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運動をした後に筋肉が痛くなる事はよくある事ですが、その痛みも色々です。
運動中や直後に生じる即時性の痛みは、筋肉の収縮によって筋肉の血液が悪くなり疲労物質が溜まったり、筋線維から出るカリウムイオンが痛みの受容器を刺激する等の単純な痛みと考えられています。
多くは暫くすると痛みは軽減しますが、痛みが続く場合は運動を中止すべきでしょう。一方遅発性の筋肉痛があります。
これは運動の後数時間から数日も経ってから出て来る筋肉痛で、運動不足の人に多く見られる物です。
この遅発性の筋肉痛は、伸張性の運動をした時に出る物で、等尺性や短縮性の運動では出ません。
筋が大きく引っ張られた状態で、負荷が加えられるとこの筋肉痛が出やすく、筋肉の腫れだけで無く、筋力低下ももたらす様になるのです。
痛みを感じる受容器は筋線維にある訳では無いので、こうした痛みは筋線維の傷害と同時に筋内談や筋外膜等の結合組織が傷付いた事にもよると考えられます。
筋を伸ばす動きの中で筋線維や結合組織に無数の傷が付き、それが炎症を起こして傷みになるのです。
また傷を回復する為に炎症が起こり、その為白血球が増えて痛みに結び付いていると言う説もあります。
最もこの遅発性の筋肉痛の程度と筋損傷・筋力低下の程度には余り相関性が認められ無いので、痛いからと言ってトレーニングの効果が上がっているとは言えません。
我々の施術の理論的根拠としてよく引用されるのが体性一内臓反射、内臓一体性反射などの反射理論です。
特に内臓体性運動反射は内臓の疾患により骨格筋群に運動変化が表れる事で、骨格筋との関係が最も深いと言えます。
少し詳しく言えば、内臓の異常が自律神経求心性線維を介して脊髄に伝わり、その近くの脊髄分節にある体性神経系運動線組を興奮させて骨格筋の収縮を起こします。
例えば、胆嚢炎や胃炎等で臓器が刺激されると、腹筋や背部の筋肉が固くなりいわゆるコリが起こります。
更に、筋肉や腱や関節にも深部感覚と関係する知覚神経線維があり、運動神経線維と一緒に神経束になっているので、筋肉のコリは深部感覚として圧痛を伴います。
この現象は皮膚にも知覚反射の過敏な状態を引き起こすので皮膚の表面に感覚異常が起きます。
この様な反射は施術をしていると日常的に経験しています。
ただ、皮膚の知覚異常は皮膚分節(デルマトーム)として、割りとはっきり区分出来ますが、骨格筋の分節(ミオトーム)は、かなり曖昧になってしまいます。
これは、筋肉の束を詳しく見ると実は同じ動きの為に働く筋線維も異なった筋分節から出て来ているからなのです。
多くの筋は多節性で、二つ以上の脊髄断区から運動神経線維を受けているのです。
この事からも筋の分節は交錯してしまい、内臓の異常が四肢に広がりを持つ事もうなずけるのです。
方法の中で手足を重視している物が幾つかあります。
特に鍼灸による内臓疾患の改善では、経穴の重要なポイントが手足にあり、そのポイントで改善する事が可能になる訳です。
四肢と言えば手足ですが、進化の過程で手は移動する為には使われ無くなり、より高度な動きを獲得しています。
この上肢は2つの骨で(肩甲骨と鎖骨を合せて上肢帯)で結ばれています。
重要なポイントとして背中は広背筋で、胸郭側は大胸筋、小胸筋で上半身が覆われている事です。
アウターマッスルの浅い筋肉層である胸筋と背筋は全て上肢帯か上腕骨に停止しています。
つまりお腹の部分を残して胴体にある表面の筋肉は全て手の動きに関係しているのです。
また上腕の前面には屈筋群、後面には伸筋群がそれぞれ発達して、特に親指には様々な種類の筋肉が付いて、より巧緻な作業が出来る様になっています。
これも胴体の表面の筋肉が全て腕に関わる事で可能になったのです。
ところが下肢の方は、下肢帯(腸骨、坐骨、恥骨、全体で寛骨)が背骨の一部である仙骨と結合して骨盤を形成しています。
下肢の筋肉は上肢と違って狭い骨盤の範囲から起こっているので、腸腰筋や大中小殿筋は大腿骨のほとんど前面に幅広く付き、特に内転筋は広く大腿骨に付着しているのです。
ですから、下肢は上肢に比べて運動の可動域は狭くなっていますが、しっかりした下肢の筋肉群により直立歩行に適した形になっていて、手を更に自由にする事に貢献しているのです。
骨格筋の中でも上腕二頭筋や大腿四頭筋等の大きい筋肉は、表面的にも、力を発揮する上でも“目に見え”ています。
これら、身体を覆っている様な骨格筋をアウターマッスルと言い、これに隠れる様に関節付近にある小さな深部の筋肉群をインナーマッスルと言います。
肩の周りでは棘上筋や棘下筋、小円筋、肩甲下筋などのローテーターカフ、腰の周りでは中殿筋、小殿筋、恥骨筋、長内転筋、外閉鎖筋、方形筋、梨状筋等です。
これらのインナーマッスルは腕を旋回させたり腰を動かす為にアウターマッスルが大きな動きをする時に拮抗して働き、肩の関節や股関節を安定化させ、スムーズな動きを可能にするのです。
例えば肩こりが僧帽筋の使い過ぎ等による物だとすれば、五十肩の場合は上腕骨と肩甲骨の位置を調節している肩のインナーマッスルが衰えて、アウターマッスルとのバランスが崩れ、上腕骨と肩甲骨がぶつかる様になって発症しているといえます。
インナーマッスルの衰えだけで無く、アウターマッスルが強くなり過ぎても五十肩になる事があります。
日常の動きの中でもスポーツのトレーニングの中でも気が付かずにインナーマッスルを酷使している事があり、くずぐすと治りきらない障害の要因になっている事も多いようです。
かつてスケートの橋本聖子が原因の分からないスランプに長く苦しめられた事がありましたが、詳しく調べるとその原因は梨状筋の肉離れによる物だったそうです。
このインナーマッスルのトレーニングにはチューブを使った方法があります。
このトレーニングはいわゆる筋トレの様な負荷はありませんが、正しく行えば効果は高いと言う事です。
スポーツマンだけで無く、五十肩や腰痛を抱えた人にとってもインナーマッスルのトレーニングは効果的でしょう。
骨格筋は反射以外では運動神経からの電気刺激によって収縮します。1個の運動神経が支配する筋線維を運動単位と言いますが、その1運動単位の中の筋線維の数は筋肉の機能によって違いがあります。
指や舌、眼球など精緻な動きが必要な部位では神経細胞1コ当たりの筋線維数が少なく、大ざっぱな動きで良い部分ではl個当たり多くの筋線維を支配するのです。
例えば広頸筋ではl個の神経当たり25個の、前脛骨筋では560個以上の筋線維を支配すると言う具合です。
ところで骨格筋線維は脳からの刺激を受けて収縮しますが、一つ一つの筋線維の収縮の強弱は、刺激の強弱による物ではありません。
刺激を受けた筋線維は収縮しないか、収縮するかの違いがあるだけで刺激の度合いによって収縮の度合いが変わる訳では無いのです。
筋線維の収縮が起こるぎりぎりの最小刺激を閾値と言いますが、その閾値に違すれば筋肉は最大の収縮をします。
刺激がいくら大きくても収縮がより強く起こる訳では無いのです。もちろん実際の骨格の動きには強弱があります。
これは、筋線維毎に刺激に対する閥値が様々だからです。
刺激が弱ければ同値が低い筋線維だけが動きますが、刺激が大きくなれば同値の高い筋線維も加わり、収縮する筋線維の総数が増えて大きな動きに結び付くのです。
骨格筋は様々な大きさの運動単位からなり、筋線維のタイプ゚や活動電位がどの様な頻度で発せられるかの違い等によっても動きにバリエーションが生まれるのです。
筋肉を付ける時は激しいトレーニングをして、2~3日は楽なトレーニングをするハード・アンド・イージーが最も効果的と言われています。
トレーニングをして筋線維の微細な構造が壊れると成長ホルモンの指令により蛋白質を材料に修復されます。
この修復によって回復した筋肉は傷つく前より筋線維が太く筋力も前より強くなりますが、その修復には2~3日かかり、これを超回復と言います。
また材料となる蛋白質を摂る量や運動する時間も大切です。
蛋白質の必要量は通常体重1kgに対して1gとして考えますが、筋肉を付ける場合は約1、3~1.4倍が目安になります。
食物中に含まれる蛋白質が消化吸収されてアミノ酸に分解され、それが全身の組織に運ばれて、細胞内のDNAの指令に従って様々な蛋白質を合成しますが、その合成を促すのが成長ホルモンです。
成長ホルモンは運動という刺激で分泌が多くなるので、筋肉を付けるには食後3時間後に運動をするのが良いのです。
これは摂取した蛋白質がアミノ酸になって組織に行くに約3時間かかる為です(プロテインの場合運動直後)。
また成長ホルモンは就寝して間もなくが最も多く分泌されるので、寝る1時間前に蛋白質を摂るのも効果があります。
蛋白質を摂る時には体脂肪に注意し低脂肪、低エネルギーの食品を摂ります。
更に一日蛋白質を150g以上摂ると身体に過剰な負荷がかかり腎機能が低下するので注意が必要です。
筋肉両端の腱の骨付着部分を顕微鏡で拡大して見ると、まるで沢山の針の東が骨に突き刺さる様に食い込んでいます。
この形状は腱が筋肉の微妙な張力を骨に伝えるのに、腱線維1本1本の直径が小さければ小さいほど効率が良い為だからです。
また狭い範囲内で繋がる面積を広げ、総合力を強くする為でもあります。
筋肉は筋線維という細胞から出来ていてエネルギーを消費して収縮しますが、腱はコラーゲン緯線とその中に散在する線維細胞もしくは線維芽細胞からなり、強靭ですがほとんど収縮しません。
腱は栄養や酸素をあまり必要としないので、血痕の供給はほんの僅かで済みます。
ところで筋線維の束の幾つかが切れた状態が一般に肉離れと言われています。
急に走り出そうとした時に、ふくらはぎや大腿に激痛を伴い動かせ無くなる事があるのですが、原因は筋肉の一部が周りの筋との協調を無視して過剰に収縮して断裂してしまうからです。
筋線維は普通同じ高さで切れずに少しずつずれて切れるので、切れ口が解離すると言う事はありませんが、切れた部分では内出血を起こし後に炎症を起こします。
肉離れは手術を要する事はなく、安静にしていれば自然に治っていきますが、腱の断裂となるとそうはいきません。
腱は筋肉と違って線維が同じ高さで切れる事が多く、筋肉の収縮に引っ張られて断裂部が解離してしまうので、多くは手術をして繋ぎます。
運動会等でよく起こるアキレス腱断裂は、ウオーミングアップ不足か疲労による下腿三頭筋の異常収縮が原因です。
筋肉の運動にはエネルギーの持続的な供給が必要です。
筋収縮の直接的なエネルギー源はリン酸化合物のアデノシン三リン酸(ATP)ですが、筋細胞内には極めて微量しかありません。
筋収縮を持続的に起すにはエネルギーをつぎ込んでATPを再合成する事が必要です。ATPの再合成はリン酸化合物のクリアチリン酸がクレアチンと燐酸とに分解する時に出るエネルギーを使っています。
また解糖系(乳酸系)では炭水化物(グリーゲンやグルコース)が解糖をするとATPと乳酸が生成されます。
この内クリアチリン酸と解糖系による再合成は酸素を必要とし無いので無酸素による筋収縮が可能です。この反応は細胞質で起こります。
しかし、無酸素系は持続時間としてはATP系は約8秒で解糖系が約33秒で合せても僅か約40秒程度に過ぎません。
ですから持続的な運動にはもう一つのエネルギー供給系である有酸素系がある訳です。
この酸化系ではもちろん酸素を必要としますので、有酸素系あるいは好気的エネルギー供給系と言い炭水化物や脂肪を二酸化炭素と水にまで分解する時に出るエネルギーを使ってATPを再合成します。
この反応は細胞内のミトコンドリア内で起こります。
筋肉の持続的な力はこの細胞内のミトコンドリアの数と大きさにより、持久力に優れた遅筋は速筋に比べてミトコンドリアの数と大きさがはるかに勝っています。
この三つのエネルギー供給系がバランスを保ちながら滑らかな筋肉の運動を支えているのです。
カウンセリングにおいて現在も影響力のあるのがアメリカの心理学者カール・ロジャースによる「来談者中心」と言う、非指示的なカウンセリング理論です。
それまでのカウンセリングは、何をすれば良いか、指示された課題を毎回こなし、その変化を見ると言う指示的なやり方でした。
彼は最初の頃、児童相談所において多動症の子供を持った母親を受け持ったとき、指示的なカウンセリングをしていたのですが、効果が出ませんでした。
その時、母親は自分の悩みや問題について話始め、それが子供に影響している事を母親は感じていたのでした。
その母親の問題を解決したら子供も落ち着いて来たのです。
その出来事が「あれこれアドバイスをしたがカウンセラーが考えているよりもはるかに深い問題をクライエントは知っているのだ」と言う事に気付かされたのでした。
「人間は成長力を内に秘めていて、自分の問題について自分が一番よく知っているのだ」として、カウンセラーが主導権を握るのは危険と考えたのです。
カウンセリングはクライエントの内的な問題を大切にする事で、その為に共感的理解、自己一致、無条件の肯定的配慮と言う態度が必要であると考えたのです。
中高年女性の患者さんが訴える症状には、頭痛・肩こり・腰痛・関節痛・神経痛を始め、のぼせ・多汗・動悸・冷え・めまい・便秘・不眠等の自律神経失調症が多数を占めています。
40歳以上の女性が訴えるこれらの不定愁訴の多くは更年期障害だと考えられますが、患者さんは身体の不調は訴えても不安感やうつ・イライラ等の精神症状についてはなかなか伝えてくれないものです。
更年期障害の最も大きな原因は、卵巣機能の低下による女性ホルモンの分泌減少と言えますが、更年期は女性のライフサイクルから見ると、子どもの就職や結婚、老親の介護や死、夫の定年など心理的・社会的な変化やストレス、が非常に大きい時期に当たります。
子どもの巣立ちによる空疎感から起きる空の巣症候群を始め、閉経で女性では無くなったと言う疎外感、老いて行く将来への不安等、抑うつ感・無気力感や様々な心の症状が起きてきます。
頑固な身体症状がなかなか取れない、あるいは一時的に良くなってもすぐまた悪化を繰り返す様な場合、背景に心の問題が隠されている事が多いのです。
身体症状に惑わされて更年期のうつ症状を良逃してしまうと、そのまま老年期のうつに移行して重症化する危険があるので要注意です。
患者さんに心の問題を察知した場合には、心療内科や神経科での受診を勧める事が必要かもしれません。