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体の疾患とうつ病

2021.06.11 | Category: うつ病

体の疾患を持っている人の10~20%はうつ症状を持っているといわれていますが、うつ状態と関係が深い身体疾患は表の通りです。

特に脳疾患、内分泌疾患、糖尿病、消化器潰瘍、アルコール依存等は非常にうつ状態を起こしやすい疾患です。

まず中枢神経の疾患のほとんどがうつ状態を起こす可能性があります。

この場合抑うつ感や自責感よりも意欲が無くなったり億劫な気分が前面に出る事も少なくありません。

パーキンソン病がうつ状態を伴いがちなのはよく知られています。脳卒中後もうつ状態になりやすく、リハビリの障害になったりします。

糖尿病もうつと関係が深く、うつ状態の時耐糖能の低下が見られたり、重症のうつ病の患者さんの20%に尿糖が陽性であり、うつ病が回復すると正常に戻るといいます。

ホルモンの異常でもうつ病を起こしやすく、甲状腺機能低下症(まれに亢進症)、クッシング症候群等で起こります。

内分泌疾患によるうつ状態では抑うつというより不快な気分が多く、無気力や意欲の変化に特徴がある様です。

この場合は勿論うつ病の薬は効かず、ホルモン療法が有効となります。

この様な疾患があるとうつ症状があっても気が付きにくかったり、無視されがちですが、改善意欲が減退したり、食欲低下や睡眠障害を起こしやすいので原疾患の改善にも差し障りが出てしまいます。

またうつ病の投薬を受ける場合はそれぞれの薬との相互作用に注意をしなければなりません。

うつ病をもたらすおもな病気
中枢精神疾患、心筋梗塞、糖尿病、消化性潰瘍、慢性呼吸不全、がん、全身性エリテマトーデス、関節リュウマチ、重篤な貧血、電解質異常、高血圧、慢性腎盂腎炎、内分泌疾患、潰瘍性大腸炎、薬物依存、アルコール依存、AIDS、ビタミンB欠乏

うつ病の精神療法

2021.06.11 | Category: うつ病

うつ病のには、抗うつ薬が主流ですが、投薬以外では精神療法がいくつかあります。

中でもうつ病には「認知療法」が知られています。この認知療法は米国のアーロン・ベックが考えたやり方です。

うつ病は感情障害であり、絶望感や悲哀感が心を満たしています。

そこで、この様な心模様になってしまう考え方を変えれば、憂うつな気分や不安感は和らぐという考えに基づいた精神療法が考えだされたのです。

つまりベックは状況より、それを主観的にどのように認知しているかが、感情に大きく影響を与えることに注目して、うつになった時の認知の片寄りを修正して、感情をコントロールしょうとしたのです。

その中で、うつ病の患者は自己、世界、未来の3つの領域について、極端で独特の悲観的な考え方に支配されていて、これを「否定的認知の三特徴」と呼んでいます。

その独特の歪んだ認知を構成しているいくつかの要素を挙げています。
一つ失敗すると総べて駄目になるという考え「全か無か(二者択一)」。
少しの困難を大災難のように考える「破局的な見方」。
仕事等の一度の失敗が将来に渡って繰り返し起こると考える「過度の一般化」。
何事も否定的な見方で、決して肯定的には見ない「心のフィルター(選択的抽出)」。
良い出来事も悪い出来事にすり替える「マイナス化思考」。
相手に対する勝手な思い込み「心の読み過ぎと先走った否定的な読み」。
他人を大きく、自分を小さく見る「誇大視と過小視のトリック」。
罪悪感や悪人感などの解決不可能な理由にこだわる「情緒的理由付」。
否定的自己像をつくり洛印を押す「誤ったレッテル貼り」。
関係の無い物も自分のせいにする「自己関連付」。

うつ病患者はこれらの認知の歪んだ「スキーマ(物の見方の鋳型)」によって規定されていると考えたのです。

これらの認知の歪みを指摘するのでのは無く、患者自身が気付いて、自分で答えを見つけられる様にしていくのです。

ただし、自殺念慮の強い場合のうつ病と双極性のうつ病では、危険なので適応ではありません。

うつ病の回復期間

2021.06.11 | Category: うつ病

うつ病の回復期間がどれくらいかは一概に言えません。

DSM-Ⅳ(アメリカ精神医学会が発行している「精神障害の診断と統計マニュアル」(Diagnostic and Statistica1 Manual of Menta1 Disorders)第4版)ではうつ病の診断基準は少なくとも2週間以上続くものと定義していますが、治癒するまでの期間は未定です。

うつ病といっても、対象とするうつ病の病型の差、うつ病の定義を広義にみるか狭義に捉えるか等で違ってきます。

個人的な生活環境や資質なども強い影響がありますので、なかなかハッキリした予測がだせません。

精神医学研究の第一人者で、一般向けのうつ病の著書もある笠原審氏のデータでは、3ヶ月以内が約1/3、9ヶ月以内が2/3、1年以内では7/9が治癒したという報告があります。

ただし1年以上や、まれに2~3年以上も続いた後に良くなったケースもあるそうです。

アメリカの大学病院のデータでも、大うつ病ばかりの難治のケースで80%は2年以内に治癒したという報告があります。

ほとんどのうつ病の場合は、期間の長短は別にして休養と抗うつ薬で治癒していますが、抗うつ薬に関しては患者さんばかりでなく周囲の人も“脳に働きかける薬”という事で、抵抗感があったり、すぐに効果が出るわけではないので途中で服薬をやめてしまうケースがかなりあります。

また抗うつ薬には「ボケになる」「単なる気休め」「薬の依存症になる」「薬にいつまでも頼ってはいけない」等の俗説もあり、それが薬の服用を妨げてもいます。

確かに抗うつ薬は副作用がありますが、うつ病の療法はかなり完成されていて、薬もその方法の下に処方されています。

症状がなくなってからも半年以上服薬を継続した患者さんの方が、止めた患者さんより再発率がずっと低くなったという臨床報告も出ており、服薬は医師の指示に従う事が大切で、勝手な判断は時として悪化させる事になるので不審な場合も医師の説明を求める事です。

うつ病の薬

2021.06.11 | Category: うつ病

日本ではうつ病の薬に「三環系抗うつ薬」「四環系抗うつ薬」「SSRI」「MAO阻害剤」等が使われています。

三環系抗うつ薬は化学構造式の中に3つの環がある事からこの名が付いていて、古くからあるタイプの抗うつ薬で、今でもよく用いられます。

特徴はほとんど全ての人に効果が期待できる点ですが、副作用が一番出やすいというデメリットもあります。

口が渇く、便秘、排尿障害、目のかすみ、人によっては心臓や肝臓に障害を起こしたりします。

四環系抗うつ薬は副作用を減らす目的で開発されたものですが、効果の点でも副作用の点でも三環系抗うつ薬より軽くなっています。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、プロザックが有名です。日本では’99年に認可されて(製品名:ルボックス、デプロメール)使用されました。

三環系抗うつ薬が複数の神経伝達物質(アセチルコリン・ノルアドレナリン・セロトニン・ドーパミン等)に作用するのに対し、SSRIはセロトニンだけに作用する為その他の物質に関連した副作用が起こらないのが利点で、心臓にも負担がかかりません。

しかしこれは長所であると同時に短所でもあり、副作用が限られる分作用も限られるのです。

一般に軽度のうつ病の人には有効ですが、三環系抗うつ薬でなければ効かない場合もあります。

さて薬の効果が現れるのは服用開始からおよそ2週間たってからで、副作用の方が早く現れます。

抗うつ薬は一定の血中濃度を保って初めて効果が現れる薬なので、副作用を嫌って飲む量を減らしたり中断しては何の効果も期待できません。

またうつの症状が改善されてからも再発を防ぐ為に半年間は同じ量の薬を飲み続ける必要があるのです。

うつ病と不眠

2021.06.11 | Category: うつ病

うつ病と不眠病では必ずといってよい程不眠が起こります。

落ち込み感など、他の兆候があっても熟睡感と朝の爽快感があればうつでは無いといえる程です。

不眠には・入眠障害、・熟眠障害、・早朝覚醒、・多夢がありますが、うつ病ではどのパターンも多く、また混在してみられます。

とはいっても、うつ病による不眠で最も特徴的なのは早朝覚醒です。

夜中や早朝に目が覚めて眠れなくなるのですが、その時には抑うつ気分が強まり、自責の念等も起こりやすくなり、自殺の危険性が高まります。

睡眠不足を昼寝で補おうとしても、うつ病では昼間でも眠り難くなっている様です。

しかも、睡眠の質的な変化も起こっています。レム睡眠は大脳を活性化する眠り、ノンレム睡眠は脳を沈静化する眠りだといえ、実際、レム睡眠はノルアドレナリン、ノンレム睡眠にはセトロニンが関係しています。

健康な人ではレム睡眠がゆっくり現れ(90分~120分かけて)、朝になるに連れて長くなるのに、うつ病の不眠では、眠りに入った後レム睡眠が早く現れ(40分前後で)、睡眠前半に長く、後半に短くなる事が分かっています。

脳を沈静化してくれる眠りが不足し、いわば脳が過覚醒の状態に陥っているといえるのです。

つまりうつ病での不眠のベースにはこうした神経伝達物質の機能異常が眠りにも影響を与えていると考えられます。

うつ病に頑張りなさいは禁句

2021.06.11 | Category: うつ病

うつ病では体重の減少や不眠、気力減退、思考力低下、性的関心の消失等様々な症状を伴いますが、一番注意する事は自殺です。

うつ病は職場や家庭での対人関係、引っ越し、進学、昇進等生活の変化等が過剰ストレスとなって心身を蝕む事で引き起こされます。

また真面目で几帳面、責任感が強い、仕事熱心な完全癖といった性格の人はストレスをまともに受けてうつ病になりやすいと言えます。

うつ病は休養が必要ですが、この様な性格の人は、どうしてうつ病になったのか、早くこの状態から抜け出したいと焦り苦しんでいます。

更に何事に対しても意欲がなく、無価値感や罪責感に悩まされ、「死にたい」とか、「自分は必要がない人間」と強く感じ、自殺をほのめかす自殺念慮が強くなります。

この状態の人には不用意な対応をしないことが大切です。

例えば突然、会社や学校を辞めたいといった決断をしてしまう場合がありますが、大きな決断は現時点ではしないようにアドバイスするべきです。

また、励ましの言葉は更に苦しめます。「がんばりなさい。」「一日も早く良くなれ」「怠けているんじゃないか」等の言葉はタブーです。

接する時は気持ちを推し図って、共感を持って対応する事が大切です。焦りの強い人には「早く治そうと焦らないでゆっくり治して行こう」と気持ちに余裕を与えたり、また思い悩んでいる人にはこの様な状態になって大変ですね」と共感してから、「うつ病は必ず治る病気ですから」と安心させる事です。

自殺は衝動的に実行される事があるので、専門医に早く受診させる事が大切です。

うつ病の見分け方

2021.06.11 | Category: うつ病

内科を受診する人の20人に1人、入院患者(精神科以外)の5人に1人がうつ病だとみられています。

様々な身体的愁訴をかかえて施術院を訪れる患者さんの中にも当然うつ病の方がいると考えられ、そのことは施術を進めて行く上でも念頭に置いておく必要があります。

多くの場合最初は精神的な愁訴よりも身体的な愁訴、疲労感、倦怠感の訴えが多く出ます。

外見的にも活気が無かったり、動作が辛そうで緩慢、表情が暗い様であればうつ病の可能性があるとみられます。

更に会話の中で睡眠の状態や食欲等を聞いて、不眠や食欲不振があればよりうつ病の疑いは濃くなります。

抑うつ感だけでなく、これまで好きだった事までやる気が起こらないとか、何でも無くできていた日常の行動や仕事等を努力しなければできなくなった、先々を悲観的に考える等の症状があれば受診が必要な段階といえます。

カウンセリング的対応や行動療法などの認知療法はうつ的傾向にある人や再発予防の為には有効ですが、既にうつ病を発症している様な場合は抗うつ剤と休養が療法の中心と考えるべきです。

うつ病は脳の心身症

2021.06.11 | Category: うつ病

体の病気のほとんどは精神的なストレスと無関係では無く、精神的ストレスは消化器、循環器を始め全ての身体部分に機能的、器質的疾患を起こします。

この様に心因的なものと非常に関係の深い疾患を心身症というくくり方をしますが、うつ病もいわば脳に起こった心身症といえます。

うつ病は心の病気ではありますが、脳が長期的に受けたストレスの結果、中脳一辺縁系で神経伝達物質のカテコールアミン(ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン等)やインドールアミン(セロトニン等)の刺激伝達機能が上手く行かなくなっている事は分かっています。

また前頭葉の血流低下やグルコース代謝の低下も起こっている様ですが、回復すると正常化します。

つまり、体質的に脳のアミンの代謝や機能に弱点のある人が、社会的環境、心理的ストレス、肉体的変化(思春期、更年期、老化)等の慢性的ストレスによって代謝が上手く行かなくなり、自律神経障害を含む身体症状や精神症状が起こると考えられるのです。

また脳の部分では、例えば帯状回という部分が興奮すると不安感が起こり、扁桃体が過剰に抑制されてもうつの状態になります。

脳は使っているとその部分の血流が増えシナプスが増えて強化されます。

思考の傾向で不安や怒りの感情を持ち続けると辺縁系の帯状回や扁桃が刺激され続け、強化されてしまうのです。

一方明るい思考や喜びの気分は側座核や前脳基底核の中隔核を刺激、強化します。

つまり日頃の思考パターンや感情そのものが脳の回路パターンを作るのだともいえるわけです。

うつ病が発症すれば心掛けや精神力では治りませんが、治った後負の回路を強化し続ける様な思考・感情生活をしていれば再発する事になります。

精神療法や認知療法はうつ病の予防・再発予防にとってこそ必要だといえます。

ペットのいる環境

2021.06.11 | Category: 環境

ペットブームが衰えません。最近では犬、猫だけで無くハムスター、フェレット、ウサギ等室内で飼われる事が多くなり、接触する機会が増えています。

しかし動物は人間には無い細菌を持ち、その菌が原因で人畜動物感染症(ズーノーシス)を引き起こす事を理解して、過剰なスキンシップには注意する事が大切です。

特に抵抗力が弱い高齢者や幼児、免疫性疾患のある人は注意が必要です。

感染経路は水や食物の経口感染、糞や尿等が乾燥して浮遊し吸い込む経気道感染、かみつきや引掻き、ノミ、ダニ等による経皮感染が考えられます。

厚労省の調査では犬75%、猫100%で口の中にパスツレラ症の菌がいる事が分かっています。また猫の20%は爪にも保有しているので、咬まれたり、引っ掻かれたりして感染すると、赤く腫れ上がる事があります。

顔を舐められたり、菌を吸い込んだりして呼吸器感染も多い様です。更に犬・猫の糞のからは犬・猫回虫、猫ひっかき病、トキソプラズマ症、鳥からはオウム病、ハムスターやウサギ等のげっ歯類からは皮膚糸状菌症等があります。

投薬として抗生物質を服用する事になります。またペットの唾液、毛、フケ等がアレルゲンなりアレルギーを発症する場合があります。

ペットと付き合う場合は、過剰な触れ合いは控える、口移しで餌を与えない、ベッドでー緒には寝ない、唾液や粘液に触ったら必ず手を洗う、動物の身の回りは清潔にする、糞尿は早く処理する、室内飼育では換気を心がける、等十分に注意する事が大切です。

快適な睡眠環境は

2021.06.11 | Category: 環境

快適な睡眠を得るには、寝室の睡眠環境を整えると随分違ってきます。

寝室の保温・保温・遮光・遮音・防風・防臭・防塵・防虫等、五感に刺激を与えない様に工夫をすれば良く、物理的にも心理的にも安全だと思えないと熟睡できません。

音では、屋外からの騒音もありますが、家庭内の物音も問題です。時計の音等、いつも出ている音は慣れますが、中高年はトイレを流す音等の急な物音で目が覚めたりします。

寝室を遮音する為には、床にカーペット、壁に遮音材、窓や出入り口に厚手のカーテンをする等の工夫が有効です。

温度・湿度は、夏と冬では異なりますが温度は布団の中で33度、湿度は55%が快適だとされています。

温度が5度高くても低くても、徐波睡眠という深い眠りが2割も減ってしまいます。

電気毛布やエアコンを使うと温度管理はできても湿度が低くなり過ぎて、喉が乾いたり、高齢者では脱水を起こす危険があります。

マットレスが柔らかい場合、腰部と肩甲骨が沈むと腰椎が反り返るので、腰痛のある人には負担となります。

逆に硬過ぎる場合はクッション性が弱いため、肩甲骨や腰骨、踵等が圧迫され、どの姿勢も長く続けられないので深い眠りが訪れません。

特に高齢者では背中の筋肉が薄くなっていて、出っ張った骨の部分が床ずれを起こしやすいので要注意です。

ウォーターペッド、エアークッション、最近流行りの体圧分散機能を持つマットレス等試してみるのも良いでしょう。

枕では6~9センチの高さが最も安眠できるというデータがあり、材質も頭が沈み込むパンヤでなく、ある程度の形が保てるビーズやパイプ等がいいのです。

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