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循環器 - Part 3の記事一覧

下肢静脈瘤

2021.05.15 | Category: 循環器

施術中に、特に中年過ぎの女性の患者さんの下肢に静脈瘤をよく目にしているはずです。

血管の病気の中で最も多く、女性では軽症の物まで含めると約40%に静脈瘤があり、中年以上では60%以上の人が何らかの症状を感じていると云われています。

下肢静脈には沢山の逆流防止の弁がありますが、この静脈弁が障害されると静脈血がうっ滞して静脈瘤になります。

表在静脈には20前後あり、深部静脈には10前後の弁があり、表在性の静脈瘤ではまさに蛇行して太くなった血管に何ケ所も膨らみがみえます。

この静脈瘤の初期では足が疲れ易いとか重い感じがするといった症状が表れます。とくに、昼間より夜、長時間立ったままでいると起こります。

また、下腿の痛みや足やくるぶしの辺りのむくみや、靴を履くと痛い等の症状も出てきます。

また、見た目では判らない深部静脈の瘤の場合は、とくに強い痛みをひき起す箏があります。

この様な状態が10年以上続くと、下腿の内側、くるぶしの周囲に血液がもれて褐色の色素沈着が起こったり、水泡を伴う静脈瘤性湿疹がおこります。

この湿疹は強い痒みが起こり、掻きむしる為に、潰瘍になってしまう事もあります。この静脈瘤性潰瘍はなかなか治らないやっかいな合併症です。

また静脈壁の炎症性傷害も起こる事があり、血流の悪くなる事で血栓ができ易くなります。

静脈血栓症はチアノーゼや腫脹やひどい痛みをひき起します。この血栓が飛んで肺まで到達すると肺動脈塞栓症になる事もあるのです。

ですから、静脈瘤はなにより早期の受診が大切です。

改善法として軽症の場合は弾性ストッキングや足を高くしたマッサージが有効です。

悪化した場合は静脈瘤の外科的な切除、瘤への硬化剤の注入等を併用します。

動悸と不整脈

2021.05.14 | Category: 循環器

運動時や緊張した時等に日常的にみられる多くの動悸は病的ではありませんが、心臓疾患等の不整脈で最も多く訴える症状は動悸です。

動悸を起こす原因は様々で、心臓疾患、甲状腺機能亢進進症、貧血、心理的要因による心臓神経症から、タバコの吸い過ぎ、コーヒー、紅茶、緑茶等の飲み過ぎ等でも動悸を生じるので原因を絞り込む事は大切です。

拍動は洞結節から始まり刺激伝導系を使って心臓全体に伝わります。

洞結節以外で刺激があると不整脈が起きますが、動悸は心臓の心拍出量の変化によるものです。

最も多い不整脈はリズムが不規則になる期外収縮で、心房性(上室性)と心室性に分けられます。

正常な拍動における心臓収縮で80~10mlの血液を送り出しますが、心室性期外収縮では20 ml位で60~80 m1の血液は心臓に残る事になります。

期外収縮の後の正常な拍動の時に2倍近い血液を送り出す事になります。

この解き大量の血液が大動脈壁にぶつかって壁に緊張がはしり、左胸や脇腹に血管痛がでます。

頻脈性不整脈では1分間に100~150回以上の脈を打ち、心房細動に最も見られます。中には突然死に結びつく心室性細動の場合があります。

送り出される血液量が少ないので脈が遠くなります。

徐脈性不整脈は1分間に50回以下の脈を打ち、完全房室ブロックや洞不全症候群でみられます。

徐脈によって、心拡張期の延長で一回の抽出量が増加して、遅く力強い拍動が起きるのです。

心臓疾患を伴う極端な徐脈や頻脈による不整脈が起きると血液が脳に充分行かない為に、脳虚血状態になり失神、めまい、胸苦しい、呼吸困難、疲れやすい等の症状が見られます。

この不整脈が数秒以内に回復しない場合は、心停止と同じ状態となる場合があるのです。

動悸が起きたら、何がそのきっかけになったのか、脈を数え、どんな乱れ方をするのか、整理しておく事が大切です。脈に異常がある間に心電図をとってもらう事も大切です。

リンパ浮腫

2021.05.09 | Category: 循環器

リンパ浮腫は先天性のものもありますが、多くはがん(乳がん、子宮がん、前立腺がん)等の手術でリンパ節を切除後に二次性浮腫がよく起きます。

術後すぐ起きるとは限らず、数年たってからでもケガ等による細菌感染から蜂窩織炎やリンパ管炎を起こすと、何度も炎症を繰り返して皮膚組織は固く象皮化してきます。

片側の脚や腕が大くなりますが痛みは無く、放っておいても命にかかわるわけではないので、医者もあまり重要視せず、患者一人で悩む事になります。

心臓の1日の血液拍出量は約8000リットルで、末梢の毛細血管壁の隙間から血液成分の一部が漏れだし(1日20ℓ)、細胞で使われた後毛細血管の静脈側に再び入っていき(16~18ℓ)、差し引き2~4ℓがリンパ管に集まって、首の付け根近くで静脈に合流して心臓に戻ります。

リンパ液には赤血球は含まれず、血漿に近い成分で透明な淡いクリーム色ですが、腸管での脂肪吸収があると白濁します。

リンパ管は静脈よりも細くて弱い管で、逆流しないよう弁膜があり、軽い圧迫で簡単にリンパの流れは止まってしまいます。

リンパの流れは非常にゆるやかで重力の影響を受けやすく、リンパ節切除をした場合はゴムのきつい下着だと、流れが滞るので日頃から注意が必要です。

寝る時には浮腫のある四肢をやや高くして自然な環流を促し、軽い運動やマッサージでむくみを減らし、弾性ストッキングやスリーブを着用してそれ以上むくまない様にします。

マッサージのポイントはまず流れ込む先を空けるため、首の付け根(頚静脈角)を最初にマッサージし、ついで胸腹部、脇の下、上肢、あるいは鼠径部から大腿、下腿をそれぞれ求心的にマッサージします。

二次性リンパ浮腫では皮下組織間隙に蛋白や脂肪の塊等ができている事があるので、それをほぐすように揉んだり圧迫したりなどの手技も必要となります。

痛みがない狭心症

2021.05.07 | Category: 循環器

胸痛発作や胸部不快感等の症状は狭心症、心筋梗塞の虚血性心疾患でみられます。

胸痛が起きるのは心臓を取り巻く動脈壁のあちこちに、小さな蛋白質からできた血管の圧力感知センサーがあり、血管が詰まったり、破れたりすると、血液の流れが落ちて、その異変が脳の自律神経中枢にある血圧調節機能に働き、血管の幅を広げたり狭くしたり調整します。

その血管調整作業が緩やかに行われていれば、何も症状は出ませんが、血管が急に縮んだり、広がったりすると知覚神経の刺激となり痛みが出るのです。

狭心症は心筋が虚血した為に胸痛が発生します。

ところが最近、痛みがない狭心症ともいえる無症候性心筋虚血症が注目されています。

痛みに対する閾値が高い人の場合や血管の反応が鈍い人の場合にあるようです。発症頻度は痛みのある狭心症と同じ位です。

冠状動脈にひどい動脈硬化が数カ所あってしかも昼夜を問わず、虚血反応を起こしても胸痛がないのです。

運動負荷心電図や24時間心電図で初めて分かる病気なのです。胸痛がないので病気に気づくのが遅れたり、油断して心筋梗塞に進行します。

健康と思っていた人が過労で突然心筋梗塞になるのはこの事が考えられます。心筋梗塞は激痛が伴いますが、全体の10~15%には無痛性の場合があります。

高齢者や糖尿病患者では更に割合が増えて発病する人の約35%は無痛性といわれています。動脈硬化で硬くなった血管は調整機能の働きが鈍くなっていると考えられています。

また逆に血管の圧力感知センサーの過剰反応で血管が突然痙攣を起こす血管性攣縮性狭心症による胸痛発作があります。

夜間から朝方にかけて睡眠中に起こり、冠状動脈の血管が約1cmの長さで攣縮して数秒から数分間血流が停止するのです。動脈硬化が合併していれば心筋梗塞の危険があります。

毛細血管

2021.05.04 | Category: 循環器

動脈は段々細くなり最後には毛細血管になって栄養や酸素などの物質交換を行います。つまり毛細血管は新陳代謝を担う最前線といえます。

太さは5~10ミクロンほどで、赤血球がやっと通れるほどの細さです。

1秒間に50cmの速さで流れていた血液もこの毛細血管では毎秒1回とゆっくりした速さになります。

血管自体は内皮細胞の薄いシートでできていて、やりとりする周りの組織液の種類や量によって、細胞がびっしり詰まっているもの、穴の空いた物、更には隙間の多い物と様々です。

この毛細血管がきちんと働かないと、様々な障害が起こります。

毛細血管の壁の透過性が高くなったり血液の中の蛋白質が少なくなるとむくみが起こります。

毛細血管での血行障害の典型が冷え症や肩こり等で、これらの症状は女性に多いものです。

女性は子宮や卵巣等の複雑な臓器を抱えている為ホルモンバランスや自律神経のバランスを壊しやすい事、筋肉が少ない為筋肉によるポンプ作用が少なく熱を保ち難い脂肪が多い事等によって毛細血管の血行障害が起こりやすい体といえます。

赤血球が変形し難くても毛細血管を流れ難くなりますし、ドロドロ血液でも同様に血行障害が起こります。

肺循環

2021.05.02 | Category: 循環器

肺循環は心臓の右心室から肺動脈に出て肺を経て肺静脈へ、そして左心房に帰ってきます。

これは常識ですが、その肺循環の所要時間がなんと4~5秒というかなりのスピードである事はあまり知られていません。

肺動脈は枝分かれして最終的には肺の膨大な毛細血管に到達します。この毛細血管を取り囲むように3~5億の肺胞が小さな泡のように並んでいます。

そして肺胞上皮と血管内皮細胞の厚さ0.5ミクロン以下の薄い接触面を通してガス交換がおこなわれます。

また、肺循環は体循環とは決定的に違う性質があります。それは肺の動脈は血圧が体循環と比べて著しく低いのです。肺動脈では25mm水銀柱なのです。

心臓から心臓までの距離が短い為に低い圧力でも血液を流す事ができますし、あまり血圧が高過ぎると毛細血管がトラブルを起こすからです。

その分、重力の影響を受けてしまいます。肺の上と下の毛細血管にかかる圧力は約2倍の差が出来てしまいます。

つまり体を起している時は、肺の血液は肺の下部を流れやすくなり、肺上部には流れにくくなるのです。

この不均衡があまり大きくなると血液が充分にガス交換されないで肺を通過してしまうため呼吸機能が低下します。

しかし毛細血管の圧力が高過ぎると、毛細血管から出血したり、周囲に大量の溶出液が染み出したりします。

また、肺循環では全身の生理機能調節にとっても重要な働きをしています。

特に神経伝達物質であるセロトニン、アドレナリン、アセチルコリン等が肺循環で不活性化されているのです。

この様な点からも、養生の基本に呼吸法があるのもうなずけます。

血管内皮細胞の働き

2021.05.01 | Category: 循環器

動脈は高い内圧に耐える事が出きるように3層構造になっています。

繊雄性組織からなる外膜があり、その内側に主として平滑筋で出来ている中膜があります。

そして、一番内側に内膜があり、その内膜には一層の血管内皮細胞があります。この内皮細胞は動脈だけでなく静脈や毛細血管やリンパ管系等、循環器系全般に広くある細胞です。

ところで、通常血管の収縮や拡張は自律神経系や血液中の液性因子が調節していると言われてきました。

つまり、末梢の細動脈では交感神経α受容体の刺激やアンギオテンシン等の血管収縮因子により収縮し、β受容体の刺激やキニン等の血管拡張因子によって弛緩するとその細動脈の収縮と弛緩により、末梢循環の抵抗性の強弱が生まれ、血圧や血流の体内分布等が調整されているというわけです。

この説明は間違っているわけではないのですが、他の原因として血管内皮細胞が注目されてきています。

この血管内皮細胞は従来血管壁に血栓が付着したり、血液が固まるのを防ぐ、いわばコーティングのような働きがあると考えられていました。

しかし近年の研究で、この内皮細胞が抗血栓性と血栓形成性の、拮抗する性質の生理活性物質を作る事が明らかになったのです。

例えば内皮細胞から放出されるー酸化窒素等の血管拡張物質は細胞の増殖を抑え、血栓を予防して動脈硬化を妨げます。

これに対して、エンドセリン等は逆の作用の血管収縮物質で、過剰に作られれば血管を傷付け、血栓を作り動脈硬化を進めてしまうのです。

つまり、この2つの拮抗する作用により、血管自体が循環のバランスをとっていたのです。

このバランスが崩れてしまうと、自ら血栓を作り動脈硬化を誘発する事も分かってきました。

この血管内皮細胞は循環のバランスだけでなく、免疫や代謝等も制御しているという研究もあり、現在注目される先端研究のーつになっているのです。

心臓の老化現象

2020.11.15 | Category: 循環器,老化

心臓の筋肉細胞は再生し無いので加齢によって少しづつ衰えていきます。

運動や感情の高ぶりで心臓の心拍数は増減しますが、その最高脈拍は1年加齢する毎に1拍ずつ減少しています。

乳児期の最高脈拍は220ですが、50才になればどんなに激しい運動をしても170以上打つ事はありません。

これは心筋細胞がゆっくりと死滅して行く事で心筋層が次第に硬化する事が原因ですが、その為循環の速度も落ちて行きます。

左心室に血液が充満するのにも時間がかかる様になり、収縮した後で緩むのにも時間がかかります。柔軟性の無い心筋によって1回毎の鼓動で抽出する血液の量も減ってしまいますので、次第に血圧が上がりやすくなります。

又心臓の神経刺激伝導系も老化して行き75才までに洞結節やHIS束の繊維も半分以下に減少して行きます。

又心臓の内層や弁も肥厚して石灰化が起こる事もあります。更に心臓その物も黄茶色のリポフスチンが色素沈着して、老人の皮膚の様な色になっているのです。

また、心臓その物だけで無く、血管も同じ様に硬化していきますので、臓器や筋肉に行く血液のコントロールも難しくなってしまいます。

ですから、75才以上で心不全にかかる人が激増してしまうのです。

午前中は命取りの時間

2020.09.15 | Category: 循環器

心臓疾患は午前中に起きやすい事は一般の人にも知られてきました。

事実、狭心症、急性心不全(突然死)、急性心筋梗塞等の発症は疫学的な調査でもはっきり他の時間より多発しています。

目覚めると言う事は自律神経系で主従が逆転する事だと言うことも出来ます。

その目覚めの時、副交感神経優位から交感神経優位にスイッチしますので、明け方頃は心拍数も最低になり血圧も低い状態から交感神経優位になるといきなり心拍数の増加、血圧上昇、そして血液の粘度も上昇してしまうのです。

その時血管にかかる負荷が動脈硬化がある場合には、動脈硬化の粥腫の部分と健康な動脈の部分の境目に強い力が加わわり、そこが折れて動脈の内膜にヒビが入ってしまいます。

すると血小板がフィブリンという目の細かい網を張りヒビの修復に当たります。

しかし、その修復がかえって血管そのものを塞いでしまい、それが冠状動脈で起これば心筋梗塞の発作になるのです。統計的に突然死の多いのは月曜日と木曜日の午前中です。

時間ギリギリまで寝て、目覚めていきなりセカセカと動き回る様な事は特に生活習慣病患者さんや不規則な生活や疲労を感じている人は慎むべきです。

ベッドの中で軽いウオーミングアップをして身体が副交感神経支配から交感神経支配に上手くバトンタッチ出来る様にする事が大切です。

クモ膜下出血

2020.04.30 | Category: 循環器

クモ膜下出血は時、場所を選ばず突然前触れも無く激しい頭痛から始まる事が多い疾患です。

嘔吐したり、項部硬直(発病して数時間後に現れます)があったり、意識を失う事もあり、そのまま死亡する事も珍しくありません。

中には数日で頭痛等の症状が改善する事もあるのですが、再び出血する事が多く、この場合の死亡率は4割にも達します。

原因の8割はくも膜下腔にある脳動脈に出来た瘤(動脈瘤)が突然破裂して脳を障害するものです。

40~50代の働き盛りに多い病気で、50歳以上では10万人につき、年間約60人にもなります。

警告症状としてはやはり頭痛ですが他の原因による頭痛との区別は大変付きにくいものです。

また眼瞼下垂(片方のまぶたが下がる)が現れる事もあります。頑固な改善しにくい肩凝りや首の痛みも見られます。

その場合、強い力で揉んでもらったりすると、胸に圧力がかかって胸圧が上がったり、頚の血管等が圧迫されて悪化する場合があるので注意を要します。

家族にくも膜下出血を起こした人があれば特にこうしたサインには注意が肝心です。

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