- Blog記事一覧 -うつ病の回復期間
うつ病の回復期間がどれくらいかは一概に言えません。
DSM-Ⅳ(アメリカ精神医学会が発行している「精神障害の診断と統計マニュアル」(Diagnostic and Statistica1 Manual of Menta1 Disorders)第4版)ではうつ病の診断基準は少なくとも2週間以上続くものと定義していますが、治癒するまでの期間は未定です。
うつ病といっても、対象とするうつ病の病型の差、うつ病の定義を広義にみるか狭義に捉えるか等で違ってきます。
個人的な生活環境や資質なども強い影響がありますので、なかなかハッキリした予測がだせません。
精神医学研究の第一人者で、一般向けのうつ病の著書もある笠原審氏のデータでは、3ヶ月以内が約1/3、9ヶ月以内が2/3、1年以内では7/9が治癒したという報告があります。
ただし1年以上や、まれに2~3年以上も続いた後に良くなったケースもあるそうです。
アメリカの大学病院のデータでも、大うつ病ばかりの難治のケースで80%は2年以内に治癒したという報告があります。
ほとんどのうつ病の場合は、期間の長短は別にして休養と抗うつ薬で治癒していますが、抗うつ薬に関しては患者さんばかりでなく周囲の人も“脳に働きかける薬”という事で、抵抗感があったり、すぐに効果が出るわけではないので途中で服薬をやめてしまうケースがかなりあります。
また抗うつ薬には「ボケになる」「単なる気休め」「薬の依存症になる」「薬にいつまでも頼ってはいけない」等の俗説もあり、それが薬の服用を妨げてもいます。
確かに抗うつ薬は副作用がありますが、うつ病の療法はかなり完成されていて、薬もその方法の下に処方されています。
症状がなくなってからも半年以上服薬を継続した患者さんの方が、止めた患者さんより再発率がずっと低くなったという臨床報告も出ており、服薬は医師の指示に従う事が大切で、勝手な判断は時として悪化させる事になるので不審な場合も医師の説明を求める事です。