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心筋と骨格筋

2021.06.13 | Category: 骨格筋

心筋と骨格筋は共に横紋筋ですが、その作用と働きが全く違うので、別種の筋肉だと一般には考えられています。

事実、心筋の細胞は生まれて暫らくすると分裂をしなくなり、同じ細胞が世代交代をする事もなく一生疲れも見せず働き続ける事ができます。

しかし骨格筋に人工的な電気刺激を断続的に与えて心臓と同じ様に収縮させると、やがて痙攣を起こして刺激に反応し無くなってしまいます。

これは骨格筋が疲労物質の乳酸をすぐには排出できずに細胞内に溜め込んでしまうからですが、心筋細胞は栄養を取り込むと同時に、発生した乳酸をすぐさま代謝して近くの血管に排出する事ができ、疲労を溜め込まない構造になっているからです。

心筋細胞には大きいミトコンドリアが多量に存在し、冠状動脈血から酸素と栄養を効率よく取り込んでエネルギーに変える能力が格段に優れているのに対し、骨格筋細胞のミトコンドリアは心筋に比較して小さくて数も少ないのです。

さて心筋梗塞等で心筋の一部が壊死した患者に対し、患者の広背筋の下方の一部を体腔内に入れて心臓に縫い付けるという方法があります。

最初は患者の心臓の収縮ペースの何回かに1回だけ、人工ペースメーカーで弱いパルスを送って筋肉を収縮させますが、次第に電気刺激を与える間隔を徐々に狭めて刺激の強さも増していきます。

するとトレーニングを始めて2ヶ月後には、骨格筋でも患者白身の心臓の洞結節が発する収縮信号と同じペースでの強い刺激にも、痙攣を起こす事無く耐えられる様になるのです。

これは鍛える事で筋肉を取り巻く毛細血管が増え、骨格筋の細胞中のミトコンドリアの数も増えて代謝能力がアップし、筋原線維の蛋白質の構造が心筋の物に近づいてきたわけです。


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