- Blog記事一覧 -6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 17の記事一覧

6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 17の記事一覧

アルツハイマー病と偏食

2021.06.16 | Category:

アルツハイマー病は複数の原因遺伝子が発見されていて、遺伝的素因が大きい病気である事は間違いないといえます。

特に遅発型の遺伝的な素因としてはアポリポ蛋白E-4の遺伝子を持つ人は発症率が高いのです。

しかしE-4の遺伝子を保有していても発症する率が低い地域や商い地域があったりするので、遺伝的素因の他に環境による影響が大きいとみなさざるを得ません。

その環境の一つが食事です。疫学的調査によると、アルツハイマー病群では高い割合で偏食が見られています。

「肉好き・魚と野菜嫌い」、「アルコール・甘い物・甘味飲料等の多飲」が特徴的で、魚や牛乳、野菜、キノコ類、海藻類等の摂取が少なかったのです。

栄養素では蛋白質や各種ビタミン、ミネラルの摂取が発症していない人に比べて少ないと言う結果が出ています。

更により大きい要因として考えられるのは不飽和脂肪酸、中でもω3の系列(αリノレン酸系列)の脂肪酸の影響です。

E-4遺伝子を持っていてもω6(リノール酸系列)の脂肪酸に比べω3をしっかり摂っている人はそうでない人に比べて発症するまでに20年の違いが認められています。

またE-4遺伝子を持っていなくてもアルツハイマー病になる事があるのですが、その人たちはω3系列の脂肪酸が不足すると共に、ビタミンB群、ビタミンC、カロチン、ミネラルの摂り方が少なかったのです。

つまり運悪くE-4遺伝子を持っていても、魚や野菜を充分に摂る事で、アルツハイマー病の発症は免れる事が出来るかもしれないのです。

その意味でも後発性のアルツハイマー病は生活習慣病と言えるのかもしれません。

ω3系列の脂肪酸が豊富な食べ物エゴマ油、シソ油、魚類、海藻類、野菜(特に冬野菜)等があります。

貧血と低血圧

2021.06.16 | Category: 循環器

若い女性はめまいや立ちくらみの症状を訴える事がありますが、その時に「貧血だから」とか、「低血圧だから」など、その区別がハッキリしない事があります。

貧血は血液成分の問題で、低血圧は血液を送り出す力が弱い為に起こるもので、その対処は違ってきます。

貧血の多くは鉄欠乏性貧血で、赤血球は鉄を含んだ蛋白質のヘモグロビンが、全身の組織や臓器に酸素を運ぶ役目をしますが、鉄分が不足すると、ヘモグロビンが十分に作られ無い為に貧血になるのです。

特に女性は生理の出血でヘモグロビンが少なくなりやすく、そこへ間違ったダイエットや偏食をすると更に鉄不足が悪化するのです。

鉄分は1日に12mgが必要ですが、鉄分が多いのはレバーや赤身の肉類です。

ひじきや小麦フスマ、小麦胚芽にも鉄分が豊富ですが、植物性食品の鉄は非ヘム鉄で吸収率は劣ります。

またビタミンCを一緒に摂ると吸収しやすくなります。慢性貧血が続く様な場合は鉄剤を処方してもらった方が良いでしょう。

低血圧は最高血圧が100mHg以下の状態で、全身の血液循環が悪くなる為に起きます。

何らかの病気が原因となる2次的低血圧もありますが、90%は原因が無い本態性低血圧で、遺伝や体質の問題が考えられます。

バランスの取れた食事、早寝早起き、適度な運動と言った、生活習慣を改善する事が重要になります。

低血圧の人は食も細いので貧血も同時に起している場合もあります。

貧血と低血圧は血液検査や血圧測定で直ぐに分かるので、症状がある場合は原因を早めに知る事です。

乗り物酔いはどうして起こる

2021.06.16 | Category: 自律神経

乗り物酔いは、吐気、嘔吐、顔面蒼白、冷や汗、唾液の異常分泌等が起こりますが、これは全て自律神経失調の症状です。

これらの症状はめまいを起した時の随伴症状としても知られています。

乗り物酔いが起こる原因は内耳の三半規管と耳石器を総称した前庭迷路と視覚等の感覚器の異常、更に中枢の前庭小脳の機能混乱に伴う精神的な緊張等が挙げられます。

まず、回転運動を感じる三半規管と身体の傾きや加速を感じる耳石器から前後、上下、左右、あらゆる方向からの揺れや振動の過剰な情報が脳幹にある前庭神経核に伝えられます。

この脳幹の前庭神経核には手足や首の筋肉や関節からの情報や視覚情報等の感覚が集まる所です。

その情報に対応して前庭神経核の中の、姿勢を制御する為の前庭脊髄運動系、目を動きに合わせる前庭眼運動系、内臓機能と対応する為の前庭自律神経一系、より細かい運動に対応する前庭小脳系、学習の為の前庭皮質系の5つの反射系が出力する仕組みになっています。

これらによってより細かい姿勢調整、眼位の調整を行います。

また、大脳皮質にも情報が送られる為に、乗り物酔いの不快な気持ちが記憶され、乗り物に乗る事への情動的な不安も引き起こされるのです。

ですから、乗り物酔いは直接的には耳、眼、小脳の情報の混乱による一過性のめまいが起きた為に、自律神経系の過剰反応が誘発されるのです。

更に、これまでの不快な記憶によりそれがより強化される為に引き起こされるのです。

細菌の自己防衛

2021.06.16 | Category: くすり

細菌側から見れば抗生物質はやっかいな敵です。ペニシリン登場後の1950年には細菌感染による死亡数は半減して、その後更に減少して人間側の勝利と思われていました。

しかし、数年後には細菌も防御態勢を整えて抗生物質に耐性を持つ赤痢菌や大腸菌が登場したのです。

とくにペニシリンを分解する酵素、ペニシリナーゼを持つ黄色ブドウ球菌の登場は人間側には脅威でした。

1960年にはこの酵素に分解されないメチシリンという抗生物質を開発したのですが、1年後にはメチシリンに耐性を持つ黄色ブドウ球菌(MRSA)が出て来ました。

1980年代には多くの細菌に効く第3世代と呼ばれるセフエム系抗生物質が数多く使われる様になりました。

しかし、この抗生物質は黄色ブドウ球菌には効き目が弱かった為に、両方に耐性を持つMRSAが爆発的に増えて、院内感染の問題が次第に深刻になったのです。

高齢者や手術後の免疫力が落ちた状態では感染が致命的になりますが、今のところバンコマイシン、アルベカシン、テイコプラニン等の抗生物質が有効です。

しかしイタチゴッコで先を越されるのは時間の問題だと言われています。

また細菌側にはもう一つの防御法があります。

それは身体に侵入して、特定の場所に定着して増殖する時に細菌の表面から粘っこい物質を作りお互いにくっついて塊りになり、抗生物質の攻撃を避けようとします。

このバリアーをバイオフィルムと言いますが、このネバネバ物質により、体内でしぶとく生き延びて潜伏しているのです。

これに唯一対抗出来るのがエリスロマイシンという抗生物質なのですが、元々殺菌力は弱く、どうもバイオフィルムを作るのを妨害する働きがある様です。

いずれにしても、これからも人類と細菌の闘いはエンドレスに続く筈です。

激化する特許戦争

2021.06.15 | Category: 遺伝子

病気に関する遺伝子の研究が進むにつれて、遺伝子の特許争奪戦が激烈になっています。

その先端にあるのがアメリカですが、米特許商標庁は「ステルス特許」を禁止するガイドラインを発表しました。

ステルス特許とは、“何の遺伝子かは分からないが、とりあえず遺伝子だから特許をとっておこう”という様な特許です。

こういった特許を禁止するというのは当たり前と言えるでしょうが、一方で、はっきり何かは分からないが何らかの有用性(それを利用して薬を作る事が可能など)を証明すれば遺伝子の断片でも特許を認めています。

そもそも自然に存在する遺伝子に関して特許が認められるかという疑問の一方で、遺伝子の研究には膨大な研究費が必要であり、その為にも特許が必要であるとの立場が優勢です。

しかし、一度特許が得られると、その遺伝子を研究するにも特許料を支払わなければならなくなったり、その為に利益を生みそうに無いと分かった研究(極まれな病気に関した遺伝子のような場合)が進まないという事も起こってきます。

現にカナバン病を発症した子供の病原遺伝子を発見したマイアミの子供病院は、特許をとって他病院ではカナバン病の検査ができなくなるという様な事や、ある会社が持つアルツハイマーを診断するための遺伝子が自由に使え無くなり、特定の場所でしか研究でき無くなった等という事が起こっています。

また特許に触れるのを恐れて研究を中断したり断念するという研究所や研究者も増えているといいます。

特許を取った会社が安価な薬を提供するのか、医療に莫大なお金を使わなければならなくするのかは会社の意向次第という事になるのです。

このような事態は法的には問題がないとしても、倫理的には問題が大きいと言わざるを得ません。

遺伝子組み換え植物の戦略

2021.06.15 | Category: 遺伝子

日本国内で流通している遺伝子組み換え作物は大豆、なたね、トウモロコシ、ジャガイモ、綿、トマト、テンサイ等で、組み込まれた遺伝子によって除草剤や害虫に耐性があるとされています。

従来、交配による品種改良は同種生物の間でしかできなかったものが、遺伝子組み換えでは植物に動物の遺伝子を組み込む事もできます。

あるトウモロコシは、葉を食い荒らす害虫が食べると死んでしまうBtタンバク質を出す細菌の遺伝子を組み込み、殺虫剤を散布しなくてもいいといわれています。

でもBtタンバク貿に感受性のない害虫に対しては当然ながら無効です。

さてアメリカの多国籍ハイテク企業の最大手のモンサント社は、毒素を出す遺伝子を組み込んだ作物が次世代の種子を残せないようにした「植物遺伝子の発現抑制」別名ターミネーター・テクノロジーを開発しました。

しかしこの技術が世界中から非難を浴びると、今度はさらに巧妙な「トレーター・テクノロジー」と呼ばれる技術を開発しました。

植物は成長過程で病気に対する抵抗性を発現したり種子を実らせる性質を発現したりしますが、トレーター・テクノロジーはこうした能力を発現する遺伝子とそのプロモーターの間をいちいちブロックしておく技術です。

この作物をうまく育てるには、この段階でこの薬をかけなさい、次の段階ではこの薬をかけなさいというように、ブロックを外す薬を次々と農家に買わせていき、もしもどこかの段階で薬をかけるのを止めるとその作物は正常に育たなくなるのです。

特許料のかかった種子と薬剤のセットを買わせる為の巧妙な戦略ですが、貧しい国では遺伝子組み換え作物で飢餓を救うどころか種子さえ買えない事になりそうです。

分子時計で系統樹が変わる

2021.06.15 | Category: 遺伝子

生物の教科書等に生物の進化を表す系統樹があります。

進化の段階を1本の木に見立てて生物を当てはめた物で、大元に真核細胞と原核細胞があり、真核細胞から真核生物ができ、動物界、植物界、菌類界が出現したという表現になっています。

このお馴染みの系統樹は解剖学的な類似点を頼りに作られてきました。ところが生物がゲノムのレベルで解析されるようになった為、この系統樹が大きく変わりました。

この新しく手に入れた生物の進化を調べる武器は『分子時計』というもので、ある2つの生物が分かれた年代を調べる場合、両者のゲノムの塩基配列やアミノ酸配列の共通する部分、違う部分を比較する事でそれらがどの位前に分化したのかが分かるというのです。

それによるとこれまでの系統樹では重視されなかった細菌類こそが地球の生命の大元をなしている事が分かりました。

動物の先祖はミドリムシや繊毛虫等である事もこの分子時計によって分かっています。

実際の生物では遺伝子の共通がその生物の姿形とが共通するとは限らず、解剖学的な分類では無理な事が沢山出て来そうなのです。

例えばこれまで鯨目のクジラと偶蹄目のカバが同じ祖先である事も分かり、これ等は分類の仕方が目のレベルから間違っていた事になります。

多くの生物のゲノムが分かり生物同士の意外な結び付きも分かっています。
系統の順序:
門(もん)→綱(こう)→目(もく)→科(か)

究極の禿改善には

2021.06.15 | Category: 遺伝子

頭部脱毛症は世の多くの男性の悩みとなっていて、市販の育毛剤や発毛剤は常に売り上げの上位です。

しかし発毛促進の効果が高いといわれる最新の薬剤でも、誰にでも効果がある分けではなく、毛嚢や毛根に活力を与え頭皮の血行を良くするといった表面的な事をどれだけ努力しようと、やがては遺伝子の設計図に従って髪の毛は抜け落ちていきます。

巨大な市場が見込める禿問題をゲノムベンチャーや創薬会社が見逃す筈がなく、禿遺伝子の研究は先進各国で行われてきました。

’99年にはドイツの皮膚研究者たちが、マウス実験で2種類の脱毛素因遺伝子を発見し脱毛のメカニズムを解明したと発表しました。一般に哺乳類の毛嚢は一定の活動期間の後休止期に入りますが、この休止ゲノム情報を伝えるのが脱毛素因遺伝子です。

この遺伝子はあるレセプターと結びつくとそれぞれ「BDNF」「ニュートロフィン4」という毛嚢を収縮して脱毛させる化学物質を作るスイッチを押します。

既にこの種のレセプターの働きを抑える薬は脳神経細胞脱落痴呆症の薬として実用化されているので、脱毛を抑えるゲノム薬としての発売も間もないかもしれません。

またアメリカや北欧では、既に脱毛してしまった場合でも、遺伝子操作で毛嚢を新生させるポリペプチド鎖系タンパク質を創り出すことで、発毛させる動物実験に成功したということです。

いずれ禿で悩む人がぐんと少なくなる時代がくるのでしょうか。

アルコールで多重がんの危険

2021.06.15 | Category: 遺伝子

酒をどれだけ飲んでも健康な人と、少ししか飲まないのに身体を壊してしまう人がいます。

アルコールは主に肝臓でアセトアルデヒドに分解され、毒性の無い酢酸に分解されます。

アルコールを無毒化するアセトアルデヒド脱水素酵素は、肝臓にある細胞質可溶性の酵素1とアセトアルデヒド脱水素酵素遺伝子がつくるミトコンドリア性の酵素2の2種類あります。

白人のほとんどはこの2種類ともある正常型ですが、日本人を含むモンゴル人種は酵素2を欠く人が多いので東洋人は白人よりお酒が弱いのです。

日本人の6割は正常型、1割は完全欠損、3割は中間型といわれ、飲酒後の血中アセトアルデヒド濃度は正常型では完全欠損の10%、中間型では完全欠損の25%と低いのです。

このアルコールに弱い人が習慣的に飲んでいると、口の中や食道にも同時にがんが広がる多重がんになる危険性が高いという事を千葉の国立がん束病院の研究チームが日本癌学会で報告しました。

のどや口の中にできる頭頸部がんの患者78人の内、食道にも複数のがんができた29人の体質、生活習慣の調査の結果、酵素が一つしかない酒に弱い人が習慣的に飲んでいる事が分かり、正常型の人の約18倍も罹りやすい事が分かったのです。

弱いけれども会社のお付き合いで飲んだり習慣的に飲んでいる人は、がんになる危険性が高いのでアルコールは慎んだ方がいいでしょう。

高齢出産で寿命が延びる

2021.06.15 | Category: 遺伝子

自然淘汰の力は若い頃には働きますが、生殖が終わってしまうと弱くなります。

つまり淘汰される様な弱い個体は生殖期まで生き延びる事ができないし、生殖が終わればそれ以降に発症する病気はすでに子孫に伝わっているからです。

ですから高齢になればなるほど自然淘汰は働かないというわけです。

とすると、高齢での生殖は自然淘汰に打ち勝った事であり、自然淘汰の時期を引き延ばす事にもなります。

現に高齢での生殖を意図的に遅らせて寿命を伸ばすと活動も活発で、長い間歩いたり動ける力を持ち続けると言います。

ただしこれはショウジョウバエで確認された実験。人間に応用するには10世代は必要で、寿命が延びたと実感するには1世紀はかかります。

残念ながら自分や子の世代の寿命が伸びるわけではありません。

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