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風邪の予防法のひとつに歯科医の臼田篤仲先生が考案した濡れマスク法があります。風邪のウイルスは低温、低湿で繁殖し、温度が7度で、湿度が50%以上であれば6時間生存率は37%、湿度が25%ですと65%になります。
風邪ウイルスは最初に上気道の細胞に入り込みますが、その部分の湿度が高ければ繁殖はしないのですが、低いと増殖し細胞を破壊します。
この上気道の湿度は、昼間は水を飲んだり、食べ物を食べて嚥下をしたりする事で、湿っています。睡眠中は唾液や上気道粘膜からの分泌が著しく低下し、また食物を摂らないので嚥下は停止する為、上気遠の粘膜は乾燥傾向になり、ウイルスの増殖がしやすい環境になるのです。
その為朝目覚めた時に喉の痛みが強くなり、病状が進む事が多いのです。風邪の引き始めは上気道から症状が出るので、この部位でウイルスの繁殖を抑えれば症状も軽く済むのです。
そこで上気道の湿度を高く保つ方法としてこの濡れマスク法が考案されたのです。濡らしたマスクを鼻の下に置く様にする事がポイントです。
呼吸をするとマスクにある水分が水蒸気となって気道に入り、湿度を高めてウイルスの繁殖を抑える吸気加湿法になるのです。
また口呼吸を防止して喉の渇きを防ぐと言った効果もあります。喉の調子が変だと感じたら、上気道の湿度を高めてウイルスの繁殖をストップさせるこの方法を試して下さい。
口腔が乾燥しやすい高齢者には特におすすめです。
ウイルスに効く薬は無いので、これまでインフルエンザその物を治す薬はありませんでした。しかし最近になってウイルスその物に直接働きかける薬がいくつか出来ています。
そのひとつのアマンタジンはウイルスが粘膜に吸着した時点でウイルスの蛋白に作用して膜融合を阻害すると見られています。アマンタジンはそもそもパーキンソン病の薬として使われていた物ですが、日本では98年末にようやく認可され、99年から実際にインフルエンザに使われる様になったものです。
ウイルスのM2を蛋白を阻害してウイルスが脱殻抑制し、粒子を構成出来無くなる為です。副作用が中枢神経性の症状を中心に、多岐に渡る事と、A型のインフルエンザにしか効か無い事、耐性が出来やすい事等の問題点があります。
健康な人や子供には原則として使われず、ワクチン接種が出来ない場合等のワクチンの補完的な物として使用されています。
もうひとつのノイラミニダーゼ阻害剤は、ウイルス表面の糖蛋白の活性を阻害する物で「タミフル」「リレンザ」「イナビル」と現在の主流薬です。
A型にもB型のインフルエンザにも有効です。アマンタジンの様に中枢神経系に移行せず大きな副作用はありませんが、タミフルには一部の患者さんには副作用の報告もあります。
次世代薬としてはRNAポリメラーゼ阻害薬があります。細胞内のRNAが遺伝子合成をする複製を阻害します。
風邪をひくと治り難く、しつこい咳などが数ケ月も続く事があります。特に高齢者ではこのケースが多く、施術所に来る患者さんにも増えています。
高齢者の風邪はくしゃみ、鼻水、鼻詰まり等の上気道の症状より、下気道の咽頭、気管、気管支に咳や痰等の症状が出やすいのが特徴です。
これは気道の粘液分泌や繊毛の働きが弱く痰が溜まりやすく、身体全体の免疫力も低下しているからです。更に事態を悪くしているのが大気汚染です。
公害の四日市喘息や川崎喘息等がよく知られていますが、都市部においても大気汚染は高度成長期の大気汚染状態に比べては改善が見られ、今は中国からのPM2.5の日本での影響が取りただされています。
しかし地域にもよりますが計測算出量の半分は日本で発生している地域もあります。
浮遊粒子物質で10μm以下をSPMといいます。2.5μm以下では「PM2.5」と呼ばれています。
未だに内燃機関の車社会に依存している事からその汚染抑制の達成率が後退しています。様々な大気を汚染している化学物質や微粒子物質か気管支の線毛運動の障害や気道の粘液分泌の増加、粘液腺の肥大や粘膜上皮の破壊を複合的に促します。
これによって痰の量も増え、咳もなかなか治まらない事になるのです。動物実験で明らかにされたのですが、亜硫酸ガスや二酸化窒素を吸わせた動物は、インフルエンザウイルスに感染させると炎症が進み、症状が悪化しやすくなります。
また汚染地区での学童検診でも、鼻炎、副鼻腔炎、咽頭炎、喉頭炎が明らかに増えているのです。
最近は中国の大気汚染に気を取られていますが。実はじわじわと我々の気道を破壊し続けているのです。
外出時の風邪の防御は保温や感染源の人混みばかりに気を取られがちですが、大気汚染に対して気を使う事も必要なのです。
風邪をひいた時、腰や肩や膝と行った「節々」が痛む事がありますが、元々上気道の感染症である筈の風邪の症状が何故遠くの関節にまで及ぶのでしょうか。
この原因はハッキリと分かってはいないのですが、有力な学説によると、ウイルの感染によって生じた発熱・発痛物質が関節へ移行した為と考えられています。
喉には「ワルダイエル咽頭輪」と言うリンパ組織の集まった免疫系の「関所」があり、外からの病原の侵入に反応して、新しいリンパ球が絶えず作られています。
ウイルスが上気道で繁殖するとリンパ組織もそれに応じて発赤・腫脹を起こしますが、ウイルスの増殖が著しくて充分抑え込めないときは、このリンパ組織のリンパ球内にウイルスを生きたまま抱えてしまいます。
そしてリンパ管を通して体中を巡る事になり、関節頭にあるリンパ組織にウイルスが集まるのです。
ウイルスと一緒に生体の免疫反応で生じた発熱・発癌物質のサイトカインやプロスタグランジンがリンパ行性や血行性によって、関節等の負担がかかりやすい場所に影響を及ぼすという事です。
朝起きがけに腰や屑が痛む事もありますが、多くの人は夕方疲れた時に、体重のかかる関節が痛む場合が多い様です。
対処方法としては、痛む場所をブラシやタオルで温かくなるまで軽くこすったり、ヘアドライヤーで温めるのが効果的です。
インフルエンザウイルスはどの様に宿主である呼吸器系の細胞に侵入するのでしょうか。ウイルスの表面の蛋白にはヘマグルチニン(HA)があります。
これは赤血球凝集素と言う名前が付けられています。と言うのもインフルエンザウイルスと赤血球を試験管の中で混ぜると、赤血球が固まって試験管の下に沈殿するのです。
この現象を赤血球凝集と言います。つまりウイルスのHAにより赤血球の表面にあるシアル酸が付いているレセプターとが鎖の様に繋がってしまうからなのです。
勿論、このウイルスのHAは赤血球にくっ付く為にあるのではありません。赤血球には核がありません。つまり遺伝子を持たないのでウイルスが侵入する事が出来ても、ウイルスにとって自己の増殖には全く役に立たないからです。
実は、鼻や気道の粘膜の細胞にも赤血球と同じシアル酸レセプターがあるのです。そこにウイルスが取り付いて結合して、そこから細胞内に侵入する拠点にするのです。
宿主細胞はこの取り付いたウイルスを栄養やホルモンと勘違いして、自らとり込もうとするので、やすやすと細胞内にウイルスは侵入する事が出来るのです。
そして侵入するやそれまで着ていた膜を脱ぎ捨て核に潜り込んで自らを複製するのです。
世界的規模で流行するのがインフルエンザA型です。このウイルスの表面のHA(ヘマグルチニン)は感染した細胞に侵入する時、またNA(ノイラミニターゼ)は細胞から出て行く時に働く蛋白質です。
このHAとNAが人間の免疫システムから逃れる様に絶えず変異を繰り返し、ワクチンの効果も無力化させているのです。
HAは15種類、NAは9種類が確認されていますが、鳥のインフルエンザウイルスにはこのHAとNAが全てあり、鳥はA型ウイルスのルーツと言われています。
通常、このウイルスは鳥の腸の中にいて発症しませんし、人間にも直接感染する事はありません。
研究で、新型インフルエンザは渡り鳥が中国華南地方に渡り、その鳥の糞を豚が食べて感染し、豚の体内で遺伝子組換えが行われ、突然人間への感染を身に付ける様に変化したと言う事が確認されています。
この地方では人、豚、鳥が身近に生活している為にだと言われています。大流行したスペイン型(HINI)、アジア型(H2N2)、香港型(H3N2)はこの地域から発生したと言う研究告があるのです。
1997年香港で広がったインフルエンザウイルスH5N1は、強い毒性からトリぺストと呼ばれ鳥が大量に死にました。鳥のインフルエンザは直接人間には感染しないと言われていました.
そのウイルスが人間に感染したので世界中を震撼させ、130万羽の鳥を処分する事でその感染の拡大を未然に防ぐ事が出来ました。
WHOでは新しい抗原性をもった異株を早めに発見する為に世界各地から情報を集めて、流行しそうなインフルエンザ株(種類)についての勧告を出して、ワクチンの準備などの対策を進めています。
インフルエンザウイルスは空気感染ですから、容易に人から人にうつります。既に感染している人は1回のくしゃみで空気中には10万個の飛沫が飛び散ります。
その中の4%(4000個)は30分位は浮遊していると言います。冬場の空気が乾燥しているとその飛沫の粒子も蒸発が起こり、益々重さの軽い粒子になり落下速度が遅くなるので長時間空気中に浮遊する事になります。
その浮遊する粒子にウイルスはくっ付いているので、その粒子を含んだ空気を吸うと、鼻粘膜や咽頭にウイルスが着地する事になるのです。感染直後に呼吸器系で爆発的に増殖して行き、通常は24時間から48時間で症状が出てきますがひどい時は数時間で出て来る事もあります。
このウイルスは感染者の中で、発病後10日間は症状が治まった様に見えても、しっかり潜伏していますので咳やくしゃみと共にウイルスがばら撒かれる事になります。
ですから、インフルエンザをひいて治って間もない人も要注意人物なのです。この粒子はどこにでもくっ付いてしまいますので色んな物を触る手や衣服にも付いて、家の中にも持ち込む事になり、これが再び空気中に浮遊する事になります。
帰宅後の手洗いはこの微粒子が最も接触する可能性のある手からウイルスを除去出来るので予防の最も有効な手段であるのです。寒い冬でも換気が必要なのは浮遊しているウイルスを屋外に出す効果があるからです。
また、この飛沫の粒子は100ミクロンから10ミクロン以下ですので大きな粒子にはマスクも有効です。
とにかく風邪の季節、くしやみと咳には近寄るべからずです。以前は帰宅してからのうがいも防止対策にされていましたが、現在ではこれも否定されています。
ウイルスは粘膜に接触してから約20分の非常に短い時間で体内に侵入してしまうのです。
スポーツのトレーニングといえばバーベルやマシーンを使ったウエイトトレーニングがイメージされますが、それらの多くは徐々に筋肉に負荷をかけて筋を肥大させることで筋力を高めることが目的です。
ところが、最近では初動負荷に注目したトレーニング理論が注目されています。従来のトレーニングでは最後の方に負荷をかけていく終動負荷が多いのですが、これでは筋肉が疲労し、乳酸や二酸化炭素が溜まったり、うっ血状態になって弊害が起こるというのです。
つまり大きな筋肉が力を発揮し続けるとパンプアップ状態になると考えられるのですが、バンプアップは筋力を一時的に低下させたり、筋肉の可動域を減らします。
つまり動きを必要とする筋肉作りにはパンプアップ状態は禁物となるわけです。
これに対して初動に負荷をかけるトレーニングでは最初に大きな負荷を筋肉に与えたあとは筋肉の反射を利用するかたちで収縮と伸張を繰り返します。
つまり大きな筋肉が続けて力を発揮する事が無いのでバンプアップが起こりにくいというわけです。
すると血がスムーズになるので乳酸などの疲労物質もすみやかに運び出されて柔軟な筋肉が作られるのです。
また筋断裂が少ないので筋肉痛が起こりにくく、続けてトレーニングができるとされています。
個々の筋細胞膜の表面は、ソフトタイプのコラーゲン繊維でできた「基底膜」で、その外にはやや厚い「筋内膜」で覆われています。
この筋細胞が数百で筋束を作り「筋周膜」に、更に表層を「筋外膜」で覆われ、これら筋内膜・筋周膜・筋外膜は張力に強いタイプのコラーゲン繊維でできています。
筋から腱へ力の伝達をする時、筋と腱を構成する蛋白質はそれぞれ性質が異なっていて、その接合部は数種の蛋白質が中継する複雑な構造になり、筋線維の端では細胞膜が凸凹しています。
これは筋の細胞膜とコラーゲン組織との接触面をできるだけ広くする為の様です。
腱と骨膜の構成成分は同じタイプのコラーゲン繊維なので、化学的結合で強力に接着していますが、やはり接触面積を広くするために骨表面に細かい凹凸(骨組面)があって、腱が骨にくい込む形で物理的にも強く接着しています。
腱のコラーゲン分子は棒状構造をしていて密集して平行に並び、長軸方向には引っ張ってもあまり伸びない性質を持っていますが、筋内膜や筋周膜のコラーゲン繊維では、分子の配列がランダムなので伸縮できます。
実際に腱が伸び始める時にはいくらかコラーゲン繊維に緩みがあって、バネの様な弾性がありますが、伸びきってしまうと硬くなって張力に強い抵抗を示し始めます。
腱がこの様に弾性を持つ事で筋収縮のエネルギーを弾性エネルギーとして一時的に腱に蓄え、その後の連続筋収縮運動のエネルギーが少くて済むような仕組みになっています。
アキレス腱の働きでいうと、走ったりジャンプしたりする時、このメカニズムで筋収縮エネルギーを節約していると考えられています。
遅筋(タイプⅠ)と速筋(タイプⅡ a、タイプⅡ b)という筋肉のタイプは、持続力や瞬発力の違いとしてだけで無く、代謝の違いとしても考える事ができます。
瞬発力に優れたタイプⅡbは白筋とも呼ばれますが、エネルギー源は糖質だけで代謝に酸素を使わないので血液からの酸素補給も必要ありません。
したがってミオグロビン(酸素の貯蔵体)やチトクローム(酸化還元にかかわるヘム蛋白質)がほとんど無い為に白く見えるのです。
反対に遅筋のタイプⅠはエネルギー源に脂肪を使いますが、その脂肪の代謝サイクルでは酸素が絶対に必要なので筋線維の中にミオグロビンやチトクロームを沢山含んでいます。
タイプⅡ aはその中間で糖質と脂肪をエネルギーにする事ができるのでミオグロビンやチトクロームもその中間となりピンク色に見えます。
したがって脂肪を燃やす筋肉はタイプⅠとタイプⅡaということになります。速筋に運動刺激を与え続けるとタイプⅡ bはタイプⅡ aに変化する事ができます。
つまり糖質だけしかエネルギーにできなかった筋肉が必要に迫られて脂肪をも処理できる様になれるのです。
また筋肉は熱も変生していますが、糖や脂肪のエネルギーを直接熱にするのがUCP-3という蛋白質で、そのUCP-3を一番多く含むのがタイプⅡ aの筋肉なのです。
つまりⅡbからⅡaに変化した筋肉は筋肉が動いていなくてもせっせと熱を変生し続けるようにというわけです。
筋肉を増やすと基礎代謝が上がるというのはタイプⅡbがタイプⅡ aになってUCP-3が沢山できるからです。
筋肉がlkg増えると、基礎代謝は40キロカロリー程度上がるといいますから、筋肉を増やす事は脂肪が燃えやすい体になる事なのです。
ただし、持久的なトレーニングを続けると、体はエネルギー節約型になり、UCP-3はかえって減少するといいます。
つまりマラソンランナーは走りをやめると太りやすい体になっている事も考えられます。その意味でも脂肪を燃焼させるにはレジスタンス運動によって筋肉の量を増やす事が必要なのです。