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肺循環

2021.05.02 | Category: 循環器

肺循環は心臓の右心室から肺動脈に出て肺を経て肺静脈へ、そして左心房に帰ってきます。

これは常識ですが、その肺循環の所要時間がなんと4~5秒というかなりのスピードである事はあまり知られていません。

肺動脈は枝分かれして最終的には肺の膨大な毛細血管に到達します。この毛細血管を取り囲むように3~5億の肺胞が小さな泡のように並んでいます。

そして肺胞上皮と血管内皮細胞の厚さ0.5ミクロン以下の薄い接触面を通してガス交換がおこなわれます。

また、肺循環は体循環とは決定的に違う性質があります。それは肺の動脈は血圧が体循環と比べて著しく低いのです。肺動脈では25mm水銀柱なのです。

心臓から心臓までの距離が短い為に低い圧力でも血液を流す事ができますし、あまり血圧が高過ぎると毛細血管がトラブルを起こすからです。

その分、重力の影響を受けてしまいます。肺の上と下の毛細血管にかかる圧力は約2倍の差が出来てしまいます。

つまり体を起している時は、肺の血液は肺の下部を流れやすくなり、肺上部には流れにくくなるのです。

この不均衡があまり大きくなると血液が充分にガス交換されないで肺を通過してしまうため呼吸機能が低下します。

しかし毛細血管の圧力が高過ぎると、毛細血管から出血したり、周囲に大量の溶出液が染み出したりします。

また、肺循環では全身の生理機能調節にとっても重要な働きをしています。

特に神経伝達物質であるセロトニン、アドレナリン、アセチルコリン等が肺循環で不活性化されているのです。

この様な点からも、養生の基本に呼吸法があるのもうなずけます。


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