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慢性関節リウマチは、全身の関節が侵されると同時に肺、心臓、腎臓、限、消化器系等に合併症が起こります。
中でも血管や結合組織が豊富な肺では間質性肺炎・肺綴織症が、患者さんの20%~40%にみられ、特にリウマチ因子の高い患者さんによく見られます。
肺の間質とは肺胞と肺胞の間や、絹気管支の周囲、血管の周囲等がある組織全体で、一つの袋である肺を形作っているのです。
肺は弾力性がありますが、炎症が起こると肺胞を繋ぎ止めている間質の結合組織の部分が厚くなり、肺の弾力性が低下して呼吸し辛くなるのです。
これが間質性肺炎ですが原因は不明です。更に肺同質の炎症は後に線雑化を来たし、肺線維症になります。
一度この様な状態になると殆ど元に戻る事はありません。多くは何年もかかって緩やかに進行していきますが、リウマチによる関節炎の進行状態とは必ずしも一致しないので、関節の変形が酷くても肺が悪いわけではありません。
逆に関節症状が軽くても肺の症状が先に出る場合もあります。
症状は、乾性咳嗽(痰のない咳)や激しく動いた時の息切れです。
胸のX線では左右の肺の下方から白い影が出現してきて、段々上の方に広がってきます。
この頃には、呼吸機能検査(肺活量等の検査)でも異常が出てきます。更に進行すると血液中の酸素量が低下し、息切れ等の呼吸困難を感じる様になります。
改善には、リウマチと同じように悪くならない様に上手に付き合っていく事になります。
進行はゆっくりですが、息切れを感じるようになった時は、肺の働きが限界に達しています。
休息して肺に無理をかけないようにします。
じっとしていても息切れを感じるようになれば、酸素吸入が必要になってきます。
気管支には気道教があって外からの空気の温度や湿度を調節しています。
それらに剥がれ落ちた上皮細胞や細菌、ウイルス等が混じって、健康な人でも1日に100cc位の痰が作られているのですか、普通は意識されずに飲み込んでいます。
痰は例え少量でも外に出る事自体、病的な状態と考えます。
普通痰は無色透明で、卵の白身の様な状態ですが、黄色味を帯びたり緑黄色になったりすれば何らかの感染があって白血球が増えている証拠です。
細菌感染による膿性痰は生臭く、特に嫌気性菌に感染した時には特有の悪臭があります。
気管支炎や喘息では普通白っぽい粘性の痰が多いのですが、気管支喘息でも黄色い痰が出る事がありますが、これは好酸球が多いせいです。
感染があれば抗生物質、喘息では副腎皮質ステロイドが効くのでこの二つははっきり確かめなければなりません。
肺結核・気管支拡張症等の痰は黄色昧を帯びた粘液性で膿が混ざります。
また痰に血が混じる事がありますがこれはかなり深刻です。
一番には肺がんを疑いますが、肺結核、気管支の強い炎症、肺膿瘍、肺梗塞、気管支の強い炎症、気管支拡張症等もあるので早急な検査が必要です。
気管支喘息は長い間、気道の自律神経失調説が有力な発生機序であるとされていましたが、現在は好酸球浸潤を主体にした気迫炎症説が世界的にも支持されてきました。
1998年の厚生省免疫・アレルギ一研究班が作成した「喘息予防・管理ガイドライン改訂版」で喘息は以下のように定義しています。
「喘息は気道の炎症と種々の程度の気流制限により特徴づけられ、発作性の咳、喘鳴、および呼吸困難を示す。気流制限は軽度のものから致死的な高度のものまで存在して、自然に、また医療により、少なくとも部分的には可逆的である。
気道炎症には、好酸球、T細胞、肥満細胞等多くの炎症細胞の浸潤が関与し、気道粘膜上皮の損傷がみられる。
長期罹患成人喘息患者では気流制限の可逆性の低下が見られる傾向があり、しばしば気道上皮基底膜肥厚等のリモデリングを示す。
反応性のある患者では気道炎症、気遠のリモデリングは気道過敵性を伴う」としています。
上記で指摘しているように気遣粘膜上皮の損傷とリモデリングの問題が重要です。
またそれ以外にも気迫炎症により、迷走神経末端からアセチルコリン遊離に抑制的に働く受容体機能を傷害したり、気道平滑筋を拡張させる受容体機能を抑制するなどの神経系への影響を指摘している研究もあります。
長い間に炎症とその修復変化(リモデリング)の過程により気道壁が肥厚して、その肥厚により気道はより過敏になり、炎症が無くても喘息の発作を誘発する事が明かになってきているのです。
そして、次第にその過敵性を高めて行きついには致命的な発作になってしまうのです。
呼吸運動の重要な働きをしている横隔膜は胸郭の下に位置していますが支配神経は頚神経です。
これは横隔膜が頚部に発生してから下降してきた事を示しています。
ですから、横隔膜は骨格筋由来の物なのです。この横隔膜は胸腔と腹腔を隔てていてドーム状の形をしています。
この筋肉が収縮するとドームの天井が下がり胸腔が広がります。また弛緩すると天井が上がり胸腔が狭くなります。
これが腹式呼吸です。また、胸郭を形づくる肋骨の間には上下を繋ぐ肋間筋が二層になってあります。
外肋間筋は下の肋骨を持ち上げて胸郭全体を膨らませます。
一方内肋間筋は上の肋骨を引き下げて、胸郭全体を縮める働きをしています。
これが胸式呼吸なのです。
この呼吸運動はこれらの筋肉だけで無く、胸壁を取り囲んでいる筋肉群が手助けします。
胸郭を広げる筋肉群として胸鎖乳突筋、大胸筋、小胸筋、僧帽筋があり、胸郭を下げる筋肉として外直斜筋、腹直筋等があります。
もちろん、通常の静かな呼吸をしている時は息を吸いこむ筋肉だけが働いていて、胸腔は陰圧になっているので吐こうと意識しなくても息を吐き出す事ができます。
ですから、これらの呼吸運動に関わる筋肉群は運動をしなければ衰えてしまいます。
腹式呼吸やより多くの酸素を必要とする運動が呼吸筋をしっかりさせる為にも大切なのです。
咳は肺内の異物や分泌物を排除しようとする重要な生体防御反応です。
咳はあらゆる呼吸器疾患で生じる症状なので、咳の種類や状態からどのような呼吸器疾患かを診断できます。
痰を伴わない咳は乾性咳、伴う咳を湿性咳といいます。
乾性咳で、のどの痛み、鼻汁等を伴ない、のど粘膜が充血していれば急性喉頭炎、急性咽頭炎、かぜ症候群が疑われます。
乾性咳が強く長く続き、咳をした時に胸痛があれば急性気管支炎の可能性があります。
肺結核や肺腫瘍で末梢原発性の場合は、咳は無く沈黙性ですが、胸膜刺激や気管支分岐部のリンパ節刺激が生じると激しい咳が出ます。
湿性咳では、大量の膿性の痰と共に出る咳で肺化膿症、気管支拡張症、空洞肺結核、黄色または緑色の痰が伴う咳では発熱や胸痛を随伴する事が多く、化膿性細菌による上気遣炎、気管支炎、肺炎、肺結核です。
粘液性の痰を伴う咳は気管支喘息、泡沫状の痰を伴う咳は心臓喘息、血痰を伴う咳は肺がん、肺結核等です。
また、時間帯や季節による咳も診断の手がかりになります。
朝の起床時に咳が多い場合は、就眠中に分泌物が貯留する場合で気管支拡張症。就眠時に咳が多くなるのは慢性の上気道炎や気管支炎の患者で、寝入りばなに身体が温まり温度変化の影響で咳を発する事が多いのです。
夜間又は明け方に呼吸困難、起座呼吸を伴う咳は気管支喘息です。
冬に咳が増悪する場合は慢性気管支喘息、肺気腫、また寒冷刺激で上気道感染の為に咳がでます。
咳の原因となる病気は色々なので安易に咳止め薬を使う事は危険です。
長く続く様でしたら医師に相談しましょう。
肺がんの自覚症状は咳轍、喀痰、胸痛、血痰、呼吸困難感、発熱、嗄声、脊部痛、リンパ節腫脹、体重減少、腰痛、肩痛、食欲不振、全身倦怠感等々実に多彩です。
上気道感染症や一寸した身体の変調でも同じ様な症状が出るので、本人は元よりそれを鑑別する側も非常に見分けのつき難い病気だといえます。
しかも早期では無症状の場合も多く、検診や他の疾患でたまたま撮った胸部レントゲンで発見されるケースカ哨半数もあるという報告があります。
一方、肺がんの胸部レントゲンでも20%は見逃されてしまうという疫学的報告もあります。この場合は同時に行なった喀痰細胞診で見つかったそうです。
また、肺がんは他のがんと比較しても非常に転移しやすいという恐い特徴があります。
肝臓、副腎、脳、骨等に転移します。つまり肺がんは最も予後不良のがんであると言えます。
しかし早期に発見されれば5年以上の生存率も50%以上になってきました。
ですから早期発見が大切なのです。
高いリスクの高齢者や喫煙者ばかりで無く、非喫煙者も年々肺がんは増えて来ていますので、検診を定期的に受ける事がなにより必要です。
特に咳や痰の自覚症状のある方は、通常の胸部レントゲンだけで無く喀痰細胞診断を受ける事をお薦めします。
努力呼吸、胸郭、頚部、肩部の呼吸補助筋群が働きます。また吸気時に鎖骨上窩や下部肋間の陥没がみられます。
速くて浅い呼吸
呼吸数が1分間に24回以上で浅い呼吸。-回の換気量は減少し換気効率も低下します。これらの呼吸は気道の病変では無く、肺炎等の肺実質あるいは間質病変が考えられます。
速くて深い呼吸
過換気症候詳にみられるパターンです。器質的疾患というより精神的な原因で起ります。過換気の為血液の炭酸ガスが減少し,呼吸性アルカローシスになります。
喘鳴を伴い呼気延長のみられる呼吸気道の閉塞か狭窄が起こった時にみられます。この呼吸パターンは気管支喘息では必ず起こります。
起坐呼吸
寝る姿勢で呼吸が苦しくなる為に起きて呼吸します。気管支喘息やうっ血性心不全等でみられます。
呼吸リズムの異常
脳疾患や代謝疾患等の特殊な病状の時に起こります。
1)チェーン・ストーク呼吸
浅い呼吸から深い呼吸の繰り返し、その間に無呼吸の状態が15~40秒間続きます。
心臓、肺、脳などの末期的状態にみられます。
2)ビオー呼吸
速く深い呼吸と10~30秒間の無呼吸が交互に現れます。髄膜炎などの脳脊髄膜疾患で現われます。
3)クスマウル呼吸
深いゆっくりした規則的な呼吸。尿毒症や糖尿病等で起こります。
昔インフルエンザに薬は効かないというのが常識でしたが、今は検査、改善ともに有効なインフルエンザ薬が出ています。
抗インフルエンザ薬では’98年末に認可されたアマンタジンがありますが、A型のウイルスにしか効かず副作用として神経症状や胃腸症状が問題になっていました。
鼻に噴霧して使用するザナミビル(商品名リレンザ)はA型、B型のウイルスに有効で副作用もほとんど報告されていません。
ただし発症したらすぐに処方してもらわなければ効果薄です。
またインフルエンザウイルスかどうかを簡単に調べるキット「ディレクティジェンドFluA(インフルエンザA抗原検出用キット)」も開発されています。
鼻の粘膜を綿棒などでこすって調べます。15分から20分で結果がわかり、85~90%の確実性です。このキットを持つ病院で調べてもらえます。
その年のインフルエンザの流行は、前シーズンの流行状況や夏の天候などによってある程度予測されますが、2015年冬から2016年の春にかけて、A型であるA香港型(AH3N2亜型)とA-H1N12009型、B型検出されました。2016年の冬も同じタイプが流行すると予想されます。
気管は10~12 cmの長さで喉頭の下に続き、馬蹄形の硝子軟骨が16~20個連なり、それを輪状靫帯というしっかりした靫帯構造で繋いで空気を確実に導ける様になっています。
気管の後壁には軟骨が無く、膜性壁という結合組織や筋によって閉ざされ、この膜性壁は収縮する事で気管腔を約25%も狭める事ができるのです。
この気管筋は平滑筋で自律神経の支配を受け、交感神経の興奮で気管支が拡張し、副交感神経の興奮で収縮します。
気管筋が収縮すると気管内壁に縦ヒダが現れ、ヒダの間には漿液一粘液腺である気管腺が開口しています。
気管の内壁は粘膜になっていて、粘液を出す杯細胞を伴う2列繊毛上皮からなり、粘液に吸着されたほこりは時間と共に咽頭へ送り出されて痰として排出されます。
気管に続く左右の気管支は第五胸椎の高さで50~100°の角度で分かれ、右気管支は左に比べて太く垂直に近い角度で降り、左気管支はむしろ側方へ走っています。
左側には下方に心臓があるのと、左気管支の上部を大動脈弓がぐるっと乗り越えて行く様な構造になっているせいで細く、気管に入った異物が転がり込む割合は右と左で7対3になっています。
気管支の分岐部は呼気など横隔膜の弛緩によって約5cmも上昇し、吸気のときには沈下します。
分岐角は横隔膜が沈下した時に小さくなり、上昇すると5~16°も開くのです。
減少を続けていた結核が平成9年以来増加に転じた為厚生労働省は平成11年に絡咳非常事態宣言を出して警戒を呼びかけました。
幸い平成12年の新結核患者は4年振りに減少しましたが、油断できない状態は続いています。
結核の増加は先進国を含めた世界的な傾向ですが、10万人あたりの罹患率は米国の5倍と、日本は先進国の中でも特に高いのが現状です。
特に高齢者の罹患率(肺以外の結核含む)では70~79才で87.2、80才以上では130.1と非常な高率になっています。
現在の60才以上は多くが結核菌を持っている人達で、この高齢者の老化が進めば日和見的に発症する人が多くなるのは避けられません。
しかも高齢者の結核の特徴として、呼吸器症状を訴えないで、全身倦怠感、体重減少、食欲不振等を訴える事が多くあり、結核と診断し難い事が挙げられます。
日本での結核の正診率は案外低く、剖検してから発見される結核も少なくありません。
こうした結核症の増加の原因は、結核を過去の病気とみる医療従事者や行政、国民の油断が第一にあります。
その為集団感染や発見の遅れを引き起こすのです。
高齢者はもちろん、若くても咳が2週間以上続いたり、微熱が続く様であれば、風邪だと思い込まずに結核も頭に入れて検査すべきです。