- Blog記事一覧 -6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 34の記事一覧
6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 34の記事一覧
HGHとはヒト成長ホルモン(Human Growht Hormone)の事で、下垂体前葉から分泌されるホルモンです。
成長期にHGHが足りないと小人症になる事はよく知られていますが、成長促進の働きだけで無く、全身のホルモンレベルを保ち、若さを維持するホルモンである事が分かっています。
1960年代にHGHの合成に成功して以来、アメリカでは小児のHGH欠乏症だけに投与が認められていましたが、1996年に視床下部や下垂体の障害、手術、外傷等でHGHが不足している成人にも投与が認められる事になりました。
実質的に若返りの為のHGH投与が可能になったのです。
その結果、HGHの投与によって以下のような様々な効果があった事が報告されています。
蛋白質を合成して筋肉量が増える ・体脂肪の割合を減少させる ・骨密度が増す ・心機能や肺機能が回復する ・コレステロールや血圧が低下する ・免疫力を回復する ・運動能力を高める ・性的能力が回復する ・睡眠障害を減少させる・精神的に前向きになる 等で、体の時間を巻き戻す様な効果があったといいます。
しかしHGHの補充療法はがん誘発との関連性の意見もあり安全性が確認されていないことから日本では若さを維持するホルモンとしては認められていません。
しかしHGH自体は「若さのホルモン」である事は間違いなく、加齢によってHGHの分泌は減ってきますが、食べ物や運動によって自然な形で増加することが知られています。
栄養成分としてはアミノ酸のアルギニン、オルチニン、グルタミン、グリシン等がHGHの分泌を促す事が分かっています。従って蛋白質をしっかり摂って充分満たして置く事が必要です。
また筋力運動によってもHGHが増加する事が分かっています。
運動による筋肉の負荷が回復しない内に次の負荷を加える事でより分泌は高まります。
また時間帯としては睡眠中に分泌されますので、充分な睡眠が必要です。
したがって蛋白質は夕食にたっぷりと摂れば、より効果的だといえます。
カルシウムは骨や歯を形成し、更に筋肉の興奮、電気的な興奮、ホルモン分泌、等数え切れない程多くの作用に関与しています。
人体のカルシウムの99%は骨、1%は血液中にあり、血清カルシウム濃度は一定濃度に保たれています。
その濃度を保つカルシウム調節ホルモンには副甲状腺ホルモン、活性型ビタミンD、カルシトニンが働きます。
カルシウム濃度が低下すると副甲状腺ホルモンが破骨細胞に働きかけ骨の成分が血液中に溶け出すのを促し、濃度を上げます(骨の吸収)。カルシトニンには濃度が上がったものを下げて骨を作る作用があります(骨の形成)。
またビタミンDは体の中に入ると肝臓と腎臓で活性型ビタミンDと呼ばれる物に変化し、この活性型ビタミンDには腸からのカルシウムの吸収を促進し骨の形成や吸収の大切な働きがあります。
食べ物からとる余分なカルシウムは腸に調節機能があるため腎臓から排出されるのですが、副甲状腺ホルモンによって骨から溶けでた余分なカルシウムは血管の細胞内に溜まります。
正常な細胞内カルシウム濃度は細胞外の1万分の1と言う極微量で、細胞外と細胞内のバランスが崩れる事で細胞が機能停止するのです。
カルシウムが不足すると、逆に細胞内のカルシウムが増加する現象を、「カルシウムパラドックス」(逆説現象)と言います。
動脈硬化の発生するきっかけに、カルシウムの摂り過ぎが原因のひとつと考えられていますが、逆にカルシウム摂取不足で骨から血中ヘカルシウムが遊離し、そしてカルシウムが血管壁に沈着する事が分かってきたのです。
高血圧症、糖尿病、痴呆症、免疫機能低下等あらゆる生活習慣病や老化の原因となるのです。
カルシウムは毎日腎臓から尿と一緒に500~600㎎が排出されますが、日本人はカルシウム摂取量が400~500㎎の摂取量と少ないので、カルシウム不足に陥りやすく、厚生労働省は1000㎎の摂取を勧めています。
摂取する場合には必ずマグネシウムと一緒に摂り、バランスを取る事が大切です。
汗をかいたり、塩分の摂り過ぎで体液の濃度が高くなり浸透圧が高まると、視床下部にある浸透圧を調節する中枢が感知して、下垂体後葉にその情報が伝わります。
すると後葉から抗利尿ホルモンあるいは血圧上昇ホルモンとも呼ばれているバソプレッシンが分泌されます。
このバソプレッシンは腎臓の細尿管(集合管細胞)の水の堰を開く、つまり透通性を高める作用がありますので、水の再吸収が増え、水は体内に戻されます。
逆に水分の摂り過ぎなどで体内の血漿濃度が低くなるとバソプレッシン分泌は停止する為に、必然的に再吸収の堰が閉じるので尿として大量に排出されます。
また、その時、体液に含まれるナトリウムイオンが減少してしまう時には視床下部からその指令が下垂体前葉に行き副腎皮質刺激ホルモンが作動して、副腎皮質から鉱質コルチコイドが分泌されます。
それにより腎臓の細尿管でナトリウムイオンの再吸収を促進させます。水分とナトリウムイオンの調節にはこの他アンギオテンシンや心房性ナトリウム利尿ペプチドといったホルモンも関わっています。
ところで、バソプレッシンのもう1つの作用である血圧上昇も間接的には水の局所的調節になります。
つまり、バソプレッシンは末梢の血管を収縮させて血管抵抗を高める為に、収縮期血圧を上昇させます。
そうする事で末梢の血流量を減らし重要臓器への血流量を増やす事になるからです。
老化に伴い段々筋肉も萎縮して細くなってきます。アメリカの統計で、中高年では(40才から70才)の間に平均4.5~7.5kgの筋肉が無くなるというデータもあります。
我々の筋肉は思春期、性成熟期、更年期、老年期と共に変化していきますが、この変化に影響を与えているのがホルモンです。
もちろん、筋肉の衰えは運動などの外からの働きによって個人差は出てきます。
筋肉の働きはといえば運動器ですが、それと同時に身体の蛋白質の備蓄器でもあるのです。
ですから、食べ物から蛋白質を吸収してアミノ酸に分解されたあと、ホルモンの働きによって体内で使いやすい蛋白質にして筋肉に備蓄しているという言い方もできるのです。
備蓄する働きを蛋白の同化作用、道に筋肉の蛋白質をアミノ酸に分解する働きを蛋白の異化作用といいます。
同化作用には成長ホルモン、甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモン、男性ホルモン等があります。
逆に異化作用では、副腎髄質から分泌されるアドレナリンやコルチソール等があります。
思春期から性成熟期の期間は同化作用が強いのですが、次第に弱くなって行く老年期には異化作用が勝る為に、筋肉は次第に細くなるのです。
その主な原因は副腎皮質から分泌されるDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)の低下によるといわれています。
このDHEAはエストロゲンやテストステロンの前駆物質で、他のホルモンは目だった減り方はしませんが、このホルモンだけは20代の後半から分泌量が低下し始めます。
アメリカでは心臓疾患の薬や若返りの薬としてもてはやされていますが、ホルモン剤ですので肝臓や乳がんや前立腺がんの危険性もあるといわれています。
老年期の筋肉の維持は運動と蛋白質を多めに摂る事なのです。
人の一生の中でも、女性の身体にまつわるホルモンは精妙で複雑な働きをし、特に妊娠出産とその後の女性の身体は、女性がホルモンに支配されているかの様な劇的な変化を見せます。
思春期から更年期までの妊娠可能な女性は、平均29日周期で月経がありますが、この周期は卵胞ホルモン・エストロゲンと黄体ホルモン・プロゲステロンが交互に優勢になって起こります。
卵胞ホルモンは月経が終わった後に分泌が増加して排卵を促します。
卵子が受精して受精卵が子宮に着床すると、妊娠を維持する働きのある黄体ホルモンが子宮内膜の崩壊(月経)を抑え、子宮内膜は次第に肥厚して受精卵のゆりかごとなります。
そして約40週に渡る妊娠期間中の後期には、下垂体から分泌される子宮収縮ホルモン・オキシトシンが働き始め、妊婦はしばしば腹部の「張り」として子宮の収縮を感じる様になります。
出産時にはこのオキシトシンが強く働いて子宮の収縮を促し、胎児を産道から押し出すよう働きます。
陣痛開始前に破水してなかなか陣痛が起きなかったり微弱陣痛で出産が長引く様な場合、母胎の疲労と胎児の安全を考えて、陣痛促進剤にオキシトシンやプロスタグランジン等を使用する事もある様です。
出産して胎盤の排出後に下垂体からプロラクチンという乳汁分泌ホルモンが増え始め、乳腺から母乳が分泌される様になります。
このプロラクチンには黄体ホルモンの働きを妨げる作用があり、乳汁が出ている間は排卵が起こらない仕組みになっています。
赤ちゃんが母乳を吸えば吸うほど、プロラクチンの分泌も一層盛んになり、同時に母胎が元へ戻るよう子宮の収縮も促されるのです。
副腎皮質ホルモンというとステロイド剤、副作用が怖いというイメージがつきまといます。
実際副作用は細心の注意が必要ですが、つまりは医師にとってそれだけ切れ味のいい薬である事は間違いない様です。
では副腎皮質ホルモンとはどういうホルモンか。副腎は左右の腎臓の上にある8~12gの小さな器官です。
内側は毛細血管の多い髄質で、ここからはアドレナリンやノルアドレナリンが分泌され、外側の黄色っぽい部分を皮質と言いここから糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド等の副腎皮質ホルモンが分泌されます。
元々髄質と皮質は発生的に別の組織だったのが進化の過程で固まった物です。
もちろん必然性があったからで、髄質でノルアドレナリンからアドレナリンが作られる時、その反応は糖質コルチコイドによって高められます。
また鉱質コルチコイドは腎臓の働きをサポートしています。
さて糖質コルチコイドの働きはアミノ酸から糖を作る糖新生を担っていて、血糖が上がる様に働きます。
更に他のホルモン、例えばグルカゴンや成長ホルモンに作用してそれらの働きを確実にします。
しかし最も重要な働きはなんといっても抗炎症作用と免疫抑制作用です。
この点で劇的な作用を持つために実におびただしい疾患、特に炎症性、免疫疾患に対して多用されるのです。
そして長期のステロイド投与では血糖値が上がり(これは副腎皮質ホルモンの本来の働きでもありますが)、糖尿病とそれに付随する合併症を引き起こす事になります。
また外から副腎皮質ホルモンが常態的に入ると、視床下部や下垂体は体内の副腎皮質ホルモンは充分であるとみなして、副腎皮質ホルモンを分泌させる指令を出さなくなります。
このため副腎皮質はホルモンを作らなくなって萎縮を起こしてしまい、不可逆的に副腎が機能しなくなってしまいます。
こうなるとずっと外から補い続けなければならなくなり、これがステロイドの副作用の怖さなのです。
男性を男らしくしているのは睾丸(精巣)のライディッヒ細胞から分泌されるテストステロンです。
脳の視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRHゴナドトロピンリリーシングホルモン)が下垂体前葉に作用して性腺刺激ホルモン(LH)を分泌させ、これがライディッヒ細胞を刺激するのです。
テストステロンは母親の胎内にいる時から働き、第一次性徴を形造るよう促して、生後は思春期が訪れるまではずっと低い値のままですが、10歳を過ぎる頃から分泌が盛んになり18歳頃にピークを迎えます。
第二次性徴で声が太く低く、ひげが生え、筋骨はたくましく、生殖器が大きくなって、子供を大人の身体へと変えるのです。
やがて加齢と共にテストステロン値はゆるやかに減少していき、40歳を過ぎる頃から明らかに低下していきます。
ただ男性には女性の更年期・閉経の様な劇的なホルモンの変化が無い為に、自分が更年期にさしかかっていると気づきにくいのが一般的です。
しかしすべての女性が間違いなく45~55歳の更年期に生殖能力を失うのに、男性には70歳を過ぎてもなお若い頃と同じ位のホルモン値を維持する人もいます。
血中テストステロンはほとんどが性ステロイド結合グロブリンの形で存在していて、標的組織で活性せず、実際に作用するのはフリー(遊離)テストステロンです。
血中絶テストステロン値は60歳頃からゆるやかに減少していきますが、フリーテストステロンは20歳代をピークに年齢と共に減少し、40歳頃から急に減る事が最近知られてきました。
フリーテストステロン値が充分で無いと、過労やストレスから来る精神的な疲労力値接の引き金となって、性欲減退やED(勃起不全)等性機能障害を起こす例がしばしば見られるのです。
のどぼとけの少し下にある甲状腺は、蝶の形をした20gほどの小さな柔らかい器官です。小さいといっても内分泌器官としては最大で、いうまでもなく甲状腺ホルモンを分泌しています。
この甲状腺ホルモンは1.体の成長を調節する 2.熱を産生させて体温を保つ3.心臓を活発に働かせる4.エネルギー代謝をスムーズにする等の働きがあります。
甲状腺疾患の多くが不足による機能低下症一橋本病で、この甲状腺ホルモンが不足するとすれば、上記の様な働きが障害されるのですから、症状も様々に現れます。
下表のような症状を呈するのですが、これらはあまりによく見られる症状なので甲状腺が腫れたりしない限り分かりにくいのです。
つまりこれらの症状を訴える患者さんがあれば、甲状腺機能低下症も可能性として考えるべきだと言えるでしょう。
可能性のある人にはTSH(甲状腺ホルモン放出ホルモン)の測定だけでも勧めた方がいいかもしれません。
アメリカでは血糖、コレステロール、ヘモグロビン、PSA(前立腺がん腫瘍マーカー)と並んでTSHの測定を呼びかけています。
甲状腺の機能が落ちてホルモンの分泌が少なくなると、TSHが沢山出て甲状腺の尻を叩きます。
つまりTSHの値が高いという事は甲状腺がしっかり働いていないという事を意味しているわけです。
橋本病といっても直ぐに医療が必要とは限りませんが、加齢によって状態が悪くなったり、動脈硬化が進行したりするので、経過をみていく事は必要です。
高齢の女性の1割は医療が必要な甲状腺機能低下症といわれています。
甲状腺機能低下症の症状
筋肉痛、関節痛、筋力低下、筋緊張、痙攣、めまい、頭痛、感覚異常、難聴、耳鳴り、嗄声、副鼻腔炎、皮膚乾燥、手根管症候群、徐脈、食欲低下、便秘、月経過多、無月経、貧血
甲状腺機能亢進症は200~300人に1人、甲状腺機能低下症が20人に1人、結節性甲状腺腫も20入に1人という高頻度です。
もちろん全ての人が直ぐ療法をを必要としている分けではありませんが、経過を見る事は必要です。
現に症状が出ている甲状腺機能低下症、バセドウ病、甲状腺がんも女性で70人に1人、男性で100人に1人位は見つかる様です。
亢進症の代表はバセドウ病ですが、動悸、眼球突出、甲状腺の腫れ等が目安になります。
ただ高齢者の場合はこれらのハッキリとした症状が出無い事もあるので 要注意です。
原因不明の体重減少等があったら真っ先にがんを、心配しがちですが、バセドウ病も頭に置いた方が良いでしょう。
手の震えが起こる事もありますが、これも老化による振戦と片づけない事です。
-方、甲状腺機能低下症の場合は様々な症状が自覚されますが、他の疾患と紛らわしいので専門医でないと、医者にも本人にも気づかれ難いというのが現状です。
消化管に関係するホルモンの多くは脳や神経にも存在している事が分かって、それらを脳一腸管ペプチドあるいは脳一消化管ホルモンと呼ぶ様になりました。
その中でも働きがある程度分かってきたものにコレチストキニンというホルモンがあります。
このホルモンは少数のアミノ酸が繋がった構造を持っていて、小腸粘膜から分泌され胆嚢を収縮させたり、膵臓から膵液を分泌させたりする作用があります。
脳の中では食欲の調節に働いていると考えられていましたが、1988年、カナダの生理学者のレ・フェルドの実験で別の作用がある事が分かりました。
このコレチストキニンを被験者の静脈に注射したところ、すぐに「世界が没落する感じ」「不快感や不安感」が数分問起こる事が分かったのです。
翌年、別の研究者の報告では、10人中7人の被験者がパニック発作を起したのです。いずれも数分という限られた時間です。
被験者の感想として「説明のできない恐怖感」「自分の身体を制御できない」等を感じたそうです。
ヒポクラテスの体液論によると胆汁質は短気で怒りやすい、精力的だといわれています。
不安は怒りに転嫁しやすいものです。怒りの表裏として、脳内の不安や恐怖が隠れているといえるかもしれません。
陰陽五行でも肝・胆は怒りですが、脳一腸管ペプチドの存在は先人の直感の鋭さを感じます。
また、コレチストキニンは脳内の重要な神経伝達物質がある部位に見つかっています。
そして痛覚とも密接に関係している延髄の孤束や最後野とも関係していますので、コレチストキニンの脳内分泌が多い人は痛みに対して敏感になりやすいという研究もあります。
いずれにしてもこのコレチストキニンは不安を誘発する物質であり、また胆嚢を収縮させる物質という不思議なホルモンなのです。