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虚血の為に壊死を起こす事を「梗塞」といいますが、梗塞までの時間は臓器によって様々です。
脳の様な代謝の激しいところでは梗塞までに4分以内といわれています。
それ以上だと局所的な梗塞が起こります。
肝臓、腎臓では1時間前後、心臓は3~4時間、四肢では8~12時間前後と言われています。という事は、心筋梗塞を起こしても実は心臓は生きているのです。
当たり前と言えば当たり前ですが、心筋梗塞により、血液が行かなくなり脳の梗塞が起きて死に至るわけです。
ところで、急速に増加している冠動脈疾患では幾つかの危、険因子があり、高インスリン血症・耐糖能異常・低HDL-コレストロール血症・高VLDL一血症・高血圧のシンドロームXとか、耐糖低化・高トリグリセライド血症・高血圧・上半身肥満の4つを合併する死の四重奏、内臓脂肪蓄積を特徴とした内臓肥満症候群等と言います。
これらの全てに関与するのがインスリン抵抗性です。インスリン抵抗性とはインスリンが血中にあるにも関わらず、ブドウ糖が筋肉細胞や脂肪細胞に取り込めない現象です。
この様な状態では脂もコレステロールの濃度も高くなり、いってみれば血はドロドロになってしまいます。
当然、この様な血液を全身に巡らせる為に心臓の拍出力が強くなる事で、心肥大を起こし心筋も厚く、硬くなる為心臓は酸素不足に陥り易くなります。
その様な身体の状態の時にストレスや睡眠不足等が重なると、脳疾患より先に冠動脈疾患を引き起こすのです。
血清尿酸値が7.0㎎/dlを超えるものを高尿酸血症といいます。
最近、高尿酸血症の患者が激増していて、いまや成人男性の5人に1人は罹っている生活習慣病なのです。
更に患者数の増加にとどまらず、発症年齢の低年齢化も進んでいます。尿酸はプリン体から作られますが、このプリン体は体内の核酸やアデノシン-3-リン酸(ATP)というエネルギー変換系で作られています。
もちろん、プリン体は摂取する食べ物からも吸収されますが、体内で作られる尿酸の中で食物中のプリン体由来はごく一部である事が分かり、高尿酸血症への影響は以前よりも言われなくなっています。
この高尿酸血症が起こる主な原因はプリン体生合成系の異常等の遺伝的素因もありますが、やはり暴飲暴食、肥満、激しい運動、ストレス等の生活習慣です。
また、高尿酸血症から痛風まで行ってしまう患者の多くは一定の性格的傾向がある事が分かってきました。つまり、常に時間的焦燥感を持ちながら精力的に活動する、そして心筋梗塞にもなりやすいタイプAの人達です。
今は血中の尿酸値はある程度、薬で抑えることができるようになりましたが、生活習慣を変えなければ根本的にはよくなりません。血清尿酸値が9.0mg/d1以上になると90%以上の人に痛風発作が起こります。
痛風発作は足の親指の付け根の関節に最も起こりますが、関節であれば身体のどこにでもあらわれます。
これは尿酸が関節内で尿酸塩になり沈着して、次第に結晶化してしまい、白血球がその結晶を異物として貪食する為に激痛を伴う炎症が起こるのです。
7~10日ほどで自然によくなることが多いのですが、放置していると、関節炎が重症化したり、腎臓の機能が低下してしまいます。
また、痛風にも他の生活習慣病と同じ様に脳血管系のリスクもある事が指摘されています。
痛風専門医が薦める改善法は飲酒の制限、総カロリーの制限、水分の充分な摂取が最も大切で、激しい運動の制限、ストレス緩和等もあげています
高血圧症の患者は最低血圧が90mmHg位の軽いものまで含めると約3000万人もいます。という事は、成人の約3分の1は高血圧症という事であり、まして不定愁訴をもって治療院にいらっしやる患者さんはこれ以上の比率になると思います。
また、高血圧症の方は他の生活習慣病の肥満、糖・脂質の代謝異常を合併している頻度が高い事も疫学的な調査で明らかなっています。
ですから、国民全体の平均血圧の高低により、動脈硬化、そして冠動脈疾患や脳血管障害がどの程度、発症するかどうかの目安になる事が分かってきました。
アメリカでは、正常血圧者を含めた全国民の拡張期の血圧をたった2mmHg減少させるだけで、冠動脈疾患のリスクを6%、脳血管障害のリスクを15%減少できるという試算も出ています。
そこで1999年にWHOと国際高血圧学会は高血圧管理指針で、正常血圧を以前よりかなり低く設定(140/90mmHg)、治療の目標値を130/85mmHg未満に降圧する様に改正したのです。
ところで、健康的に長生きしている百寿者の身体調査に面白いデータがあります。
この中で、貧血、動脈硬化、脈拍数、不整脈、心雑音、内臓機能あるいは視力、聴力等は当然ながら成人の正常値より衰えていますし、異常が認められる場合もありました。
ところが百才まで健康的に生きている全員がなんと正常血圧であったのです。
長寿を迎える前に、高血圧による脳血管障害や心臓疾患などで淘汰されてしまい、最後に残ったのが正常血圧の人達ばかりだったといえます。
いかに、血圧のコントロールが大切であるかこの調査でも納得できます。
捻挫、肉離れ、打撲等の損傷の直後に行う効果的な応急処置は、氷嚢等を用いたアイシングで、その後の回復時間も早める事になります。
アイシングの効用は1.血管を収縮させて出血や内出血を抑え血腫形成を抑制し、腫れを最小限に抑える。
2.炎症を起こす酵素や化学物質の反応を抑える。
3.障害を受けた組織は血行障害によって低酸素状態になり組織障害が進む事があるので組織の二次的ダメージを少なくする。
4.神経系の機能を低下させて疼痛を軽くする。
5.障害があると筋緊張が充進し、痛みが増したり、局所の酸素消費量が増すが、アイシングする事で筋紡錘の働きを抑え筋緊張が緩和する。
等です。
アイシングを行う時間は約20分で、1回につきそれ以上行っても意味はありません。
約20分で血管があるところまで収縮しきり、無感覚の状態になって、それ以降は体に変化が起きないのです。
そこでアイシングを外して1時間ほど開けて、血管の正常な収縮を待ってから、再びアイシングを繰り返すのです。
長時間で強力なアイシングをすると逆に血管壁の透過性が増して腫れが増大したり、無感覚になっているので凍傷が生じる事になるので注意が必要です。
またアイシングをした事で疼痛が緩和され、障害を過小評価してしまう事があるので障害の程度を把握する事は大切です。
良い姿勢とは何でしょう。ヒトが起きている状態では、頭や体幹は重力によって下前方に引っ張られますから、筋肉はその反対方向に引っ張り上げなければなりません。
その時重心が安定し、骨、靭帯、筋肉をつなぐ力が最小限の状態というのが一番疲れません。つまりそれが“良い姿勢”といわれるものです。
ですから“悪い姿勢”というのはその反対に体を上に牽引しようとする時、筋肉に余分な力を使わせる状態だといえます。
しかも筋肉だけでなく靭帯にも過度の緊張を与え続ける事になり、ひいては骨だけで無く内臓の働きや呼吸にまで悪影響を及ぼす事になります。
猫背等の習慣や癖が作った悪い姿勢では、最初はその姿勢が楽でも筋肉が不用に緊張させられていたり、反対に体を支える為に必要な力が抜けている為、疲れやすかったり、ふらついてしまいます。
一方で胸を張り背筋を伸ばしてきおつけをした状態というのは一見よい姿勢に見えますが、肩や背中に余計な緊張があって、呼吸も浅くなり、長い時間続ける事ができません。
したがって、良い姿勢というのは両足を肩幅に開き、腰の上に上半身がすっと乗り、胸、肩の力を抜き、みぞおち、下腹を真っ直ぐに立てて膝の力も抜いてリラックスして立った状態です。
いわゆる臍下丹田に重心がある状態で、重心を中心軸からそれない様にします。
膝は突っ張らずに軽く曲げ加減にすると振動が吸収されて外からの力に対してもよろけず柔軟に対処する事ができます。
しかしこうした良い姿勢を保つには下半身の力が必要で十分な下半身がなければ上半身の力を抜いて正しく支える事ができません。
加齢によって筋肉は萎縮していきます。ただし一様にではなく、上半身は比較的ゆっくりですが、下半身の筋肉は真っ先に細っていきます。
生活の中で腕を使う作業は多いのに、体全体を動かす必要が減った生活のせいで大腿四頭筋や腹筋等の大きな筋肉を使う頻度が少なくなったからでしょう。
つまり廃用性萎縮が進んでいるわけです。それを防ぐには筋肉に負荷を加えるレジスタンストレーニングが必要となります。
ウォーキングは心肺機能を鍛えて血液の循環を良くし、脂肪も燃やしてくれます。
しかも安全なので中高年に適した運動であることは間違いありません。
しかしウォーキングだけでは加齢に伴う筋肉の廃用性萎縮を防ぐ事にはならないのです。
廃用性萎縮を防ぐには常に筋肉を作り続ける事が必要で、それには最大筋力の40%以上の力を発揮しなければなりません。
筋力の10%位しか使われないウォーキングでは筋肉を維持することは難しいのです。
しかも中年のうちに筋肉を鍛えて蓄えておかないと、高齢になった時の足腰は日常生活すら維持できない位衰えていく事が予想されます。
ですから中年ではウォーキングと共にある程度の筋トレが必要なのです。
筋肉を作る筋トレは、20回反復するのがやっとという負荷を15回程度行うという事が一つの目安となります。
ダンベルやチュープなどを利用すれば便利です。しかし最初は無理をせずウォーキングの後に少しの筋トレを加え、筋力が付いてきたら負荷を上げていきます。
また関節のトラブルを避ける為には腹筋、背筋等の体を支える筋肉も鍛え、ストレッチもお忘れなく。
顔面の筋肉には表情筋と咀嚼筋があり、表情筋は骨から起始して皮膚に停止する皮筋で顔面神経がその運動を支配しています。
咀嚼筋は頭蓋骨と下顎骨をつなぐ骨格筋で三叉神経が支配しています。クーラーなどの冷たい風に当たったまま眠ったり、風邪を引いたりこめかみ等に外傷を受けたりすると顔面神経が障害を受けて麻痺を起こす事があります。
また顔面神経が頭蓋から出てくる辺りで、化膿性中耳炎や耳下腺腫等の炎症が及んだり、圧迫を受けたりしても麻痺が起こりますが、末梢神経麻痺としては最も多く見られるものです。
多くは片側に現れ、患側の顔面筋が弛緩して無表情になり、額や眉間にしわを寄せる事ができなくなります。
眼裂は異様に広く開き、特に下眼瞼は重さの為に下垂して目を閉じる事ができなくなって「兎眼」と呼ばれる状態になります。
意識してまぶたを閉じようとすると眼球が上内方に移動して、白眼をむいてしまい、これを「ベル徴候」といいます。
鼻の光は健側に引かれて歪み、鼻唇溝も薄くなり、口角が下がって発音が不明瞭になります。
口笛を吹いたり唾を吐いたり頬を膨らませるといった事もできなくなります。
これらの症状は脳卒中の後遺症など中枢性の麻痺にもみられますが、違う点は中枢性は顔面の上半分が侵される事が無くて額にしわを寄せる事ができ、顔面の他にも片麻痺がある事で末梢性と区別できます。
足の裏の痛みは比較的多いトラブルで、中でも多いのが足底筋膜炎です。
足底筋膜とは踵から土踏まず、指にかけて伸びている線維性の膜で、足底筋を保護し、踏み切りや着地の時の衝撃を吸収する働きをしています。
その足血筋膜が断裂等によって炎症を起こすと、足の裏の踵から土踏まずにかけて痛みが出ます。
歩き始めや走り始め、特に朝起きてすぐの一歩目に強い痛みが感じられます。
そのまま歩いたり走り続けたりしていると痛みは弱くなったり消えたりしますが、次の日にまた痛みが出ます。
階段の上り下りでも痛みが感じられる事もあります。
足底筋膜炎の原因としてはオーバーユースが第一と考えられますが、生まれつきの足の形の異常が原因である事も多い様です。
女性の場合、ハイヒールを履き続けていると普段から足底に過重の力がかかっている為、このトラブルに見舞われる事が多いようです。
また底が硬い靴や土踏まずの部分が低い靴を履いたり、コンクリート等の硬い道を走る事も起こりやすい条件といえます。
多くの場合、オーバーユースを避け、足の裏のマッサージやヒラメ筋や誹腹筋等のストレッチで軽快します。
足の形に原因がある場合は、靴にアーチサボートやヒールウェッジを入れるのも大変有効です。
足関節の捻挫はスポーツ外傷の中で最も多く、とくに足の構造から内反捻挫が大半です。
捻挫で靭帯が断裂していれば手術や固定等をして改善しますが、靭帯が伸びた軽度の損傷であれば靭帯自体の損傷は比較的に早く改善され、2~3日すると靭帯が伸ばされ緩んだままでつい歩き出してしまいます。
そのために足首の不安定性が残り痛みの原因になったりします。
また、内果、外果の周囲には前脛骨筋、後脛骨筋、長・短誹骨筋、第3腓骨筋等の腱が走行していますが、捻挫の時にその靴が伸び、下腿部の筋肉の張りや筋緊張で動きが悪くなったりします。
内反捻挫を繰り返す人は足関節の外側側副靭帯(前距緋靭帯・後距腓靭帯・踵誹靭帯)が緩んでいたり、足関節の外反にかかわる誹骨筋群を中心とした筋肉の調整不全の為に不安定感を訴えます。
強い不安定感を訴える人を調べると、その足関節の足根洞部(外果よりl.5cm前方の距踵関節間の凹み)付近に圧痛があり、不安定感が少ない人ほど圧痛が少ないという報告があります。
また、筋電図を用いて足関節に突然の内反を加えて誹骨筋群の反応時間を測定したところ、捻挫の回数の多い人や足根羽部付近に圧痛のある人は、正常な人に比べ反応時間が遅い傾向があるという研究報告があります。
関節加囲の靭帯には、伸張を感受する神経終末が多く分布しているといわれています。
靭帯が緩んでいると関節が動揺しやすく、更に関節内部に炎症等の刺激が起きやすくなります。
その刺激の為に神経の伝達速度に影響し、誹骨筋群の働きが低下し内反捻挫が起きやすいと考えられます。
内反捻挫癖のある人で足根羽部、外側の側副靭帯に強い圧痛のある場合はその痛みが軽くなるまで無理をしない事です。
運動する場合はテーピングや装具をして補助したり、運動後はアイシングをして炎症を抑えます。
また誹骨筋群の筋力訓練や筋調整をする事が必要です。
パソコンの弊害でよくいわれるのがVDT症候群(眼精疲労や頭痛や肩こり等)と腱鞘炎です。
長時間の入力作業が続くと手首等に痛みが出ます。特に動かすと関節部位に痛みが走ったり、指が上手く伸びなかったりしたらまずは腱鞘炎を疑います。
腱鞘は筋膜と同じ線維性の結合組織からできている筒状の構造物です。この健鞘は主に手首足首の健を包んでいます。
この鞘の内側は滑液包が非常に潤滑で腱が腱鞘の中でほとんど摩擦を受けない様になっています。
この健と健鞘の滑らかな動きが障害されて炎症を起こしているのを狭窄性腱鞘炎といいます。
腱鞘炎の中でも特に有名なのがドケルヴァン病です。
母指を繰り返し使用する結果、長母指外転筋および短母指伸筋の腱鞘に慢性炎症が起こり、橈骨(とうこつ)茎状突起付近の痛みが起こり、肥厚、瘢痕化、腱と腱鞘間の狭窄、癒着をきたします。
手作業をする人に多く、つまんだり、握ったり、タオルを絞る等の動作時に痛みが増強します。
検査法としては母指を中にして握り手首を小指側に曲げると橈骨茎状突起付近に強い痛みを感じます。
ばね指も健鞘炎でおこりますが、これは指屈筋健の膨隆又は腱鞘の肥厚により腱鞘入口部において通過障害を起こし弾発現象を呈します。
暫らく使わずにするのが良いのですが、現実にはそうはいかない為慢性的な炎症になる疾患です。