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アトピー性皮膚炎と同じ様に免疫が関与していると考えられている皮膚病に乾癬がありますが、はっきりした原因は不明です。
乾榔には尋常性乾癬が最も多く、中には難病指定されている膿胞性乾癬があります。
患者さんは10万人と推定され、働き盛りの人に多く、2:1の割合で男性に多い疾患です。
乾癬は慢性非伝染性の皮膚病で、炎症性角化症の代表的なものです。
皮膚の真皮部分で起こる「炎症」と、皮膚の表皮や角層も分厚くなる「角化症」が同時に起こって来る皮膚症状を指します。
正常な皮膚細胞の新陳代謝は、約28日かかりますが、7~10倍の速さで分裂増殖し表皮が分厚くなります。
結果としてうろこ状の鱗屑(りんせつ・かさぷた)が形成される事になります。爪を含む皮膚の全ての部位に現れ、特に症状が出やすいのは、肘、膝、腰、頭等です。
激しい痒みと、ボロボロと剥がれ落ちる鱗屑を伴う赤斑あるいは平らな盛りあがりを特徴として、痛みを伴う場合があります。
最近の研究で角層を調べたところ、そこに白血球を引き寄せる活性物質を沢山見つけたのです。
この物質は免疫反応の結果できる「活性ペプチド」という物質である事が分かり、そこで臓器移植の際に拒絶反応を抑える為に使われる免疫抑制剤「シクロスポリン」が、この病気に効く事が分かり免疫が関与していると考えられているのです。
働き盛りの男性に多いこの疾患は症状が人目に付きやすい割にはあまり知られていない為、社会的な偏見が生まれがちです。
その昔、中国の漆職人は子供の頃から毎日漆を舐めて漆にかぶれ無い様な体質を作ったと言われています。
医学知識が無くても経験に基づく知恵で、アレルギー物質を経口で摂取するとアレルギー反応が出にくいという「経口免疫寛容」を利用していたのです。
]腸管は食べ物の栄養を吸収し同時に病原体は排除するという相反する働きがあります。
食餌として摂られた蛋白質は異物ですが、腸粘膜から吸収される時は過剰な免疫反応を抑える抑制T細胞が働き、lgE抗体や感作リンパ球が作られない仕組みになっています。
食品アレルギーはよく乳幼児に見られますが、乳幼児の腸管免疫系は充分に完成していない為、免疫系に存在するアレルギー抑止機構が上手く働かないのです。
アレルギー疾患の問題に取り組む東大医学部の奥平医師は、この「経口免疫寛容」を応用して、気管支喘息の患者17人にダニ成分入りのカプセルを経口投与する実験を行いました。
約12週間毎日飲んだ思者たちの半数が喘息発作を起こさ無くなり、後の半数も症状が軽くなったと言います。
アメリカでは慢性関節リウマチや多発性硬化症といった自己免疫疾患の患者に自己抗原の経口投与を行い、FDA(米国食品・医薬品局)の認可も下りて本格化しています。
ダニの様な原因物質丸ごとで無くても、抗原を細分解し部分に手を加えた人工物質でも同様の効果があるのです。免疫病の方法の一つとして大いに有望視されています。
ストレッチ運動の必要性はその柔軟な筋肉に取り戻す為に行われ、ウォーミングアップやクールダウンとしてスポーツでは欠かせません。
例えば、ジョギングを暫くすると上体を真っ直ぐに保つ為に直立反射が働き、背筋群の緊張が高まりますので、背筋群の柔軟性は失われて、立位体前屈の可動域は低下します。
そこで背筋詳を伸ばす為のストレッチを数回繰り返すと柔軟性が回復します。
また、もう一つストレッチの重要な役割として、筋紡錘への働きかけがあります。
筋紡錘は筋肉の伸びをキャッチするセンサーの働きをしていますので、神経を介して脳に筋肉がもっと伸びたいという指令を送ります。
このストレッチの運動により筋肉と脳との命令のやり取りが続けられる事で、より円滑な運動が出来るようになります。
ところで、見かけは筋肉が柔らかである様に見える事があります。
運動を余りしない中高年者の中で特に肥満傾向のある人にその様な事が起こりますので要注意です。
立位体前屈をすると床に手のひらまで着いてしまう様な場合です。
これは生まれつき筋肉が柔らかなのでは無く、単に背筋群の張力が低下して背筋の抵抗力が無い為に、前屈に無抵抗になった為に曲がる様になるのです。
ですから柔軟でありながらしっかり張力レッチだけでは無くある程度の負荷のある運動も必要な訳です。
ウイルスに効く薬は無いというのが一般的ですが、インフルエンザ関しては効果があるとされる薬が認可されています。
抗インフルエンザウイルス薬としてアマンタジン(製品名シンメトレル)という薬がありましたが、A型のインフルエンザウイルスにしか効かない事や、副作用が強い為に使用が限られていました。
その後認可されたザナミビル(製品名リレンザ)はA、B型全てのタイプのインフルエンザウイルスに効果がある事、ほとんど副作用がないという事で使用が盛んになりました。
発症後48時間以内だったら発症期間を短くすることができます。海外の臨床試験ではザナミビルを投与していると症状が軽い事、症状の緩和が早いこと、解熱作用が優れている事、インフルエンザによる合併症が少なくなる(抗生剤の使用が少なくて済む)こと、副作用がほとんど無い事、等が実証されています。
またウイルスの変異に影響されずに効力を発揮する事等の利点もあります。
予防的に使用しても有効です。ただこの薬は投与方法が経口ではなく、吸入する方法をとります。薬を吸入する方法は喘息以外にはあまり無いのですが、ザナミビルの場合吸入する事で薬が感染部位の気道に直接作用するので作用が早く、全身への影響が少なくてすむのです。
その後スイスのロシュ社から発売されたオセルタミビル(製品名タミフル)に今は代わり使用が頻繁になっています。
しかしオセルタミビル乱用により耐性の問題が明るみになり、抗ウイルス剤の本当の発現はまだ道半ばです。
味は味蕾(みらい)で感知されて味神経を介して大脳に伝えられます。
ですから、その経路に何らかの障害がおきれば味がわからなくなってしまいます。
味覚障害のもっとも多い原因は亜鉛不足によるもので、次ぎは薬剤の副作用ですがこれも体内の亜鉛を薬が吸収してしまうからです。
亜鉛不足が味覚障害を起こすのは味細胞の特徴と関係があります。
味蕾のある味細胞は大変新陳代謝が激しい細胞なのです。
この様な細胞は新生細胞に必要な蛋白質合成が盛んに行われているので、その合成に必要な酵素が充分に供給されなければ合成は上手く行きません。
この酵素には亜鉛が必要です。その為、亜鉛が欠乏すると、味細胞の様な蛋白質合成の盛んな細胞が真っ先にやられてしまうのです。
亜鉛は身体の微量金属元素の中で鉄に次いで多い金属です。
成人男子で約2gあり、50%は血液中に、骨や皮膚に25%、その他は、膵臓、眼、男性性器や精子中に見出されます。
膵臓に亜鉛があるのはインシュリンの構造の一部であるからです。
ですから糖尿病患者は亜鉛不足に陥りやすいのです。現在までに100種類以上に昇る亜鉛酵素や亜鉛蛋白質が発見されているように、身体にとって非常に重要な微量金属元素と言えます。
特に中高年者は亜鉛不足に陥り易いといわれています。
インシュリンを大量に必要とする食生活や亜鉛を尿で流してしまうアルコール。
また、複数の薬剤服用、冷凍野菜や加工食品のポリリン酸の様に亜鉛と結合しやすい添加物等も亜鉛不足を加速させているのです。
同じ様な生活や環境であってもある人は病気になり、ある人は健康です。それは偶然と言うよりも、遺伝子のせいだといえます。
ヒトゲノムの解析が終わり遺伝子の研究が進むにつれて、ほとんどの病気が遺伝子と関係があると言う事が分かってきています。
ひとつの遺伝子の変異や異常が、ある病気と一対一の関係をもつ遺伝性の疾患は1万種類以上といわれますが、既にその約70%がどの遺伝子に対応しているのかが分かっています。
しかしヒトのゲノム配列は個々人で微妙な違いを持っています。
それが多型と呼ばれる違いで、一対一に結び付かないまでもある種の病気のなりやすさの原因になっているのです。
例えば高血圧の原因には水一電解質代謝の不具合、交感神経系の影響、インスリン関連等が複雑に絡み合っていますが、それら本態性高血圧と関連があると見られる候補遺伝子だけでも20以上があるのです。
個人によっては複数の多型を持つ事も多く、そう言う人は生活習慣のリスク(喫煙、肥満など)が相乗的に働いて生活習慣病になってしまいます。
ある人にとっては食塩を減らせば血圧が下がるのに別の人では下がり難い、と言う様に個人によって違いが出て来るのもこの遺伝子の多型によるのです。
糖尿病をはじめ、生活習慣病と言われる疾患はこの遺伝子の多型が関連している事は間違いない様です。
今は遺伝子診断によって自分の遺伝子の型が分かってコントロールの参考にします。
眼球の角膜や水晶体・硝子体には光の透過性を保つ為に血管がなく、これらは毛様体動脈から浸出するリンパ液からなる眼房水によってのみ栄養されています。
眼房水は毛様体で少しずつ作られ、その分少しずつ排出されて常に眼圧は10~20㎜Hgに保たれています。毛細血管圧と連動はしているものの高血圧者の眼圧でも決して高くはなりません。
眼房水の出口管がなんらかの理由で閉塞したり細くなって流入と流出のバランスが崩れると眼圧が徐々に高くなってきます。
25㎜Hg を越えると、強い眼圧で押されて視神経が障害を起こし、瞳孔が広がって物を見る時に焦点が合わ無くなり、激しい眼の痛みや頭痛・吐き気を伴う緑内障発作を起こします。
一刻を争うのは、結膜の充血・浮腫や角膜の浮腫・混濁があり対光反射が消失している場合で、失明の危険がある為深夜でも眼科的応急処置が必要です。
緑内障は中高年期以降に起こる事が多く、加齢は緑内障の大きな原因と考えられ、神経質な女性に多く発症します。
心身の疲労や睡眠不足等が誘因となり、最初は片方の眼だけですが時間が経つと両方に症状が現れてきます。
緑内障かどうか簡単に眼圧を調べるには、患者さんに閉瞼してもらって上眼瞼の上から両手の人差し指で左右の眼球を交互に圧迫し、指先に感じる波動の状態を感じる方法があります。
緑内障があれば硬く、石ころを触っている様にカチカチに感じる事が多い様です。
食欲調節の機能は視床下部の摂食中枢と満腹中枢にありますが、そのメカニズムは、脳液の中にある液性因子と、神経を介する調節によります。
食欲中枢を刺激する液性因子としては30種類以上が見つかっています。
その内の一つのブドウ糖と食欲調節機構を関係をみてみます。
何かを食べると血糖値が上昇して行きます。
例え蛋白質しか食べ無くても体内アミノ酸からブドウ糖が合成されますので、いずれにしても視床下部周辺の毛細血管中でもブドウ糖濃度が高くなります。
血管壁を通過したブドウ糖が視床下部を被っている液中に入ると、満腹中枢の中のブドウ糖感受性神経が興奮して、満腹惑が生まれます。
また摂取中枢側にもプドウ糖受容神経(ブドウ糖により抑制される神経)が働き摂食を抑制します。
また、神経を介した食欲調節は味、匂い、色、形、食感等の情報はそれぞれの感覚器で感知され大脳皮質連合野で統合されます。
その情報は更に扁桃体に送られ、そこで過去の食体験と照合され良し悪しの情報、つまり快・不快のいずれかに決定されます。
快感をもたらす情報は摂食中枢を刺激させ、不快感をもたらすものは満腹中枢を刺激させ摂食を中止させるのです。
まずい物を食べると食欲が落ちるのはその為なのです。
不快な雰囲気も食べ物と共に快・不快を修飾しますので食欲は減退してしまうのです。
乳がんや子宮がん、前立腺がん等の手術で胱高やソケイ部のリンパ節を除去した為に、腕や脚のリンパ管の通り道が阻害されてむくむ、「リンパ浮腫」の後遺症で悩んでいる人が2万人以上と言われています。
リンパ液はバイパスを使って少しでも心臓に戻ろうとしますが、徐々に組織間隙の蛋白質濃度が高まり膠質浸透圧のバランスが崩れ、血管内の水分が引き付けられ、末端から浮腫が始まります。
進行すると蛋白質が変性、沈着して皮膚や組織は次第に硬くなり、体毛も硬くなってきます。この浮腫はマッサージ(リンパドレナージ)によって軽減効果が得られます。
一般の求心性マッサージとは異なり、中枢から行うのが原則です。患部にリンパ液が滞留しているので中枢側の滞るリンパ液を排液してリンパ液の通路を確保してから、末梢から中枢に向かってマッサージをします。
順番としては体内のリンパ液はリンパ輸送管を介して、頚静脈に入り心臓に注ぐので、頚部のマッサージからはじまり、次に胸腹部、腋窩またはソケイ部、次いで患部の腕は上腕→前腕→手指、脚は臀部→大腿→下腿→足指と中枢側からマッサージするのです。
また、蛋白質や脂肪が繊維化している場合は、揉みほぐす様なテクニックが必要になります。
浮腫が軽くなった状態を保つ為に弾性ストッキングや腕に装着する弾性スリーブなど外部からの圧を加える事も有効です。
合併症として浮腫から菌が入り込み、激しい炎症を起こす蜂窩織炎に注意が必要です。
年をとると筋肉置が減るだけで無く、筋線維の構成が変化し、速筋が少なく、遅筋の割合が多くなります。
筋肉量が減るのは筋線維が失われるためで、残った筋線維を太くする事は出来ても、加齢による線維数の減少を止める事は出来ません。
脳細胞が死んで行くのと同様に筋線維を支配する脊髄から出ている運動ニューロンも変化し、死んで行きますが、するとその筋線維も死んで行くので筋線維の減少は止められないのです。
ただし運動ニューロンが死んでも別の運動ニューロンに支配される事があって、そうなればその筋線維は生き延びる事になります。
しかし、例えば本来は速筋である筋線維が遅筋を支配していたニューロンに支配される様になると遅筋的な刺激を受けるようになり、速筋が遅筋の様になっていくのです。
逆もまた真です。
ただ、速筋は遅筋に比べて萎縮する率が高いので速筋の方がより遅筋的になりやすいのです。
ところで、骨格筋には、遅筋と速筋それぞれを特徴づけているアイソフォーム(蛋白質の違い)をもっていますが、純粋な遅筋と速筋だけで無く、両方のアイソフォームを持つ筋線維がある事は分かっています。
若い人の場合はこの様な混在型の雌雄は少ないのですが、高齢者にはこの混在型の筋線維が多いのです。高齢者では遅筋線維の比率が多くなると言うよりも、むしろ遅筋と速筋の線維が厳密に分けられなくなっている筋線維が増えていると言えるでしょう。