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呼吸器 - Part 2の記事一覧

呼吸困難のパターンと疾患

2021.06.14 | Category: 呼吸器

努力呼吸、胸郭、頚部、肩部の呼吸補助筋群が働きます。また吸気時に鎖骨上窩や下部肋間の陥没がみられます。
速くて浅い呼吸
呼吸数が1分間に24回以上で浅い呼吸。-回の換気量は減少し換気効率も低下します。これらの呼吸は気道の病変では無く、肺炎等の肺実質あるいは間質病変が考えられます。
速くて深い呼吸
過換気症候詳にみられるパターンです。器質的疾患というより精神的な原因で起ります。過換気の為血液の炭酸ガスが減少し,呼吸性アルカローシスになります。
喘鳴を伴い呼気延長のみられる呼吸気道の閉塞か狭窄が起こった時にみられます。この呼吸パターンは気管支喘息では必ず起こります。
起坐呼吸
寝る姿勢で呼吸が苦しくなる為に起きて呼吸します。気管支喘息やうっ血性心不全等でみられます。
呼吸リズムの異常
脳疾患や代謝疾患等の特殊な病状の時に起こります。
1)チェーン・ストーク呼吸
浅い呼吸から深い呼吸の繰り返し、その間に無呼吸の状態が15~40秒間続きます。
心臓、肺、脳などの末期的状態にみられます。
2)ビオー呼吸
速く深い呼吸と10~30秒間の無呼吸が交互に現れます。髄膜炎などの脳脊髄膜疾患で現われます。
3)クスマウル呼吸
深いゆっくりした規則的な呼吸。尿毒症や糖尿病等で起こります。

今年のインフルエンザ事情

2021.06.14 | Category: 呼吸器

昔インフルエンザに薬は効かないというのが常識でしたが、今は検査、改善ともに有効なインフルエンザ薬が出ています。

抗インフルエンザ薬では’98年末に認可されたアマンタジンがありますが、A型のウイルスにしか効かず副作用として神経症状や胃腸症状が問題になっていました。

鼻に噴霧して使用するザナミビル(商品名リレンザ)はA型、B型のウイルスに有効で副作用もほとんど報告されていません。

ただし発症したらすぐに処方してもらわなければ効果薄です。

またインフルエンザウイルスかどうかを簡単に調べるキット「ディレクティジェンドFluA(インフルエンザA抗原検出用キット)」も開発されています。

鼻の粘膜を綿棒などでこすって調べます。15分から20分で結果がわかり、85~90%の確実性です。このキットを持つ病院で調べてもらえます。

その年のインフルエンザの流行は、前シーズンの流行状況や夏の天候などによってある程度予測されますが、2015年冬から2016年の春にかけて、A型であるA香港型(AH3N2亜型)とA-H1N12009型、B型検出されました。2016年の冬も同じタイプが流行すると予想されます。

気管と気管支の構造

2021.06.14 | Category: 呼吸器

気管は10~12 cmの長さで喉頭の下に続き、馬蹄形の硝子軟骨が16~20個連なり、それを輪状靫帯というしっかりした靫帯構造で繋いで空気を確実に導ける様になっています。

気管の後壁には軟骨が無く、膜性壁という結合組織や筋によって閉ざされ、この膜性壁は収縮する事で気管腔を約25%も狭める事ができるのです。

この気管筋は平滑筋で自律神経の支配を受け、交感神経の興奮で気管支が拡張し、副交感神経の興奮で収縮します。

気管筋が収縮すると気管内壁に縦ヒダが現れ、ヒダの間には漿液一粘液腺である気管腺が開口しています。

気管の内壁は粘膜になっていて、粘液を出す杯細胞を伴う2列繊毛上皮からなり、粘液に吸着されたほこりは時間と共に咽頭へ送り出されて痰として排出されます。

気管に続く左右の気管支は第五胸椎の高さで50~100°の角度で分かれ、右気管支は左に比べて太く垂直に近い角度で降り、左気管支はむしろ側方へ走っています。

左側には下方に心臓があるのと、左気管支の上部を大動脈弓がぐるっと乗り越えて行く様な構造になっているせいで細く、気管に入った異物が転がり込む割合は右と左で7対3になっています。

気管支の分岐部は呼気など横隔膜の弛緩によって約5cmも上昇し、吸気のときには沈下します。

分岐角は横隔膜が沈下した時に小さくなり、上昇すると5~16°も開くのです。

結核非常事態宣言

2021.06.14 | Category: 呼吸器

減少を続けていた結核が平成9年以来増加に転じた為厚生労働省は平成11年に絡咳非常事態宣言を出して警戒を呼びかけました。

幸い平成12年の新結核患者は4年振りに減少しましたが、油断できない状態は続いています。

結核の増加は先進国を含めた世界的な傾向ですが、10万人あたりの罹患率は米国の5倍と、日本は先進国の中でも特に高いのが現状です。

特に高齢者の罹患率(肺以外の結核含む)では70~79才で87.2、80才以上では130.1と非常な高率になっています。

現在の60才以上は多くが結核菌を持っている人達で、この高齢者の老化が進めば日和見的に発症する人が多くなるのは避けられません。

しかも高齢者の結核の特徴として、呼吸器症状を訴えないで、全身倦怠感、体重減少、食欲不振等を訴える事が多くあり、結核と診断し難い事が挙げられます。

日本での結核の正診率は案外低く、剖検してから発見される結核も少なくありません。

こうした結核症の増加の原因は、結核を過去の病気とみる医療従事者や行政、国民の油断が第一にあります。

その為集団感染や発見の遅れを引き起こすのです。

高齢者はもちろん、若くても咳が2週間以上続いたり、微熱が続く様であれば、風邪だと思い込まずに結核も頭に入れて検査すべきです。

肺がんの種類と特徴

2021.06.14 | Category: 呼吸器

気管、気管支、肺に発生する肺がんは、できる場所によって中心型(肺門郎)と末梢型(肺野郎)に大別されます。

がんの種類としては大きく分けると、①腺がん(47.6%)②扁平上皮がん(34.2%)③小細胞がん(9.9%)④大細胞がん(6.5%)となっていて、この4種で肺がんの97%以上を占めています。

この他にも腺扁平上皮がん、カルチノイド、腺様嚢胞がん、粘表皮がん、がん肉腫、といった肺がんがあります。

腺がんは祚の奥のほうにできる末梢型肺がんで、女性が男性の2倍も発生しやすいといわれていますが、最近は男女ともに急増していて、扁平上皮がんとの差を拡げています。

その初期は無症状で、エックス線検査で発見されることが多く、進行は遅いものの悪性度が高いのです。

ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれるススや芳香族有機化合物、間接喫煙や大気汚染がその元凶だと見なされていますが、女性のほうが倍も多いというのはホルモンなど女性特有の要因があるのではないかと考えられます。

扁平上皮がんは中枢の太い気管支に発生しやすく、タバコが最大の要因といわれ、これも増加傾向にあります。

咳、痰、血痰などの症状があります。喀痰検査で発見され、進行はやや速いものの悪性度は低くて転移も少ないがんです。

小細胞がんは主に中心部に発生、無症状で発見が困難で、進行が速くて転移もしやすい最も治りにくい肺がんです。

大細胞がんは中心にも末梢にも発生、抗ガン剤があまり効かず、進行が遠く転移も非常に多いがんです。

慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructlve pullonary disease)

2021.06.14 | Category: 呼吸器

慢性閉塞性肺疾患とは、肺気腫と慢性気管支炎(両方が混じったものも)をさします。

統計では日本での患者数は22万人、死亡率は9.6(人口10万人に対し)となっていますが、実際の患者数はもっと多いはずで、さらに増えていくとみられています。

というのも、統計上の死因はこの疾患に併発しやすい肺炎や喘息、肺がん、心筋梗塞などと記載されることが多く、基礎疾患としての慢性閉塞性肺疾患の認識が低いからです。

肺気腫は肺胞が破壊されるもので、慢性気管支炎は気管支での粘液の過剰分泌がおこり、痰をともなった咳が続きます。

このふたつの病理は違ってみえますが、閉塞性の呼吸障害という点でひとつにくくられます。

慢性閉塞性肺疾患は、軽い場合には器質的な異常ははっきりせず、胸部X線も正常です。肺活量測定によって強制呼気の気流が滅少していることがわかるくらいですから、診断もしにくいのです。

しかし病気が進行していくと呼吸困難が自覚され、労作時に息切れするようになり、最後には会話や着衣などの日常生活でも息切れをするようになります。

そして上記のような直接の死因となるような疾患を併発する・ようになります。

その原因の第一は喫煙で、喫煙者の約10~15%が慢性閉塞性肺疾患になるとみられています。

また喫煙者は加齢にともなうて肺機能の低下は加速度的で、当然タバコの本数が多いほど機能の低下もひどいといえます。

呼吸困難と疾患

2021.06.14 | Category: 呼吸器

呼吸は延髄にある呼気と吸気の中枢の支配を受けて呼吸運動が起こります。

また、肺迷走神経反射(ヘーリング・ブロイエル反射)により、呼吸運動は規則正しいリズムに調節されています。

肺が膨張すると吸気が抑制され、肺が収縮すると吸気促進に働きます。

ところがこの様な呼吸運動の調節が上手くいかないと息苦しいという自覚症状つまり呼吸困難になります。

呼吸困難の発生には血液化学成分の変化(酸素低下や炭酸ガスの増加、pH低下)、換気の機械的因子の変化(換気仕事量の増大、胸腔内圧の増大)、肺循環障害(肺うっ血)、神経性因子(心因性)、中枢性の連続刺激等が考えられています。

しかし、これらの原因が必ずしも呼吸困難になるとは限りません。

そこで、最近注目されているのに、気道内受容体説があります。

これは気道内や肺実質内にある刺激受容体、肺胞壁にある傍肺胞受容体、呼吸筋にある筋紡錘、頚動脈球や呼吸中枢による化学受容体にー度に複数の刺激が伝わると、呼吸困難が発生するというものです。

これらの受容体を刺激する病気があれば呼吸困難が現れるのです。突然起こる場合は、肺塞栓症、自然気胸、異物誤飲、心筋梗塞が考えられます。

咳や痰などがあった1~2日後で起こった場合は、気管支喘息、急性肺炎、肺水腫、うっ血性心不全があります。

また、慢性の呼吸困難には、肺気腫、びまん性汎細気管支炎、間質性肺炎等があります。これらの呼吸困難は労作時の息切れ等から始まって呼吸困難になります。
呼吸困難の強さの分類(Hugh-Jones)
1度―同年代の健康な人と同様に仕事ができ、歩行、階段の昇降も健康な人と同様にできる。
2度―平地では同年代の健康な人と同様に歩行できるが、坂や階段は健康な人と同じ速さでは歩けない
3度―平地でさえも健康な人と同じ速度では歩けないが、自分のペースでならば1㎞以上歩く事ができる
4度―休みながらでなければ、50m歩けない
5度―話をしたり、着物を脱いだり、身の回りの事をするにも息切れがする

呼吸は鼻で

2021.06.12 | Category: 呼吸器

最近口を半開きにしている人を多く見かけます。

これは単なる顔にしまりがないだけではなく、免疫にもかかわる重大事と警鐘を鳴らしているのが東大医学部口腔外科の西原克成医師です。

無意識に口を半開きにしているのは□呼吸をしているからで、この口呼吸はやがて色々な病気に繋がるというものです。

そもそも哺乳類は鼻腔と気管が鼻の奥で直接繋がっていて、呼吸は鼻でしかできません。

ところが人類は言葉をしゃべる為に口から空気を出す事が必要になった為、口腔と気管が繋がり、□呼吸ができる様になったというのです。

しかし口呼吸ができる事と、口で呼吸すれば良いというのとは違います。鼻で呼吸すると、鼻腔の粘膜によって空気中の異物が体内に入る事を防ぎます。

また吸気に適度な湿り気を与えて肺胞で酸素がスムーズに吸収されやすくなります。ところが口呼吸になると、本来は食べ物等についた雑菌の処理をしなければならない喉の扁桃リンパ輪が空気も処理しなければならなくなりオーバーワークになってしまいます。

しかも口呼吸で扁桃腺が乾燥して風邪をひいた状態になってしまうのです。この状態が常態になってしまうと免疫にも影響が出る事は想像できます。

またこうなると鼻の働きは嗅覚等も廃用的に衰えていきます。また睡眠時無呼吸も口呼吸が原因とみなされてります。

自分が□呼吸かどうかはなかなか気が付き難いものですが。
・朝起きた時、喉がヒリヒリする事がある
・鏡を見ると、口が「へ」の字
・クチャクチャと音を立てて食べる
・唇がいつもカサカサしている
・何かに夢中な時、□が開いていると言われる
・いびきをかく
の内3つに該当すれば、ほぼ口呼吸と考えてよい様です。

夏型の肺炎と家の関係

2021.06.12 | Category: 呼吸器

夏の初め頃から咳や発熱等の風邪症状がでて、風邪薬や抗生物質が効かずに息苦しさが増してくる、という時は要注意です。

特に外泊した時は咳が出ずに息苦しくない、という場合、夏型過敏性肺炎の事がよくあります。

過敵性肺炎とは、カビ等の抗原を繰り返し反復呼吸する事でアレルギー反応が起きて、肺の間質に炎症が起きたもので、夏型は日本の過敵性肺炎の7割以上を占めているのです。

日本の高温多湿の夏、カビの種類は数あれど、腐った木材や畳や寝具などを栄養にして繁殖するカビの中にトリコスポロンというのがあり、これが夏型過敏性肺炎の原因です。

トリコスポロンは築後20年位の古い木造住宅の1階に多く発見されていて、患者は在宅時間の長い主婦が4割を占めています。

ところが最近では築10年程度のマンションでの患者も増えているといいます。

共通している点はいずれも陽当たりや通風・換気が悪くて、カビが発生しやすい条件が揃っている事です。

この肺炎は最初カビを少しずつ吸入してから、啖や痰、発熱等の症状が出始め、次第に悪化して呼吸困難になって行きます。

カビが抗原のアレルギー反応なのですが、スギ花粉症の様に抗原を吸い込んで直ぐに反応が出るのではなく、帰宅してから症状が現れるまでに4~6時間もかかるので、なかなか家が原因とは気付かないものです。

軽症なら入院する等家から離れるだけで症状が取れますが、中等症だと副腎皮質ホルモンを使う事になります。

問題は家のカビ対策で、畳替えや内装の張り替えだけでは間に合わない事もあります。

アレルギーとはいえ放置しておくと肺の繊維化が進み、命に関わる事もあるので、夏風邪が風邪薬や抗生物質を飲んでも症状が取れない様なら、一度住んでいる家の環境をチェックする必要がありそうです。

アロマの使用は慎重に

2021.06.10 | Category: 呼吸器

良い香りを嗅ぐと気分が落ち着く芳香浴や、精油をベースオイルで希釈して使うアロママッサージなど、アロマテラピーに人気があります。

それに使用される精油は100%天然だから安全だと考えがちですが、中にはアレルギー反応を起こす人もいます。

精油の化学成分の分子は、皮膚から吸収されて血液中に入ります。また、芳香浴も揮発した成分が肺に取り込まれる等して、全身に運ばれます。

この化学成分に花粉症、食物アレルギー、鼻炎、喘息、過敏症等の体質の人が接触性皮膚炎などのアレルギー反応を起こす可能性が高いのです。

マッサージオイルで精油を初めて使う場合にはパッチテストを必ず行い、感作性のある物質でないか検査することが大切です。

使用するオイルを1滴、腕の内側等の皮膚の薄いところに少し擦り込み、24時間おいて、赤くなったり、かゆくなったりしなければ大丈夫です。

しかし、パッチテストで安全でも5~7日経った頃から、アレルギー反応を起こす体質の人もいます。

精油に含まれる成分がアレルゲンとなり、抗体がつくられて抗原抗体反応が起るので、精油を使う場合にはアレルギー反応が起きていないか必ず確認する事です。

施術家も、精油が手の皮膚から吸収されたり、揮発した精油を呼吸と共に鼻粘膜から吸収し、長期間たえず暴露される事で、皮膚炎、頭痛、発熱、吐き気等のアレルギー症状を呈する事があります。

改善には抗原である精油から離れる事しかありません。

アロマの効果が注目されていますが、アレルギー体質の人や、敏感肌の人に使用する場合には注意することです。

また精油は大変種類が豊富で、中には高血圧等の慢性疾患や妊娠中など身体の状態で使用すると危険な精油もあるので、十分理解してから使用する事が重要です。

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