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気管、気管支、肺に発生する肺がんは、できる場所によって中心型(肺門郎)と末梢型(肺野郎)に大別されます。
がんの種類としては大きく分けると、①腺がん(47.6%)②扁平上皮がん(34.2%)③小細胞がん(9.9%)④大細胞がん(6.5%)となっていて、この4種で肺がんの97%以上を占めています。
この他にも腺扁平上皮がん、カルチノイド、腺様嚢胞がん、粘表皮がん、がん肉腫、といった肺がんがあります。
腺がんは祚の奥のほうにできる末梢型肺がんで、女性が男性の2倍も発生しやすいといわれていますが、最近は男女ともに急増していて、扁平上皮がんとの差を拡げています。
その初期は無症状で、エックス線検査で発見されることが多く、進行は遅いものの悪性度が高いのです。
ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれるススや芳香族有機化合物、間接喫煙や大気汚染がその元凶だと見なされていますが、女性のほうが倍も多いというのはホルモンなど女性特有の要因があるのではないかと考えられます。
扁平上皮がんは中枢の太い気管支に発生しやすく、タバコが最大の要因といわれ、これも増加傾向にあります。
咳、痰、血痰などの症状があります。喀痰検査で発見され、進行はやや速いものの悪性度は低くて転移も少ないがんです。
小細胞がんは主に中心部に発生、無症状で発見が困難で、進行が速くて転移もしやすい最も治りにくい肺がんです。
大細胞がんは中心にも末梢にも発生、抗ガン剤があまり効かず、進行が遠く転移も非常に多いがんです。
慢性閉塞性肺疾患とは、肺気腫と慢性気管支炎(両方が混じったものも)をさします。
統計では日本での患者数は22万人、死亡率は9.6(人口10万人に対し)となっていますが、実際の患者数はもっと多いはずで、さらに増えていくとみられています。
というのも、統計上の死因はこの疾患に併発しやすい肺炎や喘息、肺がん、心筋梗塞などと記載されることが多く、基礎疾患としての慢性閉塞性肺疾患の認識が低いからです。
肺気腫は肺胞が破壊されるもので、慢性気管支炎は気管支での粘液の過剰分泌がおこり、痰をともなった咳が続きます。
このふたつの病理は違ってみえますが、閉塞性の呼吸障害という点でひとつにくくられます。
慢性閉塞性肺疾患は、軽い場合には器質的な異常ははっきりせず、胸部X線も正常です。肺活量測定によって強制呼気の気流が滅少していることがわかるくらいですから、診断もしにくいのです。
しかし病気が進行していくと呼吸困難が自覚され、労作時に息切れするようになり、最後には会話や着衣などの日常生活でも息切れをするようになります。
そして上記のような直接の死因となるような疾患を併発する・ようになります。
その原因の第一は喫煙で、喫煙者の約10~15%が慢性閉塞性肺疾患になるとみられています。
また喫煙者は加齢にともなうて肺機能の低下は加速度的で、当然タバコの本数が多いほど機能の低下もひどいといえます。
呼吸は延髄にある呼気と吸気の中枢の支配を受けて呼吸運動が起こります。
また、肺迷走神経反射(ヘーリング・ブロイエル反射)により、呼吸運動は規則正しいリズムに調節されています。
肺が膨張すると吸気が抑制され、肺が収縮すると吸気促進に働きます。
ところがこの様な呼吸運動の調節が上手くいかないと息苦しいという自覚症状つまり呼吸困難になります。
呼吸困難の発生には血液化学成分の変化(酸素低下や炭酸ガスの増加、pH低下)、換気の機械的因子の変化(換気仕事量の増大、胸腔内圧の増大)、肺循環障害(肺うっ血)、神経性因子(心因性)、中枢性の連続刺激等が考えられています。
しかし、これらの原因が必ずしも呼吸困難になるとは限りません。
そこで、最近注目されているのに、気道内受容体説があります。
これは気道内や肺実質内にある刺激受容体、肺胞壁にある傍肺胞受容体、呼吸筋にある筋紡錘、頚動脈球や呼吸中枢による化学受容体にー度に複数の刺激が伝わると、呼吸困難が発生するというものです。
これらの受容体を刺激する病気があれば呼吸困難が現れるのです。突然起こる場合は、肺塞栓症、自然気胸、異物誤飲、心筋梗塞が考えられます。
咳や痰などがあった1~2日後で起こった場合は、気管支喘息、急性肺炎、肺水腫、うっ血性心不全があります。
また、慢性の呼吸困難には、肺気腫、びまん性汎細気管支炎、間質性肺炎等があります。これらの呼吸困難は労作時の息切れ等から始まって呼吸困難になります。
呼吸困難の強さの分類(Hugh-Jones)
1度―同年代の健康な人と同様に仕事ができ、歩行、階段の昇降も健康な人と同様にできる。
2度―平地では同年代の健康な人と同様に歩行できるが、坂や階段は健康な人と同じ速さでは歩けない
3度―平地でさえも健康な人と同じ速度では歩けないが、自分のペースでならば1㎞以上歩く事ができる
4度―休みながらでなければ、50m歩けない
5度―話をしたり、着物を脱いだり、身の回りの事をするにも息切れがする
睡眠は、脳や身体の疲労回復をする為に必要な生理現象で、心身の養生として基本的な事です。
生体には、午後1~2時頃の小さな眠気と夜間の大きな眠気が12回あり、それが自然な睡眠リズムです。
夜間の睡眠では深い眠りが起きる最初の3時間に成長ホルモンが分泌されます。
このホルモンは思春期の身体作りに必要ですが、その後も脳や身体の組織の修復、強化、増殖には欠かせません。
しかし加齢が進むと眠りが浅くなり、このホルモンの分泌が減少してくるので、夜の睡眠をしっかり取る事が養生に繋がってくるのです。
夜の深い睡眠をとるひとつとして15~30分の昼寝です。
老人大学という高齢者の集まりで、心理テストから意欲的なグループと消極的なグループを選び、睡眠の状態を調べたところ、意欲的なグループの方が昼寝を取る率が高かったのです。
更に昼寝には決まった時間に取る積極的昼寝と襲って来る眠気に負けて昼寝を取る消極的昼寝があり、老人を二つのグループに分けて、夜間の睡眠の状態を調べたところ、積極的昼寝をとった方が、不眠の訴えが少ない事が分かりました。
睡眠リズムをきっちり守る事で、夜の睡眠がスムーズに行くからと考えられています。
また睡眠には体温リズムも関係し、昼間活動的に運動すると体温は上昇し、夜になると低下しますが、その変動が大きい程熟睡できます。
運動する時間帯は最も活動が高まる午後が良いとされています。
最近では2000~3000ルクスの人工光線が人の生体リズムを強く同調させる事が分かり、昼間の太陽光線を浴びる事が夜間の深い睡眠を取る為には必要不可欠なのです。
この事からも日中は活動的に運動をし、趣味を持つ等意欲的な生活で生体リズムを強化する事で、質の良い睡眠をしっかり取ることが養生に繋がるのです。
運動して筋肉を鍛える事は全身の養生になります。
筋肉は第2の心臓といわれるように心臓循癩器系に影響しています。
特に筋肉の70%が脚にあるのでウォーキング等で下半身を鍛える事は重要です。脚の血液は静脈の静脈弁が逆流を防ぎながら、筋肉ポンプ作用で心臓に戻ります。
老いは足腰からといわれますが、その筋肉が衰え減少してくると筋肉ポンプ作用も低下して、心臓に負担をかけて血圧の上昇に繋がるので、下肢の筋肉を鍛える事が養生になるのです。
また、歩いたり、立ったり、座ったり、交互に手と足を動かす、身体のバランスを取る等、脚、腰、背中等の筋肉や腱から、身体の姿勢を正そうとし脳に情報が行き、その刺激が脳の活性にも役立つのです。
運動不足でその情報が少なくなってくると脳の機能低下の原因になったり、起立時にバランスを崩して転倒し、骨折を起こす危険が増加するのです。
女性では閉経後に骨組夥症対策として、食べ物からカルシウムを摂りますが、その吸収を良くする為には適度な運動が重要です。
運動をして荷重をかけると骨芽細胞の活性化と骨の圧電位の発生により骨形成が促されるのです。
閉経後の女性が1日平均25分以上のウォーキングをする事で骨量の低下を防止するだけで無く増加させたという研究報告があります。
ウォーキングは下半身の筋肉増強、骨の強化と共に血液循環を改善し、脳の活性化に役立つ養生法です。
草花や野菜を植えたり年間を通じて植物の世話をしていく事は、入の心にゆとりと安らぎ、楽しみとやりがいを与えてくれます。
ガーデニングのこういった養生効果は欧米では古くから知られていて、医療や福祉の現場で改善やリハビリテーションを目的として植物や園芸作業を用いるのが園芸療法(ホーティカルチャー・セラピー)です。
老人ホームや身体障害者や知的障害者の施設、精神病院などで実際に活用され、大いに効果を上げています。
もともとアメリカでは傷痍軍人の社会復帰を目指す為の方法として行われ、その指導にあたる人の資格として園芸療法士の制度が設けられました。
ヨーロッパでは園芸療法士の資格制度はありませんが、それに準ずる人たちが指導を行い、日本ではリハビリテーションの一環として作業療法の中に園芸作業があります。
さて最近の日本でブームになっているガーデニングですが、世の中が不況になり騒然としてくればくる程、人は身近に安らげるものを求める傾向にあります。
遠出をしなくても戸外で自然に触れ、美しい草花に接する事ができれば、人は不安やストレスが随分と癒やされます。
植物の香りを嗅ぐといい気分になったり気持ちが落ち着いたり、実際に血圧が下がる等身体面でも効果が現れるので、身近な養生法として期待できます。
日本でも馴染みになった「薬膳」ですが、初めて薬膳という言葉が使われたのは中国でも1970年頃。1980年に漢方薬店が漢方に沿ったスタミナ健康食のレストランが最初の薬膳レストランだといいますから、案外新しい言葉です。
とはいえ、中国では既に3000年前から食物によって病気を予防したり改善させる医師が一番の名医だという考え方がある様に、食養の考え方は現代に至って薬膳として結実しているわけです。
薬膳では日常の食品や薬草のひとつひとつには五味(酸・苦・甘・辛・鍼)と四気(熱・温・(平)・涼・寒)があるとして、これらのバランスを重視します。
それも単なるバランスを取るというよりも陰陽五行の木火土金水に対応して、相生相剋の関係として考えていきます。
この五味四気は西洋医学的に証明されているわけではありませんが、経験則として積み重ねられてきたものです。
寒の食べ物は熱の食べ物と合わせる事でその害を無くしたり、暑い季節は「冷」の、寒い季節は「熱」の食べ物を、更には人の陰陽、虚実にも対応させて処方していきます。
また薬膳は単に漢方薬を料理に加えて料理したものではありません。
組み合わせが正しくなければ時としてマイナスに作用する場合があり、それは薬膳でも同様です。
薬膳では病気療養の為の「食療」と病気にならない様にする「食養」とがあります。
中国では改善を目的として処方される事が多い様ですが、日本では食養という面で受け入れられているといえます。
中国の気功法は調心、調息、調身によって心身のバランスを安定したものにするという考えが基本にあります。
ところで、天台宗の開祖である中国の智者大師はこの三つに飲食と睡眠を加えて、五つの調和と調節を坐禅の修業に採り入れました。
その修行の為の手引きになるのが「天台小止観」で、心と身体の調節法として、具体的な養生法ともいえるのです。
この天台小止観を下敷きにしてこの坐禅のやり方や心構えを説いた日本の書物で有名なのが道元禅師の「普勧坐禅儀」や恵心僧都「止観坐禅記」等です。
これらは坐禅を主眼にして説いていますが、これに対して調息を主眼にしているのが江戸時代の白隠禅師の「夜船閑話(やせんかんな)」です。
この中で呼吸法の重要性と身体の上虚下実の実現の為の臍下丹田を充実させる事の大切さを説いています。
また、軟酥の法は現在の自律訓練法等共通するイメージトレーニング法です。
軟酥という微妙な色合いと清々しい香りの妙薬が自分の頭の上にあると念じて、その軟酥に頭の先から次第につま先までゆっくり溶けて行く事を想像する様にします。
この時に身体の中の五臓六腑の滞りや痛みやしこりがすべて流れ落ちる事をイメージします。
その流れ出て行く音が聞こえ、それが全身を降りて行き、次第に両脚が温かくなる様に想像します。
このイメージを何度も繰り返すと心身とも軽やかになり、気血の滞りも消えて、内臓は調和して、皮膚も光沢を増して行くと説いています。
温泉国である日本ですが、一般の人が湯治など、病気療養に温泉を利用する様になったのは江戸時代辺りからです。
それが明治時代になって西洋医学的に温泉の効用が理解される様になり、研究も進みました。
しかし戦後、薬物療法や外科療法の発達で療法としての温泉利用は下火になりましたが、生活習慣病や人口の高齢化等によって補助療法としての温泉が再認識される様になっています。
日本よりも温泉医療として進んでいるドイツやフランスの研究が影響しています。
一口に温泉といっても、その定義は・(温泉源から採取する時の)温度が25℃以上・溶けている物質(ガス性でない物)の総量が1000㎎/kg以上のどちらかを満たす物となっています。
そこで、成分限や質、組成の面で薬理学的にいっても療養効果があると見られる温泉は療養泉として区別され、環境庁自然保護局監修・鉱泉分析法指針として基準が決められています。
泉質名が付いている温泉は療養泉の基準を満たしているという事で、効能を謳っていても泉質名が付いていない温泉は療養泉では無いという事になります。
分類の仕方は昭和53年に改定されて以来、新旧の表示が混在していますが、一般的には単純泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、鉄泉、硫黄泉、酸性泉、放射能泉の9種類に分けられている事が多い様です。
それぞれの泉質によって効能に違いはありますが、神経痛・筋肉、関節痛・関節のこわばり・五十肩・運動障害・打ち身・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え性・病後回復期・疲労回復・健康増進等に効用があります。
禁忌症状としては急性疾患(特に発熱時)・活動性の結核・悪性腫瘍・重い心臓病や腎臓病・呼吸不全・高度の貧血・妊娠中(特に初期と末期)・感染症・衰弱・栄養不良等があります。
タラソテラピーとは「タラサ:海」ギリシャ語と「テラピー:療法」フランス語からの造語で、古代バビロニアに始まりギリシャ・ローマ時代後に一旦衰退、再び17世紀に盛んになりました。
1961年にフランス厚生省が「海水や海藻や海洋性気候のテラピー効果を、改善目的に使用する自然療法」と定義し、欧州ではリハビリテーション技術を取り入れた方法及び養生法として広く知られています。
フランスを主にヨーロッパには80ケ所に昇るタラソテラピーセンターがあり、リウマチや脳疾患等の後遺症のリハビリテーションを行う病院やリハビリセンター、保養や体力向上やストレス解消‥の養生を目的として家族で利用できる健康増進センター、美顔や美容などエステティックを目的とする美容センターの3種があります。
各センターには専門医が常駐し、23種類の基本療法から各人に合った個別プログラムが組まれます。
主な療法にはプールを利用した入浴療法や運動療法、海藻や海泥に浸かったりパックする海藻・海泥療法、海産物による食事療法や日光浴・砂浴もあり、加えて理学療法・作業療法、心理・色彩・音楽・芳香等の療法が組み合わされて行われます。
環境の良い海岸に在るこれらのセンターはホテルとの併設も多く、利用者が心身共にリラックスできる様に配慮され、健康増進センターには多くの利用者が養生を目的に訪れます。
日本で行われている海洋療法は湯治の一部として行われ、汐湯湯治・汐蒸し風呂・カジメ(海藻)湯などがあり、指宿温泉の砂風呂は有名です。しかし一般にはタラソテラピーというとエステの海藻や泥パックなど美容目的との印象が強く、療法や養生に活用されていないのが現状です。