- Blog記事一覧 -6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 28の記事一覧
6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 28の記事一覧
心筋と骨格筋は共に横紋筋ですが、その作用と働きが全く違うので、別種の筋肉だと一般には考えられています。
事実、心筋の細胞は生まれて暫らくすると分裂をしなくなり、同じ細胞が世代交代をする事もなく一生疲れも見せず働き続ける事ができます。
しかし骨格筋に人工的な電気刺激を断続的に与えて心臓と同じ様に収縮させると、やがて痙攣を起こして刺激に反応し無くなってしまいます。
これは骨格筋が疲労物質の乳酸をすぐには排出できずに細胞内に溜め込んでしまうからですが、心筋細胞は栄養を取り込むと同時に、発生した乳酸をすぐさま代謝して近くの血管に排出する事ができ、疲労を溜め込まない構造になっているからです。
心筋細胞には大きいミトコンドリアが多量に存在し、冠状動脈血から酸素と栄養を効率よく取り込んでエネルギーに変える能力が格段に優れているのに対し、骨格筋細胞のミトコンドリアは心筋に比較して小さくて数も少ないのです。
さて心筋梗塞等で心筋の一部が壊死した患者に対し、患者の広背筋の下方の一部を体腔内に入れて心臓に縫い付けるという方法があります。
最初は患者の心臓の収縮ペースの何回かに1回だけ、人工ペースメーカーで弱いパルスを送って筋肉を収縮させますが、次第に電気刺激を与える間隔を徐々に狭めて刺激の強さも増していきます。
するとトレーニングを始めて2ヶ月後には、骨格筋でも患者白身の心臓の洞結節が発する収縮信号と同じペースでの強い刺激にも、痙攣を起こす事無く耐えられる様になるのです。
これは鍛える事で筋肉を取り巻く毛細血管が増え、骨格筋の細胞中のミトコンドリアの数も増えて代謝能力がアップし、筋原線維の蛋白質の構造が心筋の物に近づいてきたわけです。
筋肉の萎縮というのは、平たく言えば筋肉がやせ細ることです。
しかし、萎縮には元通りになるものとならないものがあります。
つまり、萎縮は筋線維の萎縮と筋線維数の減少があるからです。
筋線維の萎縮であれば筋肉に負荷をかければ元通りになりますが、例えば老化する中で起こる筋線維数の減少は元には戻りません。
これは筋細胞の構造を支える細胞骨格や収縮装置の崩壊や再構築ができなくなる為に起こります。
また、筋萎縮の病態としては崩壊だけでなく、変性、壊死へと進む事が分かっています。
これらの細胞の萎縮や数の減少は、角度を変えてみれば細胞を構成する蛋白質が分解してしまう為といえます。
実はなぜ筋肉の細胞内の蛋白質が分解してしまうか完全には解明されていませんが手がかりはあります。
その一つは筋小胞体です。例えば、ギプス等で運動できない状態になると、神経からの伝達に関与している筋小胞体でのカルシウムの取り込みが減少する為、細胞内のカルシウム濃度が高くなると蛋白質分解酵素の活性が高まるのです。
また、筋細胞内のリソソーム(細胞小器官)は細胞内の不用物処理器官として働いていますが、除神経や腱切除やギプスで筋肉の活動が止まるとこのリソソームの中にある蛋白質分解酵素であるカテプシンが増加する事がわかっています。
ですから筋萎縮は身体のシステムである使わない物は必要無いという廃用の原理に基づいているのです。
萎縮を遅らせるには、筋肉の収縮運動をしっかりやる以外に方法はありません。
筋肉の筋細胞は筋線維と呼ばれています。筋線維はウエイトトレーニングをすると2~3倍に太くなりますが、筋線維が分裂して新たに繊維を形成するのでは無く、筋線維を構成する筋原縁組が増える事で太くなります。
これは筋肉に付随する腱や他の組織にトレーニング等の力学的な負荷がかかると成長ホルモンが、筋線維にミオシンとアクチンの収縮蛋白質を作る様に遺伝子を活性化するのです。
この蛋白質は筋原緯線が増えるのに必要になります。蛋白質を余分に作り出すと、細胞の容積と核の比率を一定に保つ為に核を増やす事になります。
筋線維には多くの核がありますがその核は分裂が出来ません。
その為に新たな核は、骨格筋表面に散在する、幹細胞の一種である衛星細胞(サテライト細胞)から作り出されます。
この細胞は単一の核を持ち分裂により複製し、筋運動の消耗度に応じて散らばるのです。
ある説によると激しい運動をすると筋線維の一部に微細断裂が生じ、その損傷部位が衛星細胞を引き寄せ、それが筋線維と混ざりあって修復の為の蛋白質を作り出すといいます。
更に衛星細胞が増えるに連れて、一部は筋線維上に残りますが、残りの細胞は筋線維内に取りこまれ、筋細胞の核となるのです。
こうした核の増加によって、筋線維は蛋白質を更に製造し、筋原纏綿を増やすのです。
修復している時には、損傷がそれ以上進まない様に休養が必要で、修復によって回復した筋肉は傷つく前より筋線維が太くなり、筋力も前より強くなります。
これを超回復といいます。
筋肉を強化する時は毎日激しいトレーニングをするのでは無くハード&スローが基本になります。
鶏肉の皮を剝ぐと薄くて白い膜が筋肉を包んでいます。
これが筋膜です。筋膜は線雄性の結合組織ですが、筋の全体を包む外筋周膜、筋線維を束ねる内筋周膜、それに個々の筋線維の間にもある筋内膜の三つの膜があります。
この筋膜によって骨格筋の構造を支持する枠ができて、その為筋細胞は崩れずに整然と配列していられるのです。
また、多くの神経や毛細血管の通路にもなっている重要な組織なのです。また、筋膜は同じ結合組織である腱と連続性を持っています。
その腱は骨を覆う骨膜としっかり結合しています。ですから、骨格を形作っているのはこの筋膜、腱、骨膜の連続性であるという事もできるのです。
また、筋群は身体に浅い筋から深い筋と幾重にも重層的に存在しています。
それらの筋群が自由な運動ができるのは、筋群を覆っている筋膜の繊維間の適度な水分が潤滑油の働きをしているからです。
また、筋膜を構成している結合組織の線維はあらゆる方向に走っている為、どの方向にも偏らない様に織り合わされています。
ですから、筋の大きさの変化にも適応して、伸張できて全ての方向に膨らむ事ができるのです。
ところが、その筋膜に炎症が起こると、筋膜は強く収縮しようとするのです。
ですから、そこを流れる血液供給が欠乏してなかなか治りにくくなるし、神経通路でもある為痛みが強調されるのです。
我々の治療において重要な鍵を握る組織でもあるのです。
“元気のない高齢者は脱水症状を疑う”というほど高齢者は脱水症状になりやすいといえます。
高齢者では筋肉の減少によって細胞内教量が少なく、体内の水分量が減少します。
また老化による腎機能の低下で尿を濃縮する機能が落ちるので尿の量自体は増えます。
さらにホルモンの変化等でも体内に水分を保持しにくくなっているなど、様々な原因で脱水になりやすいのです。
しかも口渇感覚も鈍くなっているので、体に水分が足りなくても、喉の渇きとして感じる事ができにくくなっています。
夜間のトイレを用心するあまり自ら水分を摂るのを控えてしまう場合も多い様です。
また高齢者は持病の薬を飲む事が多いものですが、降圧剤、利尿剤、糖尿病や腎臓病の薬等で水分を余計に排泄させる事になり、ますます脱水状態をひどくさせがちです。
まして発熱や下痢症状があれば、あっという間に脱水症状になってしまいます。
高齢者の脱水は、水分不足の為血液が濃くなり循環障害を起こし、ひどくなると筋肉の痙攣やショック症状で意識障害も起こります。
腎機能が低下して尿が作れなくなる急性腎不全、昏睡や心不全等で命を落とす事もあるのです。
7、8月に東京都老人センターに救急車で運ばれる高齢者のほとんどに脱水があるといいますから、夏場は特に要注意です。
元気がない、食欲がない、目がくぼむ、皮膚に張りが無いなどの症状に気をつけましょう。
また脇の下は普通湿っていますが、脱水があると乾いた状態になるのも一つの目安になります。
一度に沢山の水分を摂るのではなく、口の渇きを感じなくても少しずつ頻回に水分を摂るようにしなければなりません。
普通基礎的運動能力とは、筋力、バランス、持久力(スタミナ)、柔軟性、全身協調性等を指します。
これらの各項目には個人差があって、若い人の場合では、筋力が勝れていても持久力に劣っていたり、筋力や持久力があっても全身協調性に欠ける、等という場合もあって、各能力が密接に関係しているわけではありません。
ところが、高齢者になると、それぞれの項目が強く関係するようになります。
例えば若い人では筋力があって遠く歩ける人でもゆっくり歩く人はいます。
つまり筋力と歩くスピードに関係はありません。
しかし、高齢者の場合、歩く速度は歩く能力そのものを表していて、筋力等色んな項目との関係が密接であるといえるのです。
特に筋力やバランス能力と歩行速度の相関は高く、また他の運動能力である握力や片足立ち、歩く速度、指タッピングとの相関関係も高いことが分かっています。
つまり全身運動である歩行は高齢者にとって全身を統合して使う機能であり、複雑な測定をしなくても、歩行の能力でその高齢者の体力がある程度判断できるのです。
たとえば10mほどをできるだけ遠く歩いて、中間の5mを歩くのにかかった時間を計ります。
上の線と下の線の間であれば年相応体力、上の線以上に時間がかかれば体力に難ありといえます。
東京都消防局で家庭内における平成11年の救急事故統計による高齢者65歳以上の総数15000人の内約7割が転倒によるものでした。
転倒場所は家庭内では、階段、部屋の境目、廊下、寝室等、家庭外では、普通の道路、階段、歩道、庭等です。高齢者の寝たきりになる原因の第2位が転倒による骨折ですが、その転倒の原因には白内障等による視力低下、中枢神経系や平衡感覚器等の障害によるバランス能力の低下、足腰の筋力低下等が考えられます。
病気が原因の場合には施術をする事ですが、足腰の筋力低下には筋力の強化が必要です。筋力が弱くなってくると、両足の左右の幅を自然に大きくして、股関節や膝を曲げ気味にした姿勢でバランスを取ろうとします。
そして転ばない事を意識して下ばかり見る為に、歩幅が狭くなり、背中も丸くなり腕の振りも小さくなります。
歩き方はすり足やちょこちょこ歩きになり、この歩き方ではちょっとした凸凹や段差、歩道ブロックの境目等つま先を引っ掛けてつまずきやすくなります。
これは歩行時に振り出される脚の足首が鋭角90度になるか、鈍角115度になるかが問題で、115度に近くなっていると足先が下がっているので地面や床の多少の凸凹や段差でひっかかって転ぶ事になるのです。
防止する為には足首を鋭角にする事で、その為には足のキックカを出す下腿三頭筋、足先を持ち上げる前脛骨筋の筋力を鍛える事が大切になります。
歩き方で心がける事は視線を10m前方にし、胸を張り、歩幅は通常よりも広げて、後ろ足でしっかり蹴って遠く歩き、距離を徐々に伸ばしていく事で転倒しない身体作りをします。最も安全なトレーニングは水中歩行が進められます。
また高齢者が転倒を防ぐ為には杖や座れるショッピングカート等が有効ですが、転びやすくなる前に杖を使う事をお勧めします。
高齢者の身体は若年者と比較して、基礎代謝で体内に取り入れられる水分は少ないのに、腎臓の尿細管での再吸収も少ないので排泄される水分が多く、非常に脱水症状を起こしやすく周囲の注意が必要です。尿の状態は高齢者の体調を測る目安のひとつで、尿量の異常、排尿困難、血尿、失禁など、それぞれに原因となる病気があります。
尿量が2000ml以上の多尿は糖尿病や尿崩症によって起こる事が多く、400m1以下の乏尿は脱水があったり、心臓病や腎臓病等が原因にあります。
また乏尿は胃薬や風邪薬や不整脈の薬等の抗コリン作用がある薬の副作用でも起こり、尿が出なくなるだけで無く、唾が出ない、眼圧が上がる、便秘になる等の症状が現れ、緑内障や前立腺肥大がある人は要注意です。
膀胱に尿が溜まってきて排尿したいのに尿が出にくい、夜中に何度もトイレに立っても少ししか出ない、出終わるまで時間がかかる等の排尿障害は高齢の男性では前立腺肥大でよく見られます。
初期の症状ならα遮新薬や女性ホルモン剤などが使われ、薬物療法の効果がない時は経尿道的前立腺切除術などが行われます。
心配なのは前立腺がんでも同様の排尿障害と尿道狭窄が起こる事です。女性ではひどい便秘の時に尿が出にくくなる事があります。
血尿は膀胱炎、尿路のがん、腎孟腎炎、尿管結石等で起こりますが、高脂血漿薬や通風薬、抗アレルギー薬や抗生物質等の副作用でも起こります。
高齢者の尿の異常は水分代謝の状態を知る上で大切ですが、持病を持っている高齢者の服薬状況も把握しておく事はとても重要なのです。
目のレンズの濁りによって起こる白内障は、目の病気や糖尿病等の全身性の病気によって早くから発症、悪化する事はありますが、そもそもは自然老化による現象の一つです。
40才を過ぎるとそろそろ起き始め、60才以上では25%、80~85才で80~90%、90才以上になると100%、全員が多少なりとも老人性白内障になります。
大体はレンズの周辺部から起こる事が多いので直ぐに視力障害に気付く事はありません。
物が見え難くなったり、明るい所が眩しくなって見づらい時には白内障が進んでいるのかもしれません。
そもそも目のレンズには血管が入っておらず、レンズの実質成分である蛋白質は新陳代謝をしません。
しかしレンズ蛋白は目を開けている限り光を通しますから光による変性を受け続けています。
特に紫外線による蛋白変性の影響が大きく、変性した蛋白質は回りの分子に反応を起こして硬く、濁ってくるのです。
元々レンズには変性を抑えるビタミンCやグルタチオン等の成分があるのですが、白内障レンズではそれらの成分のほとんどが失われていますし、蛋白質も分子が大きくなって水に溶ける性質を失っています。
老化の一つですから完全な予防は無理ですが、栄養のバランスに気をつけて日差しを避ける事が予防となります。
発展途上国では50才前から手術を要するような白内障が多いという事から。栄養障害でも白内障になると考えられます。
また紫外線は明らかに白内障を悪化させます。晴天の戸外ではサングラスをかけて帽子で日光を遮る等の工夫をすべきでしょう。
最近では白内障の手術も確実になってきて、水晶体の核と皮質を取り出して人工レンズを入れる手術法が確立されています。
体力さえあれば100才でも手術は行えますが、ひどい高血圧や心臓病、糖尿病で血糖コントロールの悪い人等は無理になります。
高齢者が増えるに連れて大動脈疾患も年々増加しています。大動脈疾患には大動脈解離、胸部大動脈瘤、腹郭大動脈瘤があります。
生命を直に脅かす大変危険な大動脈疾患の背後には生活習慣病があり、動脈硬化、高血圧等の疾患が伴い、それに連れて悪化していきます。
ですから、早期に発見する事が重要です。大動脈解離による突然死の大部分は上行大動脈の破裂で起こります。
大動脈内膜の亀裂(エントリー)が発端になり、次第に大動脈壁が中腹外層で解離して、最後には破裂してしまいます。
適切な医療を受けなければ予後は不良です。典蛮的な初発症状は、突然の激烈な胸背部痛、腹痛、下行動脈解離では腰痛も起こります。
また胸部大動脈瘤と腹郭大動脈瘤も動脈硬化症と高血圧が主な原因です。
胸部大動脈瘤では瘤が大きくなり、瘤径が5cm、あるいは正常径の2倍を超えると破裂の危険性が高くなりますので手術が必要です。
また、動脈瘤の場所によっては、気管支、食道、反回神経、脊椎の圧迫による、喘鳴、嚥下障害、嗄声、胸背部痛等を起こします。
腹部大動脈瘤では、我々に関連する症状としては腰痛です。
ちなみに腹部大動脈瘤は破裂前に外科的手術をすると98%の確率で予後良ですが、破裂後では50%以下になります。
80才以上の高齢者の手術も現在では積極的に行われていて、年齢によるマイナスはあまり無いそうです。
いずれにしても高齢で高血圧や生活習慣病を抱えた患者さんの背部や腰部の急激な痛みは我々にとって極めて要注意の症状なのです。
下手すると大動脈の破裂を招く事になりかねません。