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手が痺れる病気にも色々ありますが、女性に多いのが手根管症候群で、親指・人指し指・中指・薬指の親指側半分の、手の平側が痺れたり痛んだりします。
横手根靭帯と手根骨で囲まれた手提管には指の知覚や親指の筋肉を支配する正中神経や屈筋腱が9本も通りていますが、何らかの理由で正中神経が圧迫されて痛みや痺れが起こるものです。
最初の頃には夜間痛や知覚障害、朝方の指のこわばり等がありますが、慢性になると痺れだけが残る様になります。
進行すると親指の付け根の筋肉が細り、細かい作業が出来難くなって日常生活に支障を来す様になります。
こうした自覚症状の他に、手の平の付け根を叩くと痛みや痺れが上記の指に響いたり(チネル徴候)、両手の甲を付けて60秒押し付けて異常感覚が指に感じられる(ファレンテスト)と手根管症候群と考えられます。
手の使い過ぎによる腱鞘炎やガングリオン等によって正中神経が圧迫される他、老化による変形性関節炎、糖尿病等による神経の感受性の高まりによって発症しますが、突発性の多くは原因がハッキリしないことが多い様です。
その様な場合は両手に症状が出ます。
妊娠、出産、更年期の時期に発症する事が多く、女性は男性の5倍も発症する事から、ホルモンに関係しているのではないかと見られています。
60才以上の70%が変形性頚椎症と言われています。
変形性頚椎症では後頭部痛、肩コリ、背中や腕の痛み、痺れだけに限らず運動障害や歩行障害、時には排尿障害すら起こします。
原因は頚椎、特に第5・第6・第7番目に変形が起こる事が多く、慢性的な負担や外傷によって起こりますが、一般的には老化の一つと言え、ある程度は避けられ無い病気と言えるでしょう。
まず椎間板がヘルニアを起こしたり擦り減ったりする他、骨も異常に硬くなったり、骨棘が出来たりしてこれが神経や脊髄を圧迫して色々な症状を起こす訳です。
椎間板の弾力性は水分と関係が深く、年齢と共に減少していきます。
椎間板は動く事で水分と共に老廃物等が絞り出されたり栄養分や酸素を取り入れたりとスポンジの様な働きをしながら代謝しています。
椎間板に動きが無く固定されていると椎間板内の水分の移動が無くなり、代謝が悪くなり弾力性も悪くなって来ます。
症状は対症療法療法によって軽減出来ますが、変形その物を元に戻す事は出来ませんからどうしても再発しやすくなります。
予防としては頚椎の一部にだけ荷重がかからない様に頚椎全体で頭の重さを支える、つまり姿勢を良くすると言う事が第一で、椎間板の代謝を落さない為にも動く事も大切です。
肩に可動域制限があると肩一手一指症候群になる事があります。
肩関節周囲炎、肩腕の骨折、脳血管障害による片麻樺、心筋梗塞、ギプス固定等の後に起こります。
兆候としては手の腫脹特に手指の背側に浮腫が表れ、次第に手全体が腫脹します。指の屈曲も次第に出来無くなって来ます。
時には神経性の血管運動の変化による強い痛み熱感が起こる事もありますが、この場合は反射性交感神経ジストロフィー、カウザルギー(熱と痛みという意味)等にも分類される事があります。
主な原因は上肢の動静脈とリンパの循環障害による肩の可動域の悪化により、肩のポンプ機能が低下して腕から静脈やリンパ液の還流が上手く行かなかったり、腕や手を動かさないでいると手のポンプ機能が働かずに静脈とリンパを還流出来無くなる為です。
その状態が長く続く事で症状は近位と遠位に広がって行きます。
この肩一指一手症候群の兆候は手に出て来ますので、指背側の浮腫による皮膚のてかりや拳や指の背側で健側よりシワが無くなって来たりしたら要注意です。
肩の関節は球関節ですが、股関節と違って関節高が浅く、関節を包んでいる関節包も緩いのが特徴です。
その為安定性が悪く脱臼しやすい構造になっています。その分3次元方向に広く勤かす事が出来る様になっている訳です。
もちろん関節上腕靭帯や上腕横靭帯等の各種靭帯が肩関節の安定性を保ってはいますが、これらの靭帯だけでは十分な安定は得られません。
そこでカフ筋と総称されている肩甲骨下筋、韓上筋、練下筋、小円筋などの短筋群が補強しています。ただし関節下面には補強出来る筋肉がありません。
つまり肩の関節は安定性が悪いにもかかわらず大きな運動性を持つ為に靭帯、筋肉共に他の部分に比べて大変緊張しやすいと言えるのです。
又、元々4つ足だった人の体は頭を支え、腕をぶら下げるような関節や筋肉の構造になっていない為、立っているだけで肩や首の周りの筋肉は緊張し収縮します。
筋肉は収縮したままでは硬く萎縮して血行が悪くなり、老廃物や疲労物質を運び去る事が出来ず、柔軟性を失って行き肩コリとなって行くのです。
つまり人が直立姿勢でいる以上、肩コリから逃れるには腕や屑を動かすしかないのです。
肩コリ解消眼瞼下垂症という、まぶたが上がらなくなる病気を持つ人には激しい屑コリと頭痛持ちの人が多くいます。
ところが眼瞼下垂の手術をした途端に肩コリも頭痛もピタッと改善した事から、「まぶたを二重にすれば肩コリが改善する」という新しくユニークな発想で高い効果を挙げているのが、信州大学形成外科の松尾教授です。
まぶたを上げようとすると眼瞼挙筋が働きますが、この筋肉はまぶたの裏にある瞼板と眼の上の皮膚の下部に付いています。
二重まぶたの人は瞼板の上の皮下に筋肉がある為、まぶたが折り畳まれた状態になります。
そして眼瞼挙筋のすぐ横にミューラー筋という交感神経を緊張させるスイッチの役目をする筋肉があります。
眠くて眼がショボショボする時、まぶたをこするとこのミューラー筋を剌激して交感神経が緊張しやすくなり、意識して眼をカッと見開くと、頭が冴えて来るのです。
この時、眉毛を挙げると前頭後頚筋が縮み、うなじの筋が緊張してこれも肩コリの原因になります。
普段からまぶたが腫れぼったい一重まぶたの、人は、緊張しやすく肩コリも起こしやすいのです。歳を取ると肩こりになりやすいのは、まぶたが下がって来るせいとも考えられます。
信州大学では1500例余りの手術の結果、80%以上の患者が治癒もしくは著しい効果をあげています。
手根管症候群が女性に多いのに対して、対照的なのが男性に多い肘部管症候群です。
手の指は正中神経だけで無く尺骨神経によっても支配されていますが、肘の内側にある肘部管を通っているこの尺骨神経が障害されると指に痺れが起こります。
丁度手機管症候群で痺れる残りの指、小指と薬指の小指側半分の部分に痺れが出ます。
しかし尺骨神経は指の筋肉のほとんどを支配してもいますので、筋肉が萎縮して手の甲の指と指の間、手の平の小指の付け根が痩せて指全体が動かしにくくなって来ます。
原因としては変形性肘関節症ですが、これは老化や肘の使い過ぎによる事が多く、重労働で肘に骨棘等が出来て尺骨神経を圧迫する様になります。
また幼い頃、肘を骨折したまま適切な処置を行わないと偽関節になり、肘から下が親指側に曲がる外反肘のままにしておいても、大人になってから肘部管症候群になりやすいのです。
肘郎管症候群でもチネル徴候がみられ、この場合は肘の内側を叩くと薬指と小指に痛みが放散します。
また人指し指に中指を重ねる事が出来無くなった場合には進行していると考えられます。
他の指と違って小指や薬指の痺れ等は、症状が進行するまで見逃しやすいので注意が必要です。
五十肩はバスケットネームと言われる様に、眉間節節の痛みや運動制限を伴った症候群を一括して言います。
このいわゆる五十肩を症状的に分類すると上腕二頭筋長頭腱腱鞘炎、烏口突起炎、肩峰下滑液包炎、変性腱板炎(外傷性腱板炎・腱板不全断裂)、石灰沈着性腱板炎、不安定肩関節症(臼蓋上腕靭帯障害)、肩関節拘縮、それに原因が分からない「五十肩」になります。
ですから、五十肩は肩関節周囲炎の全体の中で25%程度だと言われています。
この五十肩の原因として一番多く挙げられるのは、上腕をぶら下げている肩の構造その物です。
この上腕をぶら下げている筋肉群をカフ筋と言いますが、その緊張が加齢と共に蓄積されて、更に血液の循環も悪くなって行きます。
そして筋肉が付着する脆の部分がもろくなり、炎症が起こりやすくなってしまうのです。
初期の頃の痛みは「烏口突起」つまり肩甲骨上部上腕側、肩と腕の付け根の当りがほんどです。
又痛みは頚部や上肢等に放散する事もしばしば見られます。特に夜間に痛みが強いのが特徴とも言えます。
そして慢性期になると前方にあった痛みが拘縮の為に次第に後方の痛みになってきます。
いずれにしても、五十肩の症状だからと言って十把ひとからげに判断する事は慎むべきです。
女性は骨粗粗症の為に骨がもろくなり、骨折も起きやすくなります。特に50~60歳と言う骨粗鬆症の初期に急に増えるのが手首の関節に起きる橈骨下端骨折です。
骨粗鬆症が進んでいるのに気が付かず若い頃の様に活動して何でもない事で転んだりして、手を付いた為に骨折してしまうのです。
末梢骨片は前腕骨の背側へ移動し、その形はフォーク背状の変形と言われています。
その特徴を1814年アブラハム・コーレスによって報告された事からコーレス骨折とも言われています。
改善には整復して5週間の固定の後に後療法という経過をたどります。特に注意が必要なのは、フォルクマン拘縮という前腕、手に生じる外傷後の後遺症です。
上腕動静脈が圧迫や損傷を受けたり、外傷後浮腫や血腫により血管が圧迫され硬い筋膜鞘に被覆されている前腕屈筋深層に血行障害が起こり、壊死を起して瘢痕化して拘縮を起すのです。
その為に指、特に中指が曲がったままになります。
更に正中神経や尺骨神経が変性し麻痺になる場合があります。
この拘縮は固定包帯後24時間以内に見られるので指先の腫脹、チアノーゼ、知覚異常が起きていないか注意深く経過を見る事が大切で、不適当に行われたギプス固定はこの変化を助長する事になります。
頚、肩、腕の痛み、しびれの原因の一つに頚椎椎間板ヘルニアがあります。
ご存じの様に椎間板ヘルニアは椎間板が断裂してそのすき間から髄核が脱出して神経机を圧迫し神経症状を出します。
改善は薬物療法、温熱療法、牽引療法といった保存療法や、手術療法になるのですが、そこにレーザーを使った改善法が注目されているのです。
これはPLDD、(椎間板ヘルニア減圧術・Percutaneous Laser DiscDecompression)という改善法で、MRIでヘルニア箇所を確認して針を椎間板に刺し、その針の中に絹いファイバーを挿入してレーザーを誘導して照射します。
レーザーの熱エネルギーで髄核を蒸散させて空洞を作り、内圧を下げて脱出している髄核が元に戻り神経根の圧迫をなくそうという改善法です。
この改善法は腰椎のヘルニアにおいては普及してきていますが、頚椎に関してはかなりの熟練が必要です。
今までの頚椎椎間板ヘルニアの手術は4~6週間の入院とその後のリハビリが必要ですが、レーザー療法は局部麻酔で、10数分間のレーザー照射と2日間の入院で済み改善効果も良いそうです。
ただしヘルニアの初期、中期の段階では効果があるのですが、ヘルニアが長期化して軟骨が骨化した物や、極めて大きな物は困難です。
現在のところこの改善法には保険適用もなく、一回のレーザー療法は20~30万円の費用が必要です。
腰椎の最新のヘルニア手術ではベアリングを入れる手術があります。
腰椎の椎体固定術では固定関節の上位関節に負担がかかり私の所に4.5間3.4間2.3間の3度手術をされて医師から今度1.2間の手術を勧められ断った患者さんがいました。
最近は人工椎間板置換術が出来て海外では行われています。
人工椎間板置換術は椎間板の変性による症状を改善し、脊椎の可動性を最大限保存する手術法です。
ドイツのカリン・ビュートナー(Bttner)-ヤンツが1980年代初に開発した方法で、手術器具及び技術の発展により患者の満足度もとても高い方法です。
手術方法は最小侵襲無出血手術法で約4~5cmほど微細に腹部を切開し患部に接近する為、出血及び筋肉損傷が小さいです。
損傷した椎間板をハイドロジェットなどの自動吸引機を利用して早く安全に除去し、その部位に人工椎間板(Artificial Disc)を挿入します。
輸血は必要無く、挿入した人工椎間板の位置を確認すると手術が終わります。最大の長所は人工椎間板置換術は関節の可動性をそのまま維持する為、動きが自由である。
手術した翌日から歩く事が出来る。隣接した脊椎も退行性変化を最小化し、脊椎再手術の確率を減らす事が最大の利点です。
歯並びや噛み合わせといった口腔の問題から頭痛、屑コリ、腰痛、めまいといった不定愁訴が起きる事が分かってきました。
虫歯や歯周痢によるグラグラの歯があったり、歯並びの悪さがあると、私達の体は無意識の内にその歯をかばい、避けて噛む様になります。
不正な噛み癖が起きると、歯茎や筋肉に不快感が生じたり、バランスを保とうとして歯の安定した位置で食い縛る事が多くなります。
捻じれて食い縛る為に咬筋、側頭筋や外側翼突筋と言った咀嚼筋や、首筋の胸鎖乳突筋に無理が生じて筋肉を緊張させます。
また顎関節の開閉にも影響して左右非対称性になる事で顎関節症にもなります。
その為に体は脊椎を歪める事でバランスを取ろうとするのですが、その為に首、肩、背中、腰の痛みとして出て来るのです。
長年、頚の痛みや肩こりが続く患者さんには歯や顎関節に問題が無いかの確認が必要です。
ところで睡眠中の歯ぎしりはこの捻じれを自動的に修正しようという働きもありますが、激しい歯ぎしりは肩コリの原因にもなります。
この食い縛りは姿勢が悪いと体のバランスを取ったり、また心理的ストレスがかかって緊張した時に起きています。
食いしばる事は無意識の内に起きていて顎関節や筋肉に異常な力が加わる事になるのです。