- Blog記事一覧 -6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 13の記事一覧
6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 13の記事一覧
肺塞栓症と言えば、最近話題に上る様になったのが「エコノミークラス症候群」です。
湿度がほとんど無い陰圧にした飛行機内に長時間身動きの取れない状態でいると血栓が出来て肺に塞栓を引き起こす疾患です。
この様な特殊な条件下だけで無くこの肺塞栓症は高齢者に次第に増加している疾患です。
肺塞栓と言っても、血涙障害の程度は様々で血栓の大小によって無症状から突然死まで幅があります。
突然死の場合は、急激に肺の多数の血管が血栓、塞栓によって閉塞して、肺へ血液を送る右の心臓に強い負荷がかかり、急性の右心不全を起す為です。
肺塞栓症はほとんど下肢の深部静脈血栓症が引き金になっています。
その危険因子として肥満による血液粘度の上昇や凝固機転を発生させるストレスや糖尿病や煙草等による凝集粘着の亢進等があります。
更に、長期臥床や手術後に高率で発症する事が分かっています。
静脈血栓は血液がうっ帯する所に起こり易いので、うっ滞を解消する為のマッサージや軽い体操が非常に効果的です。
肺塞栓症は病院内の発症が多く、約60%は入院患者に起こっています。
しかし、今後は高齢化が一層進み、在宅介護が進む中で、病院外でのこの肺塞栓症が増えて行く事が予想されます。
総コレステロールの値は男性で45歳以降、女性では更年期以降、年齢が上がるにしたがって高くなっていきます。
ピークは60歳代で、以後70歳代、80歳代と高齢になるに連れて減少していきます。
70歳以上になるとコレステロールの吸収や合成が低下する事が原因と考えられます。
一般に高脂血症は様々な生活習慣病の危険因子で、確かに75歳位までの高コレステロールは虚血性心疾患の危険因子である事は確かです。
しかし80歳以降の高コレステロールが心疾患の危険因子である事は疑問視されています。
もちろん高血圧や糖尿病の疾患があったり、かつて虐血性心疾患になっている人は薬物などによって速やかにコレステロール値を下げなければなりませんが、その既往症のない80歳以上の人にとって薬物的な療法は必ずしも必要とはされないのです。
しかも、高コレステロールだと、心疾患は確かに増加しますが、かえってコレステロールが低いと脳卒中や癌、肺炎などの感染症に罹り易くなってしまうのです。
疫学調査ではコレステロール値200前後と言う数値が一番長命だという結果が出ており、東京都老人研の小金井市の疫学調査でも低い人は高い人よりも寿命が短いという結果が出ているのです。
心疾患の徴候が無く、脳卒中や癌等を患った家族が居たり、現に脳卒中の心配がある人のコレステロール値はある程度高めでもよいのです。
健康な後期高齢者の場合、コレステロール値260位までは薬等を使って無理に下げる必要は無いと考えられます。
下肢の静脈の血液は筋肉ポンプ作用と逆流を防ぐ静脈弁で心臓に還ります。
この弁が静止したままの立ち仕事、遺伝、妊娠が誘因となって障害されて血液がうっ滞し、表在静脈が曲がりくねってこぶの様に盛り上がった状態を下肢静脈瘤といいます。
30歳以上の女性で60%、50歳以上の男性で50%の人に認められるのですが、高齢につれて運動不足から筋肉ポンプ作用も低下して、静脈瘤の膨隆が増し、脚が疲れやすい、重い、だるい、痛い、また就寝中にこむら返りが起き易くなります。
鬱血状態が10年以上続くと下腿の内側や、足首を中心に静脈瘤から血液成分が滲み出て茶褐色、黒褐色の色素沈着となり、更に皮膚や血管も脆くなり、軽い打撲で皮下出血したり、皮膚の栄養障害による湿疹、痒み、又傷が出来易くて、治りにくい為に、傷が広がり潰瘍化して行きます。
更に細菌感染の抵抗力も低下し、ブドウ球菌などの細菌の為に、皮下組織が化膿し炎症を起こす蜂寓織炎が起き、脚が痛み、赤く腫れ上がり、高熱が出る事があります。
最悪の場合は敗血症になる事もあるのです。
静脈瘤は中々元に戻る事は難しいので、進行を遅らせる為に初期の段階で弾性包帯や弾性ストッキングを使用する事です。
重症になれば血管に硬化剤を入れてその血管を塞いだり、その血管を抜き取る手術が行われます。
老年期痴呆症の分類は以前は、日本では脳血管性が約60%でアルッハイマー型が約30%、残りが混合型とされてきました。
しかし欧米では逆にアルツハイマー型が過半数を占め、脳血管性は約30%にとどまっていたのです。
この理由として欧米人に内頚動脈等の動脈硬化の程度が重く、頭蓋内脳動脈の動脈硬化は軽いのに比べ、日本人では頚部の動脈硬化は余り見られないのに頭蓋内脳動脈の硬化が著しいという事実が挙げられています。
しかし近年は日本の脳血管性痴呆は減少傾向を示し、欧米での統計に近づきつつあります。
その理由には脳梗塞後遺症に抗血小板薬や脳循環代謝改善薬が繁用される様になり、脳梗塞の再発を抑えていると考えられています。
欧米では脳血管痴呆への関心が薄く、DSM-Ⅲに精神疾患の国際基準とされる米国精神医学会の診断基準DSMの再々改訂版(現在はDSM-Ⅳ)に、ようやく脳血管性痴呆(以前は多発梗塞性痴呆)という診断名が出たのです。
この診断基準では
①痴呆が存在する
②既往歴や臨床症候から脳血管障害の証拠がある
③2つの障害の合理的な関連として明確な脳卒中後3ヶ月以内に痴呆が発症する、とあります。
日本では、脳血管障害があって2年位経って痴呆が出現しても脳血管性痴呆としているのです。
脳血管性痴呆の病態として、最も多く見られるのが基底神経核部及び大脳皮質下白質に存在する小梗塞巣で、大脳皮質の障害は比較的軽い事ですの変化が少ないので、2つの型を見分けるのに役立ちます。
高齢者の貧血は結構多い物ですが、老化と言う事だけで片づけられません。
確かに高齢者では赤血球系の幹細胞が減少しますが、だからと言って造血刺激に反応する力や血球の寿命までが劣って来る訳ではありません。
つまり血液を作る予備能が弱いとは言えますが、本来血液中の細胞数までが大きく減ると言う事は無いのです。
高齢者は何らかの病気を抱えているものですが、厳密に基礎疾患(複数の事も多い)の影響を除いて考えると高齢者だから貧血になると言う事は必ずしも言えないのです。
つまり、高齢者が貧血だという場合、老化と片づけないで別の疾患を考えなければなりません。
鉄欠乏性の貧血と言われるものも食事の偏りが原因というよりは、消化管の潰瘍や腫瘍よる出血である事が多く、高齢者に多い逆流性食道炎による出血も多いものです。
その他に癌や感染症、腎疾患、膠原病等も貧血の原因になっている事が多いのです。
特に高齢者の貧血では胃癌と大腸癌は疑うべきです。従ってこうした2次疾患としての貧血は基礎となっている疾患が改善すれば改善する筈です。
一般に高齢者では貧血の特徴である顔面蒼白、疲労感、動悸、息切れ等の典型的な症状が出にくいので見逃されたり、軽視される傾向があります。
しかし時として鬱状態やせん妄をひき起こしたり、動脈硬化や呼吸器疾患等を合わせ持っていると、心不全等になって重症になる事もあるので注意が必要です。
心不全は、虚血性心疾患、心筋症や高血圧性心疾患等、様々な原因によって引き起こされます。
心不全とは、心臓からの血液供給が低下して末梢組織に酸素を供給出来なくなったり、鬱血状態にさせる訳ですから、当然今度は脳や心臓を始め色々な臓器に影響を与える事になります。
心不全による消化器への障害としては肝臓が鬱血状態になる鬱血肝がよく知られています。
鬱血肝は肝臓の鬱血と低酸素血症によって肝臓の浮腫や鬱血、肝細胞の萎縮等が起こります。
酷くなれば肝硬変になって腹水や脾腫になる事もあります。
また腸閉塞も起こしやすい合併症で、高齢になるに従って、また重症になるに従って発症易くなります。
特に75才以上の後期高齢者では4人に1人位の高率で腸閉塞が起こります。
この原因としては、高齢者は若い人と比べて交感神経が活発である上に心不全では更に亢進する為腸管運動が抑制され易くなっている事が挙げられます。
加えて心不全では腸管も鬱血している事等も原因と考えられますが、詳しい事はよく分かっていません。
心不全による腸閉塞はほとんどが麻痺性で、腸に異常がある訳ではありません。便通に注意していても起こる事があります。
しかも心不全の症状が一番重い時になるかと言うとそうでも無く、心不全がある程度軽くなってほっとしたような時でも突然発症する事があるので厄介です。
「脈が跳ぶ、脈が抜ける」と言う事があります。
これは期外収縮による不整脈で、心臓のしやっくりの様な物なのです。
一般的にストレス、過労、コーヒー、タバコと言った刺激物等の為に、自律神経がバランスを崩し、一時的な洞結節機能の狂いから生じるのです。
更に高齢になると冠状動脈の動脈硬化が進んだり、心筋炎、軽い心筋梗塞で心筋組織に異常な部分が出来ると、洞結節の力が衰退し、他の自動能のある細胞から収縮刺激を発する事が多くなり、高齢になるに従いその訴えが多くなります。
心臓には周期的に活動する自動能という能力のある細胞が多くありますが、その内洞結節が最も強く興奮し、その興奮刺激が伝導路を通り規則的な拍動を繰り返します。
期外収縮は早期収縮とも言われ、洞結節以外の心房あるいは心室にある細胞から急に刺激が起きるのです。
例えば心室に血液が充満してから収縮して血液を送り出すのですが、血液が充満する前に心室から早期に収縮刺激が起きると、空回りして血液の抽出が無く、脈拍も発生しないので「脈が跳ぶ」と言う事になるのです。
脈拍の乱れが頻繁に起きれば、胸に違和感を覚えたり、突然死するのではないかと不安になったりします。
この様な時は心電図等の検査で原因を追究する事が大切になります。
脳梗塞にはアテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞とラクナ梗塞とがあります。
アテローム性の梗塞は欧米人に多い(20%前後)のに対してラクナ梗塞は日本人に多く(30~40%)、また最近増加傾向にあります。
ラクナ梗塞とは、脳の深い部分や脳幹等を貫く細い動脈(穿通枝動脈)が閉塞を起こし、その動脈の周りが梗塞するもので、数ミリ、最大でも15㎜の小さな梗塞です。
大血管の病変や心原性の塞栓でも起こる事もありますが、大抵は穿通枝の血管自体に原因があると考えられています。
症状としては、意識が無くなる等の劇的発作は無く、ゆっくりと前触れも無く起こります。
時にパーキンソン様の歩き方(足が出ない、歩幅が小さくすり足になるなど)になったり、言葉が出にくい、嚥下し難い、意欲が無くなる等の症状が出ます。
しかし多くは梗塞部分が複数ある事も珍しく無いのに、無症候で、CTやMRIの検査で初めて見つかると言う場合がほとんどです。
無症候性の脳梗塞の8割はこのラクナ梗塞と言われています。
また50歳以上では8人に1人の割合でこの梗塞が認められ、高血圧で高齢になると半数以上に見られる様になります。
ラクナ梗塞のある人は脳卒中発症率が高い危険群で、主な危険因子は高血圧や糖尿病とみなされています。
予防としての抗血小板薬は有効では無く、血圧が高いとかえって脳出血を起こす可能性があります。
無症候であっても梗塞が増えて行けば血流・代謝が減少し、脳の機能低下から寝たきり、痴呆へと進む可能性があるので、高血圧、糖尿病、喫煙等のリスク管理をしっかりしなければなりません。
高齢者の脳血管障害の代表格が脳梗塞です。
血管が詰まる原因として粥状硬化やアテローム内出血や動脈硬化の部位の血栓形成等があります。
それにより血管内腔の狭窄や閉塞が進み、完全に詰まると脳梗塞へ進展します。
脳の血管が割と良好な状態でもこの脳梗塞が起こる事があります。
つまり心臓から脳内に行くまでの動脈にアテローム(粥状硬化)等があると、そこに病変が生まれ、血栓等が飛んで行き脳梗塞になります。
また、最近高齢者に増えているのが心原性脳塞栓症です。
心臓で血球が作られ、それが脳に飛んで行き脳塞栓を発症させます。
この原因になるのが心房細動です。心臓の正常なリズムが崩れ不規則で細かい動きが現れます。
この心房の震えにより血液が凝固して血球になるのです。
心房細動は様々な心疾患の随伴症状として出て来ますが、甲状腺機能亢進症、慢性肺疾患等にも出現します。
一般に加齢に伴って心房細動を合併する率は上昇します。また、30%は基礎疾患の無い孤立性心房細動です。
発作性と慢性に分類されますが、高齢者では慢性化しやすい事が明らかです。
ですから、心疾患での血栓予防に経口抗凝血薬としてワーファリンが有効とされ、広く使われています。
しかし、抗生物質等の薬の飲み合わせで、全身性の出血性合併症という非常に危険な副作用もあるので両刃の剣といえます。
若年者の大半の腎疾患は会社や地域での検診で発見されます。
しかし高齢者の腎疾患は検診で発見されるのは一部で、大半は血尿や高血圧・浮腫・だるさ・食欲不振といった何らかの症状によって気付く場合が多いのです。
遺伝的素因に環境因子が重なって起こると言われる本悪性高血圧で、若い頃から血圧が高いまま何年も経過すると腎臓の小動脈に動脈硬化が起こり、腎機能が低下して腎硬化症になって行きます。
腎硬化症は進行が遅く、最初蛋白尿が出てもすぐには悪化しないので油断している内にゆっくりと腎不全が進み、血圧が一層高くなって腎障害が重症化し人工透析にかかる事になります。
二次性高血圧の中で最も多いのが腎性高血圧で、糸球体腎炎や腎孟腎炎が原因で腎機能が低下すると徐々に血圧が上昇し始めます。
高齢者でそれまで降圧薬で安定していた高血圧が急にコントロール出来なくなった時は、粥状動脈硬化による腎血管性高血圧を疑います。
腎動脈が狭窄して腎血流量と糸球体濾過量が低下すると、傍糸球体装置の顆粒細胞からレニンというペプチドが分泌されレニンはアンジオテンシンという強力な血管収縮作用のある蛋白を変生します。
アンジオテンシンⅡは副腎皮質ホルモンのアルドステロン分泌を促して、ナトリウムの再吸収を促進・水を貯留する様に働くので、浮腫を招き血圧が急上昇します。