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骨格筋 - Part 3の記事一覧
足の裏の痛みは比較的多いトラブルで、中でも多いのが足底筋膜炎です。
足底筋膜とは踵から土踏まず、指にかけて伸びている線維性の膜で、足底筋を保護し、踏み切りや着地の時の衝撃を吸収する働きをしています。
その足血筋膜が断裂等によって炎症を起こすと、足の裏の踵から土踏まずにかけて痛みが出ます。
歩き始めや走り始め、特に朝起きてすぐの一歩目に強い痛みが感じられます。
そのまま歩いたり走り続けたりしていると痛みは弱くなったり消えたりしますが、次の日にまた痛みが出ます。
階段の上り下りでも痛みが感じられる事もあります。
足底筋膜炎の原因としてはオーバーユースが第一と考えられますが、生まれつきの足の形の異常が原因である事も多い様です。
女性の場合、ハイヒールを履き続けていると普段から足底に過重の力がかかっている為、このトラブルに見舞われる事が多いようです。
また底が硬い靴や土踏まずの部分が低い靴を履いたり、コンクリート等の硬い道を走る事も起こりやすい条件といえます。
多くの場合、オーバーユースを避け、足の裏のマッサージやヒラメ筋や誹腹筋等のストレッチで軽快します。
足の形に原因がある場合は、靴にアーチサボートやヒールウェッジを入れるのも大変有効です。
足関節の捻挫はスポーツ外傷の中で最も多く、とくに足の構造から内反捻挫が大半です。
捻挫で靭帯が断裂していれば手術や固定等をして改善しますが、靭帯が伸びた軽度の損傷であれば靭帯自体の損傷は比較的に早く改善され、2~3日すると靭帯が伸ばされ緩んだままでつい歩き出してしまいます。
そのために足首の不安定性が残り痛みの原因になったりします。
また、内果、外果の周囲には前脛骨筋、後脛骨筋、長・短誹骨筋、第3腓骨筋等の腱が走行していますが、捻挫の時にその靴が伸び、下腿部の筋肉の張りや筋緊張で動きが悪くなったりします。
内反捻挫を繰り返す人は足関節の外側側副靭帯(前距緋靭帯・後距腓靭帯・踵誹靭帯)が緩んでいたり、足関節の外反にかかわる誹骨筋群を中心とした筋肉の調整不全の為に不安定感を訴えます。
強い不安定感を訴える人を調べると、その足関節の足根洞部(外果よりl.5cm前方の距踵関節間の凹み)付近に圧痛があり、不安定感が少ない人ほど圧痛が少ないという報告があります。
また、筋電図を用いて足関節に突然の内反を加えて誹骨筋群の反応時間を測定したところ、捻挫の回数の多い人や足根羽部付近に圧痛のある人は、正常な人に比べ反応時間が遅い傾向があるという研究報告があります。
関節加囲の靭帯には、伸張を感受する神経終末が多く分布しているといわれています。
靭帯が緩んでいると関節が動揺しやすく、更に関節内部に炎症等の刺激が起きやすくなります。
その刺激の為に神経の伝達速度に影響し、誹骨筋群の働きが低下し内反捻挫が起きやすいと考えられます。
内反捻挫癖のある人で足根羽部、外側の側副靭帯に強い圧痛のある場合はその痛みが軽くなるまで無理をしない事です。
運動する場合はテーピングや装具をして補助したり、運動後はアイシングをして炎症を抑えます。
また誹骨筋群の筋力訓練や筋調整をする事が必要です。
パソコンの弊害でよくいわれるのがVDT症候群(眼精疲労や頭痛や肩こり等)と腱鞘炎です。
長時間の入力作業が続くと手首等に痛みが出ます。特に動かすと関節部位に痛みが走ったり、指が上手く伸びなかったりしたらまずは腱鞘炎を疑います。
腱鞘は筋膜と同じ線維性の結合組織からできている筒状の構造物です。この健鞘は主に手首足首の健を包んでいます。
この鞘の内側は滑液包が非常に潤滑で腱が腱鞘の中でほとんど摩擦を受けない様になっています。
この健と健鞘の滑らかな動きが障害されて炎症を起こしているのを狭窄性腱鞘炎といいます。
腱鞘炎の中でも特に有名なのがドケルヴァン病です。
母指を繰り返し使用する結果、長母指外転筋および短母指伸筋の腱鞘に慢性炎症が起こり、橈骨(とうこつ)茎状突起付近の痛みが起こり、肥厚、瘢痕化、腱と腱鞘間の狭窄、癒着をきたします。
手作業をする人に多く、つまんだり、握ったり、タオルを絞る等の動作時に痛みが増強します。
検査法としては母指を中にして握り手首を小指側に曲げると橈骨茎状突起付近に強い痛みを感じます。
ばね指も健鞘炎でおこりますが、これは指屈筋健の膨隆又は腱鞘の肥厚により腱鞘入口部において通過障害を起こし弾発現象を呈します。
暫らく使わずにするのが良いのですが、現実にはそうはいかない為慢性的な炎症になる疾患です。
つい最近まで糖尿病患者の運動の勧めの第一の目的はカロリー消費効果でした。
しかし、運動によるカロリー消費は実際のところ大した事はありません。
最近の糖尿病における運動の意義は、脂肪は落としても筋肉量は落とさない為であるとしています。
つまり支持組織維持、運動機能を保持する事が重要であると考えられる様になったのです。
更に、筋肉と糖の関係が分かった事で、運動の重要性がより重視されてきています。
そのキーワードがインスリン抵抗性です。筋肉はエネルギー需要に応じて、ブドウ糖を筋細胞内に取り込みます。
このとき筋細胞の小胞にある糖輸送担体(GLUT4)は筋肉収縮やインスリンに反応して、ブドウ糖を筋細胞の中に取り込む働きをします。
この糖輸送担体は脂肪細胞にも存在しますが、ブドウ糖の大半は骨格筋に取り込まれます。
しかし、40才以上の10入に1人いるとわれているインスリン非依存型糖尿病では、高血糖の状態が長く続きます。
この様な状態ではインスリンが常に放出されているので、しだいにインスリンに対してのGLIJT4の反応が鈍くなります。
これをインスリン抵抗性といいます。
このインスリン抵抗性が強いと血液中のインスリン濃度が高くなります。
最近分かったことですが、このインスリン濃度が高い状態は、血糖値が高く無くても動脈硬化性の心血管疾患に深く関与している事が明かになっています。
ですから、インスリン抵抗性を改善する事が非常に重要になるのです。
GLUT4の機能を改善するには、ブドウ糖を筋に取り込むもうひとつの方法である筋収縮をする事が必要になってくるのです。
これまでは有酸素運動でしたが、この様な事が分かった事もあり、抵抗運動やストレッチも取り入れた総合的運動プログラムが推奨されるようになってきました。
ただし、糖尿病の合併症がある場合の運動は時として非常に危険です。
特に網膜症や骨粗鬆症や動脈硬化等の検査は必要です。
インナーマッスルの中でも内臓と脊椎の間にある腸腰筋(大勝筋と腸骨筋)は大変大きな筋肉です。
腸腰筋は骨盤をやや前向きに維持しつつ、腰椎を腹側に引く事で脊柱をS字型に維持するという、人が背骨を立てて姿勢を支える上で、大きな働きをしています。
また大殿筋やハムストリングス等の大きな筋肉が足を前に出すとき、単純に股関節を曲げる(走る、跳ぶ等)働きをするのに対して、腸腰筋は骨盤を引き上げながら股関節を曲げるという複雑な動きを可能にします。
つまり股関節の動きをスムーズにするのです。
腸腰筋が太くて強いと大脊筋やハムストリングスもトレーニングによってより太く鍛える事ができますから、腸腰筋はスプリント能力に大変大きな意味を持ちます。
この腸腰筋の太さが黒人は白人よりも太いといわれ、黒人のスプリンターが強いのもそのせいではないかと考えられています。
また当然歩く事にも関係します。腸腰筋がしっかりしていると足を引き上げる事もスムーズで転びにくくなりますし、遠く歩く事もできます。
速足で転びにくい高齢者はそうで無い人に比べて腸腰筋が太いという調査もあります。
また腸腰筋が弱まれば骨盤がきちんと支えられず姿勢も悪くなり、腰痛も引き起こすというわけです。
関節は靭帯や関節包によってしっかりと結び付けられています。
しかしそれと同時に、できるだけ自由に動かす事ができるよう、外れやすいという矛盾も抱えています。
大きな筋肉が伸縮した場合、その力が直接関節にかかれば関節はダメージを受けやすく靭帯も傷つきます。
しかし、関節を安定化させてスムーズな動きをさせる為に桔抗的に働く筋肉もちゃんとあります。
それがインナーマッスルという、体の深部にある関節回りの小さな筋肉群です。
肩関節回りならば隷下筋、小円筋、肩甲下筋、股関節では中殿筋、小殿筋、恥骨筋、長内転筋、外閉鎖筋、方形筋、梨状筋等です。
インナーマッスルは外からも分かりやすい大きな筋肉(アウターマッスル)の内側にあって、関節の動きを守り、スムーズにしています。
ウエイトトレーニングといえばベンチプレスなどのアウターマッスルを鍛え、筋骨隆々になる事だと考える向きがありますが、実はアウターマッスルが強すぎてインナーマッスルとのバランスが悪くて競技の成果が上がらない、怪我が多い等のトラブルを発生させる事が多いのです。
アスリートで無くても五十肩などは肩関節回りのインナーマッスルが弱くなって起こるものです。
インナーマッスルを鍛えるには、軽い負荷で、できるだけアウターマッスルを参加させずに正確に動作します。
筋肉自体を鍛えるというよりもその筋肉の支配神経を目覚めさせるといった目的でその筋肉に(分かりにくいのですが)意識して行います。
チューブを使ったトレーニングが多い様です。
運動不足の中高年にとってウォーキングは最も安全でお勧めの運動です。
確かに1日1万歩のウォーキングは生活習慣病の予防や改善に大変有効である事は間違いありません。
しかし、本当はウォーキングだけでは充分では無いのです。
運動習慣と骨密度とは関係が深い事が分かっている為、中年以降、特に女性の場合閉経と共に骨粗鬆症の危険性が高まるので運動が欠かせないのです。
そもそも筋肉と骨とはくっ付いているので、筋肉が収縮すれば骨に対して刺激が加わります。
筋肉が強く収縮すればそれだけ骨に対する刺激も強くなり、そういった刺激が骨吸収を押さえて骨密度を支えているのです。
骨は重力にも影響されるので、体重が多い方が骨量も多いと考えられていますが、実は体重その物よりも筋肉の量の影響の方が大きいのです。
つまり多くの筋肉の運動はそれだけ骨に対して多くの刺激を与える事ができるからです。
しかも筋肉の中でも持久的な筋肉より瞬発的な筋肉との関係が大きいのですが、老化によって衰える筋肉は瞬発的な筋肉の方が速い為、骨への刺激も衰えが早いのです。
骨粗粗症の予防の為にはウォーキングだけで無く、骨に対して瞬発的で負荷が大きくなる様なジョギング等の様な運動も必要です。
筋肉の病気には何十種類とありますが、中でも筋肉そのものが動かなくなる代表的な疾患には、「重症筋無力症」と「進行性筋ジストロフィー」があります。
「重症筋無力症」は筋肉には異常がなく、脳の指令を伝える神経筋接合部の伝達障害(アセチルコリンの代謝異常)で起こります。
しかし「進行性筋ジストロフィー」は脊髄や末梢神経線維に病変はなく筋肉自身に障害が起こり、大脳の指令は正常に筋肉に伝えられるのに、筋肉組織が次第に萎縮して動か無くなってしまうのです。
進行性筋ジストロフィーには、筋障害が顕著に現れる部位により「顔面・肩・上腕型」と「腰肢帯型」、19世紀末のフランス人発見者の名を付けた「デュシエンヌ型(DMD)(全身的な筋障害)」の代表的な3型があります。
筋ジストロフィー全体の罹患率は10万人に5人種で、DMDがその6割を占め、出生男児3500人に1人の割で発生します。
DMDは100年以上も前からその原因が探られてきましたが、解明されたのは遺伝子解析が進んだ為です。
DMDの遺伝子はX染色体に存在して、その1%を占める巨大な物である事が分かり、突然変異率も高いのです。
健常者の筋肉中にあってDMD患者に欠損しているジストロフィンという微量蛋白質は、筋原線維を形質膜に固定して補強材の役目を果たしています。
DMD患者の遺伝子は正常で無いのでジストロフィンが存在せず、その為筋肉の収縮時に細胞膜が損傷を受けて、筋肉中の化学成分が外に流れ出し、細胞外からカルシウム等が入り込み、筋蛋白質の分解が起こって筋肉が急に衰え、やがて筋肉組織が消滅してしまうのです。
最近では病的な筋肉に正常な筋芽細胞を注入する事で筋萎縮を防ぐ手術法がかなりの成果を上げてきているようです。
心筋と骨格筋は共に横紋筋ですが、その作用と働きが全く違うので、別種の筋肉だと一般には考えられています。
事実、心筋の細胞は生まれて暫らくすると分裂をしなくなり、同じ細胞が世代交代をする事もなく一生疲れも見せず働き続ける事ができます。
しかし骨格筋に人工的な電気刺激を断続的に与えて心臓と同じ様に収縮させると、やがて痙攣を起こして刺激に反応し無くなってしまいます。
これは骨格筋が疲労物質の乳酸をすぐには排出できずに細胞内に溜め込んでしまうからですが、心筋細胞は栄養を取り込むと同時に、発生した乳酸をすぐさま代謝して近くの血管に排出する事ができ、疲労を溜め込まない構造になっているからです。
心筋細胞には大きいミトコンドリアが多量に存在し、冠状動脈血から酸素と栄養を効率よく取り込んでエネルギーに変える能力が格段に優れているのに対し、骨格筋細胞のミトコンドリアは心筋に比較して小さくて数も少ないのです。
さて心筋梗塞等で心筋の一部が壊死した患者に対し、患者の広背筋の下方の一部を体腔内に入れて心臓に縫い付けるという方法があります。
最初は患者の心臓の収縮ペースの何回かに1回だけ、人工ペースメーカーで弱いパルスを送って筋肉を収縮させますが、次第に電気刺激を与える間隔を徐々に狭めて刺激の強さも増していきます。
するとトレーニングを始めて2ヶ月後には、骨格筋でも患者白身の心臓の洞結節が発する収縮信号と同じペースでの強い刺激にも、痙攣を起こす事無く耐えられる様になるのです。
これは鍛える事で筋肉を取り巻く毛細血管が増え、骨格筋の細胞中のミトコンドリアの数も増えて代謝能力がアップし、筋原線維の蛋白質の構造が心筋の物に近づいてきたわけです。
筋肉の萎縮というのは、平たく言えば筋肉がやせ細ることです。
しかし、萎縮には元通りになるものとならないものがあります。
つまり、萎縮は筋線維の萎縮と筋線維数の減少があるからです。
筋線維の萎縮であれば筋肉に負荷をかければ元通りになりますが、例えば老化する中で起こる筋線維数の減少は元には戻りません。
これは筋細胞の構造を支える細胞骨格や収縮装置の崩壊や再構築ができなくなる為に起こります。
また、筋萎縮の病態としては崩壊だけでなく、変性、壊死へと進む事が分かっています。
これらの細胞の萎縮や数の減少は、角度を変えてみれば細胞を構成する蛋白質が分解してしまう為といえます。
実はなぜ筋肉の細胞内の蛋白質が分解してしまうか完全には解明されていませんが手がかりはあります。
その一つは筋小胞体です。例えば、ギプス等で運動できない状態になると、神経からの伝達に関与している筋小胞体でのカルシウムの取り込みが減少する為、細胞内のカルシウム濃度が高くなると蛋白質分解酵素の活性が高まるのです。
また、筋細胞内のリソソーム(細胞小器官)は細胞内の不用物処理器官として働いていますが、除神経や腱切除やギプスで筋肉の活動が止まるとこのリソソームの中にある蛋白質分解酵素であるカテプシンが増加する事がわかっています。
ですから筋萎縮は身体のシステムである使わない物は必要無いという廃用の原理に基づいているのです。
萎縮を遅らせるには、筋肉の収縮運動をしっかりやる以外に方法はありません。