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嚥下障害のリハビリ

2021.06.19 | Category: リハビリ

嚥下は口、喉、食道を経由して胃までの一連の運動でなされ、極短時間に行われます。

脳卒中による嚥下障害は左右大脳の両側損傷によって、喉が麻痺する(仮性球麻痺)事で起こります。

この障害では喉の神経が麻痺しているので、食べ物が上手く飲み込めずにつかえてしまったり、流動物が誤って気管の方へ入ってむせたり、飲み込んだと思った食べ物が鼻の方に戻って来たりします。

又よだれがいつも口から垂れていると言った事が起こります。

重症の仮性球麻痺の場合は、食べ物がむせて肺に入り込み肺炎を起こす事を防ぐ為に鼻腔チューブを使用したり、お腹から胃に直接チューブを通す胃瘻手術をする事もあります。

中等度の仮性球麻痺では、固形物はむせる事が少なくなり、栄養補給は出来ますが、流動物にはむせやすい為水分不足で脱水となる事があります。

このような場合は寒天やゼリーや市販の食品増粘剤を利用して、半流動物状にすればむせるのを防ぐ事ができます。

嚥下障害が軽ければ、専門の訓練士と相談しながら嘸下のリハビリをすればよいのですが、患者本人が「口から食べたい」という欲求とリハビリに費やす時間と労力が必要なのです。

リハビリの最初は食べ物を用いず、むせずに唾を飲み込む事から始めます。

次には少量の固形物、次に半流動物、そして液体と段階を追って行いますが、リハビリは必ず医師か訓練士が吸引装置を常に準備して行います。

リハビリに携わる専門職

2021.06.19 | Category: リハビリ

患者に器質的な機能障害がある場合、リハビリ訓練のプログラムを組み、これを実践しながら患者や障害者が積極的に生きていける様に援助を行う専門職には様々な物があります。

理学療法士(Physical Therapist)は、脳卒中で運動機能や感覚や高次脳機能が低下した患者や、交通事故や怪我等で筋肉・骨や脊髄を損傷した患者に対し、座る事や立つ事や歩く事と言った、基本的な動作能力の回復を図ります。

かつては症状が落ち着いた慢性期の患者に対してリハビリを行ったのですが、最近では急性期や手術の術前術後・救急患者・重症患者、新生児等に対して早い時期から理学療法を実施するケースが増えています。

作業療法士(Occupational Therapist)は、身体障害・精神障害・発達障害・老年期障害を持つ人達に対して、日常生活に適応する為の動作能力の回復を図ります。

機能的作業療法では粘土細工や手工芸等の作業を通して上肢や手指の訓練を行い、応用として食事や洗面等身の周りの日常生活動作訓練を行います。

言語聴覚士(Speech Therapist)は平成9年に国家資格となった新しい資格で、事故や脳卒中の後遺症として発生する失語症、子供の場合は口蓋裂や難聴・吃音・自閉症等による言語発達の遅れが対象となります。

また発声器官である口腔の機能が低下すると摂食障害や嚥下障害が起こるので、これも言語聴覚士の役割となります。

なお、他にも義肢装具士、視能訓練士、精神保健福祉士等の専門職があります。

リハビリと義足

2021.06.19 | Category: リハビリ

義足のオスカーピストリウスが両足切断クラスの世界記録者の選手が殺人事件で有名になりました。

今は障害者の100m200m400mの世界記録で健常者記録の逆転がいつの時期になるかが話題になっています。

両足にカーボン素材のばねを付けて走る事から可能性が非常に高くなっています。

この様な記録をつくれるのも競技用の義足の開発があればこそです。

義足の歴史は古くルネサンス時代には考案されていますが、長い間中々良い義足は作られていませんでした。

しかし、第二次世界大戦で足を無くした沢山の負傷兵の社会復帰の為に、新しく考案された義足が作られる様になったのです。

従来の大腿切断の場合では、歩くだけでも大変な負荷がかかっています。それは切断の先端部で体重を受ける構造になっていたからです。

最近では坐骨結節で体重を受ける様に改良されているのです。つまりお尻の部分で受けているので、負荷に耐えられるのです。

それに現在は油圧シリンダーやカーボン繊維等でよりスムースな動きが出来る様になっているのです。

また、下腿切断の場合も先端部ではなく、膝蓋骨のすぐ下の膝蓋腱の部位で体重を受ける様な構造になっています。

いずれの場合も先端部より、はるか上の所で体重を支えているので、歩いても走っても痛くない訳です。

これも、体重の分散を考えた義足作りの中で生まれた技術革新があれぱこそなのです。

現在の義足の進歩は目ざましく、股関節から足を全部取ってしまった場合や更に骨盤を半分取ってしまった場合でも、それに適した義足が開発されています。

失語症

2021.06.19 | Category: リハビリ

失語症は大脳の左半球にある言語中枢が障害されて、言葉を用いて考えたり、話したり、書いたりする事が出来無くなる事を言います。

普段使う言葉には、声で話したり聞いたりする話し言葉と、読んだり香いたりする文字言葉があり、失語症では程度差はありますがこれら全てが障害されます。

主な症状としては、頭で思ったイメージを言葉に出来ない喚語障害、間違った言葉を言ってしまう錯語、「てにをは」が抜けた様な話し方をする文法障害、長い文章を聞いて理解する事の障害、数字を間違えたり計算が出来ないと言った事があります。

またウェルニッケ失語(感覚性失語)という失語症では、話し言葉は流調に出て来るものの何をしやべっているのか意味不明の「ジャーゴン失語」という特徴的な話し方をします。

失語症で不思議な事の一つに、漢字は良く分かるのにひらがなやカタカナは良く分からないと言う事があります。

漢字は文字その物に意味がある表意文字で、大脳のあちこちの分野で色・形のイメージ等を記憶している為、ひらがなやカタカナのように表音文字で一字一字には意昧の無い文字に比べて良く理解出来るからです。また、言葉が話せなくても歌は歌えると言う事があります。

言語中枢は大脳の左半球ですが、歌う能力は右半球にあり、歌は言葉と言うよりも記憶の形で脳にしまわれている事が多いからです。

失語症の回復は、発症1~3ヶ月位までは急速に改善し、その後はゆっくりとした改善になります。

聞く・話す・読む・書くの順に回復し、計算する能力は最後まで回復が遅れます。

早期離床のすすめ

2021.06.19 | Category: リハビリ

病気や怪我の急性期には安静にしていなければなりません。

しかし、安静にしている間にも心身を使わ無い為の機能低下=廃用症候群は起こっています。

この廃用症候群は老若にかかわらず起こりますし、一般に考えられているよりも深刻な状態に結び付きます。

廃用症候群は、局所的には関節拘縮、筋萎縮(筋力低下・耐久性低下)、皮膚萎縮、褥瘡等が、全身的な物では心肺機能の低下、消化器機能低下(食欲不振・便秘)、易疲労性が起こり、精神的な面では知的活動低下、うつ傾向、自律神経の不安定等が見られます。

つまり心身共にあらゆる機能が低下する訳です。

これらの廃用症候群を予防する為にはとにかく早期の離床が大切で、欧米では以前から「安静の害」が言われています。

虫垂炎や普通の出産であれば1泊程度の入院で済ませるのも、この考え方によるものです。日本では病気になったら安静に寝ている事が良しとされていますが、それが“必要以上の安静→廃用症候群による体力低下→易疲労→安静→寝たきり”という悪循環をもたらす事になり、リハビリの開始を遅らせる事にもなっているのです。

離床が遅れれば遅れるだけ回復は困難になってしまいます。

状態が非常に悪い時以外は日中は臥位をとらず座位でいる事、とにかく早く歩き始める事が大切です。

この廃用症候群の予防はリハビリの前提となる物で、廃用症候の予防無くしてはリハビリの効果を上げる事は出来ません。

関節拘縮が命を縮める

2021.06.19 | Category: リハビリ

脳卒中患者の臥床期は筋緊張異常により、上肢では肩内転・内旋、肘屈曲、手関節掌屈、下肢では股関節屈曲・外転・外旋、膝屈曲、尖足・内反といった特徴的な異常姿勢を示します。

この姿勢での拘縮を防ぐ為に良肢位を保つ様にする事や、2時間置きに行われる体位変換の時にも、適宜肢位を変える事で関節拘縮を防ぐ事が大切です。

またリハビリでの関節可動域訓練による拘縮の予防は関節機能や麻痺の回復を早め、それに伴う随伴症状を防ぎます。

麻痺の為に筋肉が廃用性萎縮を引き起こして関節が拘縮して動か無い為に、血行障害から浮腫を起したり、体重の偏りが生じて圧が一点に集中して、褥瘡を引き起こしやすくしています。

片麻痺患者で股関節屈曲の拘縮があると大臀筋がいつも筋伸張の状態のままになっているので、大臀筋の血行が不良になり、膝関節の屈曲による仙骨部の圧力の増加によって仙骨部の褥瘡が出やすくなるのです。

また拘縮が心肺機能の悪化に繋がる事があります。

肩関節が内転状態で拘縮すると腕の重みで肺を圧迫している状態になり、心肺機能の低下に繋がったり、喀痰の排泄が不十分な為、沈下性肺炎を起こす事があります。

体位変換をする事や、関節可動域訓練をして拘縮を改善したりする事で、褥瘡や心肺機能の低下を防ぎ、全身状態を良くしてADLの向上に繋がる様にします。

シナプスとリハビリ

2021.06.19 | Category: リハビリ

梗塞や出血によって脳がダメージを受けても、その障害を受けた部分が担当していた機能が回復しない訳ではありません。

確かに神経細胞は死んだら再生しませんが、生きている神経細胞は新しいシナプスを作る事が出来ます。

ひとつの神経細胞が死んだ場合、その細胞が受け持っていた細胞に、生き残った細泡がシナプスを伸ばします。

つまり幹線道路が通れなくなったらバイパスが出来るという訳です。

しかもシナプスは使えば使うほど情報の通りが良くなって来ますから、最初は細くても何度もそのルートを使っている内に段々としっかりした道路に成長して来ると言う訳です。

ただし、神経細胞は目的を持って発芽する訳でなく、たまたま空いていた細胞に気まぐれにシナプスを作っただけなので、時としては迷惑な繋がり方をする事があります。

しかしシナプスはよく使われれば生き残り、使われ無ければ使え無くなって行きますから、マイナスのシナプスは使わない様にすれば良いのです。

つまりこの時に正しい使い方のリハビリをして好ましいシナプスを定着させるようにすれば失われた機能も回復出来る事になるのです。

脳は部位による役割分担がありますが、厳密に限局されている訳ではありませんから残った神経がこの様な代替機能を持つ事が出来るのです。

ただし代替の効かない神経細胞が集まっている部分が障害されると、障害部分が小さくても、どんなにリハビリをしても代替は不可能です。

心臓リハビリテーション

2021.06.19 | Category: リハビリ

欧米では盛んに心臓リハビリが行われていて、虚血性心疾患の再発を防止する為の運動療法、医学的な評価、教育、カウンセリング等を実施しています。

この中で生活習慣の改善の指導と心理的不安に対するカウンセリングなどは回復期のリハビリで始めますが、なにより重要なのが「運動療法」です。

もちろん心臓が悪い人の運動療法はリスクを伴いますので、受診後の心臓の機能や心筋の虚血の状態、身体全体の運動能力を調べる事が重要です。

特に「運動負荷試験」により心筋虚血や心室性不整脈の状態を正確に捉えて運動量を決定します。

この運動療法により運動能力が改善しますが、これは最大酸素摂取量が増加し骨格筋の酸化能力が増えるからです。

更に運動療法を持続的に続けると心拍数と収縮期血圧が下がりますので心筋の酸素消費量が減少する事になり再発が起こり難くなるのです。

またコレステロールと中性脂肪も確実に減少し、遂に善玉コレステロールは増加します。運動としては歩行、走行、水泳、サイクリング等大きな筋群を使う物が良く、激しい運動は当然お勤めではありません。

また、運動の強さとしての目安は最大酸素摂取量の40~85%、最高心拍数の55~85%と相当幅広く設定されていますが、心臓の状態の個人差がある事と運動の内容にもよるからです。

運動強度としては「少しきつい」と感じる程度に運動量を止める事が大切です。この「少しきつい」は有酸素運動を持続しやすく有効な運動強度と言えます。

脳血管障害とリハビリ

2021.06.19 | Category: リハビリ

現在の日本では脳血管障害の患者さんが寝たきりになる最大の原因を作っています。

ですから介護保険の対象疾患でも当然ながら1位になっています。今後高齢者が増加して行きますから、脳血管障害の患者さんが増える事は間違いないところです。

リハビリで最も大切なのが神経学的評価で、意識状態、言語障害、失行・失認、視力・視野障害、運動麻痺、感覚麻痺、摂食・嚥下障害、排泄障害、知能・精神障害等に対して、理学療法、作業療法、言語療法ときめの細かいメニューが必要です。

初発の脳血管障害の患者さんの統計的な予後は、30%が自然回復、死亡が20%、片麻痺等の何らかの障害が残るのが約50%と言われています。

ADLで最も切実な問題として歩行出来るかどうかがあります。リハビリを行った患者さんの内は60~80%が最終的に歩行可能になると言われています。

ただし、その内の30%は短下肢装具等が必要になります。ただ、上肢の場合は、巧緻な作業の出来る手の機能等の回復は約20%と低く、健側の手と片手動作訓練が必要になります。

また、多くの患者さんは高血圧、糖尿病、心疾患等の悪化する危険因子を伴っています。

ですからリハビリも初期の段階から、年齢、機能障害、能力低下のレベルを考察し、最終的な能力回復の程度を予測しながら行う事が大切です。

更に家族の介護力や経済力等、退院してから予想される生活のパターンについても多面的なフォローが必要になります。

ただそこまで現在の医療が担っているかといえば疑問符がつきます。

肩関節のリハビリに注意

2021.06.19 | Category: リハビリ

理学療法や作業療法のリハビリで誤った施術による二次的な損傷を誤用症候と言います。

よく見られるのが脳卒中のリハビリによる肩関節の損傷です。

他動関節訓練の原則は「正常可動域いっぱいに行う事」とされていますが、肩関節については大きな誤りで、180度屈曲または外転を行うと医療過誤を起こしかねません。

肩関節は複合運動で全体の3分のlは肩甲骨の回旋によって行われ、3分の2は狭義の肩関節である肩甲上腕関節で120度が可動域の限界です。

関節の固定は主に筋によって行われますが、完全麻痺に陥ると筋緊張の低下により関節固定は不良になり、他動的に無理な力が加えられた場合の反射的筋収縮による関節保護も行われません。

通常、肩関節が動く場合は肩甲上腕関節が120度まで達してから三角筋、棘上筋等を介して肩甲骨を動かし、筋収縮によって保持されるのですが、それが無い為に、敏帯や関節包に力が加わり損傷、断裂し内出血痛みを起こすのです。

それを繰り返せばほとんど改善不能な拘縮を作ります。更に肩の損傷による痛みは肩手症候群を誘発させます。

この症候群は自律神経が関与した特異な疼痛障害であり、脳血管障害の5~30%で認められ、通常発症後1ヶ月より目立ち、疼痛が激しく患者の活動意欲を低下させます。

初期では、手の腫脹や発赤がみられ、適切な関節訓練や温熱療法で改善が可能ですが、改善されないと手指の筋が萎縮し、完全な拘縮となり、実用的な機能は期待出来なくなります。

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