- Blog記事一覧 -6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 22の記事一覧

6月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 22の記事一覧

西式健康法

2021.06.13 | Category: 養生法

戦前戦後を通じて最も大衆的な広がりと知名度をもった健康法といえば西勝造が提唱した西式健康法です。

子供の頃から病弱で、20才まで生きられないと言われ医師にも見放された事から、発起して16才から研究を始め、37才の時に西武健康法の六大法則を完成して、世間に広く受け入れられました。

この六大法則の三番目の法則に「金魚運動」がありますが、これは現在もこの運動機器が広く普及しています。

まず、第一に脊柱を正し内臓機能を高める「平床寝台」。つまり硬い床に寝る事を勤めています。
第二に頚椎を守る為の「硬枕利用」。
第三は胃腸を整える為の金魚運動。
第四は血液循環を高める為の「毛管運動」。
第五は身体の友右の手足の神経や筋肉の状態を整える「合掌合蹠法」。
そして最後に座して背筋を伸ばし「良くなる。能くなる。善くなる」

と念じながら左右に身体をゆすりながら腹を前に突き出す「背腹運動」があります。

また、健康法の四つの基本原則として、第一に皮膚を鍛える事が重要として裸療法と温冷浴を勧めています。
第二に食養として生水の常用、生野菜食、朝食の廃止を唱えています。
第三は四肢の内の足の健康を重視、そして最後はこれらを統括する精神の力を挙げています。

西勝造は医師では無く土木技術者でしたので、当時は医師の側からかなり批判を浴びましたが、政財界の多くの著名人が支持して、西の豊富な医学的知識に裏打ちされた著作により、それらの声を圧倒しました。

戦後も西式健康法は現代医学との対決姿勢を明らかにして、独自の養生法を提唱しつづけて、更にその理論を継承した後継者たちが西医学研究所と診療所を開き現在まで続いています。

養生の基本は呼吸

2021.06.13 | Category: 養生法

養生という言葉は道教の神仙術の養生法から生まれましたが、この神仙術では呼吸を養生の要として考えています。

「胎息」「服気」「行気」「錬気」などの呼吸の技法があり、全てを包摂して「調息」と呼んでいます。

そして、呼吸して身体に流れるものが「気」であり、それは「内気」と「外気」に分けています。

内気は元々母親の体内から臍帯を経て胎児に充満していく呼吸をいい、「胎息」といいます。

ですから、神仙術では「臍」を大切にしているのもこの「胎息」があるからです。

また「外気」とは、体外にある気の事になります。

調息の中の「服気」は「内気」を飲み込む事で、普通の呼吸で一緒に出て行きそうな内気を三つの丹田に満たす呼吸法です。

その丹田の内気を自分の望む体の部分に到達させる技が「行気」です。「錬気」は行気とは逆に体の内気を自由に流れに任せるやり方です。

そして道教では、外気を鼻から吸いこみ口から吐き出す普通の呼吸を、気が鼻から腎臓に下りて行き、五臓と六腑を巡るといいます。

ところが、修練していない普通の人々は関所の源(関元)を通り抜ける事ができないので、気はそこで止まってしまう、といいます。

そこで養生の修練で関所に気を通し、臍下三寸にある下丹田、もしくは「気の海」(気海)にそれを導くようにする事が、外気を巡らす術になるのです。

この修練をする時には、宇宙が空気を吸う時の時間である「生気」でやるべきで、宇宙が空気を吐く時の「死気」の時間には修行してはならないと書かれています。

この生気と死気の時間については2つの説に分かれるところです。

昼間を死気、夜を生気という説と真夜中から正午まで生気で死気は正午から真夜中までとする説です。

ですから、日の出の直前はどちらの説でも生気の時間内であり、日没も生気に入れるかどうかが意見の分かれるところです。

貝原益軒の「養生訓」

2021.06.13 | Category: 養生法

日本では江戸時代中期から後期にかけて養生に関する本が沢山出版されています。

病気の予防や改善、栄養、育児等に関する知識を一般に向けて優しく説いた物が多く、日本人は古くから養生本が好きな様です。

その多くの養生書の中でもその大元にあると考えられる本が貝原益軒の「養生訓」で、杉田玄白を始め、多くの医師や学者に影響を与えています。

現代では’01年の始めにNHKの人間講座で取り上げられて再評価されています。

いわば現代につながる東洋的養生の考でしょう。貝原益軒は儒者であり医者であり、薬学者でもありました。

本人自身は病弱な体質だったようですが、人生も80代になってから「養生訓」を始め旺盛な仕事を残しています。

つまり自らの身体で実証した経験則が養生訓でもあるのです。

益軒は幸福は人生の後半にあるのだから養生に勤めて老いを楽しまなければならないといいます。

この養生訓は8巻からなり、朝起きての身繕いの仕方から寝る姿勢まで実に細かく養生法を語っていますが、「べからず」ばっかりの禁欲的な堅苦しさだけの教えではありません。

あくまでも人生を楽しむ為の養生なのです。

益軒は人間の根本は「気」であり、その気の滞りが病気を呼び、元気を減らすと考えているのですが、この考え方はヒポグラテスにも通じるものがあります。

養生訓全体に渡って最も強調されているのが、「身を動かし、気を巡らす」という事です。

「心は楽しむべし、苦しむべからず。身は労すべし、やすめ過すべからず」とする教えは決して古くはない、現代にも通用する養生法だといえるでしょう。

小腸の働き

2021.06.13 | Category: 消化器

小腸は全長約6mのうち十二指腸が約25cm、空腸は前2/5ほどで回腸はその後3/5ほどを占めていますが、空腸・回腸の境界はあいまいで鮮明ではありません。

腸管壁の厚さは下部にいくほど薄くなり、粘膜ひだも十二指腸下部から空腸上部にかけてよく発達していますが、その後は次第に薄くなっていきます。

しかし小腸の免疫機構は空腸から回腸下端にいくほど発達していて、小腸のあちこちにあるリンパ小節が下部小腸では集合して発達し、集合リンパ小節(バイエル板)を形成しています。

さて消化は胃で行われると思われがちですが、胃ではタンパク質のごく一部の消化が行われるだけで、食物を胃液と混ぜてドロドロのかゆ状にする機械的作用が主です。

消化のほとんどは小腸で行われ、小腸粘膜の輪状ひだには無数の絨毛があって小腸管の表面積は膨大なものとなりていますが、絨毛の上皮細胞にはさらに細かな微小絨毛が密生しています。

この微小絨毛の表層に種々の消化酵素が含まれ、豚臓で分泌された酵素も細胞膜表面の糖皮に吸着されていて消化に役立っています。

小腸の管腔内で漂っている酵素と接触して消化されるのはごくわずかで、大部分の消化は微絨毛上皮の細胞膜に密集してうまく分布配列している消化酵素によって進められます。

こうして効率よく最終段階にまで消化が進められ、分解されて生成したアミノ酸、単糖類、脂肪酸、グリセロールはただちに吸収過程に送り込まれる仕組みになっているのです。

今でも怖いスキルス胃がん

2021.06.13 | Category: 消化器

胃がんは早期発見、早期受診で治癒率が非常に良くなっています。

しかし定期的に胃がん検査を受けているにもかかわらず、見つかった時には既にがんが非常に大きくなっていて手遅れだったという胃がんがあります。

テレピタレントの逸見致孝さんが自分のがんを発表してわずか3ヵ月で逝った原因もこのスキルス胃がんでした。

ほかのタイプの胃がんが潰瘍形成や浸潤の形態をとって内視鏡等で発見されやすいのに比べて潰瘍形成も無く、周囲粘膜との境界もハッキリしないので見つかりにくい上に、進行や転移が非常に早いのです。30代や40代の若い人にも多いのが特徴です。

また胃がんその物は女性より男性の方が多い(10:6)のに、このスキルス胃がんに限っては女性の方が多く(10 :11)、女性ホルモンが関係しているのではないかと見られています。

欧米ではスキルス胃がんは手術しない事が多い様ですが、日本では手術と合わせて化学療法を術前にも行う等の方法が行われています。

手術ができる場合には胃全部の他にすい臓、肺臓、胆嚢、副腎、横行結腸までも切除する拡大手術が比較的に有効とされていますが、治癒率は非常に低いのが現実です。

早期発見が難しいとはいえ、胃がんの検査をするのであれば、毎年同じ場所でレントゲン写真を比較してもらって胃が縮んでいないか調べてもらう事も早期発見につながります。

胃を切る

2021.06.13 | Category: 消化器

胃がんや胃潰瘍などで、胃の一部あるいは全部を外科手術で摘出しなければならないことがあります。

胃潰瘍の手術数は80年以降H2ブロッカーなどの特効薬の登場で激減していますが、それでも難治性胃潰瘍や胃穿孔や幽門狭窄等には手術が必要です。

胃の手術の安全性は昔に比べて格段に高くなってきていて、手術による直接死亡率は0.2~0.5%、です。胃や腸など消化管を切除した場合、食物の通り道を作り直す事を消化管再建といいます。

残胃と十二指腸を直接つなぎ合わせるビルロートI法、残胃と空腸をつなぐビルロートn法、又は十二指腸上部を縫合して閉じ、残胃を空腸の約30cm下につなげるルーワイ法などがあり、残す胃の大きさや食道への逆流の問題等を考慮して選択されています。

さて胃を切除した後、食欲は起こらないのではという疑問がわきますが、食欲をコントロールしているのは胃では無く脳の視床下部にある満腹中枢・空腹中枢で、2つの中枢のバランスをとるシグナルが血糖値なのです。

胃の摘出手術後は食道と空腸の吻合部は直径約1.5cmで、この吻合部が伸びて大きくなる事は無く、この穴より大きな食物はつかえてしまうので、小さく刻んだ食べ物をゆっくり十分に咀嚼する事が大切です。

よくある後遺症としてはダンピング症状といって、食後2時間程で脱力感・めまいなどの低血糖症状を起こす事があります。

ピロリ菌

2021.06.13 | Category: 消化器

1983年にヘリコバクター・ピロリ菌が発見されてから、ピロリ菌は胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因になっていて、胃がんの原因や慢性胃炎とも関係があるとみられています。

実際にピロリ菌を除去すれば胃潰瘍や十二指腸潰瘍が消えたり改善される事からピロリ菌原因説は間違いなく、現在では潰瘍患者のピロリ菌除去は保険適用となっています。

ピロリ菌をなくせば胃炎や胃潰瘍のほとんどが良くなる様な期待がされましたが、最近ではそう単純には行かない事が分かってきています。

ただ十二指腸潰瘍に関しては胃潰瘍よりもピロリ菌の影響が大きい事は間違いないようです。

ピロリ菌は胃や十二指腸の粘膜その物も傷つけますが、ピロリ菌の毒素が粘液細胞に隙間を作ったり、ピロリ菌の出すアンモニアが粘膜を傷つける事によって強い酸に腸壁をさらす事になると考えられています。

またピロリ菌をやっつけようと集まってくる好中球が出す活性酸素も粘膜を破壊してしまいます。

つまり一つのやり方ではなく、これらの様々なメカニズムが重なって症状を作って行くのです。

さて、日本人はピロリ菌感染が非常に多く、40歳以上の7~8割は感染しているといわれていますが、感染すれば全てが胃潰瘍や十二指腸潰瘍になるわけではありません。

ピロリ菌の菌株によって潰瘍にさせやすいものやそうでないものがあり、また感染者個人の胃酸分泌能力や免疫機構によっても違ってきます。

動物実験ではピロリ菌に感染がある上に濃い濃度の塩分を摂ると胃がんになる事も報告されているので、塩分の摂り方も問題となる様です。

また最近では耐性菌も出てきているので、除菌薬の使い方も要注意です。

店で買う胃腸薬

2021.06.13 | Category: 消化器

薬店で買う胃腸薬の数は数え切れないほどですが、大まかに分けて3種類があります。胃酸を抑える制酸剤、消化を助ける消化剤、胃を丈夫にする総合胃腸薬です。

制酸剤と消化剤とでは働きが反対なので選び方を間違えると効かないだけで無く症状を悪化させます。

胸焼けや呑酸、げっぷは胃酸過多によるものですから胃酸を抑える制散剤、胃もたれや食欲不振等は消化酵素等が入った消化剤を選びます。

何とも判別がつかない場合等は制酸効果もあり、消化も助けるという総合胃腸薬を選ぶという事になります。

スイッチOTC薬のH2ブロツカーはヒスタミン第2受容体に直接働いて胃酸の分泌を抑えるものですが、効き目が高い分、全身のヒスタミン受容体にも影響を与える事もあるので、副作用に注意しなければなりません。

他の胃腸薬も、市販薬とはいえ他の薬との飲み合わせもあるので、他疾患の薬を飲んでいる人は薬剤師にしっかりと説明を受けるべきでしょう。

一部ですが、ごく一般的な市販の胃腸薬は以下のとおりです。
○制酸剤系
・サクロンS(成分:水酸化マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム等) / エーザイ
・パンシロンAZ(成分:炭酸水素ナトリウム、重質炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等) / ロート製薬
○消化剤系
・ハイウルソ顆粒(成分:ウルソでオキシコール酸、ビオジアスターゼ、リパーゼAP6等) / 佐藤製薬
・第一三共胃腸薬プラス細粒(成分:タカヂアスターゼN1、リパーゼAP12等) / 第一三共ヘルスケア
○総合胃腸薬系
・キャベジンコーワα / 興和
・太田胃散 / 太田胃散
・パンシロンAZ /ロート
強力わかもと・新三共胃腸薬・大正漢方胃腸薬・新中外胃腸薬顆粒・キャペ2コーワなど
○H2ブロッカー系
・ガスター10(成分:ファモチジン等) / 第一三共ヘルスケア
・アシノンZ錠(成分:ニザチジン等) / ゼリア新薬
・アルタットA(成分:ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩等) / 興和
・大正胃腸薬Z(成分:ラニチジン塩酸塩等) / 大正製薬
・アルサメック錠(成分:シメチジン等) / 佐藤製薬

 

口臭は体調のバロメーター

2021.06.13 | Category: 消化器

胃が悪いと口臭がすると言いますが、ゲップ以外で胃の内容物が食道を通って臭うという事は構造上ありえません。

虫歯や歯同病などのトラブルが無いのに口臭があるというのは呼気性口臭と考えられ、肺でガス交換が行われて排気される、その臭いに他なりません。

つまり臓器が代謝した物が血液に溶けて呼吸によっても排出しているわけで、呼気性口臭は内臓の状態を反映していると考えられます。

特に腸内フローラのバランスは大腸の状態をストレートに反映し、悪玉菌によるガスは大腸から吸収され、呼気の臭いにも反映する事になります。

メタンガスの様な口臭がある場合は大腸のフローラが相当悪くなっている筈です。他の原因でも口臭は起こり、糖尿病や耳鼻科的要因、ストレスによっても強くなります。

またホルモンとの関係も強く、女性では思春期や更年期、生理中や妊娠中にも口臭が強くなる事があります。

嚥下障害

2021.06.13 | Category: 消化器

普段何でもなく飲んだり食べたりする行為も、実は高度なシステムによって支えられていて、色々な条件で上手くいかなくなります。

器質的には舌や喉、食道の炎症や腫瘍によって起こりますが、機能的には舌や喉を動かす神経や筋肉に異常があって起こります。

一番多いのが脳血管障害等の後に残る機能障害ですが、パーキンソン病や脳腫瘍等でも起こります。

また老化に伴う嚥下障害も多く、徐々に衰えて行く飲み込みの悪さは自分でもあまり意識されない様です。

老化による嚥下障害は、嚥下筋力や神経の衰え、咀嚼力の低下、唾液の変化や減少、喉頭の位置の下降等、また粘膜の知覚や味覚が変化しても起こります。

無症候性の脳梗塞の可能性も無視できません。

高齢者の嚥下障害で一番気をつけなければならないのは誤嚥で、食べ物が気道に入り、それが元で肺炎を起こしやすくなります。

嚥下障害の兆候で目立つのは食べ物にむせる事ですが、誤嚥があったり食事中や食後にむせや咳が多い場合、食後に嗄声がある場合には嚥下障害が疑われます。

また肺炎を繰り返したり、食事時間が1時間以上かかる場合、更に夜に咳き込む時も嚥下障害が疑われます。

当院のスケジュール