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女性に多い自己免疫疾患

2021.06.19 | Category: 男と女

難病に指定される事の多い自己免疫疾患は、クローン病等の例外はありますが圧倒的に女性に多い疾患です。

免疫細胞のT細胞カ榊経系を異物だとみなせば多発性硬化症や重症筋無力症に、皮膚や臓器を異物とみなせば全身性エリテマトーデスや強皮症、関節に対しては慢性関節リウマチとなります。

これらの自己免疫疾患は思春期以降に発症したり、妊娠によって症状が軽快したり重くなったりする所から、ホルモンとの関係が大きいと言う事が分かっています。

しかしイコール、エストロゲンの影響と言う事では無さそうです。

マウスの実験では男性ホルモンのテストステロンが1型糖尿病(インスリン分泌細胞への自己免疫疾患)を予防する事や症状を抑える事が分かっていて、このテストステロンが自己免疫疾患を抑えているのではないかと考えられるのです。

また、別の理由として染色体に問題があるのだと言う説があります。女性はX染色体を2本持ちますが、発生の過程ではそのどちらかが不活化されます。

そうでないと、合成される蛋白質が2倍になってしまうからです。

T細胞もどちらかのX染色体で作られれば良く、余計なX染色体で作られたT細胞は排除されなければなりません。

多分それらは胸腺で分別される筈です。しかしそれが何かの不都合で体に出てしまった為に、自分の組織に対して攻撃をし始めるという訳です。

いずれにしても抗原を処理する制御遺伝子に狂いが生じている事は間違いないようで、その解明が待たれます。

女性に多いアルツハイマー病

2021.06.19 | Category: 男と女

アルツハイマー病は痴呆を引き起こす脳の変性疾患ですが、その危険因子には年齢・性別・遺伝的素因があり、それらが環境因子と複雑に絡んできます。

高齢になるに連れ発症率も高くなり、アメリカの統計ですが65歳では4~6%、75歳では15~20%、85歳では30~45%にもなります。

家族性アルツハイマー病では女性は同年齢の男性よりも高いリスクを持ち、しかも早く発症します。

第19染色体にあるアポリポ蛋白質E(アポE)遺伝子にはアポE2、アポE3・アポE4という3種の型があって、アルツハイマー病の平均発病時期はいくつアポE4のコピーを持っているかに関係しています。

アポE4遺伝子を2つ持っている人は1つも持って居ない人に比べて20年も早く発症すると言います。

ところが最近の研究によると、このアポE4遺伝子を受け継いだ場合の効果は男女によって異なり、男性では2つのアポE4遺伝子を持つとアルツハイマー病になるリスクが一番高く、1つだけでは持っても持た無くてもリスクは少なくなります。

しかし女性では1つ持つだけでも2つ待ったのと同様な早期発症の結果になるのです。

まだアポE4遺伝子と性別がどの様に関係するか明らかになっていませんが、解明されれば発症を遅らせる事も可能になるでしょう。

また、エストロゲン補充療法を受けていた人達はアルツハイマー病の発病リスクがかなり減少していることが報告されており、持続性は無いものの一定の効果が確認されています。

ホルモンによる調整

2021.06.19 | Category: 男と女

精巣は精細管とその周囲にある間質細胞から成っていて、精細管は精子を作り、間質細胞ではアンドロゲンの合成・分泌をしています。

このアンドロゲンの大部分はアルブミンやグロブリンと結合して血漿蛋白として血液にあり、生理作用をするのは3%の遊離型です。

アンドロゲンは胎児精巣からも分泌され性分化、外生殖器や中枢神経系等を男性型にする役割があります。

そして思春期に分泌が高まり、第二次性徴の外生殖器系の発育を促したり、体毛発生、皮脂腺発育、変声等を促進します。

更に骨や筋肉を発達させ、体型を男性化します。

 

ところで、下垂体前葉ホルモンの中の黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)は女性の卵巣ホルモンの分泌の調節をしていますが、実は精巣にも影響を与えているのです。

LHは同質細胞だけにある受容体に、FSHは精細管のセルトリ細胞だけにある受容体に働きかけています。

ですからLHは男性ホルモンのアンドロゲンの合成一分泌を促進します。またFSHはセルトリ細胞に作用して、精子形成を維持しているのです。

また、分泌されたアンドロゲンは下垂体に作用してLH分泌を抑制し、FSHの方は、セルトリ細胞から分泌するホルモンのインヒビンによって分泌が抑制され、そのサイクルで男性ホルモンや精子形成は調整されているのです。

また、このLHとFSHの分泌は上位中枢の本能的欲求や情動や性の行動を支配する視床下部の黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)によって促進されているのです。

男の脳・女の脳

2021.06.19 | Category: 男と女

脳その物に男女で違いは無さそうな物ですが、実際は発生の時から別の道を辿り、構造的にも働き方にもかなりの違いがあります。

構造の上でまず一番の大きな違いは脳梁の太さの違いです。

脳は左右で働きが違い、左脳は言語の様なデジタル処理、右脳は空間や映像のようなアナログ処理を受け持っていますが、その左右の脳を繋ぐのが脳梁です。

その脳梁は女性の方が太いのです。言語情報の処理は主に左脳が担当しているのですが、脳梁が太くなるほど左脳に偏らない事が分かっています。

つまり女性の場合は左脳だけで無く右脳も使って言葉を処理している様で、言語能力のテストでは女性の方が男性よりも成績が高い結果が出ます。

また左右脳の橋渡しが太いと言う事はそれだけ神経線維が多いと言う事で、左右の脳の情報が行き来しやすく、左右の脳を万遍無く使って情報を処理していると見られるのです。

女性が一般に細やかだと言うのは、この情報処理の仕方による物と見られます。

 

一方男性の方は脳梁が細い分、左右の分業化が進みやすい傾向があります。

ちなみに、脳のデキの面からは男性の方がバラツキが大きく、成績が最上位グループに多い反面、最下位の部分のにも割合が多いのに対して、女性の方は中央よりに固まり、バラツキが少なく分布する様です。

両極を行く男性脳、バランスを取る女性脳と言えるでしょう。

エストロゲンの働き

2021.06.19 | Category: 男と女

女性ホルモンのエストロゲンは、女性を女性らしく特徴付けるだけで無く、女性の健康のあらゆる面に渡って影響を与えています。

女性の骨粗粗症が、更年期以降エストロゲンの急激な低下による物である事はよく知られる様になりましたが、エストロゲンは他の病気のリスクに対しても大切な働きを持っています。

そしてその恩恵が病気に対する性差を作ってもいるのです。まずエストロゲンは動脈硬化を抑えています。

HDLコレステロールを上昇させ、LDLコレステロールを低下させるからです。

しかも抗酸化の働きもあって、肝や血液の過酸化脂質を減らすので、女性は男性と比較して心筋梗塞等の心血管疾患が少ない上に、肝硬変や肝癌にもなり難いのです。

またエストロゲンはインスリンの感受性を上げるので、2型糖尿病に対する抵抗力も持ちます。

ですから50歳位までは女性は男性に比べてこれらの疾患から免れていると言えるのです。

しかし、閉経をきっかけにエストロゲンが急速に減少するとこのプラス面は失われて行きます。

するとそれまで免れていたこれらの疾患も男性の発症率に近づいて行きます。

しかもエストロゲンは神経伝達物質のアセチルコリンの量を増やしたり、神経成長因子として神経の成長と活動を促進させてもいるので、これが減少すると言う事は、痴呆にも成りやすいと言う事にもなります。

閉経期以後の女性はそれまでとは違った健康への対策が必要と言えます。

寿命の差

2021.06.19 | Category: 男と女

男性より女性の寿命が長いのは世界中の傾向ですが、その差は日本では女性は86.6歳男性は80.21歳で約6歳の差があります。

何と言っても女性は男性より生物的に生存しやすい訳で、流産や死産の3分の2は男性です。

X染色体を2つ持つ女性は一つのX染色体に異常があってももう一つのX染色体でカバー出来る為致命的にならずに済みます。

一方、男性はXが一つしか無いのでそこに異常があるとそれに関する疾病になってしまうのです。

つまり生存のチャンスその物が男性の方が狭いと言える訳です。しかもY染色体には寿命を短くする遺伝子があるのではないかと言われています。

また女性のエネルギー代謝は男性より低いので、活性酸素等の害を受ける事が女性の方が低い事も一因である様です。

そして一番大きな要因は女性ホルモンであるエストロゲンが様々な疾病に対して有利に働いている事だと言えます。

(エストロゲンの項参照)更に社会的な要因も無視出来ません。

男性は喫煙や飲酒、肉体的労働等、危険行為が多く、ライフスタイルその物が寿命を縮めているのも事実なのです。

現に人の限界寿命は約120才くらいで男女でさほど差は無く、長生きすればするほど余命の差は無くなっていきます。

欧米では寿命の性差は少なくなって来ていて、これは中年の男性の死亡が少なくなっているからだとみられています。

したがって、男性が事故に逢わない様にして、生活習慣をつつしんでヘルシーな生活を送れば寿命の男女差は縮まるでしょう。

ホルモンシャワー

2021.06.19 | Category: 男と女

男らしさや女らしさは、文化や育った環境によって影響を受けますが、胎児期の脳の分化と言う事が「らしさ」をもたらす事も分かってきました。

Y染色体上にはSRYという性決定遺伝子が乗っていて、生殖腺原基に働き精巣が出来、精巣から分泌された男性ホルモンのテストステロンによって男性の器官が出来て行くのです。

しかし、元々胎児の脳は、母親の体内で女性ホルモンに潰かっています。

男の脳になるには生殖器官と同様に胎児の初期(受胎後15から24週)に胎児自身が出す大量の男性ホルモンのシャワーを浴びる事によって男の脳になると考えられています。

ですからこの時期に脳が男性ホルモンをどれだけ浴びるかが重要なのです。

一旦男性化した脳は後で女性ホルモンを浴びても女性化する事はありません。

又この時期に女性化した脳は、後で大量の男性ホルモンにさらされても男性化する事はありません。

猿を使った実験では妊娠中の母猿に男性ホルモンを注射すると母猿から産まれた雌猿の遊びのパターンが雄型になりました。

人の場合でも副腎過形成症という遺伝病を胎児が発症すると、産まれる前から大量の男性ホルモンが分泌される為、女の子でも脳が男性化する事が知られています。

この遺伝病の女の子はおてんばになる傾向があり、人形遊び等を好みません。

また、この時期に母親に何らかのストレスがあって、男性ホルモンの分泌が不充分だと男らしさが失われる事で同性愛者になると言う「同性愛ストレス説」があります。

しかし理論的な根拠に不明確な点が多く定説ではありません。

SIDS(シズ)乳幼児突然死症候群

2021.06.18 | Category: 子供

生後6ヶ月以内(日本では2歳位まで含めます)の赤ちゃんが睡眠中に呼吸が停止して死んでしまうSIDS(Sudden Infant Death Syndrome=乳幼児突然死症候群)という病気があります。

乳幼児6000人に1人の割合で発生していますが原因はよく分かっていません。

厚生労働省の調査では、この病気の危険性は、両親の喫煙、人工乳保育、普段のうっぶせ寝の習慣で3~5倍増加する事が明らかになりました。

かつて年間約500~600人位が死亡していましたが、うつぶせ寝をやめるキャンペーンを始めてからは、2011年度148人に減りました。

1998年に米ハーバード大医学部などの研究チームは、SIDSで死亡した赤ちゃんの延髄にある呼吸を調節する神経細胞を調べて、健康な赤ちゃんなら、睡眠中に呼吸が不十分になって血液中の二酸化炭素(C02)濃度が上昇しても、その情報を延髄の神経細胞が受け取り、十分な呼吸が出来る様にするのですが、C02濃度上昇の情報を受け取る受容体の活性度が低い子の場合は呼吸が出来なくなる事を発見したのです。

呼吸運動や心臓の動きに関係する呼吸中枢の未熟性や働きの異常が関係しているらしいのです。

今のところ、正確な原因は未解明ですが、SIDSの原因が「不注意」による事故や窒息とは異なる「病気」である事は分かっています。

子供の食事

2021.06.18 | Category: 子供

今時の小学生から高校生の食事の特徴は”孤食”、“コンビニ食” と言えます。

NHKの番組で子供がー人で食事をする孤食を取り上げたのは1980年代でそれから、その傾向は益々広がっていました。

中学生の4割は朝食を一人で食べているそうです。

その為孤食、朝食抜きなど、食行動の乱れが身体と心の健康に大きな影響を与えている様です。

そのひとつか子供の体型の両極化で、健康な体型の子供が減って、肥満と痩せの2権化が進んでいると言います。

食事パターンが不規則で、量や質が一定しない食事は肥満や痩せを作ります。

更に孤食ではコンビニ食等が多くなり、好きな物だけを食べる為に野菜等の摂取が少なくなり、結果的に偏食傾向になると言う結果も出ています。

当然体調も不定愁訴が多く、朝から「疲れた」「だるい」という口癖や「イライラする」と訴える事も珍しく無い様です。

心に与える影響としては、少年院に入院して来る少年の調査が参考になります。

入院してくる少年の半数がビタミン等の不足による痩せであり、入院直前では家族との食事が激減し、孤食や外食、友人との食事が極端に増えていると言います。

3割の子が小学生から朝食を食べ無くなっている事も食パターンの崩れが想像されます。

子供の心身の健康の為には、親が乳幼児期からの食行動をしっかりとっ繰り上げる事が大切です。

子供の喘息

2021.06.18 | Category: 子供

喘息は、ゼーゼーヒューヒューと胸を鳴らす発作性の呼吸困難を繰り返す病気です。

0~2歳児は息苦しいと訴える事が出来ないので、肩で息をしたり小鼻をビクピクさせる等の症状で呼吸困難を見分けます。

一般に喘息の発作は1日の内でも真夜中や夜明け前に起こる事が多いのですが、それは寝ている間に気道内に分泌物が溜まり気道を刺激したり、室内のホコリや布団のダニを吸い込んだり、夜に副交感神経が優勢になって細気管支が収縮するからです。

喘息児は普通の子供に比べて気道が過敏になっていて、一寸した刺激でも発作を起こし易く、昼間グラウンドで走ったり、煙草の煙や大気汚染物質を吸う事が誘因になります。

毎日の様に発作を繰り返すと慢性的な気管支の炎症が続き、益々気道が過敏になって発作が悪化します。

喘息の療法にはアレルゲンを除く原因療法、発作が起きてから気管支拡張剤吸入等の対症療法、身体を鍛える鍛錬療法がありますが、最近ではこれらに加えて発作を起こさせ無い予防薬療法が主流です。

普段から抗アレルギー剤を服用し、発作が起きて無くても予防薬を吸入し続ける事で、気道の過敏性を改善します。

また運動誘発性喘息を起こし難い水泳を続けたり、腹式呼吸が有効です。

当院のスケジュール