアドレナリンのタイプでも細胞膜を貫通した受容体があるのですが、この場合は酵素の代わりに細胞内にある蛋白質分子が3個結合したG蛋白質と結合してホルモン情報を細胞に伝えるのです。これら2つの場合は細胞膜の表面でホルモンと受容体が結合するのですが、ステロイドホルモンの場合は上記いずれのパターンと違っていて、受容体との結合は細胞質の中で起こります。細胞膜はリン脂質や糖脂質からできていますが、ステロイドホルモン自体が脂質に溶けやすいので細胞膜をスルりと通って細胞内に入って受容体と結合出来ます。すると受容体の構造が変化して核までたどり着き、遺伝子の特定のDNAと結合し、ホルモンとしての作用を起こすと言う分けです。こうしたステロイドホルモンは役目を終えると分解されるのですが、ステロイドホルモン様の化学物質は体内で分解も排泄もされないので一旦受容体と結舎するといつまでも受容体と結合したままDNAに動きかけて余分なホルモン作用をもたらす事になります。
以外に思うかもしれませんが、日本人の10人に1人は何らかの甲状腺疾患を持っていると言われています。実際に疫学謂査で、長野県と群馬県では約10 %、長椅市では17%の人に甲状腺疾患が見つかっています。この甲状腺の疾患は糖尿病や更年期障害や他の病気と大変間違えられやすく適切な医療が受けられずに症状がなかなか改善されない事があります。甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる病気で日本人に多いのがバセドウ病で甲状腺機能充進症の約90%以上を占めています。甲状腺ホルモンは全身の細胞の新陳代諸を調節する働きがあるのですが、バセドウ病になると新陳代謝が不必要に盛んになり、微熱が続き、汗をかきやすくなります。更に心臓に直接働いて心拍を強め血圧も上げ、それにより動悸や息切れ、時には心房細動や心不全をもたらす事もあるのです。代謝が盛んになる為食生活は普通なのに体重が減少したり、疲労感や不眠、それに伴いイライラも出てきます。更には手足の震えや筋力の低下も起こります。 対して甲状腺ホルモンが不足すると体温や血圧の低下や冷え、便秘をもたらします。甲状腺機能低下の代表ともいえる病気が橋本病でで、甲状腺が腫れて堅くなり、全身の倦怠感、浮腫、のどの不快感、心悸亢進などが起こります。ともに自己免疫疾患と考えられ、女性に多い病気です。
殺生物剤
殺菌剤、除草剤、殺虫剤、船低塗料、防汚剤、
環境ホルモンとみなされている物質の半数以上が殺生物剤。特に有機塩素は毒性が高いDDTなど。
工業使用物質
難燃剤、塗料、界面活性剤、芳香剤、冷媒、洗浄剤、重金属、
石油産業をバックボーンにした有機化学の発展によって大量に作り出されたPCBやカドミュウム、水銀の毒は知られている。
プラスチック
樹脂・樹脂原料、可塑剤、
ポリカーボネート樹脂からビスフェノールAが溶出する。プラスチックは用途が多岐に渡るだけに深刻。
非意図的生成物
副生成物、、代謝物
ダイオキシン類がその典型。
薬品
避妊薬、サリドマイド
天然物質
植物性エストロゲン
豆類、米など多くに擬似エストロゲンが含まれているが、大抵の生物は代謝システムを持っている。毒性は少ないが無い分けではない。
現在のところ内分泌かく乱の単一合成化学物質は約70種類あるといわれていますが、まだまだこれから研究が進むにつれ確実に増えて行きそうです。現在はホルモン受容体との結合力が弱い合成化学物質は人間には影響が無いとみなされ、未だに殺虫剤やシロアリ駆除剤として一般に市販されています。ところが、最近の研究で安全と考えられていた化学物質に疑いが出て来たのです。例えば有機塩素系の殺虫剤のデイルドリン、トキサフェン、エンドサルファン等も女性ホルモンに似た作用がある事は分かっていたのですが、エストロゲン受容体との結合力は天然の女性ホルモンに比べて1万分の1以下である為、たいした影響は無いとされてきました。ところが二種類の殺虫剤を混ぜると、その作用は1000倍に強まる事が明らかになったのです。またシロアリ駆除剤のクロルデンも他の殺虫剤と組み合わせると作用力が強まります。現在合成化学物質は10万種を超えているといわれ、年々新しい合成化学物質が生まれています。これらの組み合わせはまさに天文学的な数値になります。環境汚染や公害の時に言われた「複合汚染」が環境ホルモンでも起こっているわけで、更に深刻な事態になりそうです。