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リハビリ - Part 2の記事一覧
現在の日本では脳血管障害の患者さんが寝たきりになる最大の原因を作っています。
ですから介護保険の対象疾患でも当然ながら1位になっています。今後高齢者が増加して行きますから、脳血管障害の患者さんが増える事は間違いないところです。
リハビリで最も大切なのが神経学的評価で、意識状態、言語障害、失行・失認、視力・視野障害、運動麻痺、感覚麻痺、摂食・嚥下障害、排泄障害、知能・精神障害等に対して、理学療法、作業療法、言語療法ときめの細かいメニューが必要です。
初発の脳血管障害の患者さんの統計的な予後は、30%が自然回復、死亡が20%、片麻痺等の何らかの障害が残るのが約50%と言われています。
ADLで最も切実な問題として歩行出来るかどうかがあります。リハビリを行った患者さんの内は60~80%が最終的に歩行可能になると言われています。
ただし、その内の30%は短下肢装具等が必要になります。ただ、上肢の場合は、巧緻な作業の出来る手の機能等の回復は約20%と低く、健側の手と片手動作訓練が必要になります。
また、多くの患者さんは高血圧、糖尿病、心疾患等の悪化する危険因子を伴っています。
ですからリハビリも初期の段階から、年齢、機能障害、能力低下のレベルを考察し、最終的な能力回復の程度を予測しながら行う事が大切です。
更に家族の介護力や経済力等、退院してから予想される生活のパターンについても多面的なフォローが必要になります。
ただそこまで現在の医療が担っているかといえば疑問符がつきます。
理学療法や作業療法のリハビリで誤った施術による二次的な損傷を誤用症候と言います。
よく見られるのが脳卒中のリハビリによる肩関節の損傷です。
他動関節訓練の原則は「正常可動域いっぱいに行う事」とされていますが、肩関節については大きな誤りで、180度屈曲または外転を行うと医療過誤を起こしかねません。
肩関節は複合運動で全体の3分のlは肩甲骨の回旋によって行われ、3分の2は狭義の肩関節である肩甲上腕関節で120度が可動域の限界です。
関節の固定は主に筋によって行われますが、完全麻痺に陥ると筋緊張の低下により関節固定は不良になり、他動的に無理な力が加えられた場合の反射的筋収縮による関節保護も行われません。
通常、肩関節が動く場合は肩甲上腕関節が120度まで達してから三角筋、棘上筋等を介して肩甲骨を動かし、筋収縮によって保持されるのですが、それが無い為に、敏帯や関節包に力が加わり損傷、断裂し内出血痛みを起こすのです。
それを繰り返せばほとんど改善不能な拘縮を作ります。更に肩の損傷による痛みは肩手症候群を誘発させます。
この症候群は自律神経が関与した特異な疼痛障害であり、脳血管障害の5~30%で認められ、通常発症後1ヶ月より目立ち、疼痛が激しく患者の活動意欲を低下させます。
初期では、手の腫脹や発赤がみられ、適切な関節訓練や温熱療法で改善が可能ですが、改善されないと手指の筋が萎縮し、完全な拘縮となり、実用的な機能は期待出来なくなります。
脊髄損傷による麻庫と言えば、交通事故です。転落事故やスポーツ等でも脊髄損傷を起しますが、多くは自動車事故特に若い人のバイク事故で、かなりの頻度で頚椎を損傷し、手足の麻痺を起します。脊髄損傷には完全損傷と不完全損傷があります。
また、どの部位が損傷したかによってどのレベルの支配神経が麻痺するか違う訳ですから、病態によってリハビリの目標は変わっていきます。
特に完全麻痺の場合では、頚椎骨の一番の違いで機能残存筋が変わっていきます。しかし頚椎3番より上の頚椎での損傷では首から下の機能残存筋はありません。
胸髄、第2腰髄と下位に降りて行くに従って機能残存筋が増えて行きますので、リハビリによりADLの向上はより可能になります。
また、頚髄損傷や胸髄損傷の場合、事故直後から急性期にかけて注意しなればならないのが呼吸器合併症です。
これは、肋間筋等の呼吸補助筋群の麻疹により痰の排出が上手く行かない為に起こります。
いずれにしても、脊髄損傷の部位により、その後の生活は大きく変わってしまいます。
特に男性の場合、中々人には言えない切実な問題はセックスが出来無くなった事や子供が作れない事でした。
ところが最近話題になっているバイアグラによって勃起が可能になったという報告や、電気刺激や振動刺激で射精が出来る様になり、人工授精による妊娠、出産の事例も出てきました。
これらは外国の事例ですが日本でもこの分野が注目されてきましたので脊髄損傷の患者さんには朗報です。
神経麻庫には末梢神経麻痺と中枢性麻痺があり、その回復過程は前者では筋力を上げるという事で量的変化であり、後者では巧緻性や動きを良くするので質的変化(および量的変化)と言われています。
片麻輝の運動障害(運動麻痺)は中枢性麻痺ですが、その回復過程には正常では見られ無い共同運動パターンと言う異常な筋肉の運動が四肢に出現します。
例えば屈筋共同パターンがあると腕を曲げようとすると、肩、肘、手関節が屈曲状態になってしまい、肩あるいは肘関節だけを伸展する事が出来ないのです。
この運動パターンの特徴は屈筋共同パターンと伸筋共同パターンの基本的な二つパターンです。
この運動は正常な新生児に特有に見られる原始的な脊髄レベルの反射、反応の運動統合の現れと考えられています。
随意的な動きが少し入っているのですが、-定の固定したパターンの動きしか出来ないので不随意的と言えます。
回復過程では一旦その運動パターンが主体となりますが、回復が進むにつれて異常な現象が弱くなり、徐々に随意性の高い状態に戻って行くのです。
しかし、中枢性麻痺を放置したり、誤った訓練をすれば異常な共同運動パターンが強化され質的に向上されません。
例えば屈曲パターンの状態でバケツを持ち上げる訓練をすると屈曲運動が強化され、腕の伸展運動に障害が出て、回復過程から遠ざかってしまうのです。
向上する為には、その回復する過程で出現した共同運動パターンを、反射運動等の神経生理学的理論を用いて、障害された神経、筋機能を再調整し、出来るだけ円滑に正常な随意性の高い運動にする為のリハビリが行われます。
安静が続くと、筋肉や関節等の局所的な廃用症候だけで無く全身性の廃用症候が起こります。
その申で最も注意すべきなのは起立性低血圧で、言ってみれば立ちくらみのひどいものと言えます。
普通健康な人は起きあがった時でも姿勢血圧調節反応によって頭の方にも充分血液が流れる様な調節機能が働いていますが、畏く寝ている状態が続くとこの機能も弱くなっていきます。
しかも立ちくらみの様に急激な貧血状態が起こるというより、座っていても血圧が少しずつ低下して非常な疲れとして感じられる等の症状が多いのです。
長く寝ていた後等座っているだけでも非常な疲れを訴える場合、筋力の衰えのせいだけでなくこの起立性低血圧である事が多いのです。
起立性低血圧を防ぐには1日4時間以上、座る姿勢も含めて身体を起こしている事が必要です。
また血圧調節機能に限らず心臓の機能も落ちていきます。心臓の機能の低下では1回拍出量の減少が顕著で、ちょっとした動きでも動悸がする様になり、この場合も非常に疲れやすさを感じます。
肺の機能低下では呼吸する力が弱くなったり、痰が溜まり易く排出する力が弱くなる為肺炎を起こしやすくなります。
こうした全身性の廃用症候群を予防するにはまず座る事が大切です。
座るという動作は寝ている事と変わらないと考えがちですが、心肺や血管の廃用症候群から守る為には大変必要な事です。
ベッドの背を持ち上げるだけでも座る事の第一段階として有効ですし、ベッドの端等に座る端座位は立ち上がりの前段階として必要なのです。