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がん - Part 6の記事一覧
ガンになると激痛に苦しみながら死を迎えなければなら無いという恐怖がひときわガンを悲惨なものにしています。
しかし今やガンの痛みはコントロールが可能です。1986年には「WHO方式がん疼痛法」(がんの痛みからの解放)が発表されており、今では各国でこの方式がガン患者の痛みの改善法として標準的になっています。この方式では
軽度の痛み=非オピオイド
(アスピリン、その他非ステロイド性消炎鎮痛薬)
軽~中度の痛み=弱オピオイド
(コディンなどの中枢に作用する鎮痛薬)
中~強度の痛み=強オピオイド
(モルヒネなど中枢に強く作用する鎮痛薬) )
等を使います。モルヒ本は中毒になるという事で日本では未だに使用を警戒される事が多いのですが、WHOの方式に従えば精神的依存は稀にしか生じないと判明しています。
又痛みのコントロールの場合重要なのは患者の余生の長さによって鎮痛薬 を選ぶのではなく、あくまでも痛みの強さによって、出来るだけ経口的に、必要十分な量で使われなければなりません。
しかもガンが末期になってケアを始めるのではなく、ガンと診断された時点から嘔気、全身倦怠、食欲不振対策等と供に緩和ケアを始めるべきで、それでこそ患者のQOLが保証がされると言うわけです。
がんに関する心理社会的研究は割りと早く、1950年ニューヨークのがんセンターに精神科研究ユニットが開設された事が始まりと言われています。
1960年代の初めにはたった12%に過ぎ無かったがんの告知が知る権利という社会の要求に応じて年々増えていきました。
l977年の統計によるとアメリカではがんの告知98%になっています。
告知が当たり前になれば精神的なケアの必要性が生まれます。告知では遅れをとった日本でも1986年に「日本臨床精神腫瘍学会」が結成され、その後「日本サイコオンコロジー学会」と改称され現在に至っています。
サイコオンコロジーはインフォームドコンセントや術前の不安、術後のQOL、情緒状態とがんの経過、痛みに付する対策、緩和ケア、ホスピス、尊厳死、家族へのケアなど、がんによる社会的心理的な様々な問題を包括しています。
最近のがん患者の精神疾患の合併症の統計では、がん患者の3~4割の人がうつ病や適応障害に、がんの末期には意識障害をべースにした「せん妄状態」を始めとして、約7割の患者が精神疾患を合併しています。
また情動の安定ががん患者の生存期間を延ばす事はよく知られています。その研究として「精神神経免疫学」の基礎医学的な方法論も確立されてきています。
癌の予防吋策の大きな柱として癌の集団検診があります。地方自治体で保健事業の一貫として胃癌の検診からスタートして、地方自治体によってばらつきがあります。
現在では乳癌、子宮癌、肺癌、大腸癌も集団検診の対象として行われています。
この集団検診の有効性に対して一部専門家は疑問を投げかけていましたが、厚生労働省の研究班も厳しい評価を下しました。
この中で、胃癌、子宮頸癌、大腸癌での有効性は認められましたが、肺癌、乳癌、子宮体癌については有効かどうかの証明が出来無かったのです。
この有効性が認められたとする胃癌についても、調査そのものに疑問を投げかけている医師もいます。
ある団体が約18000人を対象に行った調査では、厚生労働省のデータより早期胃がんの見落としは、遥かに多かったのです。
この様に検診の信頼性そのものが揺らいでいるのに厚生労働省としては検診の必要性を損なうものでは無いとしています。
誰の為の集団検診なのか実にいい加減なものです。慶応大学放射線科講師近藤誠先生も語っています。
漢方薬は人体の代謝、聳養、ホルモンの状態や免疫能力、生体リズムを正常化させる点に目標を置くので、体に優しい薬剤を選んで体調を整える様にします。
1980年、アメリカ国立癌研究所の癌部門の中に、BRM(バイオロジカル・レスポンスーモディファイア、生物反応修飾物質)の研究を進める委員会が発足しました。
BRMとは癌患者の反応力を変えて癌を封じ込める薬物や医療方法で、その本質は「癌退縮の条件を人工的に誘導する事」です。
漢方薬の持つBRM作用については①癌に対する免疫を高め②インターフェロンを誘導③インターロイキンを誘導④TNF(腫瘍壊死因子)を誘導⑤癌の細胞膜の性質を変え⑥悪液質の進行を押える、等があります。
癌患者の全身状態は癌の病巣の状態や広がりの程度により、束洋医学で言う、気虚(気力が無い等)・血虚(顔色が悪い等)・水深(むくみ等)の状態になるので、これを改善する薬を選んで改善する訳です。
このp53のpはプロテインの略で53は分子の量を表しています。
この p53は核内癌抑制遺伝子として機能が最も明らかになっている物の一つです。
例えば、大腸癌、肺癌、乳癌、膀胱癌、卵巣癌、食道癌、骨肉腫等殆どの腫瘍で、このp53の異常が50%以上の頻度で見られます。
このp53の元々の機能は、今の所放射線や薬剤で障害を受けた細胞の細胞周期の進行を止めたり、異常な細胞のアポトーシス(細胞死)を引き起こす役割であると考えられています。
また最近は、直接か間接にDNAその物の修復を促進させる働きがある可能性も指摘されています。
このp53遺伝子の突然変異が、癌の進展にどの様な役割があるのかも、ある程度解析されてきました。
例えば、大腸癌では、膿腫の段階では異常は見られ無いのですが、腺腫から旱期癌への進展の段階でこのp53.はどうやら突然変異を起して癌を発生させる様です。
癌抑制遺伝子の内には、核だけで無く、細胞膜近傍、細胞質に関与する物もあって10種類近い癌抑制遺伝子が現在見つかっています。
因みに核に局在する物が最も機能明らかにされていますが、p53以外では網膜芽細胞腫の癌抑制遺伝子として明らかに なったRB遺伝子とウィルムス腫瘍の原因遺伝子の一つとして明らかになったWTI遺伝子があります。
癌の死亡原因第1位は肺癌です。肺癌には原発性と転移性の癌がありますが、これから問題になるのは大気汚染や塵埃、喫煙が原因の原発性の肺癌です。肺癌は早期発見が大切なのですが、レントゲン検査をしても心臓の陰になって原発巣の発見が遅れたりします。その早期の異常を爪の変化で発見出来るのです。虎ノ門病院呼吸器科の本間日臣博士の調査結果によると原発性肺癌の60%の患者に太鼓バチ指がみられ、特に早期で肺癌の症状が見受けられない時にでも出現するというのです。太鼓バチ指はヒポクラテス指とも呼ばれ、紀元前400年前のギリシャの名医ヒポクラテスは、肋膜及び肺の炎症が化膿に移行する時は手の爪は曲がり、指の先端分厚くなると指摘しているのです。指を側面から見ると正常な爪は、爪甲と後廓部の間の角度が160度になっていますが、この角度が180度以上になると太鼓バチ指になるのです。太鼓バチ指は爪甲と骨との間の組織に液体が溜まり分厚くなり、それが長く続くと線雑組織が増加してくるのです。喫煙をしている人はいつも指先をチェックする事で早期に肺癌を見つける参考にして下さい。
癌は1cm位の大きさだと、重さは1g程度として細胞数約1億個になっています。この癌は増殖の性質があっても、転移するメカニズムが無ければ、致命的になる率はもっ低下する筈です。しかし、癌細胞は細胞と細胞の間で枠組みを構成しているマトリックス蛋白質を分解する酵素を使って組織を破壊しながら増殖する能力を持っているのです。血管の回りにもコラーゲンやエラスチンのマトリックス蛋白質があるのですが、癌細胞はそれを分解してしまいます。そして血管やリンパ管の壁を破って血管の内側に潜りこみ、血流に乗って体のいたる所に流れて行くのです。もちろん流されて行くだけなら、その内マクロフアージに食べられたりして死滅します。ところが、癌細胞にはもう一つの性質として接着因子をその細胞膜の表面に持っているのです。これを利用して血管の内皮細胞に接着し、その下の組織へ潜り込んで行くのです。転移した臓器に入り込み、マトリックス蛋白質を分解する酵素素を沢山出して、そこでまた増殖してしまいます。増殖する為に必要な酸素や栄養をえる目的でVEGF (血管内皮増殖因子)を分泌して周りに血管を伸ばさせて更に大きくなって行くのです。転移を防ぐ医療法の開発が行われていまが、残念ながら決定的な方法は今のところありません。
肺癌が最も現れる年齢は60歳台、次に多いのが70歳台で、次いで50歳台です。と言う事は、肺癌は高齢者ほど多いのですから、これから超高齢社会になれば益々増加する癌と言えます。既に、肺癌の死亡者数は男性では1位ですし、女性でも胃癌を追い抜き大腸癌の次に来ています。肺癌の一次予防といえば禁煙ですが、この喫煙で肺癌になるものは扁平上皮癌と小細胞癌です。しかし、煙草を吸わない人達が増加している現在、実は扁平上皮癌と小細胞癌の増加率は低下して来ているのです。それにも関わらず、肺癌が急速に増加している原因傾向との因果関係が溥いと言われている腺癌なのです。この腺癌は原発性肺癌の約半敬を占め、特に女性の肺癌では約 75%を占めているのです。この腺癌はほとんど肺末梢に発生して、肺門部発生は極めて稀なのです。また増殖速度も他の肺癌と比べるとゆっくりした物もあり、l年間でもほとんど大きさに変化の無い物もあります。この事からも、高齢者の肺癌が増えている事と、緩慢な進行を考え合わせると、呼吸器系に影響を与える安全基準の範囲と言われている環境汚染物質の影響も十分考えられます。とは言え、喫煙は今の所どの統計を見ても最も危険である事は変わりません。