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免疫 - Part 6の記事一覧
臓器移植で問題になるのが移植臓器を異物とみなして攻撃する拒絶反応です。その為に免疫抑制剤で拒絶反応を抑えるのですが、その薬剤は免疫力を低下させ感染症などの副作用を起こさせ易くなります。そこでこの薬剤を使わないで抑制する事が出来ないかという研究が進められています。関西医科大学の池原進、上山泰男両教授の研究グループは、豚の皮膚移植の実験で提供豚の骨髄細胞を、移植を受ける豚の肝臓に繋がる門脈に注入すると、肝臓で増殖、分化して提供者由来の血液細胞が大量にでき、移植した皮膚を拒絶反応しない事を報告しました。この事は患者の血液中に臓器提供者のリンパ球が共存していると移植臓器を異物として認識せずに拒絶反応が起きない可能性があり、免疫抑制剤が不要になるかも知れないと言う事です。ただリンパ球がどうして共存すかるか、そのメカニスムは分かっていません。この実験では肝臓に行く静脈に骨髄細胞を注入すると拒絶反応が起き、門脈からは反応が無く成功しました。門脈には腸で吸収された栄養分が大量に含まれた血液が流れています。腸管では栄養は吸収され、異物は排除されるという相反する働きがあります。これはTGFβというサイトカインの二面性が働いているからです。腸管粘膜から侵入する異物を押さえ込むのは分泌型IgAでB細胞から作られますが、これを命令しているのがTGFβです。またTGFβは栄養物に関しては免疫が働かないようにします。肝臓はこの関所を通過したものは受け入れてしまうのかもしれません。海外では骨髄との同時移植、北海道大学順天堂大学では患者とドナーとのリンパ球と抗体を混合培養して拒絶反応を無くす手法、京大でも同様な研究をしています。
健康食品の中に免疫ミルクと言う物いうものがあります。母乳、中でも初乳と言われる出産後すぐの母乳は特に免疫力が強いと言う事をヒントに考え出されました。無害化した病原性細菌を牛に投与して牛にその抗体を持たせ、抗体を含んだ乳を分泌させたものです。抗体を口から摂取しても効果は薄いという見方もありますが、牛乳のlgGは蛋白分解酵素によって分解されにくい事や胃酸に対して強い緩衝作用がある為、小腸にたどりつき抗体としての力を発揮する事が出来るとされています。1958年にアメリカで開発されて以来の調査・研究でリウマチ性関節炎やアレルギー、動脈硬化、高コレステロール、高血圧更には虫歯、ニキビ、口臭などの緩和に有効だと認められています。これらの効果の多様性はブドウ球菌や化膿連鎖球菌、緑膿悍菌、ニキピ菌、挫創菌、肺炎双球菌、ミュータンス菌など人に感染しやすい26種の抗体を持たされた事によるものです。牛乳にアレルギーのある人や生まれつき乳糖不耐症の人、医者から牛乳を制限されている人以外は普通の牛乳として飲む事が出来ます。日本でも1995年から市販される様になりましたが、高価なのが難点です。