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心不全は、虚血性心疾患、心筋症や高血圧性心疾患等、様々な原因によって引き起こされます。
心不全とは、心臓からの血液供給が低下して末梢組織に酸素を供給出来なくなったり、鬱血状態にさせる訳ですから、当然今度は脳や心臓を始め色々な臓器に影響を与える事になります。
心不全による消化器への障害としては肝臓が鬱血状態になる鬱血肝がよく知られています。
鬱血肝は肝臓の鬱血と低酸素血症によって肝臓の浮腫や鬱血、肝細胞の萎縮等が起こります。
酷くなれば肝硬変になって腹水や脾腫になる事もあります。
また腸閉塞も起こしやすい合併症で、高齢になるに従って、また重症になるに従って発症易くなります。
特に75才以上の後期高齢者では4人に1人位の高率で腸閉塞が起こります。
この原因としては、高齢者は若い人と比べて交感神経が活発である上に心不全では更に亢進する為腸管運動が抑制され易くなっている事が挙げられます。
加えて心不全では腸管も鬱血している事等も原因と考えられますが、詳しい事はよく分かっていません。
心不全による腸閉塞はほとんどが麻痺性で、腸に異常がある訳ではありません。便通に注意していても起こる事があります。
しかも心不全の症状が一番重い時になるかと言うとそうでも無く、心不全がある程度軽くなってほっとしたような時でも突然発症する事があるので厄介です。
「脈が跳ぶ、脈が抜ける」と言う事があります。
これは期外収縮による不整脈で、心臓のしやっくりの様な物なのです。
一般的にストレス、過労、コーヒー、タバコと言った刺激物等の為に、自律神経がバランスを崩し、一時的な洞結節機能の狂いから生じるのです。
更に高齢になると冠状動脈の動脈硬化が進んだり、心筋炎、軽い心筋梗塞で心筋組織に異常な部分が出来ると、洞結節の力が衰退し、他の自動能のある細胞から収縮刺激を発する事が多くなり、高齢になるに従いその訴えが多くなります。
心臓には周期的に活動する自動能という能力のある細胞が多くありますが、その内洞結節が最も強く興奮し、その興奮刺激が伝導路を通り規則的な拍動を繰り返します。
期外収縮は早期収縮とも言われ、洞結節以外の心房あるいは心室にある細胞から急に刺激が起きるのです。
例えば心室に血液が充満してから収縮して血液を送り出すのですが、血液が充満する前に心室から早期に収縮刺激が起きると、空回りして血液の抽出が無く、脈拍も発生しないので「脈が跳ぶ」と言う事になるのです。
脈拍の乱れが頻繁に起きれば、胸に違和感を覚えたり、突然死するのではないかと不安になったりします。
この様な時は心電図等の検査で原因を追究する事が大切になります。
脳梗塞にはアテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞とラクナ梗塞とがあります。
アテローム性の梗塞は欧米人に多い(20%前後)のに対してラクナ梗塞は日本人に多く(30~40%)、また最近増加傾向にあります。
ラクナ梗塞とは、脳の深い部分や脳幹等を貫く細い動脈(穿通枝動脈)が閉塞を起こし、その動脈の周りが梗塞するもので、数ミリ、最大でも15㎜の小さな梗塞です。
大血管の病変や心原性の塞栓でも起こる事もありますが、大抵は穿通枝の血管自体に原因があると考えられています。
症状としては、意識が無くなる等の劇的発作は無く、ゆっくりと前触れも無く起こります。
時にパーキンソン様の歩き方(足が出ない、歩幅が小さくすり足になるなど)になったり、言葉が出にくい、嚥下し難い、意欲が無くなる等の症状が出ます。
しかし多くは梗塞部分が複数ある事も珍しく無いのに、無症候で、CTやMRIの検査で初めて見つかると言う場合がほとんどです。
無症候性の脳梗塞の8割はこのラクナ梗塞と言われています。
また50歳以上では8人に1人の割合でこの梗塞が認められ、高血圧で高齢になると半数以上に見られる様になります。
ラクナ梗塞のある人は脳卒中発症率が高い危険群で、主な危険因子は高血圧や糖尿病とみなされています。
予防としての抗血小板薬は有効では無く、血圧が高いとかえって脳出血を起こす可能性があります。
無症候であっても梗塞が増えて行けば血流・代謝が減少し、脳の機能低下から寝たきり、痴呆へと進む可能性があるので、高血圧、糖尿病、喫煙等のリスク管理をしっかりしなければなりません。
高齢者の脳血管障害の代表格が脳梗塞です。
血管が詰まる原因として粥状硬化やアテローム内出血や動脈硬化の部位の血栓形成等があります。
それにより血管内腔の狭窄や閉塞が進み、完全に詰まると脳梗塞へ進展します。
脳の血管が割と良好な状態でもこの脳梗塞が起こる事があります。
つまり心臓から脳内に行くまでの動脈にアテローム(粥状硬化)等があると、そこに病変が生まれ、血栓等が飛んで行き脳梗塞になります。
また、最近高齢者に増えているのが心原性脳塞栓症です。
心臓で血球が作られ、それが脳に飛んで行き脳塞栓を発症させます。
この原因になるのが心房細動です。心臓の正常なリズムが崩れ不規則で細かい動きが現れます。
この心房の震えにより血液が凝固して血球になるのです。
心房細動は様々な心疾患の随伴症状として出て来ますが、甲状腺機能亢進症、慢性肺疾患等にも出現します。
一般に加齢に伴って心房細動を合併する率は上昇します。また、30%は基礎疾患の無い孤立性心房細動です。
発作性と慢性に分類されますが、高齢者では慢性化しやすい事が明らかです。
ですから、心疾患での血栓予防に経口抗凝血薬としてワーファリンが有効とされ、広く使われています。
しかし、抗生物質等の薬の飲み合わせで、全身性の出血性合併症という非常に危険な副作用もあるので両刃の剣といえます。
若年者の大半の腎疾患は会社や地域での検診で発見されます。
しかし高齢者の腎疾患は検診で発見されるのは一部で、大半は血尿や高血圧・浮腫・だるさ・食欲不振といった何らかの症状によって気付く場合が多いのです。
遺伝的素因に環境因子が重なって起こると言われる本悪性高血圧で、若い頃から血圧が高いまま何年も経過すると腎臓の小動脈に動脈硬化が起こり、腎機能が低下して腎硬化症になって行きます。
腎硬化症は進行が遅く、最初蛋白尿が出てもすぐには悪化しないので油断している内にゆっくりと腎不全が進み、血圧が一層高くなって腎障害が重症化し人工透析にかかる事になります。
二次性高血圧の中で最も多いのが腎性高血圧で、糸球体腎炎や腎孟腎炎が原因で腎機能が低下すると徐々に血圧が上昇し始めます。
高齢者でそれまで降圧薬で安定していた高血圧が急にコントロール出来なくなった時は、粥状動脈硬化による腎血管性高血圧を疑います。
腎動脈が狭窄して腎血流量と糸球体濾過量が低下すると、傍糸球体装置の顆粒細胞からレニンというペプチドが分泌されレニンはアンジオテンシンという強力な血管収縮作用のある蛋白を変生します。
アンジオテンシンⅡは副腎皮質ホルモンのアルドステロン分泌を促して、ナトリウムの再吸収を促進・水を貯留する様に働くので、浮腫を招き血圧が急上昇します。
動脈硬化症によって出来る代表的な血管の病気が動脈瘤です。
統計的には欧米の10分の1程度と頻度は低いのですが、今後は確実に増加すると言われています。
血管の三層構造の動脈壁がすべて拡張する物を真性動脈瘤といいます。
この真性動脈瘤には胸部、腹部、胸腹部の大動脈や内臓動脈や末梢動脈等に発生します。
この中で最も多いのが腹部大動脈瘤で、次に胸部大動脈瘤です。
胸部大動脈瘤は50才~70才台の男性に多く、動脈硬化以外にも梅毒やマルファン症候群、動脈解離、大動脈弁拡張症等でも発生します。
症状はほとんど無症状であると言うのが特徴という恐い疾患です。
ただ、瘤が大きくなると気迫圧迫で咳、呼吸困難等があらわれ、食道圧迫では嘸下困難、神経圧迫でしわがれ声等になります。
また肩背部にこりの症状が現れがちです。
一方最近増加が著しい腹部大動脈瘤はやや高齢で60才~80才台の男性に多く動脈硬化による物が多いという特徴があります。
糖尿病や脳血管障害等動脈硬化による疾患を合併している事がよく見られます。
腹部動脈瘤は腎動脈分岐より下の腹部大動脈に現れ、丁度臍の周りに拍動するシコリとして触診する事が出来ます。
しかしこのシコリを確認出来るのは5cm以上であり、その様な時にはすぐに手術が必要です。
また、腰痛や腹痛などの症状が出て来たら、破裂寸前と言われています。
我々の立場からみれぱ、動脈瘤は地雷の様な物です。
ですから高齢者の肩こりや腰痛等では動脈瘤の有無を念頭にいれて施術しなければなりません。
女性の眠りは男性の眠りとかなり違っています。
生物にとっての優先課題は子供を作る事ですが、この課題の大半は女性が分担しています。
ヒトの女性は思春期から更年期まで月経があり、生殖活動に伴って脳下垂体ホルモンと女性ホルモンの分泌が盛んになります。
睡眠を管理する脳の一部は生殖機能をコントロールする脳の近くにあって、互いに連携しているのです。
2種類の女性ホルモンの内卵胞ホルモンには眠気を抑える効果があり、逆に黄体ホルモンには眠気を促す効果があって、排卵期を境として月経から排卵までは活動的で眠気が少ないのに対し、排卵後月経前は比較的だるかったり眠くなりやすいのです。
一方、男性ホルモンは睡眠にはほとんど影響を及ばさないので、男性の眠りに変化はありません。
哺乳類は子宮内で胎児を育て、出産し保育するという一巡の作業が必要ですが、それを側面から支える為睡眠を増やす様脳にプログラムされています。
妊娠すると黄体ホルモンの分泌が著しく増えるので、非常に眠くなります。
胎児のいる母親が活発に動き回って余計なエネルギーを消耗せず、外敵に出会う機会や心配事を滅らし、流産しない様に筋肉の緊張を緩めるには眠る事が最良の方法となります。
ちなみに哺乳期にはプロラクチンと言う催乳ホルモンが睡眠中に分泌されるので、母親はよく眠った方が乳が出やすい仕組みになっています。
人間のパーソナリティは、生まれ付きの生物学的側面と、生まれてから学んで行く学習によって様々に形作られていきます。
その中でも新しいもの好きのノベルティ・シーキング(新奇性探求)の器質は生まれ付きによる違いが明らかな性格のひとつです。
ノベルティ・シーキングの強いタイプは衝動的で気まぐれ、短気で浪費家といえます。
カーレースやスキーなどのスピードを味わう物やバンジージャンプ等の刺激が大きい物を好み、強烈な刺激を求めるタイプです。
一方ノベルティ・シーキングの弱いタイプでは危険を冒すのが嫌いで、あまり環境の変化を好みません。
どちらかと言うとストイックで気長といえます。これらの器質の違いは神経伝達物質のドーパミンと関係があります。
ドーパミンは気分や意欲を高める神経伝達物質ですが、このドーパミンと結合する受容体の遺伝子に個人差がある為ドーパミンの作用パターンにも個入差が出て来るのです。
覚醒剤はドーパミンが絶え間なく出ている状態で、ハイな状態になりますが、ノベルティ・シーキングの強い人は常にハイな気分でいるのだと言えるでしょう。
凶悪犯罪者も研究者もこのタイプに属すると言います。
またー見格が違う様に見える夫婦でもノベルティ・シーキングは良く似ていると言う事が多い様です。
BSE狂牛病は牛の脳がスポンジ状になって死に至る病気です。
原因になる病原体は異常な蛋白質プリオンで、人の範型クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)と関連があります。
このプリオンは通常の加熱調理や、沸騰した湯で30分以上煮ても感染力は失われません。
またホルマリン液に3時間つけておいても平気ですから、人間の消化酵素でも、ほとんど分解できないのです。
プリオンには、正常型と異常型があり、異常型プリオンが脳の神経組織に蓄積し、細胞を破壊するのです。
人や牛、羊といった哺乳類には、元々体内に正常型のプリオンを持っているのですが、その役割は分かっていません問題なのは、プリオンを構成するアミノ酸の80~90%が、どの動物でも共通している為に、生物の種を超えて感染するというのです。
ですからプリオン病で死んだ羊の肉等を動物性飼料として牛に与え、その感染した牛を人が食べてしまった為にこの悲劇が始まったと言われています。
狂牛病などのプリオン病の原因となるのはPrPと呼ばれています。
脳だけに限らなく臓器において発現が認められているが、特に脳、神経細胞において高い発生をする特徴があります。
発病を仮にした場合は神経組織にプリオンが溜まって未だに解決法は無く予後不良の死が待ち構えている恐ろしい蛋白質です。
実験では輸血で感染する可能性も指摘さています。
ショックと言う状態は、突然おこる身体全体の末梢循環不全によって起こる症候群の事を言います。
ショック状態の身体的症候としては四肢冷感、冷や汗、意識障害、チアノーゼ、頻脈、呼吸困難それに血圧低下等が現れます。
その原因、発生機序、血行動態等から次ぎの様に分類されています。
発熱、嘔吐、下痢、外傷、出血等で急激に循環血液量が低下する為に血液や 血漿の減少、脱水等によるものを低容量性ショックと言い出血性ショックがその代表です。
また心筋梗塞や重篤な不整脈が原因で心筋障害や心臓や血管の圧迫閉塞によって起こる心原性ショック。
主にグラム陰性桿菌のエンドトキシンによって起こる細菌性ショック、敗血症ショックとも呼ばれる事もあります。
また、循環血液量を超えた血管拡張が起こり、体内の血液分布がまばらになってしまい、相対的に循環血液量が低下してしまう血管運動性ショックがありますが、その代表的な物がアナフィラキシーショックです。
この血管運動性ショックを起こす中には麻酔や脊髄損傷、ワクチン、ペニシリン、更に消化管に出血を起こすワーファリン、ステロイド剤、アスピリン等の薬剤の服用でも起こる事があります。
更に急激な疼痛刺激によっても起こる事があります。
この疼痛刺激によってもショック症状が起こると言う事は、施術する者として常に留意する必要があります。
ショック症状が起こった時には、直ぐに呼吸、血流量、血圧等を安定させる事が必要なので、迷わず救急車を手配する事が重要です。