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感覚 - Part 2の記事一覧
痒みは皮膚の傷や炎症がある時に起きますが、痛覚を麻酔すれば痒みも消失するので、痛みのごく軽い刺激が続く時に起こると考えられています。
外傷や炎症があるとヒスタミンが遊離され、自由神経終末を刺激します。虫刺されや蕁麻疹等が痒い時、暖めると一層痒くなって来るのは、血行が良くなると痛い所が余計に疼くのと同じ原理です。
痛みの急性期に冷やすと痛みが抑えられる様に、痒みも冷やすといくらか抑えられます。しかし皮膚の老化に伴い、皮膚にこれと言った症状がないのに身体のあちこちが痒くなる事があります。
これは老人性皮膚掻痒症と言って空気が乾燥する秋から冬にかけてかゆくなる症候で、皮脂腺と汗腺の分泌機能が低下した為皮膚がカサカサになって起こるのです。
高齢者では、お風呂好きでいつも石鹸でよく洗う、入浴後も保温剤も塗らない、高温の風呂を好む、電気毛布で寝ている、と言うケースが目立ちます。
こうした痒みを防ぐには脂肪分を落とさない様に入浴回数を減らしたり、いつも石鹸でゴシゴシ洗うのを避け、お風呂上がりに油分と水分を補う事が大切です。
また同じ様な皮膚のカサカサでも、陰部の痒みと小さな水泡がブツブツ出来るのは、糖尿病のサインです。
糖尿病によって体内の水分が失われ始めて皮膚がカサカサし、外陰部に尿糖があるのでカンジダが住みついて擬膜を作り、しつこい痒みが起こるのです。
人には「くすぐったい」という感覚がありますが、くすぐったさの感覚受容器がある訳ではありません。
指先で軽く圧をかけて触られたり撫でられたりすると、触、痛、温、冷等の感覚が複合刺激となって脳に伝わり、くすぐったいと感じるのです。
しかし足の裏や腋の下を、自分で触っても何とも無いのに他人に触られるとくすぐったいと感じます。同じ刺激でも、神経の興奮となって脳に上がってきた段階で「それが自分によるか、他人によるか」という判断が加わり、感覚を変化させているのです。
皮膚感覚というのは受け取る側の気持ちや意識やその時の状況により、心理的な面が強く影響して変化すると考えられています。
この心理面に恋愛感情があると、くすぐったさは性感として感じると言われています。大脳の前頭葉でその感覚の意味を覚えていて、くすぐったいのか性感なのかを切り変えるスイッチがあると考えられているのです。
ちなみに人間以外ではチンパンジーが腋の下や足の裏を触ると顔の表情を緩めたりくすぐったそうな仕草をしますが、日本ザルにはみられません。
人間も赤ちゃんの時は感じない様ですが、少し成長するとキヤキヤと騒ぐようになるので、くすぐったさとはかなり発達した感覚の様です。
患者さんのくすっぐたいという感覚を、何とかすると言う事は私たちが施術する上でも重要な課題です。
いずれにしても、患者さんとの信頼感というた心理的なファクターが関係していることは間違いの無いところです。
「痺れ」には感覚が鈍くなる知覚麻痺、ビリビリ、ジンジン、チクチクと感じる異常知覚、筋肉が麻揮して動かなくなる運動麻痺の3つの意味が含まれ、その痺れを起こす原因も数多くあります。
その中で末梢知覚神経線維が異常知覚を起す原因に血行障害があります。例えば正座をした時に、下腿の血行障害が起こって感じる異常知覚です。
末梢の血行障害は体性感覚神経の有髄線維(A線維)の軸索突起を被覆している髄鞘やそれに関わるシュワン細胞の代謝を障害し、その知覚機能を停止してしまいます。
この段階では痛覚線維の無髄線維(C線維)は障害されて無いので、圧迫刺激から起こる痛みが中枢に向かう事で異常知覚を感じるのです。
更にこの状態が続くと運動神経も麻痺し、次に無髄神経も機能停止して何も感じ無くなるのです。
血行が改善されると、逆の順序で神経の働きが戻ります。また異常知覚は化学物質の中毒が原因でも起きます。
有髄神経は化学的物質に強いのですが、無髄神経は弱い為に障害され、その障害がひどければ無痛になり、中途半端に障害されると化学物質の刺激症状として、強い異常感覚が発生すると言われています。
異常知覚の痺れも、その原因でかなりの違いがあるのです。
コロナウイルスに感染すると味覚障害になる事が一部の患者さんから起きている事は皆さんご存じですが、食べ物の味が分から無いと言った味覚の異常を訴える人が増えている様です。
その原因として亜鉛の摂取不足が問題になっています。味覚は口腔内に取り入れられた化学物質が味蕾の中にある味細胞を刺激して発現します。
この味細胞は新生を繰り返す細胞で、その細胞交代する時にガスチンという酵素が必要になってきます。
この酵素は耳下腺から分泌され、亜鉛を含むのが特徴です。亜鉛は人体中に2.5g含まれ、DNAとRNAの合成に不可欠で、細胞分裂に重要なミネラルですが、その血中亜鉛レベルが低下すると味細胞の病的変化が生じ味覚機能が障害されるのです。
その障害はガスチン量が正常者の5分の1に減少すると表れ、その患者に亜鉛を投与すると味蕾形態も正常化して、味覚障害も無くなります。
味覚障害を原因別に見ると食物からの亜鉛摂取不足による食事性欠乏性が約30%、投与されている薬が体内の亜鉛を取り込んで味細胞の再生を妨げる薬の副作用が約25%、胃腸の手術や肝炎、ネフローゼ糖尿病などの疾患による亜鉛欠乏症が約15%の順に多く、亜鉛不足が患者の約70%を占めます。
亜鉛不足に陥らない為には、動物性食品、ナッツ類、豆科野菜等を毎日の食事から摂取する事です。
またリン酸塩やフィチン酸と言った食品添加物が入っている加工食品は亜鉛の体内吸収を阻害するので注意が必要です。
一つの実験です。真っ暗い部屋に小さな光(タバコの光でも豆電球の光でも)を灯して少し離れた所からその光をじっと凝視します。
暫く見つめているとその光がふわふわとさまよったり、素早く動いたりする様になりますが、みつめ続けると更に動きは激しくなる筈です。これは自動運動現象と呼ばれる現象です。
一点を見つめ続けると眼球の筋肉が疲れ、眼球の固定点が光から外れようとし、それでも見つめ続け様とすると脳は筋肉に修正する信号を送り、筋肉を動かそうと努めます。
すると脳は筋肉の動きを光が動いていると勘違いしてしまうのです。
つまり光が飛び跳ねている様に見えるのは幻覚ではなく、知覚やそれを脳で構築する時のエラーによる物なのです。
この現象では、例えば一心に祈っていたらキリスト像が動いたとか、夜空に光るUFOが見えた等の“奇跡”の多くを説明する事が出来るでしょう。
更に脳は多くの先入観で満たされていますから、知覚のエラーが心理的な影響によって認知を間違わせる事もあり、知覚のエラーと認知の間違いが同時に起こる事もあります。
こうした現象は誰にでも起こりますから、一人だけの目撃では無く、多くの、時には何万人もの目撃者を作る事になり、“奇跡”が誕生する事になるのです。
一般に急性痛は短期間の痛み、慢性痛は急性痛を過ぎても持続している痛みと理解されています。
しかし急性痛と慢性痛は基本的に違った物と考えるのが適当です。急性痛は骨折や炎症など、はっきり分かる原因によって起こった結果としての痛みです。
例えば手術出来ない癌等によって痛みが継続的に続けぱ、それは痛みが急性期から慢性化したと考えるのでは無く、難治性の急性痛が継続的に続いていると言う事です。
つまり原因疾患と痛みは対応していて、その疾患から回復する事で痛みも減ってきます。
-方慢性痛は痛みの原因疾患が改善にも関わらず痛みだけが残っている物で、急性期の痛みとは質が違うと言えます。
ですから原因疾患は治っているのに痛みが残っているなら、と原因疾患の対策と同じ方法を続ける事は有効では無いのです。
アメリカのペインクリニックの報告では慢性痛を訴える患者さんのタイプを分けて・痛み無しでは要られ無い ・問題に執着する ・精神疾患による ・痛みは消えているのにそれを認めない、等の傾向があるとしています。
慢性痛の患者さんに対しては、その痛みが急性の痛みでは無い事、心因性で無い事、神経系の伝達に問題が無い事を判断した上で、急性痛とは達ったアプローチが必要と言えるでしょう。
1日周期の体内リズムは感覚にもあります。アメリカで3日間連続で4時間毎に味覚、嗅覚、聴覚の3つの感覚の鋭さを調べたところ、その感覚が最も鋭敏な時間帯になるのは午前3時頃である事が確認されています。
この時間は副腎皮質ホルモンのコルチゾール分泌が最も低い時間で、その時に感覚は鋭敏になり、高まると鈍くなる事が解ったのです。
こうした事から脳下垂体の異常で副腎皮質ホルモンの分泌が低下してしまうアジソン病に分泌リズムが応用されました。
この病気は甘さや酸っぱさを感じる感受性が時には普通の人の150倍ほどになってしまいますが、健康な人の分泌パターンを考慮してコルチゾールをリズム投与すると正常になるのです。
また痛みの感覚も時刻によってその鋭さや、強弱に違いがあります。
痛みの感じ方は、午後3時頃は鈍くなり、夜の11時ごろは同じ刺激に対しても痛みを強く感じ、昼間の30~40%も強く感じるという実験報告があります。
ですから鎮痛剤の飲み方も工夫が必要で、昼間は少なく、夜は多めに飲む事でより効果を上げる事ができます。
また胃の痛みや痛風は明け方、頭痛は午前、歯の痛みは夜の11時頃により強く感じられる様です。