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痛風は、足趾の激烈な痛みで発症する事が多いのですが、ベースになる高尿酸血症は日本人成人男性の20%とみなされています。
圧倒的に男性が多いのですが、閉経後の女性も危険性は高くなります。
高尿酸血症は肥満、暴飲暴食等が原因である事が多く、痛風だけで無く高脂血症、糖尿病、高血圧、腎障害、動脈硬化症、心筋梗塞等を合併する生活習慣病の一つなのです。
激しい痛みの急性期には薬による鎮痛も必要ですが、血清尿酸値が正常になっても、関節の回りに沈着した尿酸塩が溶解して行く過程で結晶脱落が起こる為、半年位は発作が起こりやすい状態が続きます。
しかし血清尿酸値が正常になり尿酸塩が無くなってからが勝負で、一生に渡って血清尿酸値をコントロールしなければなりません。
飲酒を控える・総カロリーを制限する・水分を充分に摂る・軽い運動をする・ストレスを溜め無い事が基本になります。
プリン体を多く含む食品(ビール、ウニ、イクラ等)を控える事も大切ですが、食べ物のプリン体に神経質になるよりはむしろ総カロリーを制限した方が良いのです。
また痛風患者はよく運動している方ですが、かえって激しい運動をしている人が多い様です。
無酸素運動では血清尿酸値を上昇させるので激しい運動は控えなければなりません。
更に、尿の中の尿酸の濃度が上がると尿路結石や尿細管閉塞等で腎障害が起こりやすくなります。
尿のPHが酸性に傾くと尿酸の溶解度が低下するので尿のPHをアルカリ傾向にする様な食生活にして水分をたっぷり摂る事も大切です。
通常の性生活で2年以上妊娠しない場合を不妊症といいます。体外 受精・胚移植等不妊症の高度な技術も発達してきました。
子供を産まない少子化時代の到来という中で、逆に子供が出来ない不妊症に悩んでいる夫婦も増えているのです。
一般に不妊は女性に原因がある場合が60~70%と言われています。
そこで不妊症の療法は排卵日の正確な予測が第一歩となります。
通常は基礎体温を測る事で排卵日を予測します。
これは排卵日を過ぎると体温が上昇して、月経が始まると体温が低下するという女性特有の体温変化による推定方法です。
また、血液中や尿中のゴナドトロピン(卵胞刺激ホルモンと黄体化ホルモンの総称)の濃度変化によって推定するやり方もあります。
最近では唾液によって排卵期を推定する方法が出来、検査機器も単純で費用も安く手軽に調べられる様になっています。
排卵期が近づくと唾液は粘性を帯びて来ます。それはエストロゲン、プロゲステロンの作用により子宮粘液と共に唾液の分泌量も低下するからです。
その唾板をガラスの上で乾燥させ、顕微鏡で覗くとシダの葉状の結晶が見られる事から簡易検査法がうまれたのです。
非排卵期では、斑状の結晶、中間期はその混合の結晶になります。
以前よりドイツでは唾液の結晶を観察するミニ顕微鏡の検査キットが販売されていますが、その精度は80%程度あると言われています。
日本でも口紅サイズの「サイクルチェックレディースフリー」という商品名で売られています。
中高年になって来ると簾の痛みが出たり、下腿骨が湾曲してガニ股になる人がいます。
これは膝関節を支持する筋力の低下、特に下肢の内側の筋力低下が問題なのです。
私達の身体は、ゆっくりした動きの時は体重を小趾側にかけて外側に付着している筋肉群を使い、速い動きの時は大きなキックカを得る為に拇趾球に体重をかけて下肢の内側に付いている筋肉群を使うという特性を持っています。
ですから運動不足で、速い動きが少なくなると必然的に内側の筋力が低下して来るのです。
例えば下腿三頭筋には内側、外側に分かれる腓腹筋とその下層にヒラメ筋があります。
腓腹筋は早筋の割合が多く、ヒラメ筋は遅筋の割合が多くなっています。
この筋肉は、足底屈筋群として働くと同時に、腓腹筋の外側は下腿の骨を外側に、内側は下腿の骨を内側に引張って膝関節をバランス良く保ちます。
中高年になってゆっくりした動きが多くなると、腓腹筋の外側の筋肉は遅筋割合が多くなり筋力は現状維持か、多少発達します。
しかし、内側はほとんど使われず、筋力が低下して下腿骨を内側に引っ張る力が弱くなると膝関節のバランスが崩れ、下腿骨が徐々に外側に曲がり、ガニ股になったり、膝痛の原因になってくるのです。
また大腿部の内側にある大腿内側広筋も筋力低下して膝蓋骨を上内側に引っ張る力が弱くなる事で、膝蓋骨と大腿骨が擦れて膝痛の原因になります。
膝を守る為には速く動く運動も必要なのです。
年を取ると次第に肌はかさかさして来て、保温が出来無くなり玉の様なつるつる肌ではいられ無くなります。
これは表皮角層水分保持機能が衰える事で起こります。
この角層は皮膚の最上層にあり約20ミクロンの組織で角質細胞とそれをとり巻く細胞間脂質(セラミド)からなり、1日に表面の一層が剥げ落ち垢になります。
角層内には通常水分は約30%あり、柔軟性や潤い、乾燥防止等に貢献していますが、アトピー性皮膚炎や、乾皮症等では水分は低下しています。
通常、この水分は角層内にしっかり保持されている事から特別な保持機構があり、それはアミノ酸等の水溶性低分子物質だと考えられていました。
最近この角層の中にはセラミドを主成分とする脂質が脂質二重層を形成して、水分子を結合する形で抱え込む事で性質が水分保持機能を持っているのだと言う事が明らかになってきました。
この脂質に含まれる水分は脂質と結合しているので不凍水になり、-40度の環境でも凍ら無い事が確認されています。
また例え乾燥状態でも蒸発しない水として大変重要であるのです。
この事が人間が砂漠の様な乾燥地帯からツンドラの極東地という厳しい環境にも適応する事を可能にしたのです。
人類が地球上のあらゆる所で生存出来るのも、実はこの角層の脂質二重層の中の不凍水のお陰だったのです。
我々の身体の60%は水で構成されていますが、細胞の内外の水の量はー定に保たれる様になっています。
人体を構成する細胞はそれぞれ固有の容積がありますが、その容積をー定に出来るのは容積調節機能があるからです。
さて、この容積調節機能として知られているのは細胞膜にあるイオンや水を透過させるイオンチャンネルと水チャネルがあります。
またチャネルとは異なるメカニズムで物質を輸送する膜貫通型輸送蛋白をトランスポータと呼んでいます。
このトランスポータには、ある特定の物質のみを輸送するユニポータと2種類以上の溶質を同時に同じ方向に輸送するシンポータと、逆方向へと輸送するアンチポータがあります。
このメカニズムが破綻すれば、細胞は死んでしまいます。
細胞の死に方には二通りあります。細胞死としてよく知られているアポトーシスの場合は細胞から水分が出て行き収縮して死んで行きます。
もう一つのネクローシス細胞死の場合は細胞に水がどんどん入り込んで膨張してしまう事で起こります。
いずれの場合も、容積調節機能が破綻する事が第1の原因なのです。特に虚血や低酸素状態にさらされた細胞はネクローシスを起す事が知られています。
細胞の容積変化の原因となる浸透圧負荷は、多くの疾病によってもたらされます。
この細胞の容積調節機能の破綻こそ、多くの細胞病態の姿であり、細胞死に関わっている事が明らかにされつつあります。
タバコの煙には4000種類の物質が含まれ、その中に200種類の有害物質があり、特にタール、ニコチン、-酸化炭素、ニトロソアミン、ベンツピレン、アンモニア等の発癌や粘膜刺激症状を引き起こす物質が含まれています。
そのタバコを止められ無くしているのがニコチンで、身体内に非常に吸収されやすく、煙を吸い込んで数秒で脳に達し、ほとんどの脳内神経伝達物質に影響を与えます。
不快感を和らげて快感をもたらしますが、一定のニコチンが体内に無いと逆に不安になります。
長期間喫煙しているとニコチンが常態化して脳内神経伝達物質の分泌量にも影響を与えます。
血旅中のニコチンがある一定量を保っていないと脳細胞の活動レベルが下がり、不安、いらつき、眠気等の症状がでるのです。
ニコチンは喫煙終了後約30分で半減するので次の1本が欲しくなります。
依存症の人が禁煙すると、24時間以内にニコチン願望、欲求不満や怒り、不安、集中困難、落ち着きの無さ、徐脈、食欲増加の離脱症状が現れます。
禁煙補助薬としてニコチンパッチ、二コチンガムという、ニコチン代替療法剤を使い、少量のニコチンを外部から持続的に補給し離脱症状を抑えながら、習慣、癖などの日常生活を含めた禁煙指導をするという方法や商品名チャンビックスの様なニコチン受容体作動薬があります。
ニコチン受容体を刺激する事で少量のドーパミンを放出させて離脱症状を減らす薬でバレニクリンの薬理作用です。
副作用として抑うつ、自殺行為が一部に見られこれらの補助薬は医師の処方が必要です。
我が子に喘急用の吸入薬硫酸サルブタモールを飲ませ、殺害を図ったとして逮捕された准看護婦の母親の事件がありました。
普通に処方されている、喘急用の気管支拡張剤をお茶等に入れて飲むと死ぬ事があるのかと言う事で、喘息の発作時に「ベネトリン吸入旅」(製品名)を使用している人々から「この薬は安全なのか」と言った問い合わせが数多く殺到しました。
基本的には同じ薬でも吸入するのと内服するのとでは体内への吸収量と作用範囲が大きく異なります。
吸入薬は専用の吸入器(ネブライザー)に少量入れ、吸気と共に吸い込みます。
喘息の薬ならば末梢の気管支粘膜に直接働きかけて、気管支を拡張させます。
その働きは局所的なので毎日適量を吸入するだけでは、効果が他の臓器に及ぶ事はありません。
吸入用の薬をもし内服すれば、胃腸の粘膜から吸収され、静脈から心臓を介して全身を巡るので、作用が全身に及びます。
硫酸サルブタモールには交感神経を刺激する働きがあるので、過度に服用すれば心悸亢進や不整脈を始め様々な交感神経緊張の症状が表れます。
吸入する時は用量をきちんと守れば決して危険な薬ではありません。
事件であった様に、もし吸入薬を点滴で体内に入れたとすれば、肝臓で分解されてしまう前により強力に直接的に全身の各器官に作用するので、内服の10分の1の量で同じ働きがあり、生体にとっては極めて危険な結果になります。
日本を含め世界各地の子供達がADHDの症状を起こしています。特にアメリカでは子供達の10%、地域によっては20%ととも言われています。
ADHDの子供の脳は右前頭前皮質や大脳基底核にある尾状核や淡蒼球が小さくなっています。
右前頭前皮質は注意を散らさず我慢する事、自意識や時間の意識の発達に関与します。
尾状核と淡蒼球は反射的な反応を抑えて大脳皮質が注意深く慎重な行動をとるのを助けて様々な皮質領域に渡る神経入力を調節する役割があります。
この脳がどうして縮小するのか、原因はまだ明らかではありません。
色々な研究から神経伝達物質であるドーパミンが感情や運動に関わるニューロンの働きを抑制したり調節したりしますが、その脳の領域で活発に発現するドーパミン受容体とドーパミンを再利用するために取り込むドーパミントランスポーターの遺伝子の変異による遺伝的要因であると考えられています。
しかし最近ではダイオキシン類の中に、身体や脳の発達に重要な甲状腺ホルモンの働きを阻害する物質があると言う報告があります。
人体に蓄積されたダイオキシンが胎内での発生初期にPPT(1兆分の1)レベルの極微量で発生過程に重大な影響を及ぼし脳の発達に関与していると言うのです。ADHDの原因が何か、早急な解明が待たれます。
老人性の痴呆症には脳血管性の物と変性性認知症(アルツハイマー、FTD等)とがありますが、痴呆症の初期の段階では見極めが難しいものです。
アルツハイマー病は脳神経の内記憶や理解、判断を担う神経細胞が侵され、約10年間で1400gあった脳が800~900g以下に減ってしまいます。
日本で初めての痴呆予防ドックが開設されたのは三重県の津生協病院附属診療所でした。
それまで一般の脳ドックで発見し難いと言われていた、アルツハイマーの早期発見が出来る様になりました。
検査は、まず点眼検査で瞳孔の開き具合を見ます。トロピカミドと言う薬をアルツハイマーの人に点眼して30分後に調べると、瞳孔が異常に散大します。
この現象はアルツハイマー病の9割以上の患者に表れ、そうで無い人には表れません。
次に血液検査で、アルツハイマーの発症との関連が確認されている、アポE4とよばれる特殊蛋白質の遺伝子を調べます。
このアポE4が発見された人はアルツハイマーになる可能性が高いのです。
3番目に、MRIで脳の断層撮影を行い、実際に脳に萎縮があるかどうかを調べます。このMRIでは、まだ症状の表れていない、脳血管の小さな梗塞等も発見出来ます。
そして最後に問診で、簡単な計算能力や文章の理解度を調べ、痴呆の兆候が無いか記憶力をチェックします。
現在は多くの病院がMRI脳ドックPETによる脳ドック物忘れ外来等開設する様になりました。
早期発見は最新の薬も効果が期待でき、生活上で工夫をする事により、脳に刺激を与えて進行を遅らせる事は充分可能ですので周りの家族が早めの検査を受診させる事が大切になっています。
夏の太平洋高気圧が弱まり、大陸からの移動性高気圧が張り出してくると、地上は涼しくなってきます。
移動性高気圧と高気圧の間に気圧の谷間が出来、寒冷前線となって天気は崩れ、このパターンが繰り返されて、秋は次第に深まっていきます。
秋の天気はこの様に高気圧と前線の移動に伴い、急激な気温と気圧の変化をもたらし、これが生体に強いストレスとなるのです。
気温や気圧の急激な変化が病気を引き起こすのは、気温の変化で交感神経が刺激を受けて、自律神経のバランスが崩れる為だと考えられています。
気圧の低下では、軽いうつ状態に陥って精神不安定になり、問題解決の能力や判断力が鈍ると言われています。
秋の季節病と言われる物には、リウマチ、関節炎、古傷等の痛み、精神不安等があります。
急に気温が下がると気を付けなくてはなら無いのが、高血圧と心臓血管系の持病を持っている人です。
脳卒中の起きやすい気象データによると、前日よりも気圧が下降し、雨の日よりは晴れた日で、1日の温度差が出やすい午後3時から6時の間で、湿度が60%以下の時に多いそうです。
この気象条件は、秋が深まって寒冷前線が通過した直後の、寒波襲来の時に一致します。
また秋に多発する喘息の発作は、以前は秋雨前線の影響だと思われていましたが、逆に移動性高気圧が来た秋晴れの日の方が、多いと言う事です。