- Blog記事一覧 -12月, 2020 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 5の記事一覧

12月, 2020 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 5の記事一覧

最近のエイズ薬

2020.12.06 | Category: STD

エイズ療法にはこれまで数種の逆転写酵素阻害薬剤を併用するカクテル療法が行われてきましたが、最近では新たにプロテアーゼ阻害剤が使われるようになっています。

逆転写酵素阻害薬剤はHIVのRNA遺伝子がヘルパーT細胞にある正常なDNAに逆転写する酵素の働きを阻害する薬剤でAZT、ddl、3TC等があります。

プロテアーゼ阻害剤は、HIVウイルスが転写されたDNAから作られる蛋白質を新たにHIVウイルスに組み立て様とする時に働く、プロテアーゼと言う酵素を阻害する物です。

どの薬剤もHIVの増加を防ぐのですが、HIVは大変変異しやすい為すぐに薬剤耐性を持ちます。

そこで最近ではHIVを各段階で阻害する事で抑制効果を強化する方法として、逆転写酵素阻害薬2剤とプロテアーゼ阻害剤を併用して使うHAART(高活性抗レトロウイルス療法〉が行われる様になりました。

その結果HIVのRNAが血中に検出され無くなり、ヘルパーT細胞数も増加する様になりました。

すでにエイズを発病した患者でも数年長生き出来、この良い状態が2年以上も続く事から、エイズは今や制御可能な病気であるとみなされる様になって来たのです。

しかし1日に20錠以上の薬を服用しなければならない事、強い副作用、高コストの問題等が課題となっています。

エイズにならない人々

2020.12.04 | Category: STD

HIVの感染は、ヘルパーT細胞やマクロファージの表面にあるCD4という蛋白質分子のレセプターから感染すると思われていましたが、1996年にCD4はHIVの吸着に関与するだけで、細胞内への侵入や、融合にはもうひとつの因子としてCCR5とCXCR4という蛋白質の存在が分かりました。

HIVにはマクロファージに感染出来るウィルスとヘルパーT細胞に感染するウィルスがあり、前者はCCR5を、後者はCXCR4をセカンドレセプターとして利用するのです。

マクロファージに感染出来るHIVは感染直後からエイズが発症するどの病期にも存在し、感染初期に重要な役割をになっていると考えられています。

ヘルパーT細胞に感染するHIVは無症候期からエイズを発症する時に患者の体内に出現し、強い殺傷能力からヘルパーT細胞の数を減少させる役割を持っていると考えられています。

このセカンドレセプターのCCR5が遺伝的に欠損している人が、不特定多数のHIV感染者と多くの性交渉を持ちながらもHIV全体の感染から免れる事が出来るという事が、注目を集めています。

多くは白人に見られ、健康上全く問題はありません。どうして感染しないのかというしっかりした説明はまだなされていませんが、CCR5の機能を抑制する事で感染が防ぐ事が出来無いかと研究が進められています。

アレルギーの主役IgE

2020.12.03 | Category: アレルギー

体に入った異物はT細胞が認識して免疫反応が始まります。ヘルパーT細胞は抗体を作る様に働き、サプレッサーT細胞は抗体産生を抑制する様に働きます。

このバランスが上手く行けば体を守る免疫として作用し、マイナスに働けばアレルギー症状を起こすのです。

ヘルパーT細胞がサイトカインを作ってB細胞に働きかけると、B細胞はlgE抗体を作り始めアレルギーを起こす様になるのです。

lgEは体中にある肥満細胞や血液中の好塩基球と結合してヒスタミン等の毒性の強いアミン化合物を分泌させて様々なアレルギーの症状を起させる訳です。

lgE抗体は最も多い抗体であるlgG抗体の1万分の1の量しか無いのに激しい反応を起こし、時にはアナフィラキシーショックで死に至らせる事もあるのです。

元々lgE抗体は寄生虫感染用に体が用意した物ですが、寄生虫がほとんど居なくなってしまった今、攻撃の矛先が自分に向けられる様になったのだと考えられます。

ところでlgG抗体はもっぱら細菌等の侵入によって多量に作られますが、lgGが沢山作られるとlgEの産生は抑制されます。つまり体が細菌と闘っている間はlgEは余り作られないのです。

しかし衛生的で抗生物質が使われる様になった体は細菌とも闘う必要が少なくなり、lgEの産生を押さえ込む事が出来なくなってアレルギーに悩まされる様になったと言えるのです。

アレルギーと遺伝

2020.12.02 | Category: アレルギー

アレルギー疾患は遺伝的な素因が関係していることは両親や兄弟や祖父母の内誰かがアレルギー疾患を持っているとなりやすい事でも明らかです。

疫学的な調査によると、一般的に一人の子供がアレルギー症状を発症する確率は20%です。

しかし、片親がアレルギー体質が有れば50%になり、両親共アレルギー体質を持っている場合は66%に上ると言われています。

最近の遺伝子研究で特定の染色体の遺伝子とアレルギー疾患が明らかにされてきました。

それによると染色体の4番には気道過敏症、6番には好酸球数、7番には気道過敏症、11番、13番、16番にはアトピー素因の病因遺伝子がある事が分かって来ました。

この様に複数の遺伝子が病因遺伝子として存在していて、それらが複合的に関与して多様な病態を作ると考えられています。

遺伝的素因との関係がハッキリしている病気にはアレルギー以外に肥満、癌、糖尿病、高脂血症等もありますが、生活の質(QOL)を高める事でかなり予防する事が出来ます。

アレルギー体質も同じで、特に食生活や環境衛生に注意する事で、病気の発生を遅らせる事が出来ますし、発症しないまま一生を送る事が出来ます。

つまり、アレルギー体質が遺伝しても、疫学的には半分の人にしか発症しない病気と言う風にも考えられるのです。

アレルギーと肥満細胞

2020.12.01 | Category: アレルギー

アレルギーは皮膚や粘膜に出やすいのですが、それは肥満細胞がアレルギー反応に深く関与しているからです。

肥満細胞と言っても脂肪を貯め込んでいる白色細胞や褐色細胞ではありません。細胞質の部分が大きく多くの化学物質の顆粒を含んでいる為肥満して見える為にこの名前があります。

この肥満細胞はlgE受容体を持つ細胞の1つで、特に気道や皮膚等の身体の表面に近い部分に多数存在しています。

異物が侵入すると免疫系のB細胞が放出したlgE抗体が肥満細胞の受容体と結合すると、そこにブリッジ構造をつくります。

このブリッジ構造によって細胞内に変化が起こり、アレルギー反応を起す多くの化学伝達物質が放出されます。

今まではこの化学物質の中でアレルギーを引き起こす犯人はヒスタミンと考えられていました。

最近の研究で更に新しい共犯者の物質が関係している事が明らかになっています。

それは肥満細胞にあるアラキドン酸から生成されたロイコトリエン、プロスタグランジン、トロンボキサン等です。

これらの化学物質も炎症を引き起こす事は分かっているのですが、その具体的な作用については十分に明らかにされていません。

また、アレルギー反応を引き起こすこれらの化学物質をケミカルメディエーターと言いますが、肥満細胞の他に、白血球の中の顆粒球(特に好酸球と好塩基球)にも存在しています。

しかし、肥満細胞の存在していない所ではアレルギーは発症しないと言われている様に、アレルギーの中心的な役割を果たしているのは肥満細胞である事は間違いないところです。

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