- Blog記事一覧 -12月, 2020 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 4の記事一覧

12月, 2020 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 4の記事一覧

クラミジア

2020.12.14 | Category: STD

クラミジアは細菌の一種で、トラコマティス、シッタシイ、ニューモニエ等全部で4種があります。

この内トラコマティスはかつて戦後の日本で、トラコーマ結膜炎を起こす事で知られていました。しかし現在では、若い女性を中心に世界的に最も蔓延しているSTDの一つとみなされています。

男性が感染した場合は排尿時にしみたり膿が出たりという尿道炎や副睾丸炎の症状で気付く事もありますが、半数は症状が出ません。女性の場合は4分の3は自覚症状が無く、気付か無い内に卵管炎等を起こして卵管がつまり、不妊症になってしまいます。

更にそのまま放置してしまうと、癌になるという報告もあります。気付くのは下腹部が痛んだりした場合で、卵管性の不妊症の6~7割にクラミジアが関係しているのです。

愛知医大の婦人科外来患者1700人以上のデータによると、平均13%がクラミジアに感染していて、特に20才未満の若い女性の感染率が高かったのです。

妊婦がクラミジアを持っていると、出産時に新生児が産道で感染して結膜炎や肺炎になる事があります。妊婦の尿中には病原体が出て来るので、遺伝子診断法で調べる事が出来ます。

男性で精液に血が混じる「血精液症」がありますが、ほとんどが細菌感染による炎症で、80%にクラミジア抗体が見つかっています。

性風俗業の女性はかなりの高率で口の中にクラミジアや淋菌等を持っていると言う事です。

癌とSTD

2020.12.13 | Category: STD

癌の発生には、素因(遺伝的な体質)に環境的な因子が加わって発生するという説や、化学物質や放射線等が突然変異を引き起こす説等色々とあります。

ウイルスによって癌が引き起こされると言う説は、科学的に認められるまでには50年以上もの長い年月がかかりましたが、今では数多くの癌ウイルスが発見されています。

その中でも医学的に因果関係が立証された人の癌ウイルスは5種類です。

肝臓癌を起こす感染力の強いB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルス、バーキッド・リンパ腫と言う悪性のリンパ腫や上咽頭癌等を起こすEBウイルス、子宮頚癌を起こすヒトバピローマ・ウイルス、そして成人T細胞白血病(ATL)を起こすHTLV- I ウイルスです。

これらのウイルスの他にも尖圭コンジローマを起こすウイルスも、陰茎癌や子宮癌を引き起こすのではと考えられています。

これら癌ウイルスが、細胞をどの様に癌化させるのかと言うメカニズムについてはまだよく分かってはいませんが、問題なのはこれらのウイルスのどれもが性行為によって感染する事です。

EBウイルスはSTDの範囲には入れられていませんが、EBウイルスが原因の伝染性単核症は別名「キス痢」と呼ぱれ、唾液で簡単に感染してしまいます。

STDで最も恐るべきはエイズだと思われていますが、癌になるおそれのあるSTDが沢山ある事は知って置くべきでしょう。

性器ヘルペスウイルス

2020.12.12 | Category: STD

性器ヘルペスウイルスには単純ヘルペスウイルスの1型と2型があります。

この性器ヘルペスは男女共にこの10年間で漸増していて、STDの中でクラミジアに次いで第2位を占めています。

性器ヘルペスは性行為やそれに類似する行為でも感染し、2~7日位の潜伏期があり、その後に様々な症状が出て来ます。

初感染の症状は、発熱、リンバ節腫脹等の全身症状を伴い、ヘルペス一般の特徴である神経走行に必ずしも一致せずに左右対称性に性器とその周辺に小水痘が現れます。

また排尿困難や排尿痛が起こり、次第に患部がびらんし、不規則な形状になって行き、膿を持ったり、潰瘍性の病変になったり、かさぶたが出来たりします。

また、口内炎や咽頭炎を併発する事も多く、頭痛や頚部硬直が表れたりします。

全軽過2、3週間で自然治癒しますが、性器ヘルペスウイルスは仙髄神経節に行き潜伏していて、疲れ、精神的ストレス、性交、紫外線等で再発します。

約8割が腰痛や下肢の痺れ等の前駆症状が数日前から起こり、性器の痒みや違和感や疼痛を感じます。

元々、単純ヘルベスの生物学的な特徴として、人に感染する部位が1型は上半身で2型は下半身という棲み分けになっていたのですが、オーラルセックス等性行為の変化によって領域が曖昧になって来たと言われています。

STDの垂直感染

2020.12.11 | Category: STD

女性のSTD感染で問題になるのは妊娠・出産時に母から子への垂直感染が起こる事です。

一般的に胎児は胎盤によって病原菌から守られていますが、胎児は免疫その物が不十分な事、母親自身が妊娠中は免疫許容の状態にあって免疫が低下する為、感染が憎悪し易くなっています。

垂直感染のパターンは様々ですが、胎盤感染では梅毒の先天梅毒がよく知られている所です。

梅毒は細菌と原虫の間の微生物=トレポネーマによる物ですが、胎盤を通して感染する物にはウイルスによる物が多く、妊娠初期の感染では胎児の奇形や先天異常等が起こります。

クラミジア、カンジタ、単純ヘルペス、淋菌、トリコモナス等の細菌や真菌の場合は分娩時の産道感染によって感染が起こります。

産道感染が懸念される場合には帝王切開で出産しなけれぱならない事もあります。

また母乳による感染が心配される物には成人型T細胞白血病、B型肝炎等があり、キャリアの母親の授乳は避け、人工栄養にせざるを得ません。

HIVの場合は胎盤、産道、母乳の全てから感染し、小児AIDSを発症させるので深刻です。

新生児が垂直感染を受けているかどうかは成人の様な所見を表わさないので中々見分けが難しいのですが、早発陣痛、早期・前期破水、羊水の異常(混濁や異臭)、胎児の仮死、母体の発熱等が見られます。

エイズ感染と発症の間に

2020.12.11 | Category: STD

エイズウイルス(HIV)に感染すると1~2週間後に、風邪に罹った様な発熱や喉の痛みが現れますが、2~3週間でこれらの症状は一旦治まります。

これは免疫機構が働き出し、中和抗体や細胞性免疫によってウイルスが血中から排除されるからです。

普通のウイルス感染ならここで終わり、症状は無くなりますが、HIVは遺伝子の組み込みと言う性質を使ってヘルパーT細胞の中に生き残ります。

この後、4、5年から長い人で10年以上、抗体陽性のまま無症状に経過します。

以前はこの無症候期、HIVは細胞の中で大人しく眠っていると考えられていましたが、今は研究の結果この期間もHIVは細胞中で自分の複製を作り続け、その数は1日に100億個に昇る事が分かったのです。

感染したヘルパーT細胞はHIVの作用と免疫機構の標的となって、敵からも味方からも破壊されていきます。宿主側は失われたヘルパーT細胞の再生にやっきになりますが、ゆっくりとヘルパーT細胞は滅少していきます。

つまり宿主がまだ抵抗出来る力が残っている間が無症候期なのです。HIVはとても変異しやすく、その確率はウイルスが1回複製されると、必ず1カ所は親ウイルスと違うという位高いのです。

エイズ発症後の後期の変異ウイルスは、無症候期の時のウイルスに比べて増殖力、細胞破壊性、病原性、どれもが強くなっているので、初期の抗体は役に立ちません。このことがワクチンや抗エイズ薬の開発を困難にしているのです。

STDとしての肝炎

2020.12.10 | Category: STD

STDとしての肝炎肝炎ウイルスにはA型からG型まであり、現在確実にSTDと認められているのはB型です。

しかし最近ではA、C型もSTDの面があると考えられる様になりました。

A型肝炎ウイルスは一般的に感染者の糞便中のウイルスが経口感染するものですが、男性同性愛者では性行為の一つとして感染するためSTDとみなされています。

ただしA型肝炎は慢性化する事はありませんし、普通は3ヶ月位で治癒します。劇症化する事は余りありません。B型肝炎は血液を介して感染します。

輸血や注射器等医療行為等が感染経路となる事が最も多い物ですが、B型急性肝炎の5~30%は性行為によると言われます。

多数者と性行為を持つ機会が多い性風俗業の女性ではそうで無い女性と比べて高率で抗体が陽性であるという調査結果があります。B型の急性肝炎も自然治癒するのですが、1~2%が劇症化したり、またはキャリアとなって感染源となります。

感染は性行為の相手がB型肝炎ウイルスのキャリアである場合に感染します。入浴やプール、整髪、食器等に特別配慮する必要はありませんが、カミソリ、歯ブラシ、タオルの共用は避けます。

もちろん傷の手当時等他人に血液が触れ無い様にする事が必要です。

C型の急性肝炎では劇症化はまれですがキャリアになる率が高く、急性から60~80%が慢性へ移行します。

やはり血液を介しての医療行為による感染が主で、夫婦間感染の確率も低いとはいえ、性風俗衆の女性のキャリア率が高いなどの疫学的調査によってSTDと考えられるものです。予防法はB型肝炎ウイルスと同様です。

淋病の年次推移

2020.12.09 | Category: STD

淋病による尿道炎は依然として男性では多い疾患です。感染機会から約1週間の潜伏期間の後、急性尿道炎を発症します。

外尿道口より膿を排泄して、痛みを伴い、尿道口の所に発赤が出て来ます。

また更に上行性に侵入して行くと、後部尿道炎、精巣上体炎、前立腺炎等も発症する事があります。女性では子宮頚炎や上行感染により骨盤内感染症を起す事があります。

従来淋菌感染症にはペニシリン系薬が効いたのですが、耐性菌の増加で、1980年代にはより強力な抗菌力を持つニューキノロン系薬が広く使われていました。

しかし最近はそれにも耐性を持つ淋菌が表れた事が問題化しています。

この淋病の年次推移を見ると1980~1484年にかけて増加した淋病は1984年をピークに年々減少しています。この減少していた期間は丁度エイズが社会問題になり、マスコミも大きく取り上げ、さらにエイズ予防法が出来た時期にほぽ一致しています。

つまりエイズキャンペーンによる副次的効果と言えるでしょう。ところが、1995年よりまた増加の兆しが出て来たのです。

それはエイズに対する人々の関心が薄れた事や、性交以外の性風俗業がまた盛んになって来た事が挙げられます。

またエイズに比べ淋病は簡単に治る病気だという安易さがあり、自己判断による服薬中断などで薬剤耐性の菌を増加させた事も原因のーつと推定されています。

コンドームがSTDを防ぐ

2020.12.08 | Category: STD

コンドームというと避妊具のひとつでもありますが、STDの予防アイテムとして極めて有効な物です。病原体を含んでいる血液、精液、誼分泌液等と性器の粘膜との接触を遮断するからです。このコンドームが重要視されたのはエイズ予防です。現在世界のエイズウイルス感染者は5000万人を突破し、この内すでに1600万人が死亡しています。WHOが99年11月発表した調査で、コンドームの普及が遅れているアフリカでは2200万人がエイズ感染者で、エイズのために平均寿命が現在の59才が5~10年後に44才になる可能性があるといいます。一方タイやフィリピンでは、エイズ予防教育の効果でコンドームが普及し感染者の増加に歯止めがかかったのです。コンドームはエイズ以外のSTDにもたいへん有効ですが、我が国の最近の調査では東京都立高3年生の性交経験率が40%近くあり、そのうち常に避妊している人は30%しかなく、コンドームが使用されていない無防備なセックスがおこなわれているのです。そのためか15~19才代で性器クラミジア症や淋病といったSTDが急増していることが厚生省の調査でわかりました。エイズを始めとするSTDから身を守るためにも正しい性教育をすることが一番の予防なのです。
コンドームで防げるSTD
淋病、クラミジア、エイズ、B型肝炎、トリコモナス、赤痢アメーバ症、マイコプラズマ
コンドームで防げる可能性があるSTD
梅毒、性器ヘルペス、せんけいコンジローム
コンドームで防げないSTD
ケジラミ、カンジタ、疥癬、伝染性単核症

PID(Pelvic Inflammatory Disease)

2020.12.07 | Category: STD

最近STDという用語は一般的な言葉として浸透してきましたが、STDに深い関係のあるPIDという言葉は余り馴染みがありません。

PIDとは直訳すれば骨盤内の炎症性の疾患という事ですが、具体的には骨盤腹膜炎や卵巣卵管膿瘍、子宮内膜炎等の事を指します。PIDがSTDに関係があると言うのは、女性の場合STDは女性特有と言えるPIDを引き起こす事があるからです。

女性の生殖器は膣、頚管、子宮内腔、卵管というように、いわば外部に接しています。さらに卵管は腹腔にも開いています。

ですからSTDに感染した場合、これら外部に接しているも同然の臓器からの上行感染によって、骨盤内炎症性の疾患に移行し易い事です。

また月経の時、月経血は腹腔内に逆流する場合があります。子宮内でSTD等に感染していればこの月経血によって原因菌が腹腔内に入りやすくなりますから、月経もPIDの発症に影響していると言う事になります。

卵管が障害されると卵管周囲癒着や受精卵の輸送が上手く行かなくなるなどの機能障害によって不妊になる事もあります。

クラミジア等が増殖を繰り返して菌の量が増えたりすれば、骨盤内だけの炎症に留まらず上腹部にまで達する事があり、女性のSTDは男性より深刻だとも言えます。

梅毒トレポネーマ

2020.12.06 | Category: STD

梅毒トレポネーマは性交時に皮膚や粘膜の微小な傷口から侵入し、血行性、リンパ行性に全身に広がり、臓器や組織を侵す様になります。

以前はSTDの代表の様に言われましたが、ペニシリンの登場によって激減し、かつての100分のl、最近の保健所への届け出数は年間1000入程度です。

ですから若い医師は梅毒の患者を診察した事が無く、初期症状ではなかなか特定出来ずに別の病名にしてしまう事もあると言われています。

とは言え、約20年周期で流行を見せていて、終戦時の流行の後、1965、1985年前後にピークを持ち、梅毒の患者数は現行の統計法になった平成12年以前は低い数値でしたが少しずつ増加に転じ昨年あたりから着実に届け出患者が増え始めています。

潜在的な梅毒患者もじわじわと増加していると考えられます。保健所への届け出をみると献血、集団検診、人間ドック等で偶然発見される比率が高くなっているのです。

このトレポネーマの中には性病ではありませんが、皮膚に病変を作る種類もあり、世界各地で伝染病として流行している地域があります。

これらは皮膚の病変に接触する事で伝染します。現在梅毒トレポネーマはエイズの登場で後方に追いやられた感がありますが、潜伏しながら生き延びる為の次の戦略を練っているかもしれません。

撲滅寸前とも言われていますが、だからこそその逆襲に目を光らせる必要がある恐い病気なのです。

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