- Blog記事一覧 -6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 35の記事一覧

6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 35の記事一覧

ホルモンの出方

2021.06.11 | Category: ホルモン

主なホルモンは内分泌器官から分泌されますが、その大元締めになっているのが間脳の視床下部です。

ただ視床下部が個別の必要なホルモンを分泌するわけではありません。

視床下部は全身からの情報をにらんでホルモンの分泌を増加させるか抑制するかを決め、下垂体に刺激ホルモンを出すように刺激ホルモン放出ホルモンを出すだけです。

例えば甲状腺ホルモンが足り無いとなれば、視床下部は下垂体に向けて甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンを出します。

脳下垂体はそれを受けて甲状腺に向けて甲状腺刺激ホルモンを出して、甲状腺はやっと甲状腺ホルモンを出すというわけです。

視床下部は様々な“刺激ホルモン放出ホルモン”を下垂体に出して、下垂体は各臓器に“刺激ホルモン”や“形成ホルモン”等を出すというわけです。

この調節される物が調節する物に働きかける事をフィードバック調節と言いますが、これには刺激して分泌を促進する正のフィードバックと、分泌を抑制する負のフィードバックがあります。

下垂体が具体的に働きかける内分泌臓器には甲状腺、副甲状腺、心房、副腎、腎臓、すい臓、精巣、卵巣だけでなく、胃や十二指腸等があります。

悪魔の薬から福音の薬へ

2021.06.11 | Category: 免疫

サリドマイドといえば1950年代に歴史上最大の薬害をもたらした「悪魔の薬」です。

安全な睡眠薬として処方箋も要らずに広く使われ、妊娠中の服用によって胎児の四肢(特に上肢)に奇形を起こし、いわゆるサリドマイド児を5000人以上、日本でも309人の被害者を出しています。

そのサリドマイドが最近になって見直され、「福音の薬」として脚光を浴びています。

最初はイスラエルの医師がハンセン病の難治性の皮膚炎に劇的な効果があると報告したもので、その後全身性エリテマトーデス、ベーチェット病、エイズ等、難治性の粘膜皮膚疾患にも特効薬と言えるほどの有効性が確立されてきたのです。

更にサリドマイドには免疫抑制剤としての効果も発見されました。

体内にはサイトカインの一種であるTNF-αという物質があって、腫瘍組織を壊死させたり、抗細菌、傷の治癒に働きます。

しかし時としてTNF-αが増殖すると自己免疫疾患を起こしたり腫瘍の血管新生作用を引き起こします。

サリドマイドにはこのTNF-α(腫瘍壊死因子)の合成を選択的に抑制する働きがあるというのです。

つまりサリドマイドは免疫抑制作用として自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、乾癬症等)の改善に効果がある事が分かったのです。

免疫抑制の効果ではステロイドより効果があるとの報告もあります。

また血管新生を抑える為腫瘍の血管新生を止めたり、糖尿病性の網膜症や老人性黄斑変性症(いずれも血管新生が異常になる障害)にも有効だといいます。

日本でも既に個人輸入という形で医師の裁激で使用されているようで、日本でもサリドマイドの新しい使い方が検討されています。

習慣性流産

2021.06.11 | Category: 免疫

妊娠24週未満に胎児が死んだり母体外に出てしまって妊娠が途絶することを流産と言いますが、自然流産が3回以上連続する場合を習慣性流産といいます。

その習慣性流産の原因は胎児では無く母体にある事が多く、検査によって免疫の異常、子宮奇形、子宮頚管無力症、膠原病、ホルモン異常等が分かる事があります。

しかし60%は原因不明といわれています。

母体にとって、赤ちゃんの半分は自分の細胞ですが、残り半分は「異物」である夫の細胞です。

通常、妊娠中は胎児を「異物」として拒絶しないように免疫機能が働きますが、これを生殖免疫といいます。

この免疫バランスが崩れると、母体が胎児を拒絶してしまうのです。

現在考えられている説では夫婦の免疫型HLAの違いが大きいほど流産し難いといわれています。

これは胎児が着床した事がきっかけで母親の体の中に胎児を排除しようとする免疫反応を抑える遮断抗体ができるのです。

異物度が高いほどこの抗体が多くでるのです。HLA型の共通項が多く異物度が少ないほど遮断抗体が少ないので流産するというのです。

療法としては異物度が高める為の免疫療法が行われ、夫の血液中のリンパ球を母体に接種する事で、胎児を排除しようとする免疫反応を抑制するのです。

また最近では自己抗体である抗リン脂質抗体があると流産率が高い事が分かってきました。

細胞や血小板等の膜成分はリン脂質が主成分で、その膜を通して色々な物質が交通するのですが、この抗体が陽性であると、胎盤内の微小血管に血栓が生じて血管が詰まってしまい、胎盤の機能が低下して、流産、子宮内胎児死亡が発生すると考えられています。

従来、流産や死産を繰り返すと精神的な過度のストレスから異物を排除する働きのあるNK細胞が活性化され、免疫異常が起こるともいわれています。

習慣性流産は、多くの場合お母さんが仕事を続けていたからとか、重い物を持ったからといった不節制な生活が原因ではないのです。

口腔と免疫疾患

2021.06.11 | Category: 免疫

西原克成氏は口腔外科の専門医ですが、あまりのユニークさとその壮大なスケールゆえに、アウトサイダー的な位置にいます。

その西原氏が2002年、NHK出版から「内臓が生みだす心」を出版し、この中で、免疫疾患について従来の免疫学には無い、発生学的な視点から次の様な大胆な仮説を提唱しました。

人間の呼吸には口呼吸(腸管呼吸)と細胞呼吸とがあり、この両者の関係の中に免疫疾患の原因があるとしたのです。

著書の臨床報告でも、多くの免疫疾患に対して鼻呼吸、咀嚼訓練と口腔の清浄、横隔膜呼吸(腹式呼吸)と腸管を温める事を勧め、それによってアトピー性皮膚炎や難病の自己免疫疾患等も改善したと報告しています。

西原理論ではあらゆる病気の根源に細胞呼吸の要であるミトコンドリアの代謝の障害があると考え、従来の免疫学では細分化されている免疫疾患も根本のところでは同根であるとしています。

その考えを概略すれば、鼻呼吸では無く口呼吸をすると常在菌の特に好気性菌等が不顕性の感染で身体中に巡ってしまいます。

口腔が不潔であればより不顕性感染が加速します。元々ミトコンドリアは発生学的には身体の細胞に住みついた奸気性の原核生物です。

ですから、ミトコンドリアの酸素を好気性菌によって横取りされてしまうと細胞内のエネルギー代謝がだめになり、細胞は不活性に陥ってしまうというのです。

また、冷たい物の摂取は腸管の細胞の冷えをもたらし、ミトコンドリアが不活性になり腸管免疫に障害が出るとしています。

もちろん、口呼吸や冷え以外にも薬物や汚染物質や食品など他にもミトコンドリアを障害する原因はあると指摘しています。

いずれにしても、ミトコンドリアの呼吸機能が障害される為身体のあらゆる細胞レベルの成長、発生、新陳代謝(リモデリング)が障害され、結果として免疫機構が壊れてしまうというのです。

あまりに大胆な仮説で賛否の分かれるところですが、東洋医学の考えに通じる理論でもあるので紹介しました。

悪液質と免疫抑制

2021.06.11 | Category: 免疫

ガンを放って置けば死にますが、ではガンによって何故死ぬのかは本当はよく分かっていません。

ガンが大きくなると体の栄養を独占する様になぅて死ぬという様にも考えられていますが、そう単純でもない様です。

動物実験ですが、Tリンバ球を持たないマウスにヒトの悪性ガンを移植すると、ガンはどんどん大きくなりマウス本体ほどの大きさになってもマウス自体は生きていたというのです。

つまり、ガンその物では生命を落とす事は無いわけで、死なせる原因はガンによって起こる悪液質なのです。

性質の違うガンでも最終的には悪液質の症状(全身の衰弱、るい痩、浮腫、貧血等)をもたらします。

この悪液質の原因はカケクチンと呼ばれていましたが、その本体はTNF-α(腫瘍壊死因子)だったのです。

TNF-αは本来ガンに働いてガンをアポトーシスに導く働きをする物ですが、ガンの進行に伴ってTNF-αが全身に作用し、その為にガンで無い部分の全身にアポトーシスの作用が及んで悪液質の症状をもたらしていると考えられるのです。

TNF-αは脂質、糖、蛋白質の代謝に対して異化作用を進め、また腫瘍の血管の新生も促進します。

上記のマウスにはこのTNF-αが欠けていた為に悪液質になる事なくガンと共存していたのです。

転移とTNF-αのコントロールをすればガンとの共存も可能となる可能性が高くなります。

ちなみにサリドマイドはこのTNF-αを抑える作用でも再評価されてきています。

炎症性腸疾患

2021.06.11 | Category: 免疫

炎症性腸疾患である潰瘍性腸疾患とクローン病は原因不明の特定疾患に指定されています。

毎年約4000人の患者が新たに登録され、総数は約10万人と、若者を中心に年々増加しています。

食事の欧米化に伴い、動物性蛋白と脂肪の摂取量の増加が一因と考えられていますが、原因は不明です。細菌やウイルス、食物中の食品添加物、化学物質、飽和脂肪酸や糖分の摂り過ぎによる代謝異常等から、腸内細菌の異常や腸管の血流不全、遺伝的素因、免疫異常等が関与していると見られています。

消化管は消化、吸収をしますが、微生物等の抗原は、消化管の粘膜免疫によって、侵入できない様になっています。

それが炎症性腸疾患では、免疫防御機構に異常がみられ消化管の炎症がひき起こされると考えられています。

潰瘍性腸疾甦では直腸を中心として潰瘍が始まり、大腸全体に慢性的に炎症が広がります。がん化する事もあります。

症状としては血便、粘液便、下痢や腹痛等です。

処置は副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤が使われますが、炎症の部分に集まった顆粒球を血液から除去するという装置が開発され、健康保険の適用を受け普及し始めました。

全国の重症潰瘍性大腸炎の患者約1000人に顆粒球除去療法が行われ、70~80%の患者で症状の改善が見られています。

クローン病は口腔から肛門までの消化管のあらゆる部位に潰瘍が見られ、特に小腸や大腸が好発部位です。

主な症状として腹痛、下痢、発熱、下血、痔等があります。下痢は1日6回以上あり、一ケ月で10kgの体重減少する事もあります。

処置は潰瘍性大腸炎と似ていますが、クローン病では食事制限が必要で成分栄養分(脂肪が無くて吸収されやすい物)を用いた栄養療法を行う事になります。

最近では胃潰瘍等消化管の内壁に生じる炎症が、骨髄移植する事で骨髄に含まれる幹細胞が消化器で分化、再生して内壁が修復される事を米医学誌「ネイチャー・メディシン」電子版に東京医科歯科大と慶応大の研究チームが発表しました。

これは炎症性腸疾患等消化器の難病に役立つのではと考えられています。

脳と体温と免疫力

2021.06.11 | Category: 免疫

事故による怪我や病気で脳神経組織が著しく障害を受けている患者の身体を、33度前後に冷やす事で脳の温度を下げると、神経細胞が死んでしまうのを防ぐことができます。

この脳低温療法は脳の損傷を最小限に抑えて、予後も非常に良かった事から、今では全国の多くの病院で採用されています。

ところがこの療法を始めた頃(゛91年以降)は、患者の体温の低下に伴って免疫力が落ちて重症の肺炎等の感染症を起こし、32~64%もの患者が感染症になりました。

しかし’96年から脳低温療法の際に成長ホルモンを補充を始めたところ、感染率が9%に激減したのです。

成長ホルモンの主な働きは発育を促す事ですが、このホルモンはT細胞やNK細胞、マクロファージ等を活性化させ、胸腺にも働きかけます。

脳低温療法で免疫力が落ちる原因のひとつに、脳の温度が下がって脳下垂体の働きが弱まり、成長ホルモンの分泌量が減る事にあったのです。

この様に体温と免疫力は密接な関係にあり、風邪の時に熱が出るのは視床下部の体温調節中枢が体温を上げる指令を出しているからで、ウイルス等の病原体に出会ったリンパ球が生理活性物質を使って、体温周節中枢の神経細胞に作用するのです。

そして体温が42度を越えそうになると、今度は免疫細胞は発熱を抑える物質を出します。

感染症にかかった時に発熱だけでなく、食欲不振や眠気といった症状が現われるのは、生体の活動量を減らし病原体との戦いに専念しようと、免疫系が脳に働きかけているからだとみる専門家がいます。

ストレスと免疫

2021.06.11 | Category: 免疫

ストレスと免疫の関係は明らかで、ストレスの度合いが感染症や心身症の発症、経過に作用します。

急性気道感染症のウイルスを点鼻するという乱暴な実験でもストレスの感じ方が強いほど免疫能が低下していて発症率が高かったといいます。

またアルツハイマー患者の介護をしている介護者の免疫では、同様な状況でもストレスをより強く感じている人の方がそうで無い介護者よりも傷の治りが遅かったという結果もあります。

また阪神大震災での調査でもPTSDがNK細胞の活性を低下させる事が明らかになっています。

大震災などに限らず、PTSDは長期的な影響を及ぼす事が多く、特にうつ傾向とアルコール依存の割合を増やします。

またPTSDから回復した後も悪夢等の侵入症状が長く残ったり、対人関係の問題を抱えやすくなる傾向にあります。

免疫を受け持つ胸腺や骨髄、肺、リンパ節などは自律神経の支配を受けています。

自律神経の中枢は視床下部にあって、視床下部は下垂体→副腎の流れでストレスをコントロールしています。

視床下部はまた情動の中枢でもあり、この事からも情動が体のストレス反応と大きな関わりを持つ事が分かります。

つまり肉体的なストレスだけで無く、不安、抑うつ、怒り、悲しみ等の情動的、精神的なストレスも神経や内分泌を介して免疫系に影響を及ぼし、極短時間で細胞性免疫能も変化させるのです。

糖尿病と免疫疾患

2021.06.11 | Category: 免疫

2型糖尿病は生活習慣病の代表格です。一方1型糖尿病は自己免疫性と特発性の物に分けられますが、80~90%は自己免疫性です。

膵臓のインスリンを作るβ細胞の破壊によって起こり、多くの場合急激に悪化し、早期にインスリン注射が必要になります。

この自己免疫の異常はT細胞が原因です。

で細胞は通常、細菌や異物等と自己を構成している細胞を見分けて、それが敵であると認識するとキラーT細胞に指令を出して攻撃をしかけます。

更にその指令をB細胞に送り抗体を作らせて敵(抗原)をやっつけます。このT細胞は胸腺で教育を受けて通常は自己を攻撃しない様になっています。

これを自己免疫寛容といいます。

この自己を攻撃しない様になっているメカニズムは、細胞表面に主要組織適合抗原(MHC)=HLA(ヒト白血球抗原)という抗原(目印)があるからです。

その目印の見分け方を学習した筈のT細胞に異常が起こると自己免疫寛容ができなくなって膵臓のβ細胞に攻撃を仕掛け、最後には破壊してしまうのです。

この免疫異常は遺伝子の異常やある種のウイルスがきっかけになって突然発症すると考えられています。

HLA遺伝子の近くに数個の原因遺伝子が存在していると推測されていますが、正確にはどんな遺伝子なのか分かっていません。

最近の研究では糖尿病の発症前にもインスリンやβ細胞に対する自己抗体が見つかっており、膵臓のβ細胞に対する免疫異常は糖尿病を発症する以前から始まっている様です。

従って2型糖尿病と見られるものにも、1型が混じっている事が考えられます。

アポトーシスの失敗

2021.06.11 | Category: 免疫

プログラムされた死“アポトーシス”は個体の発生や恒常性の為に重要な働きをしています。おたまじゃくしの尻尾が無くなるのも、人の指がきちんと5本に分かれるのも発生の過程で役目を終えた細胞が“自殺”するからです。

最近ではこのアポトーシスの研究が進むに連れて、アポトーシスが免疫系においても重要な働きをしている事が分かってきました。

これまで、自己免疫疾患は自己に反応するリンパ球が異常に増える為だと考えられてきたのですが、実は、本来自殺するべき自己反応性のリンパ球が死なずに残ってしまうために起こるという事が分かってきたのです。

例えば胸腺ではT細胞の教育が行われて自己に反応するT細胞は排除されるとされていますが、その場合の排除もいらないT細胞にアポトーシスが起こっているのです。

哺乳類の細胞の表面にはアポトーシスを起こさせるシグナルを受け取るFasというアンテナがあって、ここが刺激されるとアポトーシスのスイッチが入って自殺していきます。

動物実験では免疫細胞のアポトーシスを制御する遺伝子が異常になる為に自己免疫疾患を起こす事が分かっていますが、人ではまだ確認されていません。

アポトーシスは起こり過ぎても起こら無さ過ぎても困ります。

アポトーシスが起こり過ぎるとエイズやアルツハイマー、パーキンソン病等の神経変性疾患や筋萎縮性側索硬化症を発症しますし、アポトーシスが起こら無くなるとガンや自己免疫疾患、ヘルぺス等のウイルス感染症等が発症してしまう事になります。

アポトーシスを制御できる様になれば、難病と言われる多くの疾患の改善可能になると考えられます。

当院のスケジュール