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大腿四頭筋が軟骨を守る

2019.12.02 | Category: 下肢

老化は脚からと言われています。現に20歳の筋力を100とすると、60歳の腹筋や握力等の上半身の筋力は80%を保っていますが、脚を動かす下半身の筋力は50%まで落ちるという調査報告があります。その筋力の低下と共に中高年で一番問題になるのが変形性膝関節症です。膝関節には伸筋の大腿四頭筋と大腿二頭筋膝屈筋群がありますが、筋力が弱くなると屈曲筋の方が優位になり膝をしっかり伸ばす事が出来無くなって来ます。膝関節で重要な役目をする関節軟骨に圧力がかかると軟骨は僅かに変形して、圧力を分散、吸収しますが、筋カが弱って膝が曲がるとその圧力のかかり方が不安定になり、特に軟骨の内側に負荷がかかるのです。その結果、老化で弱っている関節軟骨の一部が擦り減り、摩榛が起き、それが刺激となって炎症が発生し痛みとして現れるのです。更に膝が曲がった状態が長く続けば靭帯、腱、関節包などの軟部組織が萎縮して、関節の可動域が狭くなって拘縮を起こしてきます。膝関節の連動療法で大腿四頭筋の筋力強化が必ず行われますが、これは伸筋群を強化する事で関節軟骨にかかる負担を軽減して、膝の拘縮を防ぐ役割があるのです。

ミルキングアクションとスニーカー

2019.12.01 | Category: 下肢

以前、NHKの「ためしてガツテン」という番組で、「よい靴・悪い靴」というテーマで靴が健康に与える影響について、実験した事がありました。2人の内1人にスニーカー、もう1人に通勤や外出に使う靴を履かせ、それぞれ長時間歩いた後、足のむくみ具合を調べたのです。この結果、スニーカーに比べ、普通の靴の方が足がむくんで体積が増えている事が分かりました。長時間立って活動を続けてると、重力に逆らって下半身の血液を全て心臓の力だけで戻す事が出来なくなります。しかし体内を循環する血液を運ぶ力は心臓以外にもう一つあります。これが「第二の心臓」と言われる下半身の筋肉によって、血管を収縮させ、牛の乳搾り(ミルキング)の様に静脈の血管を絞り上げ、その力で血液を心臓へ押し上げるのです。脚の筋肉と血管の弾力性が高い人ほどこのミルキング・アクションは旺盛ですが、脚が疲労するとその機能も次第に落ちていきます。人間の足部は26個の骨がアーチ状に盛り上がって作られています。滑らかに歩くには、この足の甲のアーチがたわみ、復元を繰り返す事が必要で、疲労するとアーチが崩れ、土踏まずの面積が狭くなって来ます。スニーカーやウォーキング用の靴は、足の裏全体で地面をしっかりとつかみ、拇指球で確実に地面を蹴る事が出来ます。前述の実験で、スニーカーは長時間歩いても足の甲のアーチが崩れにくく疲労が少ない為に、ミルキング・アクションの働きが低下せず、むくみもそれだけ少なかったのです。

オスグット病とサッカー

2019.11.30 | Category: 下肢

スポーツによる怪我でも下肢の陣害が多いものと言えばサッカーです。ゴン中山が恥骨結合炎で長期間の戦列離脱を余儀なくされました。サッカーのスボーツ外傷や障害は沢山ありますが、半月板損傷、膝内側の側副靭帯損傷、前十字靭帯損傷、後十字靭帯損傷、等膝周辺に集中する傾向があります。この原因として、サッカーの動き以前の問題としてグラウンドの問題があるのです。芝生のグラウンドでもこの様な陣害を起こすのに、学校や一般の競技場では土で膝や腰への衝撃が強過ぎるのです。衝撃を柔らかくする靴もありますが基本的には芝生のグラウンドが一番です。また、悪い環境とオーバートレーニングによるオスグッド・シュラッター病がサッカー少年の間で蔓延しています。10歳からl5歳の男子に多く、骨が完成していない段階で無理をし過ぎて膝の痛みが出て膝の脛骨粗面の骨端部が突出してきます。これは脛骨が完成していない年齢で大腿四頭筋が付看している脛骨の粗面に負荷をかけ過ぎる事によって起こります。子供の膝の痛みには成長痛もありますが、この様なオーバートレーニングによる事もありますので要注意です。

痛風

2019.11.29 | Category: 下肢

痛風は帝王病とも言われる様に美食によって起こります。肥満体質でビールと肉の好きな男性は要注意です。プリン体代謝異常による高尿酸血症で繰り返し起こる急性関節炎、腎障害をもたらします。血液中の尿酸値が高くなると第一中足指節間関節(母趾のつけ根)腔内や関節周囲で尿酸が結晶化する事で骨膜のインター・ロイキン(リンパ球活性化因)の濃度が高まり激しい痛みが現れます。関節の腫れや発赤等の激しい炎症が伴います。この他に捻挫、靴擦れ等の外傷や降圧利尿剤、肝臓エキスの過剰摂取等でもこの病気の引き金になる事もあります。この痛みは大体1~2週間で消失しますが、そのまま不節制な生活を続けてたり適切な診療をしないと、発作しばしば繰り返し、痛みの時間が長くなります。更に足関節、アキレス腱、膝関節まで広がり、身体のいたる所の関節や腱や耳等の軟部組織にも蓄積して痛風結節を作ります。ゴルフ等の運動した後に飲むビールは発作を誘発しやすいので尿酸値の高い人はくれぐれも用心して下さい。

偏平足

2019.11.28 | Category: 下肢

土踏まずは二足歩行のヒトだけにあるもので、足が地面に接する時のクッションの役目や、歩行のときバランスを取りながら重心を動かす場合のテコやパネの役目をします。足には縦、横各2の4つのアーチがあるのですが、偏平足とは足の母趾側の縦のアーチが浅く、いわゆる土踏まずが形成されていない状態をいいます。確かにこの骨のアーチが傭平な足は疲れやすく、精神的にも集中力を欠く傾向にあります。しかし実は外見上土踏まずが無かったり少ないからと言って偏平足だとは判断出来ないのです。裸足で生活している人々は足裏の筋肉が異常に発達している為土踏まずが見られ無い事も珍しくありません。また激しいスポーツをする人は足の筋肉や靭帯が発達して土踏まずが無い事もありますがレントゲン等で立派なアーチを確認する事が出来ます。肥満や妊娠によっても一時的に偏平な足裏になる事もあります。つまり足の骨がアーチを形成しているかどうかと言うのはレントゲンによってしか厳密には判断出来ない物なのです。子供の場合備平足なのは当たり前で、土踏まずが形成されるのは大体7歳頃。確かに昔よりも土踏まずの形成が遅れ気味になっていますが、これは運動不足と共に靴を履いている時間が長い事、硬い床を歩く事等が原因だと考えられます。

2019.11.27 | Category: 下肢

1950年代、イギリスのパーパラ・ロックウソドという美女が突然死しました。殺人では?という疑いもあったのですが検死の結果は殺人ではありませんでした。その謎を解いたのはアメリカの整形外科医のレジナルド・ペイン博士で、彼はパーバラが履いていたハイヒールが犯人だとしたのです。バーバラは1日の半分を12cmもあるハイヒールを履いていた為ひどい外反母趾でハンマートゥ、足の裏には大きなタコを作っていました。つまりハイヒールによる足への刺激が姿勢を狂わせ、ホルモンの異常な反応や分泌をもたらし、死に至らしめたと結論をしたのです。別の整形外科医のレミントン・プリストル博士は女性の胃腸障害患者の8割以上が日常的にハイヒールを覆いており、その人達の多くは血液循環が悪く、生理不頂のみならず流産の原因になると言っています。人の体重は素足の状態では踵にほぼ80%、指の付け根に20%ほどがかかっています。ところが10cmのヒールを履いた場合は足の付け根の体重は60%を超えます。しかもヒールが高くなっているので腓腹筋や臀筋が緊張します。歩くのも蹴り出しを強く出来ず、あおら無いで靴底を地面に置くと言うすり足の歩き方になってしまいます。当然体は前傾するので姿勢を保つ為には、膝が曲がり頭蓋は中芯軸より前方に移動し腰椎は生理学的前湾を保持出来なくなります。姿勢は毎日の事ですのでやがて本人は異常な姿勢に違和感すらも感じず、時期を遅れて姿勢が原因とされる多くの病気が発生します。

バビンスキー反射と赤ん坊

2019.11.24 | Category: 下肢

最も敏感な病的反射であるバピンスキ一反射は、足の裏の外縁部をこすると足の親指が背屈して、他の指は扇上に幾分開きながら低屈する現象です。脊髄損傷などの上行性運動ニューロンの疾患や脳性麻痺や脳血管障害等で起こります。この反射は生後半年位までの乳児期に見られますが、これは新生児の三ヶ月頃まで見られる手の握り反射と同様に脳の前頭葉の発達によって反射が抑制される為に消えて行きます。この反射はサルでは乳幼児期を過ぎても見られる事から、手と同様に足もつかむ行為に必要な樹上生活の名残だと言う人類学者もいます。直立二足歩行によって手足の機能分化が起こり、手は握る、つかむ事が主体になり、人は体重を支え二足歩行が専門になった為に足趾の機能が退化したのです。しかし、足趾の動作は訓練すれば手とほとんど同様の働きをする事が出来ます。手に障害を持った方の中には、健常者の手先以上に足先を器用に使う事が出来る人もいます。更に、とっさの時に役立つ反射という経路も日常生活の中では必要はありませんが,これも訓練次第で再現すると言う報告もあります。毎日足の裏をこするようにすると、この反射機能は戻り親指は背屈する様になるそうです。

足は汚い

2019.11.23 | Category: 下肢

身体の中で汚い所と言えば、排泄物の出口や手などを思い浮か べます。しかしお尻は排便後にはペーパーで拭いたり、ウォシュレット等も普及して来たので案外清潔です。それよりも汚いのは足、それも足の趾の間です。東京の城南病院の石像忠椎院長の細菌培養による調査では、下着に包まれた腹部を1とした時、靴を履いていた足の裏部で40倍、足趾の間に至っては70倍もの細菌コロニーが発生しました。足は音通考えられている以上に汚いのです。と言うのも、足は手と共に汗腺の密度が濃く汗をかきやすい部位です。しかも精神的に緊張したり興奮したりすると発汗するアポクリン性の汗が圧倒的に多いのです。アポクリン性の汗は不潔な状態にして置くと不快な悪臭を発する腋臭症の原因にもなる汗です。足の皮膚温は裸足では32℃位ですが、靴下、靴を履いて いる時37~40℃にもなります。夏場や運動をした時には48℃にまで上昇する事もあります。加えて汗をかきやすい上に靴を履いている為蒸発するのは約6割、湿度も高い為細菌が発生する最適の場所なのです。しかも顔や手と違って日中には足を洗ったりしませんから不潔度は極まります。水虫で無くてもマメに靴下を替えたり、靴下を脱いだら直ぐに足を洗う等のケアが必要です。

2019.11.22 | Category: 下肢

昔と比べて杖を突いている人が時に少なくなった様です。元気なお年寄りが増えたと言う事もあるでしょうが、杖イコール年寄りと言う悪いイメージがあるせいでしょう。手術後などに一時的に杖を使った人も、杖無しで歩ける事が回復のバロメーダーともみなされて、杖を手放して不自由を我慢する事も多い様です。二足歩行は人間の特徴ですが、二点で立位のパランスを取るのは実は大変な事なのです。ですから三本目の足としてもっと積極的に杖を使う事を奨励したいものです。足腰の一部に弱い部分が有るとその部分を補おうとする為、反対側に負担をかける事になります。それがまた痛める原因にもバランスを崩す原因にもなります。またどうしても狭まりがちだった活動範囲が杖をつく事により広がって結果的に健康的な日常をもたらす事にもなり,ます。更に肉体的な面だけで無く、杖を持つ事で、周りの対応が柔らかくなり、駅や商店等で若い人から急かされたりイライラされたりする事が無くなって外での生活がやり易くなったという効用の声も聞きます。体に合った杖の長さは手を真横に挙げて、正中線から手の爪先までの長さと言うのが目安です。材質も色も様々な物が出ていますので、オシャレ一の一部としても明るく三本目の足を使う事を患者さんに奨励したいものです。

関節液が軟骨を修復する

2019.11.21 | Category: 下肢

膝に炎症があると関節液が出て関節水腫を起こします。「膝の水を抜くと癖になる」と言う患者さんがいますが、これは炎症が改善されて無いからです。中には炎症があっても出ない場合があるので診断には注点して下さい。関節液は滑膜から分泌、吸収される循環システムになっていて、その量は1cc以下で、関節包に囲まれた関節腔の中に人っています。分泌される関節液は透明な粘り気のある液で、その成分はヒアルロン酸という酸性ムコ多糖類です。この液は関節軟骨の細胞を活性化して、すり減った硝子軟骨の表面を線維軟骨が被う様にして不完全ながらも再生するのです。線維軟骨は関節軟骨を形成する硝子軟骨ほど強くは無いのですが、膝の痛みを軽減する働きがあるのです。以前は膝の炎症や痛みがある時は鎮痛効果のあるステロイド剤を関節内に注射 をしていました。これを繰り返し使うと関節の痛みが一時的に解消されるため膝を無理して使うので軟骨を痛め、また薬剤で骨を弱くして破壊してしまう副作用があり、現在はあまり使われていません。その代わりにヒアルロン酸を関節腔に何回か注射して軟骨を修復しながら改善する事が多くなっています。整形外科では関節水腫で膝がパンパンに腫れ、膝が曲がりにくくなり、痛みがある場合はプンクといって関節液を排液しますが、私はエラスコット7サイズ(弾性包帯7.5cm×4.5m)で圧迫を加え吸収させます。また5~10㏄程度であまり痛みもなければ水中歩行やウォーキングなどで膝をよく動かせば滑膜の働きが活発になり関節液の新陳代謝は良くなり水腫も軽減していきます。

 

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