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免疫 - Part 4の記事一覧

膠原病

2021.05.31 | Category: 免疫

結合組織は臓器をつないだり、支えたりする組織ですが、結合組織が特殊に分化した軟骨組織、骨組織、血液、リンパを総称して支持組織という事もあります。

結合組織の中を血管や神経等が走っています。

この結合組織や血管壁の重要な成分を線維蛋白質(膠原線維)といいますが、この膠原線維に病変が生じたものが膠原病、つまり膠原病は結合組織の病変の総称です。

膠原病では、結合組織の中でも、特に血管を中心として炎症が起こります。

その為全身に広がりやすく、血管の炎症が起こると、一度にいくつもの臓器に病変が起きてしまいます。

また、その炎症の過程で自己免疫反応が起こる事も膠原病における臓器障害の原因になっています。

さて、膠原病には結合組織の疾患、自己免疫疾患、リウマチ性疾患の三つの顔があります。

結合組織が侵される病気自体は膠原病以外にも沢山あり、これらは結合組織疾患という範疇に含まれます。

また、正常な組織を免疫反応により攻撃してしまうという免疫の異常がみられます。

これは自己免疫と呼ばれていますが、これによって生じる病気は自己免疫疾患という範躊に含まれます。

またリウマチ性疾患は、特に関節が強く侵される全身性の結合組織の炎症性疾患であり、破壊性変形性の関節炎です。

難治性で、原因は不明であり、免疫異常の関与が大きいと考えられています。

このように、膠原病に含まれる病気にはいくつかの共通性がみられますが、一つ一つは独立した病気で、それぞれ特徴的な症状があるのです。

遺伝病でも自然治癒?

2020.03.30 | Category: 免疫

アデノシン・デアミナーゼ(ADA)という酵素はアデノシンを分解しますが、この酵素が遺伝子の欠損によって不足すると、重度の免疫不全症を引き起こします。発症後は早ければ2~3年以内に死亡しますが、改善法としては、ADAの注射を打ち続けるしかありませんでした。95年に北海道大学病院で日本最初の遺伝子医療が行われたのも、このADA欠損症の4才男児に対してでした。患者の血液からリンパ球を取り出し、ADA遺伝子を持った組み換えレトロウイルスを感染させて、組み換えリンパ球を作り、患者の体内へ再移植するのです。患者の体内でこのリンパ球がADAを作るようになり、開始時はリンパ球がmm³当り500個だったのが、96年4月には5700個の正常範囲にまで達しました。しかし幼児期にADA欠損症であっても、成長と共に症状が無くなる場合があります。米ニューヨーク医科大学のR.ヒルシュホルン博士らは、ADA欠損症だったにも係わらず12才までに回復した患者の遺伝子を調べた所、殆どのリンパ球の母方由来の遺伝子が正常に戻っている事が確認されました。これは、ADA酵素の欠損によって蓄積された有害物質がADAの合成に作用し、正常な遺伝子が回復したのだろうという事です。

脳の免疫ミクログリア

2020.03.23 | Category: 免疫

血液は脳の中に入って行く事は出来ませんから、当然体の免疫をつかさどる白血球も脳の中に入っていけません。この為脳には免疫機能は無いと考えられてきました。所がが脳には特有の免疫システムがあって、担当しているのがグリア細胞の一つのミクログリアである事が分かって来たのです。普段ミクログリアは多くの突起を回りの神経細胞にまとわり付かせて異常を監視しています。神経細胞に異変が起こると守りに入りますが、その様子はマクロファージとよく似ています。つまりミクログリアもサイトカインを分泌したり腫瘍細胞を殺します。また成長因子を産生して、傷んだ神経細胞の修復をしますし、プロテアーゼや活性酸素をも産生して細菌を破壊します。しかも白血球等の免疫が悪さをして自己免疫疾患を引き起こす様に、ミクログリアも時として正常な神経細胞を殺してしまう事もあるのです。健康な人ではその様なマイナスの働きを制御しているのですが、制御が効かなくなると異常に活性化して様々な病気をもたらす訳です。アルツハイマー型痴呆症、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側素硬化症等はこうしたミクログリアの異常な活性が大きく関係しているのでは無いかと疑われています。脳にも自己免疫疾患があるのかもしれません。

運動と免疫

2020.03.01 | Category: 免疫

適度な運動をすると免疫力がついて風邪にかかりにくくなるという報告がある一方で、過度な運動をすると上気道感染症にかかりやすくなるなど、運動と免疫との関係は一面的には捉えられない様です。確かに運動をすると単球とかリンパ球などの白血球数が増加します。マラソンなどの超過激な運動に限らず、ある程度の運動をすると筋肉では多かれ少なかれ障害が起こりますがそれは筋が炎症している事を意味します。すると免疫システムは炎症を抑える方向に働く、つまり白血球の増加に結びつくのです。そして体は炎症を抑え、筋組織を修復していくのですが、それが連動を繰り返し行っていると、筋では酸化的な代謝が高まり、繰り返えされる筋障害に対してサイトカインが増加するなどして身体は予備能力を高めて予防体制をとる様になるのです。運動をしている時の免疫の反庇はトレーニングをしている人として無い人とでも似ていますが、トレーニングを積んだ人は身体に運動というストレスが 起きた時の免疫力を保持しようとする予備力を備える様になっています。ラットの場合ですが、持統的に運動をさせている老齢ラットでNK細胞が活性化したり、リンパ球が増値する力を亢進したり、マクロフアージの貧食能力が高まる事が確認されています。それは若いラットに近づくほどの活性化であるといいます。この時、蛋白質の量が少ないのは論外ですが、高蛋白であれば免疫力も付くのかと言えばそうでは無く総エネルギー中蛋白質は20%位で最も免疫力が高まったと言います。過激な運動というのは筋の障害下炎症が多くなる分けで、過激な運動で免疫力が落ちると言う事もこれでよく分かります。

免疫

2019.10.11 | Category: 免疫

私達身の周りには微生物や食べ物や化学物質等数え切れない物質に満ち溢れています。この中で、身体にダメージを与え、更に死に至らしめるものに対抗するシステムが免疫です。免疫に関して重要な事は自己・非自己の認識です。一般に自己と非自己を認識する事は脳によって行われますが、免疫系ではその脳を介さずに自己・非自己を識別し、身体の組織に侵入する敵を排除します。この免疫系は自然免疫系と獲得免疫系に分けて考えられています。第一段階では可溶性物質である補体、リソチーム、インターフェロンや細胞であるマクロファージ、ナチュラルキラー細胞などの自然免疫系が防衛に当たっています。しかし、非常に毒性を持ったウイルスや病原菌が侵入すると緊急防衛に当たるのが獲得免疫系です。この獲得免疫には液性免疫(抗体)と細胞性免疫(T細胞)があります。この様な免疫系全部の細胞を集めると肝臓よりも大きくなる程です。基本的には微生物には液性免疫が、ウイルスには細胞性免疫が対応しています。この免疫系が食べ物や環境の急激な変化により大きく揺らいでいます。アレルギー疾患や自己免疫疾患はもとより癌も免疫系との関連が指摘されています。さらに改善の手段として免疫療法も新たな展開をみせています。

免疫は第六感

2019.10.10 | Category: 免疫

生体の恒常性を維持するシステムとしては神経・内分泌・免疫の3つの系が挙げられます。従来はこの3系は独立の系として考えられていました。神経系は感覚・認識・情動・運動を司り、内分泌系は物質代謝・生殖を調節し、そして免疫系は病原体等の異物の排除でした。しかし、最近この3系は相互に共同しながら統合して生体を調整して働いている事が明らかになっています。このような考えとして免疫系も一種の感覚器官であり、臭、視、聴、味、触の五感に次ぐ第六感目の感覚系であると大胆に提唱したのがブラロックです。それによると外部からの刺激は、通常の感覚器で認識可能であれば、その刺激が生体にとって危険であると認識すると、そのシグナルの一部は視床下部・下垂体を刺激しホルモンを分泌させ、更にホルモンがリンバ球にも働き免疫応答に変化をもたらします。一方、通常の感覚器で認識されない刺激は免疫系によって認識され免疫応答を起こします。この時リンパ球は抗体やサイトカインばかりで無く各種のホルモンや神経伝達物質を産生しうる事で、神経・内分泌系に働き、免疫系以外の生理学的な反応を引き起こしています。サバアレルギーの人がサバを見る(視覚)だけでアレルギー反応が起こる事も免疫系が感覚器の一つである例であると言っています。

抗体の種類

2019.10.09 | Category: 免疫

1億種類もの異物を認識出来る抗体は免疫グロブリン(Ig)と言われる物で、大きさや機能の違いで現在5つのクラスに分けられていて(表参照一順番は血清中で濃度の高いもの順)、各クラスはそれぞれにやや性質の違ったサブクラスを持っています。これらの抗体は
・毒素蛋白と結合して中和させる
・ウイルスや細菌を固まりにして凝集させ感染源の数を減らす
・異物に穴を開ける
・補体と一緒になってマクロファージなどに取り込みやすくさせる
等の働きをします。この様な働きは主にIgGとIgMとが中心にりますが、これらは粘液中の蛋白分解酵素によって分解されるので、粘膜では働けなくなります。すると今度はIgAが異物に付いて粘膜上に付くのを妨ぎ防御するように、それぞれの働きで協調して体を守っているのです。
免疫グロブリンの種類
IgG  組織内防御、血清の中で一番多いわゆるγグロブリンの事。胎盤を通して胎児を守る
IgM  組織内防御赤血球凝集反応に対する抗体
IgA  粘液中での防御ほとんどは分泌型だが血清型もある。母乳に多く含まれる
IgE  過敏症(アレルギー)反応寄生虫排除
IgD  微量存在し、よく分かっていない

胸腺の働き

2019.10.08 | Category: 免疫

免疫系の最も大切な機能は生体防御だと一般に理解されていますが、それは結果であり、本来の機能は自己と非自己を見分ける事です。身体の中で自己主張する部分は胸腺で、成人では甲状腺の下部胸骨の裏にあり子供の拳ほどの大きさで、中にはリンパ球T細胞がぎっしり詰まっています。胸腺を学校に例えれば、T細胞は生徒、胸腺上皮細胞が教師です。まだ未熟な段階で入学して来て、胸腺上皮細胞の遺伝型と同一の物を自己だと認識する教育を受けるのです。具体的には、骨髄からの幹細胞が胸腺に到着し、まずT細胞抗体受容体の遺伝子断片の再構成が始まります。しかし全くランダムに行われるので、目的に添って作られる事は無く、ほとんどのT細胞は「自己反応性T細胞」として生まれてしまいます。胸腺で出来るT細胞は殆どが危険分子となるので、アポトーシス(プログラムされた細胞死)により死滅します。また、胸腺上皮細胞上の自己成分と全く反応出来なかったT細胞も何の刺激も与えられない為に死滅、無事卒業出来る5%にも達しません。自己と極めて弱く反応したT細胞だけが増殖のシグナルを与えられ分裂増殖して、末梢リンバ組織のT細胞となり免疫反応に携わる様になるのです。

免疫系を調節するサイトカイン

2019.10.07 | Category: 免疫

免疫系には様々な役割を担った細胞や物質がありますが、この中で免疫細胞の多様な生理機能を調節する重要な役割を果たしている蛋白質分子のーつがサイトカインです。サイトカインは炎症、発痛物質とのイメージですが数百種類あり免疫に深く係わっています。外からの刺激によってT細胞やマクロファージ、B細胞等で合成され免疫系が正常に働く様に作用しますが抗体とは違う幾つの特徴があります。サイトカインは寿命が短く超微量で産生細胞周辺にある細胞に作用します。サイトカインは元々どの抗原にも働きます。また、サイトカインには多くの種類があり相互にネットワークを形成していて、多様な働きと重複性を示しながら作用を調節しています。このサイトカインの中で免疫系の中心的な働きをするのが18番まで明らかになっているインター(細胞間)ロイキン(白血球)です。このインターロイキンは炎症反応の促進やT細胞の活性や抑制など多様な働きがあります。この他にも抗ウイルス作用をもつインターフェロン(INF)、腫瘍壊死因子(TNF)、マクロファージの抑制と好中球の活性化を促すトランスフォーミング増殖因子(TGF-β)等があり、血液細胞の分化・増殖等に関わるコロニー刺激因子(CSF)などもサイトカインのネットワークの一員なのです。

ストレスと免疫

2019.10.06 | Category: 免疫

ストレスは大脳辺縁系→視床下部→下垂体→副腎へとホルモンを通じて伝えられ、副腎は最終的にコルチソールを分泌して免疫を落とします。これがセリエのストレス学説です。体が危機に直面した場合免疫を落とすのでは無く高めた方が良さそうにも思えるのですが、体はまず神経とホルモンとでストレスに対処します。エネルギーを沢山必要とする免疫はとりあえずストップさせるのでしょう。ところで視床下部から分泌される副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRH)は下垂体に働きかけるだけでなく脳内ホルモンであるエンドルフィンの生成も刺激しています。エンドルフィンは免疫系ではT細胞を増やしたり活性化させ、更にナチュラルキラー細胞やマクロファージの活性も高めます。視床下部から放出されるホルモンは9種類で、その内CRHも含めて5つが免疫に直接作用する事が分かっています。また交感神経の興奮で副腎髄質からアドレナリンが分泌しても免疫の反応は高くなります。この様にストレスは多くのルートで免疫に作用する訳で、免疫に対してもプラスに慟いたりマイナスに働いたりと、一様ではありません。ホルモンや神経伝達物質がリンパ球でも作らていますし、体は神経・内分必・免疫の各系で同じ物質を使っている事が分かって来ています。正に神経とホルモンと免疫は三位一体の関係にあると言えます。

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