- Blog記事一覧 -10月, 2019 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 2の記事一覧

10月, 2019 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 2の記事一覧

ストレスと消化性潰瘍

2019.10.20 | Category: 胃腸

胃酸の無い所に潰瘍無し「(no acid, no ulcer)」と言いますが、ストレスによる胃潰瘍や十二指腸潰瘍の場合も胃酸による攻撃に胃粘膜が負けた状態と言います。精神的なストレスが胃に働きかけるには、下垂体→副腎系のホルモンの影響、副交感神経系、交感神経系の三つの経路があります。自律神経系では副交感神経が興奮すると胃酸やペプシンが分泌されて胃の運動も活発になり、交感神経の興奮では反対に胃の活動を抑える様に働く、と言うバランスを取っています。このパターンの中でストレス性の潰瘍に最も影響を与えていると考えられるのが交感神経の働きです。ストレスによって交感神経が強く緊張すると、粘膜を分泌する細胞の下の細動脈や細静脈、毛細血管等の血流が障害されます。本来、胃酸が出て胃の中のpHが下がると粘膜付近の微小循環系は血流を増加させる事によって酸を中和する為のHCO₃や胃酸の分泌を抑えるプロスタグランジンを分泌して胃壁を守ります。粘液層の半減期は5時間で、粘膜上皮細胞は3日で新しい細胞と入れ替わるほどに激しい代謝をしていますから、粘膜細胞の血流が障害されれば胃壁は酸に対する防御が出来ず、簡単に障害され、炎症や潰瘍を作ってしまうのです。

臓器を大きくする消化管ホルモン

2019.10.19 | Category: 胃腸

多くの消化管ホルモンの作用は、膵液や腸液の分泌を促したり、胆嚢や腸の壁を縮めたり緩めたりと言った標的の内臓の働きを調節する事です。しかしホルモンの中には標的になる内臓を大きくする「栄養効果」の作用をする物もあります。例えばガストリンは胃の幽門前庭のG細胞から出るホルモンで、胃底腺に作用して胃液を分泌させます。ガストリンが多量にそして繰り返し放出されると、胃底腺が大きくなり胃体の壁が厚くなって来るのです。ガストリンを出させるには、肉や魚のスープなどに含まれるアミノ酸(とくにグリシン)や酒類(エタノール)を摂ればG細胞のセンサーを刺激して放出されます。肉や魚のスープもしくは酒を適量・持続的に飲めば、胃の壁が厚く消化能力が増し、胃が強健になるのです。膵臓を大きくするには大豆が効果的で、大豆の中に多量に含まれるトリプシン阻害剤とキモトリブシン阻害剤に、その作用があります。毎日大豆を摂取すると、まず消化酵素を作る腺房の細胞が大きくなって数も増えます。次にインシュリンを分泌するラングルハンス島の細胞が増加し、インシュリンの備蓄量も増えてきます。これは糖尿痢の改善や予防に役立ちます。

「気のせい」は機能性

2019.10.18 | Category: 胃腸

胃がもたれる、痛い、食欲が無い、胸焼けがする等の症状を訴える患者に内視鏡や超音波検査をしても何ら器質的な異常が無い場合があります。この様な症状が4週間以上続く場合を機能性胃腸症(non-ulcer dyspepsia:NUD)ノン・アルサー・ディスペプシアと言い、1987年に米国消化器病学会で提唱された疾病概念で、直訳すると『潰瘍が無い消化不良』と言う意味になります。このNUDを診断する為の定まった検査と言う物は無く、患さんの訴える症状により、疑われる消化管疾患について検査を行い、それを否定していく事がNUDの診断になります。このNUDの病態は患者の自覚症状に応じて4つの型に分類されます。NUDの半数が胃の運動機能異常を主因とする運動不全型で、特に中年女性に多く腹部膨満感、食欲不振などの症状を訴えます。2番目には、空腹時や夜間に痛みがあると言う潰瘍症状型、3番目には胸焼けや胃酸の逆流を訴える胃食道逆流型で、この2つの型は胃酸分泌亢進異常であるので、胃酸を抑える事になります。最後に本態性型で症状は先の3つの型と殆ど同じなのですが、そのメカニズムが分かっていません。精神的な要因が強く医療行為が長引くようです。患者がお腹の具合が悪いと訴え、検査をしても器質的に何も異常がないと、「気のせいです」「ストレスによるものです」という事で片付けられていました。このNUDは従来の器質的異常の範囲を超えて機能的異常に一歩踏み込んだ疾病概念であると言えます。

急性胃炎と慢性胃炎

2019.10.17 | Category: 胃腸

胃炎には急性胃炎と慢性胃炎があります。急性胃炎は薬等の化学的等刺激やストレスか原因で起きる一過性の病気で、胃粘膜に発赤、浮腫、びらんを伴い好中球を主体とした細胞浸潤が見られる急性炎症の状態を言います。症状としては胸やけ、悪心、嘔吐等があります。医療方法は原因を取り除き、胃粘膜の自然治癒を助ける事になります。慢性胃炎は胃腺と円形細胞浸潤を主体とした慢性の炎症です。この慢性胃炎には免疫異常で起こるA型胃炎と、ヘリコバクターピロリ菌に感染して起こるB型胃炎があります。A型もB型も初期の段階では急性胃炎と同じ様な症状を呈しますが、先の急性胃炎等は分けて考えられています。A型とB型の比率は1:9でほとんどがB型胃炎です。A型胃炎は胃壁細胞の働きを阻害する抗体のために胃粘膜が萎縮します。またB型胃炎もピロリ菌に感染してから10年位かけて胃粘膜が萎縮します。委縮すると胃酸の分泌が低下して胃もたれ、胃の膨満惑、食欲不振といった消化不良を伴う症状が現れます。A型とB型胃炎では内祝鏡検査、胃液検査で炎症の有無や経過を診ますが、急性胃炎ほど胃粘膜の表面の荒れが少ないので確定診断には病理組織検査が必要になってきます。慢性胃炎は免疫異常やピロリ菌で起こるので自然に改善するものではありません。

風邪が胃腸にくるとは

2019.10.16 | Category: 胃腸

風邪が胃腸にくるとしばしば食欲不振、嘔吐、吐き気、下痢などの感冒性腸炎を起こします。主な原因菌としてアデノウイルスやコクサッキーウイルスかよく知られています。アデノウイルスはヒトや動物に広く蔓延しているウイルス群ですか、このウイルスは32型以上もあります。風邪症状である上気道炎、咽頭結膜炎や胃腸炎だけで無く流行性角結膜炎等も起こします。コクサッキーウイルスは嘔吐、下痢、発疹、発熱、上気道炎、ヘルパンギーナ、手足口病、心筋炎等全身の感染症を引き起こします。脳炎や髄膜炎の発症頻度も50~60%と言われています。ロタウイルスはかつて仮性コレラと呼ばれ、白色または黄白色の下痢と嘔吐、発熱が2、3日から長くて1週問ほど続きます。多くは乳幼児に多く、抵抗力の無いお年寄り等に集団発生する事もあります。また風邪の合併症を予防する為の抗生物質の副作用として起こる偽膜性大腸炎があります。下痢、便秘、腹部不快感等の症状があり、発症はゆっくりですが、やがては激しい脱水状態が起こったり、一部の大腸の粘膜の上に偽膜を作るのが特徴です。これは抗生物質の影響で腸管内の細菌の種類が変化して(菌交替現象)クロストリジウム菌が異常に増えて、その菌毒素によって粘膜障害が起こって偽膜が出来るのです。

イボ痔

2019.10.14 | Category: 胃腸

直腸肛門部は細かい静脈が入り組んで密集していますが、この静脈叢の血行障善によってコブの様に膨らんだ物を痔核と言い俗に「イボ痔」と呼ばれています。加齢により痔主は増え、50才以上の2人に1人は痔核が有ると言われています。面白い事に痔核は仰向けに寝て肛門を時計に見立て、3時、7時、11時の場所に出来やすいのが特徴です。この痔核は内痔核と外痔核がありますが、この二つは同じ痔なのに発生由来の関係で大きな違いがあるのです。肛門の奥に少し指を入れると凸凹のヒダがあります。、この形状が歯並びの様に見えるので「歯状線」と呼ばれています。この歯状線は発生学的には、内側が内胚葉性の原始直腸と外側が外胚葉性の原始肛門とが接合して出来たものです。つまり直腸と皮膚の境界線で、発生学的に見れば痔核は直腸の疾患で外痔核は皮膚の疾患なのです。症状としても歯状線の内側は自律神経で支配されていますから自分の意志で動かしたり痛みを感じる事もありません。外側は脊髄神経によって支配されていますから、当然ながら痛みも痒みも感じるのです。痛みの伴わない出血は内痔核の場合ですが、それ以外に直腸癌の可能性もありますから、注意が必要です。

十二指腸球部

2019.10.13 | Category: 胃腸

指を12本橋に並べた長きの十二指腸は、胃の幽門につながる球部から始まり、その球部はX線で横から見ると三角形のおにぎり状をしています。この十二指腸球部の粘膜には胃からの酸を、中和する強アルカリの重炭酸を分泌するブルンネル腺が分布しています。そして塩を含んだ胃内容物が十二指腸に入って来ると十二指腸の壁に存在するセンサー細胞が食物の内容や胃酸の酸度を感知し、セクレチンやエンテロガストロンなどの消化管ホルモンを出して胃酸の分泌を抑えるのです。胃酸が胃酸の出具合を抑えるフィードバック機構を十二指腸ブレーキと呼ぶのですが、ブルンネル腺と十二指腸ブレーキの二重の働きによって球部は酸性でも十二指腸下部は中性になっているのです。そして十二指腸潰瘍はほとんどがこの球部に出来るのですが、高酸度の胃液に触れるのがその原因と考えられていました。しかし、現在では十二指腸粘膜の胃上皮化生が主な原因ではないかと考えられています。加齢によって、胃の上皮が腸上皮化生を起こすことは知られていますが、十二指腸球部の粘膜も胃の上皮に変化し、それと共に胃の出口に近い幽門前底部に住んでいるヘリコバクター・ピロリ菌が、十二指腸に移り住んで、十二指腸潰瘍を起こすのだと考えられています。

野菜が大腸癌を予防

2019.10.12 | Category: 胃腸

大腸癌は男性では1位肺癌、2位胃癌、に次いで3位女性では1位大腸癌、2位肺癌、3位胃癌、です。急増したのは食生活で肉食が多くなった為に、大腸に過酸化脂質の発生や腸内細菌に変化をもたらした事です。脂肪を多く摂ると便に過酸化脂質が発生し、、赤身の肉に含まれる鉄と反応して化学的に電子を余分に持つ過酸化脂質ラジカルと言う状態になります。これが遺伝子のDNAを切断し遺伝子の変異を引き起こし癌を発生させるのです。この脂質ラジカルを中和してくれるのが、野菜やお茶に含まれるフラボノイドや、ポリフェノールです。野菜の細胞壁は人の消化液では破れません。ですから野菜からこの成分を取る為には生野菜ではなく加熱してから食べる事が大切です。また腸内には100種類、100兆の細菌がいます。その中にはビフィズス菌や乳酸菌といったビタミン合成や消化吸収、感染防御等に有用な善玉菌と、大腸菌、ウェルシュ菌といった腸内で腐敗をもたらす悪玉菌があります。肉類が多いと悪玉菌が優勢になり、アンモニアや硫化水素の腐敗毒素が多くなり、これが発癌物質として蓄積されるのです。ですからこの毒素を含んだ便が大腸に長い時間滞留しない為には、食物繊維を多く含む野菜や果実を多く摂って便の量を増やし便通を良くする事です。またこの食物繊維が善玉菌のエサとなり善玉菌を増やして大腸を守ってくれるのです。

免疫

2019.10.11 | Category: 免疫

私達身の周りには微生物や食べ物や化学物質等数え切れない物質に満ち溢れています。この中で、身体にダメージを与え、更に死に至らしめるものに対抗するシステムが免疫です。免疫に関して重要な事は自己・非自己の認識です。一般に自己と非自己を認識する事は脳によって行われますが、免疫系ではその脳を介さずに自己・非自己を識別し、身体の組織に侵入する敵を排除します。この免疫系は自然免疫系と獲得免疫系に分けて考えられています。第一段階では可溶性物質である補体、リソチーム、インターフェロンや細胞であるマクロファージ、ナチュラルキラー細胞などの自然免疫系が防衛に当たっています。しかし、非常に毒性を持ったウイルスや病原菌が侵入すると緊急防衛に当たるのが獲得免疫系です。この獲得免疫には液性免疫(抗体)と細胞性免疫(T細胞)があります。この様な免疫系全部の細胞を集めると肝臓よりも大きくなる程です。基本的には微生物には液性免疫が、ウイルスには細胞性免疫が対応しています。この免疫系が食べ物や環境の急激な変化により大きく揺らいでいます。アレルギー疾患や自己免疫疾患はもとより癌も免疫系との関連が指摘されています。さらに改善の手段として免疫療法も新たな展開をみせています。

免疫は第六感

2019.10.10 | Category: 免疫

生体の恒常性を維持するシステムとしては神経・内分泌・免疫の3つの系が挙げられます。従来はこの3系は独立の系として考えられていました。神経系は感覚・認識・情動・運動を司り、内分泌系は物質代謝・生殖を調節し、そして免疫系は病原体等の異物の排除でした。しかし、最近この3系は相互に共同しながら統合して生体を調整して働いている事が明らかになっています。このような考えとして免疫系も一種の感覚器官であり、臭、視、聴、味、触の五感に次ぐ第六感目の感覚系であると大胆に提唱したのがブラロックです。それによると外部からの刺激は、通常の感覚器で認識可能であれば、その刺激が生体にとって危険であると認識すると、そのシグナルの一部は視床下部・下垂体を刺激しホルモンを分泌させ、更にホルモンがリンバ球にも働き免疫応答に変化をもたらします。一方、通常の感覚器で認識されない刺激は免疫系によって認識され免疫応答を起こします。この時リンパ球は抗体やサイトカインばかりで無く各種のホルモンや神経伝達物質を産生しうる事で、神経・内分泌系に働き、免疫系以外の生理学的な反応を引き起こしています。サバアレルギーの人がサバを見る(視覚)だけでアレルギー反応が起こる事も免疫系が感覚器の一つである例であると言っています。

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