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「気のせい」は機能性

2019.10.18 | Category: 胃腸

胃がもたれる、痛い、食欲が無い、胸焼けがする等の症状を訴える患者に内視鏡や超音波検査をしても何ら器質的な異常が無い場合があります。この様な症状が4週間以上続く場合を機能性胃腸症(non-ulcer dyspepsia:NUD)ノン・アルサー・ディスペプシアと言い、1987年に米国消化器病学会で提唱された疾病概念で、直訳すると『潰瘍が無い消化不良』と言う意味になります。このNUDを診断する為の定まった検査と言う物は無く、患さんの訴える症状により、疑われる消化管疾患について検査を行い、それを否定していく事がNUDの診断になります。このNUDの病態は患者の自覚症状に応じて4つの型に分類されます。NUDの半数が胃の運動機能異常を主因とする運動不全型で、特に中年女性に多く腹部膨満感、食欲不振などの症状を訴えます。2番目には、空腹時や夜間に痛みがあると言う潰瘍症状型、3番目には胸焼けや胃酸の逆流を訴える胃食道逆流型で、この2つの型は胃酸分泌亢進異常であるので、胃酸を抑える事になります。最後に本態性型で症状は先の3つの型と殆ど同じなのですが、そのメカニズムが分かっていません。精神的な要因が強く医療行為が長引くようです。患者がお腹の具合が悪いと訴え、検査をしても器質的に何も異常がないと、「気のせいです」「ストレスによるものです」という事で片付けられていました。このNUDは従来の器質的異常の範囲を超えて機能的異常に一歩踏み込んだ疾病概念であると言えます。


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