- Blog記事一覧 -6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 18の記事一覧

6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 18の記事一覧

臭いと遺伝子

2021.06.15 | Category: 遺伝子

嗅覚は感覚器の中で最も原始的です。

鼻には通常の臭いを感じる嗅覚と性的シグナルを感知するヤコブソン器官があります。

ところで、我々の身体から出てくる臭気といえば汗ですが、汗には水分や塩分の他に多数のアミノ酸が混ざっています。

また皮脂腺からは温厚で透明な脂肪質の分泌物が出ていますが、そこには遊離した脂肪酸が豊富に含まれています。

この皮脂腺は思春期まではまったく活動しない事から、この分泌物には性的なシグナルを放出する物が含まれていると考えられています。

特に腋、頭皮、陰部、臍に密集しているアポクリン腺はそれ自体には臭いが無いのですが、バクテリアが脂肪分とホルモンを分解して強烈な臭いを出します。

ところでマウスの実験結果で次のような結論が出ています。

雌のマウスは、他の条件が全て同じなら、自分と大きく違うMHC(主要組織適合性抗原遺伝子複合体)という遺伝子群の雄を選択するそうです。

その際、この遺伝子群の違いを雄の尿の臭いで嗅ぎ分けるといいます。

この第6染色体上のMHCといわれる遺伝子群は免疫系の中での自己・非自己を明確に区別していて、病原体の侵入に対応する役割があります。

また病気への耐性に関わる多くの遺伝子が含まれています。

ですから対立する遺伝子を獲得する事は有効な自己保存の選択といえるのです。

人の場合としては、男女に二日の間防臭剤や香水を禁じてTシャツを着てもらい、男女の被験者のそれぞれの異性の好きな臭いの順番を付けるという実験がありました。

この結果もやはりMHC遺伝子が大きく違う臭いを選択したのです。

高血圧は減塩それとも薬

2021.06.15 | Category: 遺伝子

第一染色体にあるAGT遺伝子はアンジオテンシンノーゲンという昇圧ホルモン前駆物質を作りますが、その遺伝子の235番目のアミノ酸がスレオニンであれば高血圧になりやすいT型、メチオニンであればなり難くM型と遺伝子診断をされます。

高血庄と塩分の関係からみると、T型体質の人は代謝への塩分の影響が大きく、少ない塩分でも血圧が保てる様に体内に水分と塩分を過剰に貯め込み、高血圧体質になると考えられています。

高血圧は本態性と2次性があり、90%は遺伝的素因のある本態性です。両親から遺伝子を受け継ぐと、TT型、MT型、MM型の3パターンに分かれますが、これを分析すると本態性高血圧の79%はTT型、MT型は19%、MM2%型になります。

高血圧症の医療でTT型体質は減塩が非常に効果的で、一日の塩分量は5から8グラムに抑える事です。

MM型の人には減塩ではなく薬による方法になり、MT型は減塩による効果を見ながら薬を併用する事になります。

高血圧は遺伝的素因があれば誰でも起きるものでは無く、それに食生活や日常生活等の環境因子が重なっているので、注意を払う事が大切です。

性格と遺伝子

2021.06.15 | Category: 遺伝子

「三つ子の魂百まで」というように性格傾向が生まれつきなのは昔から経験的に知られていました。

それが、実際性格に影響を与える遺伝子が存在すると考えられる様になってきました。

最近では特定の性格を脳内ホルモンや神経伝達物質、またその受容体など、脳の機能的あるいは器質的なものとして説明する事ができるようになっていました。

ですから遺伝子という命令書までさかのぼる研究も割りと容易であるわけです。

例えば、ドーパミンは脳のやる気を与える物質ですが、少ないと気分が落ち込みやすい性格になるといわれています。

量的な問題だけでなくドーパミン受容体の能力の低下でも同じ事が起こります。

このドーパミンの受容体を合成する遺伝子が第11染色体の短腕上にあるD4DR遺伝子です。

この遺伝子の真ん中には変異しやすい反復配列がありますが、その反復回数は2回から11回と人により違うのです。

この反復回数が多いほどドーパミン受容体の能力が弱まる事が分かりました。

反復回数の多い長い遺伝子を持っている人の脳内のいくつかの部位で、ドーパミンに対する反応性が低下している事が明らかになっています。

そこで一時この遺伝子がうつ病の原因遺伝子では無いかと疑われましたが、現在では否定されています。

うつ病に関してはX染色体にある種のうつ病に関与している遺伝子があるらしいと言われたり、18番目の数カ所と21番目の1ヵ所に躁うつ病の発症しやすさと関係する遺伝子がある等と示唆されていますが、証明されていません。

このように脳内の伝達物質や受容体に関与する遺伝子が特定されても、実際は人間の精神の営みは非常に複雑な要素を含んでいるので、性格や精神、精神疾患を遺伝子レベルで特定する事は極めて難しいと言えます。

Y染色体アダム

2021.06.15 | Category: 遺伝子

子が親から受け継ぐ遺伝子は、半分は母親由来で半分は父親由来のものです。

第15染色体にある胚の発生に関するものは、父親から受け継いだ遺伝子が胎盤を作り、母親から受け継いだ遺伝子が胚の大部分を作ります。

哺乳類の胎盤は、胎児に栄養を与える為に作られた母体側の器官では無く、母体の血管に寄生しながら拒絶反応を起こさせない為に作られた父親由来の胎児の器官なのです。

さて男性固有のY染色体はもちろん父親由来で、3万5千もの塩基対がありますが、遺伝子の数はX染色体が407個あるのに対し性決定遺伝子など僅か26個と少ないのです。

遺伝子以外の塩基はヘテロクロマチンと呼ばれるほとんど意味をなさない単純な繰り返し構造となっています。

理化学研究所ゲノム科学総合研究センターの藤山博士は、Y染色体にあるヘテロクロマチンの長さは個人によって異なるといい、受精の時に常染色体は対になって組み換えを起こすがY染色体は相手がいないので組み換えの為の切り出しが行われず、親の形質をそのまま受け継ぐのだといいます。

この事は「必ず父親から受け継ぐ」「組み換えがあまり起こらない」といったY染色体だけの特微なので、これを利用して人類進化の道筋をたどろうという試みが行われました。

細胞形質にあるミトコンドリアのDNAは母親由来という事から、人類最初の女性「ミトコンドリア・イブ」を探そうという研究のように、Y染色体の最初の持ち主「Y染色体アダム」を探しアフリカのアダムにたどり着いたのです。

ゲノムの次は一塩基多型

2021.06.15 | Category: 遺伝子

遺伝子分野ではゲノム解読の次に注目されているのが一塩基多型(SNP=Single Nucleot ide Polymor-phimの略)です。

遺伝子配列が各個体の間で異なる存在の事を多型といい、DNAを構成する30億塩基の内、塩基配列の違いは個人個人で0.1%の約300万あるといわれています。

一塩基多型は「DNAが4つの塩基配列で大半の人ではシトシンなのに、ある人ではチミンに置き換わっている」という事です。

この一塩基多型の多くは成長や健康に影響しません。

しかし、一塩基多型がたまたま遺伝子部分にあった場合、たった1塩基違うだけで遺伝子の活性や構造に影響し、蛋白質の違いが生じて、それが個人の体質差に繋がるのです。

このー塩基多型が病気の罹りやすさや薬の効力に関連していると考えられています。

そこでDNAチップに被験者の血液を数滴落として、塩基のパターンを解析することで、心臓病、アルツハイマー、糖尿病など、どの病気にかかりやすいのか、マーカーとして役立てる事ができるのです。

また薬の効き具合は蛋白質の量や質が徴妙に違う為と考えられているので、この解析から効果が高く副作用の少ない薬を枚与するオーダーメード医療が実現する可能性があるのです。

無駄な薬の投与を省いたり、特定の病気や生活習慣病にかかりやすい人が予防的な医療を受ける事で医療費が抑制できる事も期待されています。

遺伝子と薬の効き目

2021.06.15 | Category: 遺伝子

薬の量は年齢や体重等をおよその目安にしています。

しかし、これほどいい加減な目安はありません。漢方は例外ですが薬のサジ加減など今の投薬医療では存在していないと言えるでしょう。

抗がん剤の様な副作用の強い薬も人によってまったく効かないケースがあります。そんな薬をおよその目安だけで投与されてきました。

そこでオーダーメード医療、つまりサジ加減を復活させる医療が注目されてきたのです。

この薬理ゲノミックスと呼ぶ新しい方法は、あらかじめ病気に関連のある遺伝子を調べ、どの薬が効果があるか無いかを確認するやり方です。

基本的には薬の効くという事は、体内で薬が結合する分子(標的分子)である受容体や酵素の様な分子に上手く結合する事ができるかにかかっています。

これらの分子は蛋白質ですが、その構造は遺伝子によって決定されています。

例えば血液型を決める遺伝子は第9遺伝子の長腕の端の方にある決まった遺伝子の上(遺伝子座)にありますが、A、B、○型と人によって違います。

この様に一つの遺伝子座に複数のタイプの違う遺伝子がある場合を多型性といいます。

これは何も血液型だけで無く、各種の酵素の遺伝子や受容体の遺伝子、免疫反応を起こすヒト白血球型抗原(HLA)等他にも多型性の遺伝子座は沢山あります。

この多型性の遺伝子座の遺伝子が違えば、その命令書で作られた蛋白質の構造や能力に違いが出てきて、それが薬の効き目に影響を与える事になるのです。

ミトコンドリア病

2021.06.15 | Category: 遺伝子

ミトコンドリアは細胞の中にある小さな器官で、エネルギーを作る働きをします。

DNAといえば核の中にある1セットの核DNAを思い浮かべますが、ミトコンドリアの中にはそれとは別のDNAがあります。

それはわずか37個の遺伝子を持つ環状になったDNAで、ミトコンドリア1個の中に5~10セットあります。

ひとつの細胞の中のミトコンドリアは数十から数百個ですから、ミトコンドリアDNAとしてはひとつの細胞の中に数千セットもある事になります。

さて、ミトコンドリアはどの細胞にもあるので、そのDNAが障害されれば全身のあらゆる器官に症状があらわれることになります。

健康なミトコンドリアであっても、少量の遺伝子変異は誰でもが持っているという報告もあり、病気の発症は変異が溜まった量や割合にもよるのでしょう。

ミトコンドリアのDNAは変異しやすく、環境等の色んな要因によっても影響を受けます。

最近の研究では、ミトコンドリア脳筋症等といわれていた病気や眼筋麻庫だけでなく、インスリン非依存の糖尿病、パーキンソン病、アルツハイマー、ライ症候群、心臓病等もこのミトコンドリアDNAの異常と関係ある事が分かっています。

また老化とも強い関係があると考えられています。

遺伝子と蛋白質

2021.06.15 | Category: 遺伝子

ヒトの体は蛋白質や脂質、糖質、無機質からできていますが、中心は蛋白質です。

体を形づくるのも蛋白質なら、体内で化学反応を起こしている膨大な酵素も蛋白質です。酵素は消化、エネルギー製造、神経や免疫の働きに必要な生命現象の担い手といえます。

ですから途中どの酵素が欠けても生命活動がスムーズに行きません。また細胞自身が複製、分裂する時にも蛋白質が必要です。

その生命の基礎である蛋白質は1万種類以上もあるといわれていますが、それを作っているのは僅か20種類のアミノ酸です。

1つの蛋白質はこのアミノ酸がどんな順番でいくつ繋がっているかによって違うのです。

遺伝子は体の設計図だというのも、適当な時期に適当な量の適当な蛋白質を作る指令を持っているという意味です。

DNAは3コの塩基を使って1つのアミノ酸を作りますが、ひとつの遺伝子はそのアミノ酸の並び方が書かれいるというわけです。

DNAの塩基配列が分かったという事は、この蛋白質の作られ方が分かるようになったという事で、生物間の本質的な違いや病気の原因など、生命現象が解明される基礎を手に入れたという事なのです。

【必須アミノ酸】
20種類のアミノ酸は細菌から哺乳類まで共通。ただし人では12種類のアミノ酸を合成できますが、8種類は合成できません。
それが必須アミノ酸と言われるものです。
必須アミノ酸は動物の種類や年齢によって違いがあり、例えば大人のラットの必須アミノ酸は10種類です。
必須アミノ酸はどの動物も体外から摂取しなければなりません。
しかし微生物や植物は20種類すべてのアミノ酸を合成できます。
結局動物は植物がなければ生きていけないのです。

性の決定と遺伝子

2021.06.15 | Category: 遺伝子

20001年2月の「ネイチャー」で、性染色体の男性だけが持つY遺伝子染色体には僅か26個の遺伝子しか無いと発表しました。

この遺伝子の中で注目されているのがSRYと呼ばれている遺伝子です。

マウスの実験で、このSry(動物ではSry)をXXの性染色体を持つマウスの受精卵に入れると精巣をもつ雄のマウスが産まれたのです。

ヒトの胎児の発達過程をみると受精後7選目までは男も女も形態的には変わりません。

この頃までは同じ生殖腺原基を持っているので、精巣にも卵巣にもどちらにもなれる潜在的な能力を持っているのです。

ところが、性差が生じるこの時期にだけSRY遺伝子が働いて、精巣を作り男性化を促すのです。

そしてこの時期を過ぎるとSRY遺伝子は2度と登場しません。ですからSRYは最初のきっかけを作る性決定遺伝子といわれています。

もちろんこの男女の性差を決定して行く遺伝子はSRY遺伝子の他にもあり、Y染色体以外の常染色体に数多くある事も知られています。

ところで、ヒトではXXの性染色体を持ちながら身体は男性になる場合があります。

この場合、SRY遺伝子がX染色体にあったのです。

逆に、XY染色体を持ちながら身体は女性になる例では、Y染色体上にSRY遺伝子がありませんでした。

生殖細胞は減数分裂をしますが、この分裂の時にエラーが発生した為に、遺伝子の組換えが上手くいかなかった為なのです。

遺伝子療法とは

2021.06.15 | Category: 遺伝子

遺伝子療法と言っても、遺伝子その物を操作する遺伝子療法と、遺伝子は使うが遺伝子その物は操作しない遺伝子療法とがあります。

現在アメリカ等で盛んに行われている遺伝子療法とは、遺伝子を使う方の遺伝子療法で、遺伝子その物の操作を目的としたものは少数です。

がんに対する遺伝子療法を例にとれぱ、例えば遺伝子異常によってがん抑制遺伝子のp53が慟かなくなった場合、p53を作る遺伝子を持ったベクターを体内に導入する事でp53を作らせてがんを抑えるといった方法です。

つまり遺伝子そのものには手を加えなくても、細胞増殖やサイトカインなどに関する遺伝子を入れて、必要な部位で一定期間だけ作用させる事を目的にします。

このやり方の遺伝子療法なら、安全性さえ確認できればほとんどの病気に対して方法のひとつとして広く使われる事になるでしょう。

ただし、この方法では遺伝子が働かない為に起こる遺伝子病には有効ですが、働いてはいけない遺伝子が働いた為に起こる遺伝子病は対応できません。

その場合は遺伝子その物を作り変えるだけで無く、その遺伝子の発現を調整している要素までも考えなければなりません。

しかもその病気に関わる遺伝子は1つとは限らない上に、外来遺伝子を目的の所に組み込むという究極の遺伝子療法技術はまだできていないのが現状です。

【遺伝子療法事故】
遺伝子療法はすでに世界中で行われています。
がんが約7割遺伝病1割弱、その他(AIDS含む)です。
1999年にアメリカで遺伝子療法事故が起こりましたが、これはベクターのウイルスに対する非特異的免疫反応が過剰に起こった為と考えられています。
この事故以来アメリカでは技術改良だけでなく厳しい見直しがされています。

当院のスケジュール