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十二指腸球部

2019.10.13 | Category: 胃腸

指を12本橋に並べた長きの十二指腸は、胃の幽門につながる球部から始まり、その球部はX線で横から見ると三角形のおにぎり状をしています。この十二指腸球部の粘膜には胃からの酸を、中和する強アルカリの重炭酸を分泌するブルンネル腺が分布しています。そして塩を含んだ胃内容物が十二指腸に入って来ると十二指腸の壁に存在するセンサー細胞が食物の内容や胃酸の酸度を感知し、セクレチンやエンテロガストロンなどの消化管ホルモンを出して胃酸の分泌を抑えるのです。胃酸が胃酸の出具合を抑えるフィードバック機構を十二指腸ブレーキと呼ぶのですが、ブルンネル腺と十二指腸ブレーキの二重の働きによって球部は酸性でも十二指腸下部は中性になっているのです。そして十二指腸潰瘍はほとんどがこの球部に出来るのですが、高酸度の胃液に触れるのがその原因と考えられていました。しかし、現在では十二指腸粘膜の胃上皮化生が主な原因ではないかと考えられています。加齢によって、胃の上皮が腸上皮化生を起こすことは知られていますが、十二指腸球部の粘膜も胃の上皮に変化し、それと共に胃の出口に近い幽門前底部に住んでいるヘリコバクター・ピロリ菌が、十二指腸に移り住んで、十二指腸潰瘍を起こすのだと考えられています。


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