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胃の中にはPH1.5~2.0の胃酸、蛋白質を分解する消化酵素ペプシンがあります。
入の身体は蛋白質からできていますが、この物質によって胃に穴が開く事はありません。
胃粘膜上の細胞からは、胃酸などが胃粘膜の細胞に直接触れないように、防御槽の役目を果たす粘液やアルカリ(重炭酸イオン)を分泌します。
粘液層のPHを計測すると胃酸と接する粘液の上層部はPH2、粘液の底の部分はPH7とほぼ中性になっているのです。
粘液は細長い糖蛋白で立体的な厚い絨毯のようになっているので分子量の大きいペプシンは通されないのです。
しかし、この粘液も分子量の小さいアルコール、薬物等の人工物質は通してしまい、粘液が洗い流されてしまうのです。
その部分の粘膜を胃酸、ペプシンが消化し傷つけることになるのです。
胃粘膜は少しぐらい傷ついても、胃粘膜の血涙が正常であれば、血液からどんどん栄養を補給し、約3日半で全く新しい細胞に生まれ変わるといわれています。
しかしストレス、アルコール、タバコ、薬剤等によって胃粘膜の血流が低下し、それが持続的であると、胃の粘膜は荒れ、傷付きます。
胃粘膜の細胞が病的にはがれ落ち、新しく細胞が生まれ変わろうとする力も弱まってしまうのです。
その為に胃酸の働きが強くなり、痛み、むかつきといった、胃の不快な症状が発生するのです。
胃粘膜血流の低下が胃炎・胃潰瘍の始まりなのです。胃の健康のためには胃の血流を良くする生活が大切になるのです。
胃酸が逆流して食道の下部粘膜が炎症を起こすものを胃食道逆流症といい、最近特に増えている疾患です。
症状は胸焼けや呑酸が中心です。日本人はもともと胃酸分泌能が低いので胃食道逆流症は少ないとされていて、内視鏡検査でも40年位前までは3%位しか無かったものが20年ほど前から15~19%と急増しています。
これは診断する側に胃食道逆流症に対する認識が高まった事が一因ですが、高齢者が増えた事にも増加の原因がある様です。
胃食道逆流症は食道下部の括約筋圧が低下したり食道の運動機能が障害されると、本来は逆流しない胃酸が逆流する為、食道下部が胃酸にさらされ、食道炎となります。
すると更に括約筋圧が下がり食道炎が悪化するという悪循環を招いてしまうのです。
特に高齢者では食道下部の括約筋が弛緩しやすかったり、裂孔ヘルニアがあって胃酸が逆流しやすくなっている為にどうしても胃食道逆流症になりやすいといえます。
また食生活の欧米化により脂肪の摂取が増えた事も大きな原因といえます。
脂肪の摂取は胃酸過多を招くからです。
またピロリ菌に感染すると萎縮性の胃炎によって胃酸の分泌が少なくなる事が多いのですが、ピロリ菌の除菌によって胃酸分泌能が回復して胃食道逆流症が発症しやすくなるという報告もあります。
この疾患は内視鏡で下部食退部に炎症がある事を確認して診断されますが、炎症が無くても症状だけが強く現れたり、はっきりと食道炎の所見があるのに症状が出ないという事もめずらしくありません。
生活上では脂肪の摂取を減らす事、食道括約筋を弛緩させない為にも大食を避ける事、腹圧を上げるような服装や姿勢を避ける事、就寝時には上体をやや高くする事などが対策になります。
細菌やウイルスなどの病原体の感染によって嘔吐、嘔気、腹痛、下痢といった症状を表すものを感染性胃腸炎といいます。
この胃腸炎は冬の時期に発生が多く、その原因としてはロタウイルスあるいは小型球形ウイルス(SRSV : small round structured virus)があります。
風邪と似た症状が見られる場合もあり、丁度インフルエンザのシーズンと重なるので「吐くインフルエンザ」「お腹の風邪」とも呼ばれます。
最近ではSRSVによるものが圧倒的に多く、平成9年に食中毒の原因物質に指定され、冬場の食品による食中毒で最も多いのです。
平成10年度の原因別食中毒患者の12%がこのウイルスによるものです。
感染経路はこのウイルスを含む糞便が下水を通じて河川、海へ流れ、カキ等2枚貝等に取り込まれて濃縮されます。
カキの中では増殖できないのですが、そのカキを生食するとヒトの腸内で増殖するのです。更に水を介したり、飛沫感染等人から人ヘ伝播し、秋から冬にかけて流行する事が明らかになったのです。
予防法としては、カキ等の貝類は、生食を避け、十分に加熱調理して食べる、飲料水は煮沸してから飲む、下痢や嘔吐など風邪に似た症状があらわれた場合には調理しないようにします。
二次感染の予防としては手洗いやうがいが有効です。
潜伏時間は24~48時間。発症後3日程で治癒しますが、高齢者や乳幼児など抵抗力の弱い方では重症になる事もあります。
対症療法のみで、熱があっても抗生剤は効果がありません。吐いたり、下痢、そして発熱は体から水分を失い、元は軽い病気であっても悪化する事もあります。
スポーツ飲料、お茶、薄いジュース等、水分を補給する事が大切です。
一般的には内臓は痛みを感じないといわれています。確かに胃を半分にしても腸管を切断しても痛みは感じません。
だからといって痛みの受容内の臓器の痛みは病態生理学的に直接的には内臓痛、体性痛、間接的には関連痛に分ける事ができます。
例えば腸管の平滑筋を過度に収縮させたり、拡張させたりすると痛みが起こります。もちろん平滑筋の痙攣でも起こります。
また食道や胃に直接的な化学的刺激が加わると痛みになります。更に、急性の無酸素状態や炎症等によって神経終末の痛みの受容器が刺激されれば痛みが起こるのです。
この内腰痛の特徴として急性に発症し、いわゆる鈍痛、シクシクした痛みで、どの領域か明瞭では無い痛みが持続的に存在している様に感じます。
この内臓痛以外にも体性痛である腹腔内の痛みで、体壁内面から発生する腹膜痛があります。
これは壁側腹膜や腸間膜等の炎症、機械的刺激で起こり局在性の激しい痛みとして感じる事が特徴で、筋性防御(デファンス)がその例といえます。
また、消化管等に強い刺激が持続すると、特定の皮膚領域に知覚過敏、痛覚過敏が生じてきます。これを関連痛といいます。
消化管の痛みで最も注意しなければならないのは、急激に腹部激痛がある時です。このような病態を急性腹症といいます。
原因疾患としては様々なものが考えられますが、消化管の穿孔、虫垂炎、イレウス、急性腹膜炎、腹部大動脈瘤の破裂等緊急を要するものばかりですので、素早い対応が必要です。
腹痛の部位から考えられる疾患
心窩部痛
上部消化管・胆嚢・膵臓の疾患
右季肋岳痛
肝・胆道、右腎疾患
左季肋部痛
膵臓、左腎・脾臓の疾患
臍部痛
腸疾患、イレウス
右下腹痛
急性虫垂炎、イレウス、尿管結石
左下腹痛
潰瘍性大腸炎、尿管結石
スポーツ選手はプレッシャーに負けないで毎日の練習で培った技術や体力を最高度に発揮する事を切望しています。
そこで「心」の部分をセルフコントロールするメンタルトレーニングがスポーツ界で浸透してきました。
体は脳から命令を受けて活動しますが、緊張したり、上がったりしてしまうと脳も緊張状態に陥り、それにより普段簡単にできていた事を失敗したり、力んでしまったりしやすくなります。
セルフコントロールが大切である事は科学的にも明らかになってきていますが、一日や二日でコントロールできるものではありません。
そこで日頃から訓練する事が大切になるのです。
その訓練方法として、次の様なものがあります。
勝つための目標設定を明確にして具体的なプランを立てる、プレッシャーに打ち勝つ為に色々なリラクゼーション法を試みる、自分の自信を高め維持する為に自分自身に話し掛けて自己暗示をかける(セルフトーク:自己会話)、練習してきたテクニックを最高度に発揮する為のイメージトレーニングを繰り返す、強気で戦う為にプラス思考を習慣付ける、試合で必要な集中力や集中力の回復、ミスした後の気持ちの切り替え、試合を成功させる為のシミュレーショントレーニング、スランプや不安感からの脱出法等が様々なものがあります。
根性や気合だという考えもありますが、メンタル面を科学的、効果的、合理的にトレーニングしていく時代になってきているのです。
プレッシャーを感じて緊張したりすると、眉間にシワをよせたり、頬を強ばらせたり唇をギュッと結んだりして表情が硬くなります。
また首や肩など筋肉の緊張も現われます。
この緊張をほぐすセルフコントロールに笑顔があります。
まだ言葉がしゃべれない赤ちゃんが笑顔を通じて喜びの感情を母親に伝える様に、笑顔は人が最初に学んだ学習条件反射です。
笑顔を作る筋肉の動きが無意識の引き金になって喜びを司る脳内の神経を刺激し、それが浮かんだ瞬間に幸福感や安らぎの感覚を誘い出すのです。
また意図的に顔の表情筋や眼輪筋を動かして笑顔を作ると楽しい感情を引き起こす神経が脳内で活発に作用し、脳波もアルファ波が出やすい状態になってリラックスできるという報告もされています。
更にに大声を出して笑う事です。
笑い初めは血圧が上がり、心拍を速め、酸素消費量を増加させますが、その後は筋肉の緊張が緩み血圧、心拍が低下し、血中の酸素濃度も上昇します。
この変化は笑うという事が、適度な運動と同じで脳内にエンドルフィンが増加してストレス解消や爽快感に繋がるのです。
呼吸の仕方も腹式呼吸になり、副交感神経である太陽神経叢を刺激してリラックスさせてくれるのです。
笑う事は免疫系にも影響し、漫才、落語等で笑った後に血液を検査すると血液中のナチュラルキラー細胞が活性化されがん細胞や細菌等を攻撃する事が報告されています。
笑顔は人とのコミュニケーションを円滑にする為に大切であり、心と身体のセルフコントロールに欠かす事ができない行為なのです。
人間の五味の中でも、甘味と塩味は人間の生理的な要求と最も結び付いています。
甘味や塩分を摂り過ぎれば害があると分かっていても、セルフコントロールできずに生活習慣病になる人は後を絶ちません。
人間に限らず動物は、特定の栄養素の欠乏・渇き・空腹・疲労等の生理状態に陥ると、欠乏している栄養が含まれる食べ物を本能的に求める様になります。
甘い食べ物は糖の存在を意味していて、エネルギーが得られて血糖値が高められる事を、頭では無く身体が知っているのです。
ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源なので、脳の発達する幼児期に甘味に対する欲求は特に強いのです。甘い物を食べた時、刺激が味覚を通じて大脳の味覚野に達し、一部の刺激が内側前脳束という神経路に送られ、この神経の中のA10神経が興奮すると側坐核にドーパミンが放出されます。
甘味の刺激は生物にとって「快感」となり、この刺激と快感の回路が出来上がってしまった場合、充分にエネルギーが補給されて血糖値が満たされていても、更に快感を得ようと甘味を求める場合があり、こうなるとセルフコントロールは難しくなります。
また身体が必要とする栄養素の中で欠乏が起これば致命的になるのがナトリウムで、塩は日本では1日10g以下という摂取目標が設定(最低必要量は1日1.3g)されていますが、平均12gに達しています。ナトリウムはカルシウムやマグネシウムに比べ身体の中に貯蔵量が少なく、欠乏に非常に敏感な為、身体の自然な欲求として塩味を必要以上に摂り過ぎてしまうのです。
自己催眠とは、自分で自分を催眠状態という特殊な意識状態に導いて、その催眠状態を利用してセルフコントロールを行う事です。
身体や心の悩みを克服する、あるいは新たな能力開発をしたいと思っても、「自分の能力はこれ位だ」という固定観念は、セルフコントロールの大きな障害になる事が多いのです。
でも人が催眠状態に入っている時は、リラックスしたり眠くなるといった様に意識の働きが弱まって、普通の意識状態のままだとなかなか受け入れられないプラス暗示も、自己催眠を利用する事で、凝り固まった意識を和らげて受け入れ易くなります。
自己催眠で使われる自己暗示にはプラスとマイナスがあり、誰でも普段意識しないで使っている事が多いのです。
「縁起を担ぐ」というのもプラス暗示の例で、ある色の服を身に着けていると仕事が上手く行くと信じていると能力が発揮できるというのは、暗示が上手く働いている例です。
マイナス暗示としては、「人前に出ると上がる」「能力が無い」等の思い込みがあります。自己催眠では、意識しないで使っているプラス暗示を意図的に積極的に活用し、また普段気付かずに使っているマイナス暗示を発見して、それをプラス暗示に切り替えて行く様に練習します。
まず心身共にリラックスした状態で、振り子暗示等で軽い催眠状態に入る練習から始め、自分がこうなりたいと思うことで可能性のありそうな事柄をプラス暗示として選んで、自己暗示を行うのです。
不眠症と一口に言っても国際分類では88種類もの病態が記載されている程複雑です。
原因にもストレスや概日リズムの障害によるものから、更には高血圧、心疾患等の病気に伴う不眠、うつ病等精神病によるもの、アルコール依存や各種治療薬など薬物によるもの等様々です。
カナダ・ラパル大学のチャールズ・モリン博士らは米国医師会雑誌に、次の様な改善方法が有効であると紹介しています。
(1)ベッドに入るのは眠い時だけにする
(2)ベッドで本やテレビを見ない(ベッドでは眠るだけにする)
(3)15~20分以内に眠れなかったらベッドから出る
(4)以上の事を、眠れるまで何度も繰り返す
(5)毎朝同じ時間に起きる(たとえ寝る時間が遅くても)
被験者の数は少ないのですが、この方法で18人の内14人が不眠症でなくなり、20人の薬を使用している不眠症の人も半数以上が薬より効果的である、しかも効果が持続的であるという好結果が出ています。
ただし最初の頃は日中に眠気が生じる事もあるので、車の運転等には注意が必要です。また、これ以外にも起きて直ぐに日光(高照度光)を浴びるのも不眠に有効です。
生体情報を知覚にフィードバックさせて心や体の状態をセルフコントロールするバイオフィードバック療法があります。
この療法は主に自律神経によって調節される血管の収縮、心拍数、呼吸、発汗、皮膚温等と全身の緊張を反映する筋電図等を計測する事で、心身の状態を評価し、それを元にリラクゼーションを行ったり、種々の症状を軽快に向けて療法を行ったりします。
例えば、長時間のデスクワークで後頭部の筋肉、頭部、肩にかけての慢性の筋痛がある筋緊張性頭痛の場合に筋電図を用いた生体バイオフィードバックを行います。
頭部の筋肉の中で精神的な緊張やストレスに最も敏感に反応するのは額の筋肉とされているので、患者さんの眉間に電極をつけて、その部分の緊張が高まった時には高い音が聞こえ、筋肉がリラックスした時に音は低くなる様な装置を用います。
この装置を付けながら、デスクワークをしていると頭の筋肉の反応が自分で分かり、筋肉の変化を見ながら心を落ち着かせ、体をリラックスさせるセルフコントロール法を会得するのです。バイオフィードバック装置はストレス発見装置とも言われていますが、心身をセルフコントロールさせる方法を覚える装置なのです。
最近では末梢の発汗を計測するGSR(皮膚電気抵抗装置)や、アルファー波等の脳波の状態を現す装置等が市販されています。