- Blog記事一覧 -6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 36の記事一覧

6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 36の記事一覧

アナフィラキシーショック

2021.06.11 | Category: 免疫

アレルギー症状の中でもアナフィラキシー反応は要注意です。lgE抗体による即時型アレルギーに属し、抗原の侵入から反応までの時間が2、3分~20分と早く、早急に対処しなければなりません。

lgE抗体が結合するのは肥満細胞(マスト細胞)ですが、その名の通りヒスタミンやロイコトリエン等活性物質の類粒を多量に貯め込んで太った様に見える細胞で、消化管や気道等の粘膜や皮下給合繊に存在しています。

1度感作されたlgE抗体が肥満細胞にくっ付いている所へ抗原がやって来ると、肥満細胞は中のヒスタミンや顆粒を吐き出します。

ヒスタミンの作用で周囲は炎症を起こして、痒み、腫れ、血管拡張等の症状が起きます。

ヒスタミンが大量になると血管作動性が高まり、毛細血管の透通性が増し、血液成分が組織へ漏れ出て浮腫や水腫が起こります。

肺に起これば平滑筋の持続的な収縮が起こり、気管支が収縮、痙攣して呼吸困難になり、ひどい喘息発作が起こったり不整脈が見られる事もあります。

最も怖いのは薬の中でも抗生物質によるアナフィラキシー反応で、ペニシリンによるものだと、血管腔が縮小して血流量が減少し血圧の急激な低下からショック状態に陥ります。

アナフィラキシーの抗原は割と身近な所にあり、食品なら柑橘類やナッツ類、エビやカニ、ソバ等が知られています。

特にソバは症状が劇的で、ソバ屋の前を通るだけで症状を起こす人もあり、アレルギー学会でもソバアレルギーは特別に扱っています。

また蜂によるアナフィラキシーでは、日本でも毎年何人もの人が亡くなっています。

アナフィラキシーが疑われる時は、患者の気道を確保しながら、直ちに医師に診せなければなりません。

皮膚と免疫

2021.06.11 | Category: 免疫

皮膚は単に身体を被うだけで無く、寄生虫や病原体、環境中の毒性物質などの侵入を最前線で防御する役目を果たしています。

マクロファージと同じ働きをする抗原提示細胞であるラングルハンス細胞が皮膚に侵入した蛋白質をキャッチすると、T細胞に知らせ、抗体を作ります。

ウルシかぶれ、金属や薬物による接触性皮膚炎、ダニ等のアトピー性皮膚炎等は、原因蛋白質が侵入する事で起こるアレルギー型の免疫疾患といえます。

なので、パッチテストをして抗原を見つける事が重要になります。

また自己免疫疾患に関係する皮膚病としては乾癬があります。

乾癬は炎症性の病気か遺伝的な病気と考えられていましたが、関節リウマチで乾癖が合併している患者に免疫抑制剤を使用したら、乾癬症状が治った事から、免疫が関係している事が分かりました。

乾癖には尋常性乾癖、渦状乾癬、乾癬性紅皮症、乾癬性関節炎、膿庖性乾癬に分けられますが、最も多いのが尋常性乾癬です。

免疫反応によって起こる炎症と、皮膚が異常に増殖する角化異常を起こす炎症性角化症を起こします。

正常な皮膚細胞の新陳代謝は約28日で、これを皮膚のターンオーバーといいますが、そのスピードが7~10倍の速さで分裂増殖し表皮が厚くなるのです。

頭、肘、膝、四肢、腰等に銀白色でカサブタやフケの様な鱗屑(りんせつ)がべったり付着し、赤く隆起します。

痒みが大変強く、更に痛みが出る場合もあります。

患者さんは2:1で男性が多く10万人と推定されています。

ストレスが重なると症状は悪化します。

投薬としては副腎皮質ホルモンと免疫抑制剤を使う事になります。また皮膚に症状が現れる自己免疫疾患には全身性エリテマトーデスがあります。

90%が20~30歳代の女性で、発熱、関節痛等の全身症状の他に、皮膚症状として特徴的な、鼻を中心に出現する蝶形紅斑、耳たぶや手のひらの紅斑、レイノー病、日光過敏症、蕁麻疹等が現れます。

また内臓疾患を合併する等、難病に指定されています。

オーバーラップ症候群

2021.06.11 | Category: 免疫

オーバーラップ症候群とは、自己免疫疾患、特に膠原病を2つ以上併発する事をいいます。

膠原病の中でも全身性エリテマトーデスと強皮症との併発が最も頻度が高く出現します。

また関節リウマチとシェーグレン症候群が併発する事もあり、関節リウマチの患者さんでは4人に1人はシェーグレン症候群を併発していると見られます。

シェーグレン症候群とは涙腺や唾液腺、バルトリン腺等の分泌腺が標的となる自己免疫疾患で、目、口腔、鼻腔など、潤っていなければならない部分の分泌液が滅少してしまう為、QOLがひどく損なわれます。

また膠原病に、甲状腺炎や原発性胆汁性肝硬変、間質性腎炎等を併発することもあります。

疾患の活動期には消化管や腎臓、心臓、中枢神経などの臓器障害が起こり、肺高血圧症が起こりやすく、それが死因となる事もあります。

自己免疫疾患では臓器によって多様に症状が出ますが、同時にいくつもの自己免疫が生じるオーバーラップ症候群の事は念頭に置いておかなければなりません。

自己免疫疾患が女性に多いわけ

2021.06.11 | Category: 免疫

膠原病を始めとする自己免疫疾患は、男女を比べてみると多くは女性に多いのが特徴です。

女性の自己免疫疾患の発症が思春期以降に多かったり、月経や妊娠等、ホルモンの量が大きく変化する時期に対応して症状が変化する事から性ホルモンが大きく影響している事は確かな様です。

しかしそれだけでは無く、そもそもが男女の性染色体の違いによるからだという論もあります。

男性はXとYの染色体を持ちますが、その場合Yは父から、Xは母からもらいます。

一方女性はX染色体を父と母から1本ずつもらいますが、生きて行く上では1本で用が済みますから(そうでなければXY染色体は困ります)、どちらか一方のX染色体は不活化されます。

どちらが不活化されるかは細胞によって異なります。つまり女性の細胞には父Xを持った細胞と母Xを持った細胞(が作った蛋白質)が混在する事になるのです。

当然免疫細胞でもどちらかが不治化されています。例えば母X細胞と母X免疫細胞、父X細胞と父X免疫細胞が接した時には“自己”ですから免疫反応は起こりません。

しかし母X細胞と父X免疫細胞、父X細胞と母X免疫細胞が遭遇すると“非自己”として攻撃し始める事があるというわけです。

女性が2本のX染色体を持っているという事は、本来は生物としての多様性があるという事で、生物としては生き残りに優れていると言えるのですが、時としてそれが両刃の剣にもなるという事なのかもしれません。

糸球体腎炎と免疫複合体

2021.06.11 | Category: 免疫

Ⅲ型のアレルギーで起こる代表的な疾患が全身性エリトマトー・デスと糸球体腎炎です。

このⅢ型アレルギーは傷害の標的となる組織とはまったく無関係の可溶性の抗原がlgG抗体と結合して複合体を作り、その免疫複合体が組織に沈着して起こるアレルギー反応なのです。

このアレルギー反応で発症する糸球体腎炎のきっかけとしては溶血性連鎖球菌(溶連菌)の感染が指摘されています。

溶遠藤は口腔の粘膜に巣食う常在菌ですが、疲れやストレス等で免疫力が衰えると発熱や喉の痛み等風邪様症状を呈します。

通常は糸球体腎炎が起きるl~2週間前にこの様な風邪様症状が先行します。この溶連菌は名の通り球状の菌体が数珠繋ぎになっています。

溶連菌に最も関連するのがA群β溶連菌です。この菌体成分が抗原となって血液中を流れる間にそれに対抗すlgG抗体が産生されて行きます。

その抗原と抗体が次第に結合して免疫複合体が生れ、それが濾過装置である腎臓の糸球体に次第に沈着していくのです。

この糸球体は血液を1分間におよそ1リットル濾過していますので、糸球体には免疫複合体が増え続けてしまいます。

すると免疫機構の掃除屋である補体がこれを異物と勘違いして攻撃する為に腎炎が生じます。

この免疫機構の補体の働きとしては、・炎症を活発にさせる ・異物にとりついて免疫の食細胞を刺激する ・異物の細胞を溶解させる等があります。

この糸球体腎炎では全身倦怠、血尿、蛋白尿、尿量減少、上瞼の浮腫等が起こります。

小児では予後が良好ですが、成人の治癒率は20~30%と低く、慢性化するといわれています。

ただ溶連菌感染の症状が出た誰もが同じ様に糸球体腎炎になるわけでは無いので、この免疫複合体だけが原因とは言い難く、全容ははっきり解明されていなのが現状です。

リウマチ

2021.06.11 | Category: 免疫

2002年4月日本リウマチ学会総会において従来の診断名「慢性関節リウマチ」は『関節リウマチ』へと病名が変更されました。

というのも、関節リュウマチの病態解明が進むに連れて早期発見、早期改善である事が解ってきたからです。

ですから進行してから受診するというイメージの『慢性関節リュウマチ』はふさわしくないとされたのです。

また、関節リウマチがすべて慢性という経過をたどるわけではない点も挙げられます。

この関節リウマチは膠原病と並んで自己免疫疾患の代表的な物で、病状の記述は古く黄帝内経常問にも「痺症」という病名で載っています。

正常な人の身体は、自己の成分に対して免疫応答を起こさない様になっていますが、それが過剰応答してしまうのが自己免疫疾患です。

身体を構成する特定の部分を攻撃してしまいますが、関節リウマチの場合は関節の滑膜を攻撃するのです。

その為に滑膜が炎症して腫脹や増殖が起こります。

そして次第に軟骨や骨にびらんができて行き、更には関節の破壊や変形へと進んで行きます。

初発症状では、朝の手足のこわばり感やぎこちなさが特徴です。

この関節リウマチは手指や足指の小さい関節にも好発しますが、肩・肘・手首・股関節・膝・足首等の大きな関節もやられます。

最初はバラバラに症状が出ますが、段々対称性に症状が固定し、関節の腫脹は紡錘型になります。

手指の場合、第二関節や指の付根の関節が腫れる事が多く、スワンネック変形、ボタン穴変形、尺側偏位がみられます。

特に初期症状のときには、非対称性におこる事もあり、関節リウマチの好発年齢の30才から40才台の肩の痛みは四十肩と重なり、間違いやすいので注意が必要です。

また関節リウマチの発症率は1000人に3~4人で、女性が男性の3~4倍多い事も特徴です。原因の全体像はまだ分かっていませんが、遺伝的素因やTリンパ球、生理活性物質のサイトカイン等と考えられており、初期受診が大切な自己免疫疾患なのです。

アレルギーには型がある

2021.06.11 | Category: 免疫

「アレルギー」の語は「変化した反応能力」を意味し。自己防衛能力がオーバーな反応を起こして自分に不利益な症状を起こす事をいいます。

アレルギーは抗原と接触してから症状が現われるまでの発症の機構によってI~Ⅳの4つの型に分けられます。

I型アレルギーは一般にいわれるアレルギーの事で、免疫グロブリンのlgE抗体が大量に作られて起こり、数分から数十分で症状が現われる「即時型」アレルギーです。

急激なショック症状を起こすアナフィラキシーもこの型で、花粉によるアレルギー性鼻炎や結膜炎、急性じん麻疹、卵や牛乳等の食物アレルギー、ダニやホコリによる気管支喘息(即時型)、薬物アレルギーもこのI型に分類されます。

Ⅱ型は「細胞障害型」ともいい、自己細胞に反応するlgG抗体やlgM抗体が移入・生成した時に起こり、代表的な物に血液型不適合の輸血反応やRh血液型不適合で新生児に起こる胎児赤芽球症、自己免疫性溶血性貧血等があります。

Ⅲ型は「免疫複合体型」アレルギーで、抗原と抗体が結合した免疫複合体が血管・リンパの循環系に塊となって残り、それを取り除こうとする好中球や補体による急性炎症反応によって起こります。

動物血清による血清病や溶血性連鎖球T菌感染による糸球体腎炎、様々な膠原病や肝炎・マラリア・梅毒・らい・結核等の感染症があり、過敏な人にとっては全身性の重篤な症状になることがあります。

Ⅳ型は「遅延型」アレルギーともいわれ、前3つの抗体反応型と異なってTリンパ球細胞が関与するので反応時間が1~2日かかります。

この型には多くの細菌・ウイルス・カビに対する反応(例えばツベルクリン反応)や金属・化粧品等に対する接触性皮膚炎、気管支喘息(遅発型)、移植片に対する拒否反応や自己反応性T細胞による自己免疫疾患があります。

抗うつ薬とチラミン

2021.06.11 | Category: うつ病

興奮性の神経伝達物質のうち、ノルアドレナリン・セロトニン・ドーパミンは、アミノ基を1個だけ持っている「モノアミン」という構造をしています。

これらを酸化分解する「モノアミン酸化酵素(MAO)」が盛んに働くと、体内のモノアミン濃度が異常に低くなり、神経伝達物質が不足してうつ病発生率が増加することが確認されています。

さてモノアミン酸化酵素はヒトの腸壁や肝臓にあって、チーズやワイン等に含まれるチラミンや、マグロやブリ等の魚類に多く含まれヒスタミンに変化するヒスチジンなどの成分を代謝しています。

ところが抗うつ薬のMAO阻害剤を服用している場合、チラミンとヒスタミンが分解されなくなって体内に蓄積され、交感神経に過剰に働きかけて、顔面紅潮・腹痛・頭痛・血圧の変動等を引き起こします。

チラミン中毒とヒスタミン中毒は症状が似ていますが決定的に違うのは血圧の点で、チラミン中毒は血圧が上昇するのに対し、ヒスタミン中毒では低下します。

特にチラミン中毒では血圧が激しく上がる事があり、脳出血やクモ膜下出血を引き起こしたりします。MAO阻害剤を使用中の人はチラミンを含むチーズ・ワイン・ビール・そら豆・にしん・レバー等を摂らない事となったのです。

現在の日本では副作用の強いMAO阻害剤はあまり使われませんが、中毒を起こさない選択性の高い新しいMAO阻害剤を開発中です。

また他の薬でも、三環系抗うつ薬や抗不安薬をアルコールと一緒に摂取すると、血中アルコール濃度が急激に上がる事が分かっています。

中枢が強く抑制される為に運動障害・呼吸抑制にまで至ると危険です。

うつ病気質

2021.06.11 | Category: うつ病

うつ病になりやすい性格とは、几帳面、仕事熱心、堅実、律儀、責任感が強い、秩序志向等だといわれます。

これは執着気質といわれる性格ですが、ドイツのテレンバッハという精神病理学者はこうした性格に加えて、対人関係においても秩序志向や几帳面さが強く、他人に対して誠実で気を使い、衝突を避けるといった性格をメランコリー親和型としました。

うつ病になりやすい型の一つとして取り上げたものです。

しかし、このメランコリー親和型のタイプというのは多くの日本人にとっては望ましい、模範的とされている性格です。つまり日本の文化、社会構造、メンタリティーそのものがメランコリー親和型うつ病の病前性格を理想としているとも言えるわけです。

しかも管理が強化された社会ではメランコリー親和型の人にとっては過剰適応から適応破綻につながりやすいのです。

このメランコリー親和型うつ病では重症化すると自殺念慮も強くなりがちですが、抗うつ薬に反応ししや改善しやすいしやすいうつ病といえるようです。

一方、時代の流れで社会的規範が多様化する中、最近ではメランコリー親和型とは違う傾向のうつ病が注目されてきています。

過保護で葛藤のない養育過程や母子分離がなされないままに成長する等の自立不足による未熟的な逃避型抑うつの増加です。

自分に対する関心が大きく、病気に対する過度な気遣いをしたり、対人関係において過敏に反応しがちで、仕事にムラがあったりする事が特徴とみられています。

現実逃避的になり急に自殺を図ったりして周囲の人を困惑させたりします。

性格や環境の影響が大きく、依存や甘えが強い傾向があります。

長引く事が多くて抗うつ薬に反応しにくく、うつ病というより神経症に近いとみられています。

いずれにしても感情に関する障害は文化や社会状況と関係が深く、日本の文化的な特性という面から考える事も必要といえるでしょう。

女性特有のうつ病

2021.06.11 | Category: うつ病

女性のうつ病患者数は男性の2倍となっています。

思春期に入るまでのうつ病の発症率は男女同等で、11~13歳の間に少女のうつ病率がぐっと上昇し、15歳になると大うつ病の発症率が男性の倍に達します。

生殖可能な年齢でのうつ病の発生が男性よりも多い事からも、情緒や精神的問題と女性ホルモン産生が深く関連している事が分かります。

また結婚や出産がきっかけでうつ病になる事がよくあります。

出産後2、3日で新しく母親となった女性の半数が、理由も無く泣いたり赤ん坊に否定的な考えを持つ「ベビーブルー」という症状がありますが、この様な感情は正常であって1週間位で治まります。

しかし「産後うつ病」は出産後4週間位までに現れるもので、大うつ病と症状が重なるものが多くやや重症です。

女性ホルモンのバランスが劇的に変化する事によって、気分を調節している脳の活動に影響し、ストレスに対する抵抗力が弱くなるのです。

更に出産はホルモンの変動という生物学的な事だけで無く、身体的・精神的にもストレスが増える時期であり、これらが重なってうつ病が起きやすいと考えられます。

また更年期もうつ病が発症しやすい時期です。

この時期も女性ホルモン分泌の変化によって身体的・精神的な不調が現れやすくなります。

また家庭内でも、子供の進学や就職・夫婦関係の問題・親の病気や介護・老後への不安等、様々なストレスが更年期の女性にのしかかる事が多く、うつ病が発症しやすいのです。

当院のスケジュール