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がん - Part 4の記事一覧
正常な細胞には、無制限な分裂を抑える「細胞増殖のブレーキ」役とも言うべき、癌抑制遺伝子がいくつも備わっています。
代表的な癌抑制遺伝子には、DNAの損傷を修復する酵素蛋白を作る「p53遺伝子」や、細胞分裂を促進させるE2F転写因子を制御する「RB遺伝子」といった物があります。
細胞核内に1対づつある癌抑制遺伝子の両方が壊れて、初めて癌化が促進されるのですが、遺伝性の癌と言われる人は生まれながらに片方の遺伝子が欠失や変異しているので、癌になりやすいのです。
ところが最新の研究では、癌抑制遺伝子にまったく欠失や変異が認められないのに、機能していない為に癌が発生する事があると分かってきました。
遺伝子の塩基配列をコンピューターのハードに例えれば、どの遺伝子をいつ機能させるかというソフトが遺伝子の「機能スイッチ」にあたります。
癌抑制遺伝子の塩基配列が正常なのに機能しないのは、遺伝子の「機能スイッチ」が「オフ」になっているからで、このスイッチ役をしているのが「メチル基」という化学物質です。
炭素1個と水素3個からなり、塩基配列の内「…CGAT」のCの位置に取りついて「メチル化」して遺伝子の機能を止めます。
受精卵から各器官に分化、アポトーシス、成長と老化といった生命の機構にこのメチル化は深く関わっています。
いつどういう機序でメチル化が起きるのか、世界の癌研究で注目を集めている分野のひとつです。
がんを引き起こすウイルスには肝臓がんのB、C型肝炎ウイルス、バーキットリンパ腫や鼻咽頭がんのEBウイルス、子宮がんのパピローマウイルス、白血病のHTLV(ヒト白血病ウイルス)等がよく知られています。
これらのがんは癌を発生させる遺伝子を持っています。しかし、がん遺伝子だけが原因では無いと言う研究も出て来ているのです。
それはがんウイルスによって標的の臓器が慢性的な炎症になる事でがんの発症に関与していると言うのです。
ですから慢性的な炎症を起こすものはウイルスばかりで無く、細菌や寄生虫も挙げられます。
話題の胃がんの原因となるヘリコバクター・ピロリ菌や口腔内連鎖球菌のーつストレプトコッカス・アンジノズスが食道がんの原因ではないかと言われています。
更に膀胱がんは住血吸虫と言う寄生虫が関与している場合がある事も分かって来ました。
がんの原因の約10%はこのようなウイルスや細菌による慢性的な炎症によるのではないかと言う報告もあります。
最近では抗炎症剤は炎症を抑える効果だけで無く、同時にがんを抑制する事が分かってきました。
非ステロイド系の抗炎症剤のアスピリン等が大腸がんの発生を抑える事が出来ると言う報告もあります。
また、癌が出来てしまった為に、がん細胞から作られるサイトカインが炎症を起させ、その炎症によって益々がん細胞が増殖すると言う事も明らかになってきました。
従来は因果関係がハッキリしていなかった癌と炎症には深い関係がある事は間違いないところです。
細胞が癌化する原因は、化学物質、放射線等の物理作用、ウイルスや細菌等による生物作用等様々ですが、こうした外からの要因だけで無く、体内で作られる活性酸素も細胞を癌化させる大きな原因です。
体内で活性酸素が大量に発生するのは第一に炎症の場合が考えられますが、炎症によって作られるのは活性酸素だけで無く、サイトカインもまた作られ、そのサイトカインも遺伝子の異常を引き起こして癌化を促進すると考えられます。
B型やC型の肝炎などウイルスが癌を引き起こすと言う事は分かって来ていますが、直接的にウイルスが癌化させるのでは無くても、感染によって引き起こされた慢性的な炎症が癌化を促進すると言う事が考えられるのです。
こうした慢性炎症による癌の発生は細菌やウイルス感染による物も含めて1割はあると考えられます。
癌が出来ればサイトカインが分泌され炎症も起こります。
するとそこでまた活性酸素が発生すると言った具合に炎症は癌を作り、また癌によっても作られて状況を悪化させてしまうのです。
アスピリンなどの抗炎症剤が大腸癌を抑制すると言う事が分かりましたが、炎症を抑える事がひいては癌を抑制する事になるからでしょう。
生活のレベルが上がるに従って胃癌(多くはヘリコバクター・ピロリ菌と考えられます)や子宮癌、肝臓癌等が減って行くのも衛生状態が良くなるに連れ感染症が減り炎症に晒される事が少なくなるからだと考えられます。
炎症を無くせばかなりの癌が抑えられる筈です。
世紀中にはがんは制圧されるという希望的観測もありました。
しかしそのメカニズムが明らかなるにに連れてそう簡単な事では無い事も分かってきました。
現在の医療をみても、手術とその周辺的な分野として放射線療法、化学療法、免疫療法がメインであり飛躍的な進展はしていません。
遺伝子研究によるがん関連遺伝子の存在やウイルス 感染と発がんのメカニズムなどの解明により、可能性として遺伝子診断や遺伝子療法などの新たな方法もでてきました。
しかし、がん医療の劇的な展開を迎えるにはまだ先のようです。
確かに技術レベルの向上とノウハウの蓄積によって胃がん等の様に生存率が高くなっているがんもありますが、それでもがんによる死亡率が抑えられ無いのはなぜでしょう。
寿命が延びれば遺伝子が異常になりやすい為 がんが増えるという極めて当たり前の理由も ありますが、やはりがんを誘発する因子が我々の外都環境で増えつづけていることと身体の内部環境の悪化も見逃すことはできません。
がんが増え続ける原因を考えるとやはり、この環境という言葉に突き当たります。現在のがん医療はどれも決定打でほありません。
だからこそ色な予防法や改善法が模索されています。心理療法・内分泌療法、温熱療法、漢方療法、食事療法、我々の施術も含めて代替療法と言われる部分も多く存在しているのです。
細胞が増殖するときは、近隣の細胞がある細胞に「増殖せよ」というシグナルを送ります。
この「増値せよ」のシグナルは分子レベルの伝達で、細胞表面の受容体から細胞質へ、細胞質から核へとそれぞれの遺伝子が作るタンパク質によって順存にリレーされていきます。
一方で「増殖を押さえろ」というシグナルも細胞外から届けられ、これも分子レベルの伝達で核まで届けられます。このとき、リレーのメ ンバーに異常が起こると、その遺伝子はがん遺伝子となるわけです。
つまり「増殖せよ」というシグナルが無いのに、受容体が勝手に 増殖せよ」のメッセージを送ったり、また伝達過程で自分でもメッセージを増幅させたりして過剰に伝達したりすれば、細胞は異常に増殖をはじめます。
また「増殖を抑さえろ」というメッセージを受容体が受け取れ無くなったり、リレ一過程のメンバーの異常で核まで届けられ無くなれば、これも細胞の異常な増殖をもたらす事になるのです。
がん遺伝子というのは、この促進と抑制をつかさどるそれぞれのタンパク質を産生させる遺伝子に変異が起こったということなのです。
ですから、がん遺伝子といっても、促進、抑制それぞれの経路の受容体の部分なのか、細胞質内のどの伝達部分の異常なのかで病型も違ってくるし、がん遺伝子もおびただしい数になるわけです。
徹底的な温熱療法で末期の妻を救ったという鍼灸師の先生の例がありました。
確かに、がん組織は熱に弱く、例えば42度くらいの熱でも壊死させることが可能なのです。というのもがん組織周辺に熱を与えても正常な組織は血流によって熱は運びさられてしまいます。
しかし、がん組織の新生血管は正常組織の血管より貧弱なため熱を運ぶ事がたいして出来ないので腫瘍部分だけが余計に温度が高くなります。
この事を利用して、深部加湿装置を使ってがん医療を都立駒込病院では実際に行っています。
ここではサーモトロンという温熱装置を使いますが、直径25センチの電極を上下、あるいは左右にあてて、8メガヘルッのラジオ波を照射する仕組みになっています。体は電気抵抗がある為ラジオ波が入ると熱を発生させます。
同病院の放射線診療科では患部組織に42度位の熱を与えるこの温熱療法と放射線療法を併用して手術を嫌がった、患者さんの子宮がんの改善に成功しています。
今のところ、この療法は患者さんに熱によるハードな負担をかけるので、基本的には手術不能か手術拒否または放射線単独では根治が望めない場合に限りやっているそうです。
また、皮膚がんのメラノーマに血液を体外循環装置で加温して病巣部に流す温熱灌流療法が効果をあげています。
検診による早期がんの発見が増えたこともあり、がんと診断された患者さんの約半数は5年以上生存する時代になっています。
以前は、目前のがんの根絶の為に過剰とも思われるような抗がん剤や放射線による医療が当然のように行われてきました。
しかし、最近問題化してきたのが二次がんです。最初のがんが転移もなく根治したにもかかわらず、またがんになってしまう症例が増えてきています。
そこで、最初のがんに行われた医療の影響がなかったかどうかが問われてきているのです。
もちろん、二次がんは、元のがん同様の遺伝的な要因や環境要因などもあり、更に、同一の原因で時期がずれたがんや複数のがんが別の原因で起こる事もあります。
しかし、wH0の下部組織である国際がん研究機関が91年にまとめた約50種の抗がん剤の発がん性についての疫学調査と動物実験などによりアルキル化剤系などの複数の抗がん剤が危険であると報告しています。
また補助化学療法をうけた患者さんに二次がんの頻度が高いという大阪大学の研究もあるのです。今後二次がんを起こさせない為の原因解明と一次がん医療における基準作りが急務になって います。
サルモネラ菌は代表的な食中毒菌で、これによる食中毒の発生は年問約90 件、患者数3000 人にも昇ります。
発熱,嘔吐・腹痛・下痢の他に乳幼児では痙攣やショック症状を起こし、特には死に至る事もあります。
特に夏場の鶏卵は生で食べたりせずに過熱をした方が安全です。
サルモネラ菌は体内に入ると標的とする細胞を見つけてその中に潜り込んで増殖するという性質があり、それが最も恐れられている点です。
ところがこの「特技」を上手く利用して、がん細胞だけ標的にする様に遺伝子を改造することに成功しました。
米国のエール大の研究によると、サルモネラ菌からがん細胞だけを攻撃する様に3つの遺伝子を取り去り、抗がん剤の作用を増強させる遺伝子を加えました。
こうして改造したサルモネラ菌でマウス実験すると、100%がん細胞だけを狙えたのです。
がんが小さすぎで発見もできず、従って手術でも取れないがん細胞でも、この方法なら捜し出してやっつける事ができます。
また酸素無しでも生存できる嫌気性菌の性質ががん医療には最適なのです。
更年期に入ると老化現象として性ホルモンの分泌が不足したり、逆に過剰になったり不安定になってきます。
このホルモンの分泌異常ががんの発生に深く関わっています。例えば閉経前にエストロゲンの過剰分泌で起こるのが子宮体がんです。
この改善には基本的には手術が中心ですが、中にはホルモン剤と抗がん剤の併用により好結果をもたらした症例もあります。
この時使用したのがエストロゲンの作用に拮抗する黄体ホルモン(プロゲステロン)でした。もちろん女性だけで無く、例えば男性の前立腺がんは男性ホルモンの過剰分泌でより悪化する事は知られています。
この場合は、男性ホルモンを抑制する為に女性ホルモンのエストロゲンを投与する療法が非常に有効なのです。
更年期障害の為のホルモン療法をする場合には、乳がんや子宮がん等の定期検査が欠かせないのも、このホルモンの過不足によってがんが発生するからです。
ところで、乳がんの細胞はエストロゲンによって増殖する事が明らかになっています。そこで、乳がん細胞は思わぬ所で利用される事になりました。
実は性ホルモンと同じ働きをする化学物質で ある「環境ホルモン」の究明の為培養された乳がん細胞が利用されているのです。
1990年に米国国立癌研究所が発表した「デザイナーズフーズ計画では、がん予防に効果のある約40種 類の野菜や果物、香辛料、嗜好品がリストアップされました。
緑黄色野菜ががん予防の代表選手として挙げられていますが、他にもがん予防に大変有効な植物成分があり、特に注目を集めているのが、日本人の食生活に関係の深い緑茶です。
お茶に含まれるがん予防物質は「タンニン」から抽出された「カテキン」と呼ばれる独特のポリフェノールです。
ポフェノールは殺菌効果を持つ物質でフェノール基が沢山連なった化合物ポリフエノール類に、がん抑制効果の高い物が多数発見されています。
緑茶の「エピガロカテキン」、 紅茶の「テアフラビン」等はがんの 進行を抑える事が動物実験で示されました。
お茶の生産県で茶の消費量が格段に多い静岡県では胃がんの発生頻度が極めて低く、お茶の有効性が証明きれました。
緑茶にはカテキンだけで無く、がん予防に効果ありとされるビダミ ンC、ビタミンE、カロチン、食物繊維のどれをとっても非常に多く含まれています。
それもお茶の抽出液ではなく、茶葉に多く含まれているので、抹茶にする等、ぜひとも茶葉を利用したいものです。