- Blog記事一覧 -6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 30の記事一覧

6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 30の記事一覧

動脈硬化が怖いのは?

2021.06.12 | Category: 循環器

アテローム性(粥状)の動脈硬化は、コレステロールがヘドロの様に血管壁にこびりついて血管を詰まらせるのではありません。

これまで分かっているのは、LDLコレステロールが血管の内膜に潜り込んで酸化し、泡沫細胞となってプラーク(塊)を作るという事です。

それが破れると凝血塊を作り心筋梗塞や脳梗塞等を引き起こします。動脈硬化が怖いのはこうした突然の発作が命取りになったり後遺症を残してしまうからです。

しかし、プラークは大きくなってもそれ自体が血管を塞いでしまって血流を止めてしまうのは15%位なもので、実際はプラークが破れた為凝血塊ができて梗塞を起こす事がほとんどなのです。

血管の弾力が無くなったり、(血管を塞がない様な)プラークができている、つまり動脈硬化というだけでは大きなトラブルは起こら無いと考えられるのです。

ではプラークを破裂させるのは何かという問題です。

分かって来たのは、プラークを破裂させるのは“炎症”なのです。

プラークを作っている泡沫細胞は炎症物質を作りますが、それが結合組織を損傷してプラークを覆っているキャップに亀裂を作ったり破ってしまいます。

しかも泡沫細胞は凝血因子も作るので破れた部分に凝血塊を作るという分けです。

炎症は何もその血管のプラーク部分で起こるだけで無く、体の他の場所で起こっていても血液中に溢れた炎症に加わる成分が飛び火する事もあるので、プラークの破裂に一役買う事があるのです。

つまり感染症も動脈硬化を危険に晒すという事がいえます。

糖尿病は血液の糖がLDLの炎症性を高めると考えられ、タバコも活性酸素を作り出してLDLを酸化させる事で血管に炎症を起こさせる可能性が大きいのです。

HDLは余分なコレステロールを肝臓に運ぶだけで無く、抗酸化物質を運んで酸化脂質を減らしている可能性もあり、やっぱり善玉コレステロールだといえます。

白髪と色素細胞

2021.06.12 | Category: 加齢

髪の毛の色はすべて毛根にある色素細胞(メラノサイト)が作り出すメラニン色素によって決定されます。

着色物質であるメラニンには2種の基本的成分があって、これらの色素の割合によって濃い色や薄い色等の髪の毛の色が決まるのです。

いったん毛根で着色された毛の色は後で変わる事はありません。

白髪になるのは加齢によって、メラノサイト機能が乱れてきて発生するのですが、普通は何年もかけてゆっくりと進行するので、一夜にして白髪になる事はあり得ないのです。

よく恐ろしい体験や心配事の為に一晩で白髪になった、という報告がありますが、実はゆっくり白髪化しているのに本人が気づかなかっただけなのです。

確かにストレスや心配事が白髪化を促進する事がありますが、毎日約100本の毛が失われ、新しく白い毛が生えて来て目立つ様になると、急に白髪になった様に感ずるのです。

白髪年齢はほぼ遺伝的に決定されていて、親の形質を受け継ぎます。また白髪になるのには男女差があり、おおむね女性の方が男性よりも早く白髪になります。

メラノサイトは意外に早く老化し始め、25歳までに4分の1の人で白髪が現れます。老化してメラノサイトの機能が乱れて来ると、色素生産をスピードアップさせ、細胞が死ぬ前に最後に色素を出す事があり、いったん白くなった髪がまた一時的に黒く生えて来るという事もあります。

甲状腺疾患や脳下垂体の病気等でホルモンの異常があるとメラノサイトの機能不全が起こったり、狂ったりします。

またメラノサイトが集団で崩壊すると白斑になり、そこから生えた毛は全て白髪になってしまうのです。

コラーゲンの効用

2021.06.12 | Category: 食事

コラーゲンを配合した食品や化粧品をよくみます。

コラーゲンは蛋白質で、人体を構成する蛋白質の内、約1/3をコラーゲンが占めています。

蛋白質は細胞や血液の中で水に溶けた形ですが、コラーゲンは線維状になって存在します。

コラーゲンは体を覆う皮膚には40%、骨や軟骨に30%、血管8%と多く含まれ、肘や膝の関節軟骨はクッションの役目、肌の張りやみずみずしさ、血管の弾力性等を保つのに関わっているのです。

このコラーゲンも新陳代謝をしますが老化と共に衰え40歳では20歳の半分に減少するといわれています。

その為に皮膚のシワやたるみが増えたり、骨粗鬆症、関節軟骨が減って関節痛が生じたり、動脈硬化等の原因にもなって来るのです。

コラーゲンには非必須アミノ酸しか含まれていませんが、必須アミノ酸を含む蛋白質を摂りながらコラーゲン食品を食べる事で、関節の痛みが軽減したり、皮膚の張りが出て来て血液循環が改善されたという報告がされています。

最近の研究によるとコラーゲンの摂取は体内でコラーゲンの合成に関係していると考えられています。

コラーゲンは胃腸で分解されアミノ酸になりますが、そのコラーゲンの中にアミノ酸が20個ほど集まった生理活性ペプチドが残り、そのペプチドがコラーゲンを作る線維芽細胞を活性化させると考えられています。

もう一つは細胞膜にはアミノ酸を細胞に取り込む為にアミノ酸トランスポーターという装置があります。

コラーゲンにはグリシンというアミノ酸が最も多くあり、それが細胞膜に取りついてコラーゲンをつくる情報を細胞に送っているというのです。

魚の煮こごり、スジ肉の煮込み等コラーゲン食は身体には必要なのです。

ところでコラーゲン配合の化粧品がありますが、皮膚の上にコラーゲンを塗っても表皮から吸収されないのでシワを取る事はできませんが、コラーゲンにあるグリシンには親水性があり、皮膚の保湿性が高まり、肌とのなじみ感が良い事から人気があるようです。

ヘルシーピープル

2021.06.12 | Category: 病気を予防する

日本ばかりでなく2014年に3億189万人を超えた米国でも高齢化の波は確実に押し寄せています。100才以上の長寿者の人達も2000年の時に既に7万人を越えていて、2010年には13万人、2050年にはなんと80万人になると予想されているのです。

米国は意外にも長寿国であるのです。また、100才以上の人達の健康度も日本と遜色ありません。

高齢社会への対策として国民の健康の増進のための予防医学的目標を定め、1989年以来ヘルシーピープル2000、ヘルシーピープル2010、2000から2010の目標達成率は僅か19パーセントだそうです。現在はヘルシーピープル2020とキャンペーンを張っています。

がんの死亡率は10年版目標値では、がんによる死者数を人口10万人に対し158.61人と設定。これに対し20年版では人口10万人に対し160.6人に引き上げている。

健康な体重については、10年版は、理想とされるBMI値(18.5以上25未満)の成人を成人人口の60%とかなり高い目標を掲げたが、20年版では 33.9%に設定。肥満人口が増える中、肥満人口減少率と同じく、10年版の教訓から実現可能な範囲へとかなり控えめに押さえています。

現在国民の費やす医療費は1兆ドルですが、目標達成ににより数億ドルの医療費削減を見込んでいます。

そのために栄養補助食品や抗酸化栄養素の大量摂取、習慣的な運動プログラム、ライフスタイルの改善をあげています。

このようなキャンペーンの結果、健康食品、ビタミン、ミネラルの売れ行きが飛躍的な伸びを上げています。

政府はこのキャンペーンを成功させるために栄養補助食品の安全性や効果の研究などに大学や研究所にどんどん補助金を出しているのです。

これによる健康産業を育てるというもう1つの米国の世界戦略があることも見逃せません。

ドライマウス

2021.06.12 | Category: 口腔

ドライアイ(乾き目)はよく話題になりますが、ドライマウス(口腔乾燥症)というのはあまり聞き慣れない用語だと思います。

文字どおり口腔の粘膜が乾燥する病気です。正常でも鼻詰まりや二日酔いの朝など、口の中にコケがこびり付いた様な感じになる事があります。

原因は唾液の分泌能力が障害されて起こりますが、初期には嘸下がしにくいとかしゃべりにくいなどの症状が現われてきます。

次に口腔の粘膜が傷付やすくなる為口腔の炎症等で痛みが出たり、時には灼熱感を伴う事もあります。

また、唾液の成分には殺菌作用がありますが、その機能低下により虫歯や歯周病などに罹りやすくなります。

原因で一番多いのが薬物の副作用です。風邪薬の鼻水を抑える抗コリン作動薬は鼻水ばかりで無く唾液分泌も抑えてしまいます。

それで鼻閉による口呼吸だけで無く、朝起きると口の中がコワコワになってしまうのです。

また、特に高齢者がこのドライマウス(一説には約40%という報告があります)になりやすいのは、常用している他の薬物が関与しているのです。

当然ながら高齢者は唾液分泌能力も低下していますので、それに加えて症状を悪化させてしまうのです。

例えば血圧降下剤、利尿剤、向精神薬、抗パーキンソン薬、鎮痛薬等がそうです。

また、高齢者は一般に喉の乾きを感じない為に脱水症状気味な人が多いので、充分な水分の補給も唾液を促す為には必要なのです。

原因はストレスと言われていますが、最近のデータでは口腔乾燥症が小学生に増えていると言う報告もあります。

いずれにしても、ドライマウスになってしまったら唾液分泌を促す為のガムや堅いスルメ、梅干、レモン水等の酸味のあるものを摂る事が必要です。

また、部屋には加湿器で一定の湿度を保つ事も高齢者では大切です。

更に、口腔を清潔にする為の歯磨きとうがいをしっかりやる事です。

呼吸は鼻で

2021.06.12 | Category: 呼吸器

最近口を半開きにしている人を多く見かけます。

これは単なる顔にしまりがないだけではなく、免疫にもかかわる重大事と警鐘を鳴らしているのが東大医学部口腔外科の西原克成医師です。

無意識に口を半開きにしているのは□呼吸をしているからで、この口呼吸はやがて色々な病気に繋がるというものです。

そもそも哺乳類は鼻腔と気管が鼻の奥で直接繋がっていて、呼吸は鼻でしかできません。

ところが人類は言葉をしゃべる為に口から空気を出す事が必要になった為、口腔と気管が繋がり、□呼吸ができる様になったというのです。

しかし口呼吸ができる事と、口で呼吸すれば良いというのとは違います。鼻で呼吸すると、鼻腔の粘膜によって空気中の異物が体内に入る事を防ぎます。

また吸気に適度な湿り気を与えて肺胞で酸素がスムーズに吸収されやすくなります。ところが口呼吸になると、本来は食べ物等についた雑菌の処理をしなければならない喉の扁桃リンパ輪が空気も処理しなければならなくなりオーバーワークになってしまいます。

しかも口呼吸で扁桃腺が乾燥して風邪をひいた状態になってしまうのです。この状態が常態になってしまうと免疫にも影響が出る事は想像できます。

またこうなると鼻の働きは嗅覚等も廃用的に衰えていきます。また睡眠時無呼吸も口呼吸が原因とみなされてります。

自分が□呼吸かどうかはなかなか気が付き難いものですが。
・朝起きた時、喉がヒリヒリする事がある
・鏡を見ると、口が「へ」の字
・クチャクチャと音を立てて食べる
・唇がいつもカサカサしている
・何かに夢中な時、□が開いていると言われる
・いびきをかく
の内3つに該当すれば、ほぼ口呼吸と考えてよい様です。

脳のための睡眠

2021.06.12 | Category:

睡眠には二つの層があって、レム睡眠とノンレム睡眠で構成されているという事は定説です。

レム睡眠時には閉じた瞼の下で目玉がキョロキョロ動いているのに、体はぐったりとしていて脳が起きた状態、ノンレム睡眠時とはレム睡眠でない状態で脳が眠っている状態と理解されています。

そこで「ノンレム睡眠は脳の睡眠」、「レム睡眠は体の睡眠」といわれるのですが、しかしこれは誤解なのです。

そもそも睡眠というのは、脳が必要とするもので、その脳自身が脳のために行う“活動と休息”の働きのリズムで、レム、ノンレム、ともに脳の回復の為にあるものです。

進化の上ではレム睡眠が古く、骨格筋の緊張を解いて休息させる為のものでしたが、進化の中で大脳が発達して大脳を休息させる為のノンレム睡眠が必要となった様です。

するとレム睡眠はノンレム睡眠を覚まさせる役目を持つようになり、この二層のリズムが脳の休息を構成する様になったというわけです。

したがってノンレム睡眠は大脳を沈静化する睡眠、レム睡眠は大脳を活性化する睡眠、とみる事が正しいのです。

こうしてリズムを作って休息するのが脳なら、休息させるのも脳の働きで、脳は睡眠を作る為に体の状態を整えます。

神経のシステムではニューロンを活動させたり抑制したりして眠りを用意し、その影響として体内では分かっているだけで数十もの睡眠物質を分泌して睡眠を作って行くのです。

この睡眠物質の中にはニューロンの機能を回復させたり、ニューロンが作った細胞毒を解毒しているらしい事も分かっています。

夏型の肺炎と家の関係

2021.06.12 | Category: 呼吸器

夏の初め頃から咳や発熱等の風邪症状がでて、風邪薬や抗生物質が効かずに息苦しさが増してくる、という時は要注意です。

特に外泊した時は咳が出ずに息苦しくない、という場合、夏型過敏性肺炎の事がよくあります。

過敵性肺炎とは、カビ等の抗原を繰り返し反復呼吸する事でアレルギー反応が起きて、肺の間質に炎症が起きたもので、夏型は日本の過敵性肺炎の7割以上を占めているのです。

日本の高温多湿の夏、カビの種類は数あれど、腐った木材や畳や寝具などを栄養にして繁殖するカビの中にトリコスポロンというのがあり、これが夏型過敏性肺炎の原因です。

トリコスポロンは築後20年位の古い木造住宅の1階に多く発見されていて、患者は在宅時間の長い主婦が4割を占めています。

ところが最近では築10年程度のマンションでの患者も増えているといいます。

共通している点はいずれも陽当たりや通風・換気が悪くて、カビが発生しやすい条件が揃っている事です。

この肺炎は最初カビを少しずつ吸入してから、啖や痰、発熱等の症状が出始め、次第に悪化して呼吸困難になって行きます。

カビが抗原のアレルギー反応なのですが、スギ花粉症の様に抗原を吸い込んで直ぐに反応が出るのではなく、帰宅してから症状が現れるまでに4~6時間もかかるので、なかなか家が原因とは気付かないものです。

軽症なら入院する等家から離れるだけで症状が取れますが、中等症だと副腎皮質ホルモンを使う事になります。

問題は家のカビ対策で、畳替えや内装の張り替えだけでは間に合わない事もあります。

アレルギーとはいえ放置しておくと肺の繊維化が進み、命に関わる事もあるので、夏風邪が風邪薬や抗生物質を飲んでも症状が取れない様なら、一度住んでいる家の環境をチェックする必要がありそうです。

疲労感の正体

2021.06.12 | Category: 感覚

疲れに襲われ、日常生活も営めないという様な「慢性疲労症候群」の患者は、日本では0.3%位と見られています。

そこまでひどくなくても実際に慢性の疲労感で苦しんでいる人は多く、3人に1人は半年以上続く慢性的な疲労を感じているといいます。

そこで慢性疲労症候群が引き金となり、“疲労”の研究が進むに連れて様々な事が明らかになってきました。

慢性的な疲労の原因としては慢性的なストレスと慢性的な感染が考えられます。

慢性的にストレスが続くとナチュラルキラー細胞の活性が低下して感染症にかかりやすくなったり潜伏ウイルス等が再活性します。

すると免疫抑制のサイトカインが放出されて、内分泌を狂わされます。

その為幸福感や、やる気にかかわるDHEA-Sという神経ホルモンが異常に低下し、更にこれが脳の中での神経伝達物質の合成を阻害して強い疲労感となって行くのです。

検査しても特別な原因が見られない疲労感を訴える患者さんは、単なる気のせいでは無く、こうした体内での流れができていると考えられます。

時として慢性疲労症候群にうつの薬が効くのも神経伝達物質に上手く働きかける事があるからなのです。

この一連の悪循環を作るのはストレスだけで無く、サイトカインの放出を高める様々なウイルス、細菌、それも以前感染して潜んでいる病原によっても引き起こされます。

特にインフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス、ボルナ病ウイルス(馬の脳炎を起こすウイルス)、ヒトヘルペスウイルス、クラミジア、マイコプラズマ等様々なウイルスや細菌が影響していると見られています。

改善に効果が期待される事は何でもやってみる様ですが、ビタミンCの大量投与(4g/1日)や漢方薬の補中益気湯や十全大補湯等に効果があるといいます。

慢性的な痛みはなぜ生まれる?

2021.06.12 | Category: 感覚

1987年に免疫学の抗体遺伝子でノーベル医学生理学賞を受賞した利根川進氏はMIT大学で痛みについてグループ研究を続けています。

その中で、外傷等で神経の障害によって引き起こされる慢性の痛みが起こる機序に重要な役割をしている物質を特定しました。

これは脊髄の中の細胞内伝達系のPKCγ(プロテイン・キナーゼ・ガンマ)という物質です。

痛みを伝える神経が障害されると、触覚を伝える神経が新しい枝を伸ばし痛みの神経に接触して痛みを伝える神経回路ヘバイパスが形成されます。

ですから軽く触られたり、触れられたりする非常に弱い信号を脊髄の中の痛みの神経に伝えるのです。

そこでPKCγがその信号を増幅させ大脳皮質に送る為に、強い痛みを感じるのです。

ですから、利根川らのグループの実験で遺伝子操作してこの物質を欠損させたマウスは神経を損傷しても神経障害性の疼痛は起ら無かったと報告しています。

この様な脊髄の中で痛みの信号を増幅させる物質は他にも見つかっています。

よく知られた代表的なものにP物質(サプスタンスP〉や神経の興奮を伝える興奮性アミノ酸(EAA)などがあります。

特にひどい外傷や手術の跡等に、激しい痛みの聘激が脊髄に伝えられ続けると、触角を伝える細胞にP物質を作る遺伝子が誘導されてしまいます。

この状態が形成されると、傷口が治った後でもそこを触っただけでも痛みや痺れが起こります。

この様な状態を特に「アフロディニア」(異痛症)と呼んでいます。

いずれにしても、慢性的な痛みが起こるのは末梢から中枢までの神経回路の中で複雑なプロセスが生じて起こっているのです。

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